ある日のバンドリ学園。
「あぁ~~~!! どうして友希那さん達は相手にしてくれないんじゃあ!!」
男子生徒達は嘆いていた。
「バンド活動が忙しいからって言ってたけど絶対違うよね…」
「アルバイトをしてる子も沢山いるし…」
「やっぱりオレらじゃ釣り合わないのか…!?」
と、色々嘆いてたが、一番の原因は『下心が見え見え』という事である。ちなみに女子達の間で情報が共有されている事は、男子たちは知らない。
「それにしてももうすぐ夏だぞ…」
「ああ…」
「あの子たちと一緒に海で泳ぎたいよな…」
「あと出来れば5バンド全員で…」
男子生徒達の脳裏に焼き付くのは、ビーチサイトで広がる沢山の女体。それもとびっきり顔立ちの良い美少女の女体だ。
しかも彼女たちは水着姿で、制服姿じゃ見られない肌の露出、そして個性のでる体つき。芸術ともいえる肢体。そしてなんといっても女性にしか醸し出せない「色気」。25人もいるのだから、より取り見取りであり、それはまさに楽園と行っても良いだろう。
もしもお金を払っていけるのであれば、全財産払っても行きたい。というか行かせてくださいという気持ちであった。
「まあ、でも流石に25人が同時に休みが空いてるなんて無いよなぁ」
「そうそう。パスパレはアイドルだし、バイトしてる子もいるから…」
「全グループがダメでも、せめて1グループくらいなら…」
という話で盛り上がっていた。
「…けど」
「?」
男子生徒の1人が頭を抱えた。
「…一丈字なら出来そうなんだよなぁ」
「え?」
「ほら、あいつってこころちゃんと仲良いだろ? だから…」
「そうなのか!!?」
皆が驚いた。
「一丈字の奴~!!!」
「そうか…弦巻家に何とか取り入ったんだな」
「道理であんな良い思いが出来る訳だ…」
「なんて卑劣な!!」
それを陰から飛鳥、リサ、モカが見ていた。
リサ「相手にしちゃダメだよ。飛鳥くん」
飛鳥「あ、はい…」
モカ「飛鳥くんはちゃんと努力してるもんね~」
飛鳥「恐縮です」
リサとモカに励まされるも、苦笑いするしかなかった飛鳥。
モカ「でもいい事思いついちゃった~」
飛鳥・リサ「え?」
と、モカはとんでもないことを思いついた。
グループLINE(バンドガール+飛鳥)
モカ:飛鳥くん海に連れていきたいんだけど、参加できる人~。ちなみにスケジュールはモカちゃん基準です
リサ:おいおい
飛鳥:あ、無視して頂いて大丈夫ですので。
モカ:ちなみに飛鳥くんとリサさんは確定ですので~。
その結果…
「夏だ!! 海だーっ!!」
何という事でしょう。25人全員が集まりました。全員が集まれるという事に飛鳥は困惑するしかなかった。
リサ「分かるよ。奇跡としか言いようがないわ…。日帰りとはいえ」
モカ「これも飛鳥くんの人望の賜物だね~」
飛鳥(…欠席者がいると、誰がいないかがややこしくなるからじゃないよな)
飛鳥が考えていると、モカが友希那を見つめた。
モカ「それにしても湊さんも来るなんて意外ですね~」
友希那「他のバンドとの交流を深めた方が良いと判断しただけよ」
モカの言葉に友希那は当然とばかりに言い返すると、リサが苦笑いした。
香澄「よーし! それじゃ着替えるぞー!!」
はぐみ・日菜「おー!!」
と、香澄たちは着替えにいき、他のメンバーもそれに続いて水着に着替えた。
そして…
「それーっ!!」
「きゃーっ!!」
と、バンドガールズ達は海水を掛け合いっこして遊んでいたが、飛鳥はビーチパラソルの下にずっといた。
千聖「平和ね」
飛鳥「そうですね…」
千聖が飛鳥に話しかけた。千聖も肌が荒れるからとあまり海で遊びたがらず、パラソルの下にいた。
飛鳥「Pastel*Palettesの予定は大丈夫だったんですか?」
千聖「ええ。何とかスケジュールを調整して貰ったわ。弦巻家とあなたがいるって分かった途端に血相を変えてね…」
飛鳥「…いや、どういう伝え方したんですか」
千聖が黒い笑みを浮かべて喋っているのを見て、相当苦労させられたんだなぁと飛鳥は思った。
千聖「あなたには感謝してるのよ」
飛鳥「え?」
千聖「誘拐事件もそう。あなたが助けてくれたお陰でいかにうちの事務所の人間が無能だったか、世間に知らしめることが出来て、それ以来は死に物狂いで働いてくれてるわ?」
飛鳥「改善されて何よりです…」
飛鳥はこれ以上は何も言わない事にしておこうと思った。理由としては、余計な事を離してしまえば千聖が更にヒートアップする可能性が高まるからだ。
そんな時だった。
「飛鳥くん!」
香澄がやってきた。
飛鳥「戸山さん」
香澄「飛鳥くんも一緒に遊ぼうよ!」
飛鳥「それは構いませんけど…」
飛鳥が立ち上がって横を見ると、水着姿のこころ、はぐみ、モカが手を振っていた。
飛鳥「何だか別世界ですね…」
千聖「うちのクラスの男子だったら泣いて喜ぶでしょうね」
飛鳥が千聖を見つめた。
千聖「それにしてもあなた、25人の女の子が水着になってあなたに迫ってるのに、あまりリアクションがないというのもどうなの?」
飛鳥「バレたら絶対学校荒れるだろうなぁって思ってますよ」
飛鳥が困惑した。
香澄「じゃあ千聖ちゃんはどう思う?」
飛鳥「妖精さんみたいですね」
千聖「どういう意味?」
飛鳥「戸山さん。行きましょうか」
香澄「え!? 私も聞きたい! どういう事!?」
と、香澄と千聖が詰め寄る。
飛鳥「いやー。そんなに大したことは言ってないと思うんですけど、戸山さんは白鷺先輩の水着姿どう思います?」
香澄「とってもキラキラしてるよ!」
飛鳥「戸山さんも言っているように、幻想的ってイメージなんですね。だから妖精です」
千聖「そ、そう…」
千聖が若干納得してなさそうだったが、飛鳥は普通にしていたので、何も言わない事にした。
香澄「あ、でも飛鳥くん。ここは可愛いって言ってあげないと!」
千聖「べ、別にいいわよ」
飛鳥「いや、白鷺先輩は可愛いというより綺麗じゃないですかね」
千聖「!!?//////」
飛鳥がごく自然に言い放つので、千聖は恥ずかしくなった。
香澄「あ、分かる。千聖先輩ドラマとかで見てもずっとカッコイイ感じだもんね。うーん…でもお人形さんみたいで可愛いというのもあるんだよねー」
飛鳥「綺麗と可愛いのダブルコンボですね」
香澄「あ、それそれ!!」
千聖「あ、あなた達…もうその辺にして頂戴…」
飛鳥と香澄のダブル天然ジゴロに千聖はどんどん頬が赤く染まった。
飛鳥「あ、すみません」
香澄「赤くなってる…」
千聖「み、見ないで頂戴!!//////」
千聖がそっぽを向いた。
飛鳥「これ以上お邪魔したら悪いので行きましょう戸山さん」
香澄「そ、そうだね…」
飛鳥と香澄が去っていき、千聖とある程度距離を取ると一斉にこう思った。
飛鳥・香澄(超可愛い)
するとそれを察した千聖が追いかけてきて、飛鳥と香澄はそのまま逃げた。
おしまい