ある日の事、飛鳥が一人でカフェテリアにいると…。
「飛鳥くーん!!」
飛鳥「?」
香澄が飛鳥に話しかけてきた。
飛鳥「戸山さん。どうされました?」
香澄「飛鳥くんってギター弾けるんだよね?」
飛鳥「え、ええ…花園さん程ではございませんが」
面倒な事になりそうだな…と飛鳥は思った。実際に香澄達のファンが睨みを聞かせている。
香澄「それだったらさ、今日一緒に弾こうよ! 有咲の家の蔵で!」
飛鳥「お気持ちはありがたいのですが、遠慮しておきます」
香澄「えー。なんでー? あ、そっか。用事があるんだね?」
飛鳥「…そんな所ですね」
飛鳥が苦笑いした。
香澄「それだったら飛鳥くんの予定に合わせるよ?」
飛鳥「そこまでして頂かなくても…」
香澄「…そんなに私達と一緒にいるのが嫌なの?」ウルウル
飛鳥「あなた方のファンから嫌がらせさせるのが嫌なんですよ」
飛鳥は正直に言うと、香澄が驚いた。
香澄「も、もしかして虐められてるの!?」
飛鳥「虐められてるというより、言いがかりをつけられてるんですね。戸山さん達に近づいたら殺すとか、お前の家に火をつけてやるとか、単車でお前をはねてやるとか、色々」
香澄「そ、そんな事言われてるの!!?」
飛鳥の発言に香澄が青ざめた。
飛鳥「ええ。それだけあなた方が有名って証拠ですがね」
飛鳥が苦笑いした。
香澄「どうしてそう言う事を早く言ってくれなかったの!?」
飛鳥「まだ自分で何とかできるレベルですので」
香澄「そ、そんな事になってたなんて…」
飛鳥「そういう訳ですので、ギターの件は諦めてください」
香澄「やだよ!!」
香澄が叫んだ。
香澄「どうして飛鳥くんに嫌がらせをする人たちの言う通りしなきゃいけないの!?」
飛鳥「矛先をあなた方に向けられるのはまずいんですよ」
香澄「!!」
飛鳥「例えば山吹さんですが、山吹さんはご実家がお店をやられてますよね?」
香澄「う、うん…」
飛鳥「…彼女のご実家のお店やご家族にも迷惑が掛かります。ましてや幼い兄弟もいらっしゃるので非常に危ないんですよ」
香澄「……」
飛鳥「もしもご家族に何かあった時、山吹さんは悲しまれますよ。そしてその原因を作った私に対して…」
香澄「そんな事ない!! さーやはそんな人じゃない!!」
飛鳥「…それでは戸山さん。これがあなただったらどうしますか?」
香澄「!!」
香澄が飛鳥を見た。
飛鳥「妹さんがいらっしゃいますよね? もし妹さんが…」
香澄「飛鳥くんのせいじゃない!! 悪いのは飛鳥くんに意地悪する人だもん!! だからそんな事言わないで!!」
と、香澄は周りを気にせず叫んだ。
飛鳥「戸山さん…」
悲痛な叫びと言っていい香澄の言葉に飛鳥も真剣な表情をした。
香澄「…飛鳥くん」
飛鳥「何です?」
香澄「…そうやって、蘭ちゃんや彩先輩達、友希那さん達やこころちゃん達を守ってくれてたんだよね。今まで」
飛鳥「……」
飛鳥は静かに目を閉じた。同級生に絡まれていたリサを助けたり、野外活動で迷子になっていたつぐみを助けたり、飛鳥はこれまでバンドガールズを助けていた。
香澄「…今度は、私にも守らせてよ」
飛鳥「それでしたら早速やって貰いたいことがあるんですよ」
香澄「な、何!? 何でも言って!!」
香澄が飛鳥を見た。
飛鳥「テストの成績上げてください」
香澄「そう言うのじゃなくて!!」
飛鳥「戸山さん。これが結構重要なんですよ。冗談抜きで」
香澄「え?」
飛鳥「テストの成績を上げるという事は…」
と、飛鳥は言葉巧みに香澄の成績を上げさせるために説明した。実を言うと、香澄はテストの赤点の常習犯であり、勉強を教えている有咲も手を焼いていたのだ。こうする事で香澄の為にもなるし、勉強を教えていた有咲の負担を避ける事にもつながる。そして上手くいけば自分への関心を避ける事が出来るのだ。
香澄「…そ、そっか」
飛鳥「ええ。そういう訳です。戸山さんの為にもなりますし、私の為にもなるんです」
香澄「……」
香澄が考えた。
