全バンド一貫! バンドリ学園! エンドレス   作:ダシマ

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第192話「バレンタインデー2021」

 

 

 2月14日。男子にとって待ちに待ったバレンタインデーである。

 

飛鳥(ま、オレにとっては無縁だから問題ないっか! 貰うのあの人たちだし!!)

 

 飛鳥はにこやかな顔をしていた。

 

「あ、一丈字がにこやかな顔をしてるぞ」

「おい!! 一丈字!!」

 

 と、男子生徒達が飛鳥にいちゃもんをつけると、飛鳥が男子生徒達を見た。

 

飛鳥「あ、おはようございます」

「お前、何ニヤニヤしてるんだよ」

飛鳥「いや、今日はバレンタインデーだけど、私には全く縁のない日だから、今日も一日何の変哲もない一日だなーって」

「嘘つくんじゃねぇ!!」

「どうせこころちゃん達から貰うくせに!!」

 

 男子生徒達はいがんでいた。

 

飛鳥「高嶺の花であるあの方々が、私如きにチョコレートを差し上げると、本気でお考えでしょうか」

「え? だっていつもよく喋ってるじゃん…」

飛鳥「それとこれとは話は別ですし、過去に下剤入りのバレンタインチョコ貰った事あるので、トラウマなんですよ。バレンタインチョコ」

 

 飛鳥がそう言うと、男子生徒達は馬鹿笑いした。それを見て飛鳥は苦笑いした。本気で相手にしてないからである。

 

「はははははははは!!」

「ざまーねぇな!! やっぱり嫌われてるんじゃねぇか!!」

飛鳥「そうでしょう? だからバレンタインチョコなんて貰えるわけないんですよ」

「そうだな! こころちゃん達がそんな事する訳ねーし、貰えねーな!!」

飛鳥「ええ。だから安心してください」

「あーあ。心配して損した。行こうぜ」

「そーだな。ま、精々下剤入りのチョコを貰わないようにするんだな!」

「ハハハハハハ!!」

 

 そう言って男子生徒達は笑いながら去っていくと、飛鳥は見送ったが、特に何もリアクションはなかった。日常茶飯事なので特に気にすることはなかったからである。

 

飛鳥「さて、教室に向かうか…」

「飛鳥くん」

飛鳥「?」

 

 飛鳥が教室に行こうとしたが、誰かに呼び止められて後ろを振り向くと、そこにはたえがいたが、いたが険しい表情をしていた。

 

飛鳥「花園さん。おはようございま…」

たえ「今の話、どういう事? 下剤入りのチョコを貰ってたって…」

飛鳥「私の事を嫌っていた女子達からの嫌がらせですよ。もう数年も昔の話です」

 

 飛鳥が苦笑いしながら答えたが、たえの表情には怒りがこもっていた。それは…。

 

たえ「食べ物を粗末にするなんて…」

飛鳥「…まあ、そうですね」

 

 自分の事で怒っているのかと思いきや、チョコに下剤を入れて怒っていたので、飛鳥は少し安心した。というのも、もし自分の為に怒っていたら絶対に香澄達に知られて、大ごとになるからだった。これだったらまだ何とかなるかもしれない。飛鳥はそう思った。

 

飛鳥「それはそうと、花園さん達の方がチョコ貰うんじゃないですか? 今もほら」

 

 たえの手やカバンにはファンからのチョコレートが入っていた。たえ自身もチョコレートを貰って喜んでいたが、飛鳥が男子生徒達と話していた時に聞いた下剤入りのチョコレートを聞いて、すっかり機嫌が悪くなってしまった。

 

たえ「今、その話してる?」

飛鳥「あまり突っ込んで欲しくないんですよ」

たえ「どうして?」

飛鳥「どうしてもです。下剤入りのチョコを貰っただけならまだしも、色々同級生と喧嘩したもんで。この日はもう大人しくしてたいんですよ。すみませんが失礼します」

たえ「あっ…」

 

