カズマの妹が異世界に来る話。   作:マッキーガイア

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妹の再会編
プロローグ:兄妹


真っ青な青空だった。

その少し向こう側にきのこ雲が昇っていく。爆風が地を走りその存在感をはっきりと映し出していく。

幾らかの風が済んだころ、バタッと、となりにいた黒髪の少女めぐみんが倒れた。

 

「…今日の爆裂は何点でしたか…?」

 

黒い短髪の髪の隙間から赤い瞳を覗かせながらそう問う。

確かにすさまじかった。少し前の俺だったら即倒していただろう。だけど、

 

「う~ん、70点だな。爆風は十分だが、こう…ズンって来るものが足りない。しかしこのおしとやかな感じも少しベクトルが違ければ90点となりうる…うん、嫌いじゃない。ナイス爆裂」

 

正直もう慣れた。毎日毎日爆裂魔法ばかり魅せられて過ごせばこの程度の爆風では動じなくなるってものだ。

真っ青な空が茜色に澄んだころめぐみんに目を移した。

 

「さてと、帰るか」

「おんぶお願いしまーす……」

 

何時もの様に爆裂散歩を終え森を行く。

背中にはめぐみんが居座っているが何度も何度も乗せて帰ったおかげかもはやもう慣れたものだ。

そして茜色に染まっていく森を抜けた頃、

 

「そう言えば、カズマの家族って今何をしてるんですか?」

 

なんて言う質問をめぐみんは投げかけてきた。

 

「う~ん、多分普通に親父は会社員、お袋は主婦やってるんじゃないかなぁ、」

「……兄弟姉妹は居なかったんですか?」

 

そう言うめぐみんに目を向ける。

 

「いや、妹が一人…居たな…」

 

そう呟く。

 

「まぁ、疎遠になっちまったけどな」

「…疎遠…ですか?兄妹で疎遠って…」

「…遠い場所に行っちゃってな、もう会えないんだ……」

「遠い場所……ですか……」

 

「そう…遠い場所だよ……」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

兄さんを兄さんと呼び出したのはいつからだろうか。

昔はいつも"お兄ちゃん"の背中についていて色んな遊びをした。追いかけっこもしたし、周りの友達を巻き込んで鬼ごっこもした。

あの時が一番幸せを感じれた気がするのは何故だろうか。いつかあんな仲に戻れたらなんて思っていたのに…

 

―――兄さんが死んだ。

 

両親から掛けられたの電話の最初の一言がそれだった。

無情に言われたその一言に私は困惑する。現在私は郊外の高校に通っており、実家にはあまり帰れず高校の寮に住んでいたのだ。

やっとこの生活に慣れて2年過ぎた頃にこれだ。

「兄さんが…死んだ?」

分からない、分かりたくなかった。

 

次の日から学校には行かなくなった。

 

 

通夜前日、久々の我が家。

いつものあの賑やかな雰囲気はもう無い。兄さんが引き篭もったあの日からもその雰囲気だけは家を覆い尽くし確かに私たちに精神的な安らぎを与えてくれていた。それが今になっては、まるで自分が居るのが別の人の家の様に変わっている。

 

居間の奥の方に棺桶が置いてあるのが見える。母さんに呼ばれ兄さんの顔を見ることになった。

 

「……っ…」

 

見つめるとそこにはいつものあの顔がそこにぽつんと置いてあった。

瞬間、私は必死に口を押える。それを「兄さん」と呼んでしまった瞬間、私は本当にこの現実から逃げられなくなる。

知っている。母さんがここ数日何も食べていないのを、知っている、父さんがここに居ない理由を…

 

 

「…なんで…なんで死んじゃったの?」

 

 

知らない、知りたくない…なんで兄さんが…死ぬのさ…?

私は思わずトイレに駆け込み、吐いた

 

 

葬式の日には兄さんの中学時代の友達が沢山参列していた。好かれてはいたんだな、

なんて事を思いながら眺めていると一人の女の人が泣き崩れる。

 

「かずちゃぁぁぁん!!」

 

兄さんの幼馴染だった人だ。

ひたすら兄さんの棺をみて謝っている。

 

「ごめんね…ごめんね…」

 

何で謝っているのかわからない…しかし何か愉快でないものを彼女の身から感じた。

今、この場で正気を保つ事さえままなっていない様に感じる。

 

いや……あれを正気と言うべきなのだろうか…

 

髪の隙間から見える彼女の顔は"笑っていた"。

目からは涙を流しているにも関わらずたしかに笑っているのだ。

 

兄さんが学校に行かなくなってから彼女が壊れていったのは知っていた。だけど…まさか…

 

「……壊れてる」

 

――そう、誰かが呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、彼女は自宅で首を吊っていた。

 

 

 

 

 

 

☆――☆――☆――☆――☆――

 

「よう、ウィズ遊びに来たぞ~」

「あ、カズマさんそれに皆さんも、いらっしゃいませ。」

 

俺たちはウィズのアイテムショップに来ていた。別段用事がある訳ではなく普通に暇だったから来ただけである。

 

「邪魔をする」

「なんでアンデットの店なんかに」

「アクア、そう言うもんじゃありませんよ」

 

上からダクネス、アクア、めぐみんの順に挨拶を交わしていく

…待て、交わしてるのかこれ…?