香澄「分かった! 私頑張る!」
飛鳥「……!」
香澄「だから今度のテスト、期待しててね!」
そう言って香澄は去っていった。
飛鳥「……」
飛鳥は静かに目を閉じた。
飛鳥(…いい子だな。戸山さん。まるであいつを見てるようだ)
と、3年前自分に声をかけてくれた林日向の事を想いだした。
飛鳥(さて、オレもそろそろ教室に戻るか…)
飛鳥がそう思って席を立ちあがろうとしたその時、
「おい、待てよ!」
飛鳥「?」
飛鳥が横を向くと、男子生徒達がいた。
飛鳥「あ、お騒がせしてすみません」
「てめぇ、香澄ちゃんに何つった!?」
飛鳥「?」
すると男子生徒達が近づいてきて、飛鳥を捕らえようとしたが、飛鳥は即座に逃亡した。
「待て!!」
「逃げるな!!」
飛鳥(すぐコレだよ。話聞いてなかったのかな…)
そして1年1組
香澄「……」
香澄が突然勉強しだしたので、有咲たちが驚きを隠せなかった。
有咲「ど、どうしちまったんだよ急に!!」
香澄「飛鳥くんを守る為だよ」
有咲「は、はぁ?」
香澄の言葉に理解が出来ない有咲であったが…。
「待てー!!! 一丈字―!!!」
「逃げるなー!!!」
と、飛鳥が男子生徒達に追いかけられていた。
「!!?」
香澄「飛鳥くん!?!」
有咲(あ、なるほどそういう事か…)
有咲が困惑していたが、その光景を見て沙綾が驚いていた。
飛鳥(まあ、結果的に超能力使って、職員室に誘導して先生達に取り押さえて貰ったんだけどね…)
ちなみにその男子生徒達は放課後まで説教されていた。
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そして…
香澄「やったよ飛鳥くん!! 私平均点70点以上あった!!」
定期テストが行われ、香澄はなんと上の下まで成績が上がっていた。5分の2以上の順位で、成績表を返してもらった瞬間、3組の教室にやってきた。
飛鳥「頑張りましたねー」
有咲「な、何かの間違いだ…」
ちなみに有咲は香澄の1個下だった。
香澄「これで少しは飛鳥くんが困る事はなくなるよね!?」
有咲「その前に今まで勉強教えてたあたしにも感謝しろ…」
飛鳥「まあ、少しはですけどね…」
と、飛鳥が苦笑いした。
香澄「それじゃあそれじゃあ!! 一緒にギター弾こうよ!」
飛鳥「私今ギター持ってないんですけどね…」
たえ「私の貸してあげる」
飛鳥「え、いいんですか?」
飛鳥が驚いた。
香澄「来てくれるの!?」
飛鳥「え、来て良いんですか?」
香澄「来て良いよ!! 大歓迎!!」
飛鳥「…まあ、今回のテスト頑張ったみたいですし、1回だけなら」
香澄「やったー!!」
と、香澄が喜んだが、次の瞬間だった。
香澄「ありがとー!!」
香澄が飛鳥に抱き着いた。そして空気が止まった。有咲、沙綾、りみが顔を真っ赤にして、たえがちょっとだけ頬を染めていた。
飛鳥「戸山さん」
香澄「なに?」
飛鳥「私の性別をご存じでしょうか?」
香澄「え? 男の子でしょ…あっ」
香澄が気づいた。
香澄「あっ…あああああーっ!!!////// ち、違う!! そんなんじゃないよ!!? そういう意味じゃないよ!!?//////」
と、香澄が慌てふためいた。
たえ「香澄大胆…」
りみ「はわわわわわわ…//////」
沙綾「あははは…//」
有咲「な、何やってんだよお前ハァ!! これだから最近の若い男女による…」
慌てる香澄を飛鳥は呆れながら見ていた。
飛鳥「…ギター、また今度にしますか?」
香澄「いいえ。来てください…////」
飛鳥「分かりました」
香澄が俯いて返事をすると、3組のクラスメイト達は香澄の可愛さに鼻血を出していた。
(やっぱりなんだかんだ言って可愛いんだよなぁ!!)
(羨ましいけど、あいつ等みたいには絶対なりたくない!!)
(一丈字くんなら許せる!! だってうちら3組の女子にも優しいし!!)
(中学絶対一人は、一丈字くんの子好きな子いただろうなぁ…)
今日もバンドリ学園は平和だった。
おしまい