 そう言って飛鳥は背を向けてその場を去ってしまった。たえはそんな飛鳥の様子を見て、何も言えなくなっていた。

 

*******************

 

 飛鳥が3組の教室に行くが、いつもと変わらない風景だった。

 

飛鳥(良かった…。何か今日のネットニュース見てたら、黒板に男子全員に対してメッセージを書いてチョコを並べられるって奴があったけど…。あの件があってからすっかり信用出来なくなっちまったんだよな…)

 

 飛鳥が難しい顔をしていると、クラスメイトが不思議そうな顔をしていた。

 

飛鳥(やべ、怪しまれる)

 

 と、飛鳥は自然な演技をして何とか誤魔化した。

 

 1年1組の教室

 

たえ「……」

 

 たえは一人落ち込んでいて、俯いていた。

 

有咲「どうしたんだよおたえ」

たえ「有咲…」

 

 有咲がたえの様子がおかしい事に気づいて話しかけてきた。たえが有咲を見た。

 

たえ「えっとね…」

 

 たえが飛鳥の事について説明をした。すると有咲は衝撃を受けた。

 

有咲「え…」

たえ「飛鳥くん…。前に同級生と上手く行ってなかったって言ってたじゃん? 多分それが原因なのかも…」

 

 飛鳥が同級生と喧嘩ばかりしていた事は有咲も知っていたが、もし自分がされたら必ず不登校になる自信がある事をされていた事を知った有咲は冷や汗が止まらなかった。

 

 そして今もその時と同じ事をされかけているのを知り、有咲はいてもたってもいられなくなった。

 

有咲「そ、それで一丈字はどうしてるんだよ!!」

たえ「多分普通に教室にいると思うけど…」

 

 有咲が声を荒げているのを皆が見ていて、何事かと思っていた。

 

香澄「おっはよー」

 

 と、香澄、りみ、沙綾が一緒に教室にやってきて、香澄が挨拶をした。

 

香澄「有咲、おたえ。おはよー」

たえ「お、おはよう…」

有咲「ああ。おはよう」

香澄「ど、どうしたの?」

 

 有咲とたえの様子がおかしい事に香澄が気づき、聞いてみた。

 

有咲「香澄。今すぐ3組に行くぞ」

香澄「え、も、もしかして飛鳥くんに何か用があるの? もしかしてバレンタインチョコ!!?」

有咲「ち、ちがわい!!//////」

 

 香澄の発言に有咲が顔を真っ赤にして照れた。

 

たえ「今日はやめときなよ」

有咲「そ、そんなんじゃねーって言ってるだろ!!」

沙綾「待って待って。一体何があったの?」

たえ「それが…」

 

 たえが改めて香澄、りみ、沙綾の3人に事情を説明した。

 

香澄「ええっ!!? そんなひどい事をされてたの!?」

たえ「飛鳥くんさ。何気に人を信じてない節があるから、多分それが原因かも…」

有咲「あまり心を開かねーもんなぁ…」

 

 超能力者だという事がバレる為、あまり明かしてないだけです。

 

 そんな感じでPoppin’partyは飛鳥の事について教室で話し合っていた。

 

りみ「ど、どうしたらいいんだろ…」

香澄「でも、やっぱりバレンタインって言ったらチョコだよね…」

たえ「別の日に渡してあげたらどうかな?」

沙綾「でも受け取ってくれるかどうか分かんないよ?」

有咲「そうだけどよ…」

 

 と、男子達がいる中で飛鳥にどのような感じでバレンタインのプレゼントを渡すか考えていた。

 

 そんな時、クラスの陽キャ男子達がやって来た。顔はそこそこ良いが性格は屑である。

 

「何の話してんの~?」

香澄「あっ。〇〇くん」

たえ「飛鳥くんにバレンタインチョコあげようと思ってるんだけど、どうしたらいいかなって考えた所」

有咲「バカ!! それ言うなよ!!」

 

