ある日の事。
「聞いたか!? パスパレが今度映画に出るらしいぞ!! 5人全員ヒロインで!!」
「まじか!!?」
「主役俳優が羨ましいぜ~」
バンドリ学園では、Pastel*Palletesの映画出演の話でもちきりになっていた。
2年1組(彩・千聖・紗夜・燐子・花音)
花音「凄いね! 映画に出るなんて」
千聖「そうね…」
彩「うぅ~…今から緊張してきたぁ!!」
2年2組(麻弥・日菜・友希那・リサ・薫)
麻弥「まさかジブンが映画に出る事になるなんて…」
日菜「るんってするね!!」
リサ「しかも県外で撮影なんだって?」
日菜「そうなんだよ! 馬に乗るらしいから…」
薫「馬なら私の得意分野じゃないか…」
1年1組(イヴ・ポピパ・こころ。はぐみ・美咲)
香澄「映画見に行くね!」
イヴ「ありがとうございます!」
1年3組(飛鳥)
飛鳥「…え? オレの画いる?」
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一丈字飛鳥です。皆さんもご存じの通りで、Pastel*Palletesの皆さんが映画に出演される事になりました。学校の皆さんも大盛り上がりです。このまま何も起こらなければいいなーと思っていました。
でも、何も起こらないなら起こらないで面白くなかったのか、神様がやらかしました。あ、ここで語りは終わります。
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数日後
「えええええええええええええええ!!? 撮影中止!!?」
なんという事だろう。パスパレの映画の撮影が中断してしまったのだ。パスパレが普通に学校に来ていて、それを不思議に思った香澄達がカフェテリアで話しかけると、中止になったという事実を聞かされた。
彩「そうなの…」
麻弥「主演の俳優さんが馬から振り落とされて大怪我を…」
千聖「…ハァ」
千聖がため息をついたのには理由があった。パスパレの相手である主役俳優は大手スポンサー企業の社長の息子で、実力もないのにコネで主役の座をつかみ取ったのだ。そのせいか、撮影現場でもやりたい放題やって、少しでも文句を言うとスタッフをクビにしたり、父親に頼んで映画やドラマを中止にすると脅しをかけたのだ。おまけに顔も良いのでこれがまた面倒な事になったのだ。
パスパレ相手にも横柄な態度を取り、彩以外の4人にもセクハラまがいな事をしていた為、パスパレからも嫌われていた。ちなみに彩に対して完全に見下していて、罵詈雑言を言い放っていた。
香澄「残念でしたね…」
千聖「いいのよ。あんな奴と共演したままだったら、私の経歴に変な傷がついてたもの。いい気味だわ」
香澄の言葉に千聖は何ともない感じで言い放った。
千聖「それよりもあいつが大手スポンサー企業の社長の息子じゃなかったら、即刻訴えてやるのに…!」
彩「……」
千聖の言葉に彩が俯いた。
たえ「そういえば彩先輩。さっきからずっと元気がないですけど…」
千聖「…その俳優さんからね。色々酷い事を言われたのよ。Pastel*Palletesの足手まといとか、才能ないからやめろとかね」
「!!?」
千聖の言葉に皆が驚いた。
千聖「どういう訳か彩ちゃんだけ毛嫌いしてるのよ」
彩「…やっぱり千聖ちゃん達みたいに何もないから」
りみ「そ、そんな事ないですよ…」
泣きそうになる彩に対して、りみが必死に慰める。
千聖「まあ、そういう事もあって罰が当たったのよ。あんな大怪我をして、私達の前で盛大に恥をかいたんだもの」
沙綾「恥?」
沙綾の言葉に千聖が沙綾を見た。
千聖「あの俳優に大けがをさせた馬、元々は競走馬だったんだけど、気性が荒くて今は人を乗せたがらないのよ」
「……」
千聖「…知ってる? 競走馬って引退したら殺処分される事が多いのよ」
「殺処分!!?」
千聖の言葉に香澄達が驚いた。
千聖「全部が殺処分されるわけじゃなくて、乗馬クラブに行くこともあるんだけど、それでもゆっくり走ったりできない事があるのよ。今まで早く走るように調教されてるから」
「……」
千聖「…私の見解だけど、おそらく人間を信用できないんじゃないかしら」
有咲「け、けどそれだけ気性が荒かったら殺処分は…」
有咲の言葉に千聖が目を閉じた。
千聖「確かにそれだけ気性が荒ければ人間にとっては不都合。即刻殺処分するべきだけど、あの馬は体も大きくて見栄えも良かったから、残されたって聞いたわ。でも、あんなに大怪我させたんじゃ…」
千聖の言葉に皆が沈む。
一方、飛鳥はスマートフォンで和哉からのメールを確認していた。
『今度の土曜日。仕事だ。孫(※和哉の弟)を連れてダシマ高原のダシマホースパークに行け。落馬させた馬の調査をして貰う』
飛鳥(パスパレの撮影現場だった場所だ…。まさか…)
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土曜日、ダシマ高原付近。
飛鳥「ありがとうございます。連れて行って下さって…」
「いえ、お嬢様のご命令ですので」
飛鳥は弦巻財閥の車でダシマ高原にあるホースパークに向かっていた。ちなみにプライベートである為、いつもかけている伊達眼鏡は外している。
こころ「馬がどうして暴れているのか解明する必要があるわね!」
飛鳥「……」
飛鳥の隣の席にはこころが座っていた。実は和哉から来ていたメールはこころにもCCで送られていた。ちなみに和哉は別の仕事で参加できない為、飛鳥に代役を依頼したのだった。
こころ「孫も今日はよろしく頼むわね!」
「ああ!」
飛鳥とこころの向かいの席には、和哉の弟の古堂孫(こどう そん)が座っていた。大きな双葉頭がトレードマークで、大きな瞳が特徴だった。身長は飛鳥より2㎝高い。年齢は1個上である。
数十分走ると、ホースパークにたどり着いた。
「よく来てくださいました!」
と、従業員たちが出迎えた。
飛鳥「お世話になります!」
孫「おせわになります」
こころ「お世話になります!」
と、3人があいさつした。
飛鳥「早速ですが、問題の馬を見せて頂けませんか?」
「こちらです」
飛鳥の問いかけに従業員が反応すると、そのまま案内された。しばらく歩いた先には、大きな鼻息を立てながら、黒い馬が孫たちを睨みつけていた。
「こいつです。名前はジャックナイフって言うんですけど…」
飛鳥「これはまたかっこいい名前を…」
こころ「あなたがジャックナイフって言うのね! 宜し…」
こころがジャックナイフに近づこうとすると睨みつけて威嚇した。
こころ「何をそんなに怒ってるのかしら?」
こころの言葉に飛鳥が困惑していると、孫は真顔で馬を見つめた。
つづく