第172話までのあらすじ
薫たち演劇部は、今度行われる劇の為に商店街まで買い出しに来ていたが、不良たちに絡まれてしまう。飛鳥がいつものように裏で退治をして、不良の仲間も和哉の協力の元退治する。
だが、不良の仲間を検挙している現場を偶然通りかかった千聖が目撃し、警察官から事情をすべて聞いた。千聖はすぐに飛鳥がやったものだと確信したが、あまりにも話が上手くいきすぎている上に、飛鳥の日頃からの様子を見て、飛鳥が普通の人間ではないかと気づき始める。
果たして、飛鳥の運命や如何に!
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バンドリ学園
千聖「……」
千聖は一人で考えていた。
花音「ど、どうしたの? 千聖ちゃん…」
仲良しの松原花音が話しかける。
千聖「…花音」
花音「な、なあに?」
千聖「一丈字くんの事なんだけど、あの子…どう思う?」
花音「え? い、一丈字くん…?」
飛鳥の事を急に聞かれて花音は戸惑っていた。
花音「う、運動も勉強もできて凄いなぁって思うよ…? 1年生なのに…」
千聖「…そうね」
千聖が暗い表情をした。
花音「ち、千聖ちゃん…?」
千聖「あのね。花音…。実は」
千聖がそう言いかけたその時、花音がある人物を見て
花音「……」
青ざめてガクガク震えていた。
千聖「ど、どうしたの花音…」
千聖が花音が見ていた方向を見るとそこには…。
和哉がいた。目に大きな隈が出来ていて、目のハイライトがなく、雰囲気も生気がない感じがしたので、千聖も震え上がった。
和哉「……」
和哉は千聖と花音を見た。
和哉「…どうされました?」
花音「ふぇえええええええええ!!? なんでもありませーん!!!!」
千聖「す、すいませんでしたー!!!」
と、千聖と花音が逃亡した。
和哉「失礼な餓鬼どもめ…」
だが、和哉は千聖と花音の事は知っていたので、これ以上は何も言わなかった。
和哉「…まあいい。次第に記憶も消える。あの様子じゃあいつを任せる事は出来ないな。少しばかり、買い被り過ぎたようだな」
そう言って和哉はその場を後にした。
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「ハァ…ハァ…」
千聖と花音が息を切らしていた。
花音「ふぇえええ…」
千聖「な、何なのよあの人…」
千聖は冷や汗をかいていた。
千聖(全く感情が読めないばかりか、心が真っ黒…)
と、飛鳥の事を完全に忘れてしまっていた。
花音「そ、そういえば千聖ちゃん…」
千聖「な、なに?」
花音「私達…一体何の話をしてたんだっけ…」
千聖「……」
そう、花音と千聖が逃げる際に和哉は2人に対して飛鳥に対する疑念を忘れるように暗示をかけたのだ。これで千聖の中で飛鳥が普通の人間ではないのではないかという疑問は消えた。
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和哉「……」
和哉は中庭を歩いていたが、やはり凄みがあるのか通りかかった生徒や教職員は皆和哉を見ていた。ちなみに和哉の服装は黒のジャケットに白いシャツ、黒いズボンといった黒を基調とした服装だった。身長も170後半であり、目の隈がなければそれなりに顔も整っているが…。
やはり雰囲気が怖すぎて誰も近づけなかった。そんなときだった。
「ねぇ、いいじゃ~ん」
「やだ、離して!!」
という蘭の声がした。和哉はその方向をゆっくり近づいていた。
和哉が行ってみると、あこが4人が男子生徒達に絡まれていた。他の生徒達はただ見ているだけしかできなかった。というのも絡んでいる男子生徒達は格闘技をやっていて、関われば暴力を振るわれる上に、助け出せるかどうかわからなかったからだ。
あこ「嫌だってばぁ!!」
「こっち来いや!」
男子生徒の一人があこの髪を引っ張っていた。
「連れていけ!!」
と、4人がかりであこを連れて行こうとした。
あこ「うわああああああん!! 助けてぇおねーちゃん!!」
「口を押えろ!!」
男子生徒の一人が手であこの口を押えた。
「高等部は一丈字がいるから無理だが、中等部なら手も届くまい!!」
と、走って逃げようとしたが、和哉が男子生徒達の前に立ちはだかっていた。
「!!」
「な、何だお前!!」
和哉「どうするつもりだ?」
「は!?」
和哉が殺気を放った。
和哉「その女子生徒をどうするつもりかと聞いている」
「あ、あひ…」
男子生徒達は恐怖で足が動かなくなり、あこを手放してしまったが、和哉は特に何もせずあこはそのまま地面に叩きつけられた。
あこ「たっ!! うぅぅぅぅ…」
あこは泣きそうになっていた。
和哉「オレの質問に答えろ」
和哉が近づくと男子生徒はおののいて、
「う、うわぁああああああああああああ!!!!」
「すいませんでしたぁあああああああああ!!!」
と、和哉から逃げようとしたが、和哉が超能力を使って逃げられないようにした。
「な、何だ…体が…!!」
「動かない…!!」
「や、やめろ!! 来るな!! 来るなぁああああああああああ!!!」
しかし、和哉は不良生徒に目をくれず、あこに近づいた。
あこ「……!!」
和哉があこを見つめると、和哉もあこを見た。
和哉「災難だったな」
あこ「え…」
和哉「早くここから離れろ。さもなくば…更に心に傷を負う事になるぞ」
あこ「……!!」
そして同じタイミングで…。
「はぁ…何か悪い夢でも見たのかしら…」
千聖と花音がやってきて、再び和哉達を目にした。和哉に恐怖を抱いている男子生徒達を見て、青ざめ絶句していた。
「ひ、ひぎィイイイイイイイイイイ!!!」
「た、助けてくれぇえええええええええ!!!」
和哉「……」
和哉は何も言わずに、ただ近づいていった。それがまた男子生徒達にとって恐怖を感じさせたが、見ていた周囲の人間も同じで、男子生徒達に同情した。
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!」
男子生徒達は一思いに絶叫した後、
「ブルチィイイイイイイイイイイイイイ!!!!!!!」
…涙を流し、糞尿を漏らして気絶してしまった。
「……」
まさかの事態に生徒達は言葉を失った。
和哉「人の顔を見て気絶しやがるとは失礼な奴らだ」
和哉は背を向けてその場を後にした。
その後…
飛鳥「……」
飛鳥は困り果てていた。
飛鳥(なんか最近皆大人しいな…どうしたんだろ…)
廊下などを歩いていると、いつもはうるさい男子生徒達がどこか静かで、女子達も何かにおびえているようだった。
飛鳥(やっぱアレだよな~~~~~~!!!!! やり過ぎるなつったのに…!!)
和哉の所業を後で知って、頭を抱えていた。
そんな中、千聖がやってきた。
飛鳥(あ、白鷺先輩だ…)
千聖「……」
千聖が飛鳥の顔を見ると、
千聖「あら一丈字くん。こんにちは」
飛鳥「こんにちは…」
千聖「じゃあね」
そう言って千聖が去っていった。
飛鳥(…当分は大丈夫そうだな。こっちは)
女子生徒や本来の役割を果たす身としては良かったのかもしれないが、何となく罪悪感を感じる飛鳥であった。
おしまい