 たえから話を聞いた陽キャ男子達は舌打ちをした。

 

「あんな奴なんかにあげないで、オレ達にくれよ」

「そうだよ。オレ達クラスメイトじゃん」

 

 と、悪態をつく。りみは怖がったが他の4人はむっとした。

 

たえ「確かにそうだけど、誰にチョコを上げるかなんて私達の勝手じゃん」

沙綾「それはそうと、あんな奴ってのはないんじゃない?」

「あんな奴はあんな奴だろ!! 女子からチョコ貰えるの分かってて、舐めた口利くしよ!!」

「何が私みたいなやつには縁がねーだよ! ふざけやがって!!」

たえ「わざわざ人の悪口言って、チョコねだって来るよりかはマシだけど?」

有咲「そ、そうだけどおたえ何か怖い…」

 

 本当にたえが不機嫌だった為、他の4人がたじろいていた。男子生徒達はお構いなしにギャンギャン喚く。

 

「何だと!!?」

「黙って聞いてたら!!」

 

 と、騒いでいるとイヴ、こころ、はぐみ、美咲が教室にやって来た。

 

美咲「ちょっとどうしたのよ」

有咲「あ、奥沢さん…」

たえ「〇〇くん達が飛鳥くんの事、あんな奴って言ったの」

「!!?」

 

美咲「ど、どういう事…?」

沙綾「〇〇達が一丈字くんの事が気に入らなくて…」

こころ「それで文句を言ったのね?」

 

 こころが口をはさんでくると、美咲はとんでもない事を言いだすんじゃないかと冷や冷やしていた。

 

こころ「どうして飛鳥の事が気に入らないのかしら?」

「そ、それは…」

「だってあいつ、こころちゃん達からチョコ貰えるの分かってるくせに、自分はチョコを貰えないとか言うんだ…」

こころ「それはおかしいわねー。飛鳥に聞いてみましょう!」

「ちょ!」

 

 こころは即座に3組の教室に向かったが、ポピパの5人はマズそうにしていて、美咲が平謝りしていた。

 

 3組の教室。こころがやってきて、質問してきたので飛鳥が困惑していた。

 

こころ「どうして自分はチョコを貰えるわけがないなんて言ったの?」

飛鳥「謙遜ですよ」

こころ「謙遜?」

飛鳥「仮にそうだとしても、私は弦巻さん達と仲が良いからチョコが貰えるなんて言いませんよ。だって皆弦巻さん達のチョコが欲しいのに喧嘩売ってるように見えますし、仮に貰えなかったら、めっちゃ恥ずかしいですよ」

(た、確かに…)

 

 飛鳥の言葉に香澄達は素直に納得したが、こころが首を傾げた。

 

こころ「どうして恥ずかしいの? 飛鳥は貰えるわよ」

飛鳥「弦巻さん。私はそうかもしれないけど、他の人たちはそうじゃないから文句を言ってるんですよ」

こころ「だったら皆にチョコをあげればいいのね! それだったら文句ないでしょ?」

 

 こころの天然ボケに対して、飛鳥は呆れたように男子生徒達を見ると、男子生徒達は罰が悪そうにした。美咲も飛鳥と同じリアクションだった。

 

 こうして放課後、弦巻家によって皆にバレンタインチョコを振舞われたが…。

 

 夕方・河川敷

 

飛鳥「貰ったチョコは、同じように私を嫌っていた男子に横取りされたんで、私はお腹を壊さずに済んだんですよ」

「……」

 

 飛鳥は1組のメンバーと一緒に夕陽を見ていたが、飛鳥は目が死んでいた。

 

飛鳥「壊れたのはお腹じゃなくて、人を信じる心だったんですよ。あはははははは」

美咲「一丈字くん…その…元気出して!!」

有咲「辛い…!! 辛いよぉ…!!」

 

 有咲と美咲に物凄い同情される飛鳥だった。

 

 

おしまい

 

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