第147話
前回までのあらすじ
映画を撮影することになったPastel*Palletes。だが、主演の俳優が映画の撮影で乗ろうとしていた「ジャックナイフ」に振り落とされて落馬し重傷を負ったことで、映画は中止になってしまった。
飛鳥は和哉からジャックナイフが何故怒ってるかを調査するように依頼され、和哉の弟である孫と、同じく和哉からのメールが送られていたこころを連れて現場に向かう。果たして…。
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こころ「どうしてこんなに怒ってるのかしら?」
孫「オレはタカハシいがいをのせるきはないっていってる」
「!!?」
孫の言葉に初老の従業員が複雑そうな顔をして前に出た。
「ジャックナイフ…。お前、まさか…!!」
飛鳥「!?」
そして初老は歯ぎしりした。
「お前、あいつの事をまだ…!!」
「ブルォオオオオオオオオオオン!!! ブルォオオオオオオオオオオン!!!」
孫「…ましてやあんなクソガキをのせるくらいなら、しんだほうがマシだっていってる」
「……!!」
飛鳥がジャックナイフを見て念じると、そこには競走馬として活躍していた事、そして自分の力をうまく引き出していた高橋の事、そしてその高橋が病気になって騎手を引退したこと、後を引き継いだ騎手があまりにも自分の力を引き出すのが下手糞だったこと、
それにより闘争心を失い、自身も引退の道を選んだことが分かった。
初老「そ、そうだったのか…」
初老の従業員は膝から崩れ落ちた。
初老「そんな事も知らずに私たちは…すまない…!!」
飛鳥は崩れ落ちる初老を見つめると、
孫「アスカ」
飛鳥「?」
飛鳥が孫の方を見ると、孫は真剣な顔をした。
孫「ようは、こいつにのってうまくのりこなせればいいんだな?」
「!!?」
頓珍漢な事言っている孫に対して、皆が驚いた。
「そ、そんなの無理だ!! ジャックナイフはプロの騎手でもうまく使いこなせなかったんだぞ!! 君のような素人が出来るわけ…って聞けよぉおおおお!!!」
若手の従業員がそう言っている間に、孫はジャックナイフの背中に乗った。そしてジャックナイフは暴れだした。
飛鳥「皆さんは後ろに下がってください!!」
飛鳥が従業員たちを誘導すると、超能力でバリアを作り出して、ジャックナイフが襲ってこないようにした。
「超能力者って本当にいたんだ…」
「ああ…」
飛鳥「他言無用でお願いします! あと撮影禁止で!」
後ろでつぶやく従業員たちに対して、飛鳥がツッコミを入れた。
ジャックナイフ(舐めやがって!! 振り落としてやる!!)
ジャックナイフは縦横無尽に暴れまわったが、孫はかけられていた手綱をしっかりつかんでいた。
こころ「孫!!」
こころも心配そうに叫んだが、
飛鳥「心配いらないよ」
こころ「え!?」
こころが飛鳥を見つめる。
飛鳥「孫さんなら必ずやってくれる」
こころ「……!!」
飛鳥もこころの方を見て笑みを浮かべると、真剣な表情をして正面を向いた。
飛鳥「さあ、ジャックナイフに見せてやりましょうか!! 孫さん!!」
孫「しょうぶだ!!」
ジャックナイフは猛スピードで走ったり、上下に揺れて孫を振り下ろそうとしたが、孫は振り落とされる事はなかった。
「あの子、凄い…」
「ああ…」
従業員が驚く中、初老の男性は孫の姿がかつての騎手である高橋の姿に見えた。
初老「…まるで高橋を見てるようだ」
そして初老はジャックナイフに目をやると、振り落とそうとしているものの段々表情が柔らかくなっているように見えた。そしてそんなジャックナイフの姿を見て涙を流していた。
初老「そうか…。久しぶりに走れたんだな。やっぱりお前は生粋の競走馬だったか…」
と、静かに目を閉じて笑みを浮かべた。
ジャックナイフ「……」
飛鳥(こっちには来ないようにジャックナイフには暗示をかけたけど…。中々意志が強くて破られそうだ…)
飛鳥がジャックナイフを目で追いかけて、超能力を調節していた。パッと見て分かりにくいが、バリアを張ったり、目でジャックナイフを追いかけて暗示をかけたりするなど、かなり重労働である。
飛鳥(普段は伊達眼鏡だけど、本当にお世話になりそう…)
そして…
「……」
ジャックナイフが疲れ果てて、ゆっくり歩きだした。
