第207話
それはある日の事である。
「なあ、やっぱり白金って胸おっきいよな…」
「ああ…」
「やっぱり脱いだら凄いんだろうな…」
「暑さで蒸れた谷間に顔ツッコミてぇ~」
「ごめん。それはキモい」
バンドリ学園のとある場所で、男子生徒達が燐子の胸について語り合っていた。そして、その陰で飛鳥と燐子が聞いていたが、とても気まずそうだった。
飛鳥(気 ま ず い)
燐子「……///////」
飛鳥が燐子の顔を見ると、燐子は困ったように顔を真っ赤にしていた。そりゃそうだ。変態的な発言をされれば誰だってこうなる。赤面する以外ではゴミを見る目で男子生徒達を見るなり、軽蔑したりするのだが、気の弱い燐子はそんな事が出来なかった。
飛鳥は冷静さを取り戻して、燐子に話しかけた。
飛鳥「あ、そういえば白金先輩」
燐子「な、何ですか…?」
飛鳥「Roseliaのライブってまた近いうちに行われるんですか?」
燐子「う、うん…」
と、何とか燐子を上手い事誘導してその場から離れようとしたが、
「やっぱりおっぱいが大きいっていいよな~」
男子生徒達は空気を読まずに、胸の話を続けていた。
「吸ってみてぇ~」
「やっぱり大きいから吸い甲斐がありそうだよな」
「おっぱいだけじゃなくて、尻もでかいって聞いてるぞ」
「尻も顔に埋めてグリグリされてぇ~」
「お前、本気でキモいぞ」
男子生徒達がそう話していたが、飛鳥が超能力で燐子に聞こえないようにし、その場を後にした。
「罵られたい」
「まあ、それは分かるけど…」
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飛鳥(どぶろっくかよ)
燐子と別れ、飛鳥は教室に帰ってきたが、男子生徒達の変態的な発言により、やつれていた。クラスメイト達はそんな飛鳥を見て心配していた。
「い、一丈字くんどうしたの? 何か顔色悪いけど…」
飛鳥「ああ。心配はいりませんよ」
「そ、そう?」
「また誰かに悪口とか言われたの?」
飛鳥「ああ。悪口を言われる事は全然大したことないんですよ。ただ…」
「ただ?」
飛鳥がクラスメイト達を見つめた。
飛鳥「バンドやってる皆さんも大変だなって…」
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ある日の事、
飛鳥「えっ、白金先輩が!?」
学園で弦巻家の黒服と電話をしていた飛鳥は驚きを隠せなかった。燐子がストーカーにあっているという情報が入ったのだ。
飛鳥「分かりました。こちらも調査して、見つけ次第排除します」
2年1組の教室。燐子が知らない男にストーカーをされていると聞きつけたクラスメイト達やファンの男子生徒達は燐子に詰め寄っていた。
「白金さん! ストーカーに付きまとわれてるって本当!?」
「許せねぇ!!」
「オレで良かったらエスコートするよ!」
「オレも!!」
「オレも!!」
と、男子生徒達が詰め寄るが燐子は人が多すぎて怯えていた。
紗夜「落ち着いてください皆さん!」
彩「燐子ちゃん困ってるよ?」
千聖「全く…。此間〇〇さん(1組の生徒で顔は美人ではない)がストーカーにあった時は、そんなに騒がなかった癖に…」
千聖が不機嫌になったのを見て花音が慌ててフォローを入れるように燐子に話しかけた。
花音「燐子ちゃん。一緒に帰る人っている?」
燐子「……」
「だからオレが!!」
千聖「男子だと逆効果よ」
「いや、女子だけだったら逆に狙われるって!!」
「それはそうと、千聖ちゃん達も心配だ!!」
男子生徒たちの興奮状態が止まらず、燐子は震えていた。
千聖「ちょっとあなた達! いい加減に…」
「あのー、すいません」
「?」
飛鳥が2年1組の教室に現れた。
飛鳥「白金先輩いらっしゃいますか?」
紗夜「一丈字くん!?」
飛鳥の登場に紗夜たちは驚いたが、男子生徒達は悪態をついた。