まぁ、とりあえず、みんなそれぞれが店内を物色しにいくのを確認すると、俺はふと、周りを見渡しあの賑やかな仮面の男が居ないことに気付いた。

 

「ん?バニルの奴どうしたんだ?」

「あ、今は買い出し中です。多分夕暮れ頃には戻るでしょう」

 

…まぁ、こっちとしてはアクアが居る分問題ごとが減って一安心だが…

 

「じゃあ、商品開発の話はまた今度だな。前回の奴の改善案を持ってきたんだけど無理そうだしな」

「そうですね、私に言ったって良く解りませんしね…」

 

そう言うウィズ…そんな事無いよと言ってあげたいが否定できないのが残念な所だ。

 

「あ、そう言えば今日新商品が届いたんです!」

 

 

「ほぅ…バニルに話は?」

「……通してません…」

 

こりゃ、どやされるなと心の奥で呟くとウィズはとある箱を取り出す。

 

「これです!」

 

中から出てきたのは一つの小さな水晶玉だった。

 

「…なんだこれ…?」

 

俺には変哲もないただの水晶玉にしか見えないのだが…

 

「これは持ち主の血のつながりがあるの人の元へテレポートする…言わば瞬間移動装置みたいなものです。」

 

「…へぇ、じゃあ、敵前逃亡するにはもってこいだな…」

 

「…いえ、使った瞬間、一定確率で持ち主と血のつながりがある方が逆に持ち主の元にテレポートする可能性があるので…」

 

じゃあモンスター狩りの途中これを使った場合…

 

「駄目じゃねーか!!!」

 

これ下手したら家族ともども殺られる可能性すらあるぞ。

 

「待ってください、待ってください!これがあれば忙しくて子供に顔を合わせることが出来ない親たちに気軽に顔を見せることが出来る様になるんですよ!?絶対売れます!!」

「それと引き換えに命落としたら元も子も無いし!無理矢理連れてこられて喜ぶ奴がどこにいるかっ!!!!!!」

 

それに俺、出身異世界だから血のつながり云々は世界を跨がなくちゃいけない訳で結局俺には使えないマジックアイテムだったと言う訳だ。

 

「ん、なにさわいでんのよ〜…何それ」

 

と先ほどまでポーションの棚を見ていたアクアがこちらに目をつける

 

「ああ、ウィズの奴がまた変な物を入荷したらしくてな。」

「へぇ、でも…それ凄い魔力を秘めてるわね。下手したら元の世界に戻れるかもね」

 

……元の世界へ…?

 

「おい!アクア今の話本当か!!」

「女神である私が嘘を付くはず無いじゃない!」

「そうか!それならやっと!」

 

 数カ月前にPCの中身を消すために元の世界に一時的に返った時の事を思い出す。あれからしばらくして何らかのはずみで思い出したのだが俺はハードディスクの中身が消せていなかった。しかもハードディスクを開いたまま放置するという暴挙にでてしまったせいで親父たちに見られている可能性がある。速攻手を打たなくてはならなかったのだがその時にはすでにウィズの例の魔法道具はバニルによって処分されていたのだ。発狂したね。

 

「ウィズ!頼む!それを売ってくれ!!」

 

これさえあればハードディスクを消すだけでなくなんならついでにこの世界からもグッバイ出来る!!

 

「え、あ、はい、1000エリスになります。」

「え?そんなに安くていいのか?」

「はい、いつもお世話になっていますから」

 

わぁ、びじんだぁ

 

「よっしゃ!サンキュー!!」

 

そう言い俺は代金を払い水晶を貰う。

 

「ああ、そうかこれで俺はこの世界とお別れってわけか…」

 

「え!?まって!!カズマさんカズマさん、まだ魔王倒してないんだけど!!魔王倒してもらわなくちゃ!!私も帰れないんだけど!!」

「…魔王か…そんな話も…あったな…」

「え、過去系!?ねぇ!!ホントにホントにお願いだからぁぁ!!」

 

「グッバイ☆」とアクアに言い、俺は水晶を使う。

さらば、愛しのアクセル。さらば、愛しの仲間たち。

 

さらば、異世界。

 

 

 

 

 

 

ボムッ。

 

 

 

 

 

 

 

 

瞬間、店内を煙が覆いつくした。




2020年3月24日 修正終了
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