初老「ジャックナイフ!!」
飛鳥はバリアを解いて従業員達やこころ達と共に駆け付けた。
こころ「大丈夫なの!?」
孫「つかれてるだけだ」
すると…。
ジャックナイフ(…オレの負けだ)
孫「!?」
孫と飛鳥がジャックナイフの方を振り向いた。
ジャックナイフ(まるで高橋と走ってるような感覚だった。見事としか言いようがない…)
飛鳥「ジャックナイフ…」
飛鳥が呟くと、こころが飛鳥を見た。
こころ「ジャックナイフがどうしたの?」
飛鳥「孫さんの事を認めたみたいだ」
初老「ああ…。とても見事だった」
と、初老が感涙した。
飛鳥「…原因は分かりましたので、これからはどうされるつもりですか?」
初老「しばらく様子を見る」
「!!?」
皆が初老を見つめる。
初老「高橋の為にも殺処分をしないで、天寿を全うさせたい。私が責任を取る」
「主任…」
初老はジャックナイフを見つめる。
『あいつ、気性が荒いから、手懐けるのはなかなか難しいっすよ』
「高橋…」
だいぶ昔の事、初老はとある病院の一室を訪れていた。そこにはジャックナイフのかつての騎手である高橋がベッドで横になっていた。心配そうにする初老に対して高橋は苦笑いした。
高橋「…あーあ。白血病にならなかったら、今もあいつと走れたんだけどなぁ。心残りなのはそれだけっすよ」
初老「……」
高橋「そんな顔しないでくださいよおやっさん。どんどん強いライバルも出てきてます。いつか…あいつと一緒に走ってくれる騎手が現れます! だから…」
高橋が初老を見つめた。
高橋「それまで…あいつの…ジャックナイフの事、お願いします」
初老は昔の事を想いだして、孫と飛鳥の方を見た。
初老「孫くん、飛鳥くん」
孫・飛鳥「!?」
初老が笑みを浮かべた。
初老「本当にありがとう。君達が来てくれて本当に良かった」
飛鳥「谷光さん…」
初老こと谷光は言葉を続けた。
谷光「望んでいた事とはちょっと違うけれど…。高橋もきっと喜んでいるよ」
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後日、バンドリ学園にて。
香澄「そういえばあの俳優さん。クビになったって!」
千聖「あんな性格だから、父親にも見捨てられたのね。無様だわ」
彩「ち、千聖ちゃん…」
一部のバンドガールズがカフェテリアで話をしていた。主演俳優は入院したが、悪事がバレて父親から勘当されてしまい、全てを失った。また、暴言やセクハラをした事で、パスパレの事務所に謝罪があったとの事だった。
しかし、千聖は浮かない顔をしていた。
彩「…千聖ちゃん?」
千聖「でも、妙なのよね。クビになったのはいいけど、何か話が妙に出来過ぎてるっていうか…」
日菜「あんだけエッチな事してたんだから、周りから恨まれてたんじゃない?」
麻弥「しかもその社長さんはしっかりしてた人らしいですから…」
千聖「そうなのよね…。けど…」
千聖はずっと疑問に抱いていたが、それが結局解決することはなかった。そしてその様子を飛鳥とこころが陰から見守っていた。
飛鳥(すみません白鷺先輩。今は知られる訳にはいかないんですよ)
その時だった。
こころ「あ! 飛鳥見て! ジャックナイフが映ってるわよ!」
飛鳥「え!?」
飛鳥とこころがカフェテリアのモニターを見ると、そこにはジャックナイフと谷光達が一緒にテレビに映っていた。そして谷光は高橋の遺影を持っていた。
飛鳥「競走馬復帰!!?」
こころ「新しい騎手が見つかったんだわ!!」
そして新しい騎手が紹介されたが、その選手は超一流の選手で、ちゃんと乗りこなせていたことも映像で証明できていた。
飛鳥・こころ「……」
そして、ジャックナイフが心の底から楽しそうに走っていることも確認できた。
飛鳥「…良かったな。ジャックナイフ」
こころ「そうね…」
飛鳥とこころが笑みを浮かべていた。
「あのー」
飛鳥・こころ「!!?」
飛鳥とこころが後ろを振り向くと、そこにはむくれているモカの姿があった。
モカ「なんか仲間外れにされてる気分~」
こころ「お、お土産のご当地パン買ってきたわよ?」
飛鳥「お納めください」
モカ「それは納めるけど~」
モカは拗ねていて、飛鳥とこころはずっとご機嫌取りをしていたという。
そして…孫も地元の虹島からジャックナイフのニュースを見て、微笑んだ。
おしまい