「一体何しに来た!!」
「まさか燐子ちゃんのエスコートをしに来たんじゃないだろうな!?」
「帰れ帰れ!!」
「お前の出る幕はないんだよ!!」
飛鳥「あ、大丈夫ですよ。エスコートをするのは私ではなくて、弦巻家の黒服の人たちなので」
「!!?」
飛鳥の言葉に燐子も驚いて飛鳥を見た。
紗夜「どういう事ですか?」
飛鳥「ストーカーの件で、弦巻さんから伝言を預かっています」
飛鳥の言葉に燐子が目を見開いた。
飛鳥「黒服の人たちを護衛につけると言っていました」
燐子「え、えっと…」
千聖「あなたがしてくれるんじゃないの?」
千聖の言葉に男子生徒達が嫌な予感がしたが、飛鳥は冷静に振舞っていた。
飛鳥「ええ。今の白金先輩は男性に恐怖を抱いてるでしょうから、私も距離を置く事にします」
燐子「そ、そんな事は…」
飛鳥「無理をなさらないでください。それでは、私は失礼します」
そう言って飛鳥は去っていった。
燐子「一丈字くん…」
飛鳥が2年1組の教室を去ると、
飛鳥(さて、白金さんの事は黒服の人たちに任せて、オレは犯人探しと行くか)
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その日の放課後、燐子はRoselia、私服の弦巻家の黒服達数名と一緒に帰る事にした。男子生徒達がアプローチをかけようとしていたが、黒服達に睨まれて動けない状態だった。
リサ「まさかここまでやってくれるなんてねー…」
友希那「燐子は言い返せないもの。仕方ないわ。それよりもライブハウスに向かうわよ」
燐子「は、はい…」
燐子の言葉に紗夜とあこも心配そうにしていた。
一方その頃、飛鳥は黒服達と一緒に張り込みを行っていた。燐子達がスタジオの中に入ると、いかにも女にだらしなさそうな男が後をついてきて、飛鳥は超能力で男の脳内を探った。すると、男は燐子を付け回し、本日接触出来た暁には、性的暴行を加えようとしていた。後にくる仲間と共に…。
飛鳥「被疑者には仲間がいます。スタジオの周りに怪しい男がいないか確認してください」
「了解」
飛鳥「すでに中にいる場合は監視して、絶対に外に出さないように細心の注意を払ってください。
飛鳥が別の所で見張っている黒服の女性たちに小型通信機で通信を行い、指示を出した。
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「燐子ちゃん…もう逃がさないよ」
「Roselia5人全員いるなんてラッキーだぜ…」
「それだけじゃなくて、中々スタイルの良い姉ちゃんもいるぜ…」
罠に嵌められた事を知らないチャラ男たちは、燐子達の後を付け回していた。
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リサ「ね、ねえ…本当に練習して大丈夫なの?」
友希那「ライブまで時間がないのよ。それに、弦巻家の黒服もいるから心配ないわ」
あこ「りんりん…大丈夫?」
燐子「う、うん…」
燐子達と一緒にいた黒服達は陰に隠れていた。
『一丈字様。準備が出来ました』
飛鳥『ありがとうございます。被疑者は全員中に入るつもりなので、全員が中に入ったのを確認して、逃がさないように包囲してください』
飛鳥がそう指示を出したその時だった。チャラ男達がスタジオに入ってきた。
「!!?」
友希那「誰?」
「Roseliaの湊友希那ちゃんだよね?」
「本物だー。ねえ、オレ達といい事しない?」
と、悪びれた様子もなくスタジオに入ってくると、燐子が青ざめた。
あこ「ねえ、あなた達誰なの!? あこ達これから練習するんだけど!」
紗夜「そうです。出ていって貰えませんか?」
「まあまあ、そんな事言わないでさ」
チャラ男たちが友希那達に近づいて、そのうちの一人が紗夜の手をつかもうとしたその時、黒服達が現れて、チャラ男達を一瞬にして捕まえた。
「ぐわっ!!」
「な、何だこいつ等!!」
「は、離せぇ!!」
一瞬の出来事にRoseliaは驚きが隠せなかった。
あこ「すごーい!! カッコいい~!!!」
燐子「……!!」
『一丈字様。被疑者を全員捕らえました』
飛鳥「ありがとうございます。警察は既にこちらで手配しましたので、そのまま拘束をお願いします」
こうして、燐子を狙っていたチャラ男たちは逮捕された。燐子の他にも複数の女性に集団で手を出していたことが分かり、手口が悪質だとして当分は塀の中に入れられることになったという。
飛鳥「これで任務完了ですね。お疲れ様でした」
「いえ、一丈字様もお疲れ様です」
飛鳥が笑みを浮かべた。
あこ「凄かったねー! 一気に黒服の人たちが…」
燐子「うん…」
あこと燐子が話をしていたが、燐子は考えていた。
燐子(…それにしても、あまりにもうまく出来過ぎてる。どうして分かったのかな)
燐子は黒服達がチャラ男たちを取り押さえている所を思い出した。
そして、休憩時間に飛鳥が自信満々に言い放った事が引っ掛かっていた。
燐子(まさか…)
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後日、犯人が捕まって…。
「聞いたよ!! 犯人が捕まったって!!?」
「良かったね!? 本当に良かった!!」
「でも心配だから…」
「オレ達が当分の間送り迎えするよ!!」
と、男子生徒達が懲りずに燐子と一緒に帰ろうとしていた為、
「いい加減にしなさい!! あなた達みたいなのがいるから燐子ちゃんや他の女の子達が迷惑してるの!!!」
千聖の怒鳴り声で一蹴させられた。そしてそれを外から飛鳥が聞いていて苦笑いしていた。
「あ、あの…白鷺さん」
燐子が話しかけた。
燐子「その…皆、私の事を心配してくれたんですよね。だから、そんなに怒らなくても…」
千聖「心配はしてたけど、それをいい事に嫌らしいことを考えてたのよ」
「そ、そんな事ないよ!!?」
「変な事言うなよ白鷺~!!」
「本当にそんなんじゃないから!!」
千聖の嫌味に対して、男子生徒達が慌てると燐子が苦笑いした。
飛鳥(まあ、これでもう大丈夫そうだな…)
飛鳥はもう問題ないと判断し、その場を後にした。
放課後、飛鳥が帰ろうとすると…。
「一丈字くんっ」
飛鳥「?」
飛鳥が振り向くと燐子がいた。燐子だけでなく友希那、紗夜、リサの3人もいた。ちなみに男子生徒達が追いかけようとしたが、女子生徒達に足止めされていた。
飛鳥「どうされました?」
燐子「あの…。色々気を遣ってくれてありがとう…」
飛鳥「いえ、当然の事なので」
友希那「確かに女性同士の方が安全かもしれないけど、気を遣い過ぎじゃない?」
飛鳥の言葉に友希那が困惑した。
飛鳥「それはそうかもしれないですけどね、私がついてたらついてたで、逆上しますからね」
紗夜「た、確かにそれは…」
飛鳥「まあ、犯人が捕まったとはいえ、当面は油断はしない方が良さそうですね」
その時、燐子は飛鳥を見つめた。
飛鳥「…どうされました?」
燐子「あの、もしかして…」
その時だった。
「りんりーん!!!」
あこがやってきて、飛鳥と燐子達が反応した。
燐子「あこちゃん!!」
あこ「あ、センパイもいたんだ! こんにちはー!」
飛鳥「こんにちは。これから練習ですか?」
あこ「ううん。りんりんが心配だからここまで来たの」
飛鳥「そうですか。それなら、私はここで失礼します」
燐子「あっ…」
そう言って飛鳥は去っていった。
あこ「行っちゃった」
燐子(……)
燐子は飛鳥の後姿を見つめた。
そして飛鳥が燐子達から離れると…。
飛鳥(…危ない所だった。危うく聞かれるところだった。黒服の皆さんを手配したのはオレじゃないかって)
飛鳥が真剣な表情をしながら歩いていた。
飛鳥(油断できないな…気を付けないと)
おしまい