黒い謎にとんがった髪、黒くて優しい瞳、いつも愛用していた緑のジャージ、
ベッドの隣には確かにそんな見知った顔があった。
先程会った女神様…エリス様に言われて、兄さんがこの世界に居るのは知っていた。
転生して来た事も、豪邸を買った事も…と、特典であろう事か女神様を貰った事も…
だけど知識と実際に見るのとは全然違う。
「……生きて…動いてる…」
そんな声が漏れ出す、最後に見た兄さんの亡骸と姿が重なった。あり得ない事は無い、あれは私にとって最悪のトラウマだ。
いつも笑っている兄さんが一筋の表情筋すら動かしていない、
馬鹿で鬼畜な行動が目立つ兄さんが一切動く事なく寝ている。
今にも起き上がりそうなそれを見て、私は涙が出ないほど動揺していた。あの時を思うとしばらく目の前の兄さんが本物の兄さんなのか疑う気持ちもわかるだろう。
「…夢…じゃないよね…?」
そんな事を兄さんに問いかける。
「んな訳あるかよ、」
「で、でも、もしもだよ?もしも夢だったら…私は…私は…もう…」
壊れてしまう。
そう言いかけた時…
「痛っ!?」
頭に激痛が走る。いきなりの事で混乱しながら涙目で兄さんを睨みつけると兄さんの手は手刀の形で私の真上に滞在していた。
「…痛いんですけど…」
「そりゃあ、痛くしたんだからな。
………夢から覚めたか?」
「…う…ん」
頭がヒリヒリする。もう脳が震えたんじゃないかってくらい思いっ切りされたその手刀に恨みを込めて睨みつける。
だけど、同時に安堵した。
…そっか、私…生きてる。兄さんがいる世界に…
ポツリ、
雫が落ちる。
「…あ…れ…?」
ベッドに落ちた雫に困惑した。いつの間にか流れ出る雫は私の頬を伝っていく。
「何…これ…」
雨は…降ってない。汗は…かいてない。
「…ッズ…グスッ…ぁ…」
なんでだろう。止まらない。涙なんてずっと前に枯れ果てたと思ってたのに、いざ、本当に泣きたい時には出てくるんだね。
「まったく、いつの間に泣き虫になったんだよ、お前は…」
そう苦笑混じりに言う兄さん。その頬は自然と緩んでいた。
分かってる、恥ずかしい事なんて事は分かってるけど、兄さんの胸に飛び込まずにいられなかった。
飛び込んだ私を兄さんは優しく抱きしめた。
瞬間、
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
ずっと枯れていた泉がやっと、潤った。
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カズマside
やはりと言うか何というか、昨日夜の間にエリス様と会ったらしいカエデもうこの世界の言語を習得していた。
頭がぱーにならなくてよかったよかった、
何故か特典を教えてくれない事に疑問を覚えるが、なんかニンマリしてたしやっぱりチートなんだろう。しばらくうちのパーティーにいるらしいし見る機会はいつでもある。とりあえずはカエデの冒険者登録と朝飯を食おうとみんなでギルドに来ていた。
冒険者登録が終わり。みんなで飯を食いながら、自己紹介をする。目の前にはカエルのステーキがあった。
「さ、佐藤カエデです。冒険者です。好きな物はハンバーグ、嫌いなものはレバーです。しばらくの間こちらのパーティにお邪魔させていただく事になりました。宜しくお願いします。」
そう言うカエデをみんなが見入る。
因みにジョブで冒険者を勧めたのは俺だ。こいつ、頭は良いが運動が得意と言う訳ではない。人並み、この世界で言う一般以下。そんな奴が一番良いと思うのは魔法系だが、mpもからっきしだし、結局、前衛とも後衛とも言えない位置でこいつの場所を決められるジョブと言えばやはり冒険者だった。
「妹…義理とは言え血がつながってるんですよね?カズマと似ても似つかないです。」
「容姿端麗、礼節も弁えてるし、貴族と言われても理解できる程だ。まさか、カズマお前も貴族だったりするのか?」
怪訝そうな目でめぐみんとダクネスはそう言う。
「確かに、そうね〜、こ!の!ヒキニートの妹とは思えないくらい良い子じゃない」
なんてアクアは俺を見下しながら叫ぶ。
いつもの3人だ。
「だるぇ!がヒキニートだ!お前のせいで過労死寸前だよ!この駄女神がぁ!!」
「駄女神って!カズマが言っちゃいけない事言ったぁぁ!」
そう涙目で訴えるアクアをに噛み付いた
そんな事をしばらく続けると、ふとカナエが俺を見た。
「そういえば、兄さん。」
「なんだ?」
「随分前から気になってたんだけど、兄さんってなんでニートしてたの?」
「.ぶっ!!??」
なんで今此処で聞くのか、いきなりの事に動揺する。
「な、な、な、な、なんで今そんな事聞くんだよ!?」
「そう言えば、今まで兄さんの話聞いた事無かったなって、それで…兄さんどうしてなの?」
いや、別に隠す事でもないんだが、いざ身内に話すとなると少し恥ずかしい気持ちがある。
そう思いながら大体の概要を話す。
結婚を約束した幼馴染が先輩に寝取られてた等の話を、
するとカえでは呆れた表情で言った。
「兄さん……その不良の先輩…"女の人"だよ…」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
「お前は奥手すぎる。」
中学生の時、先輩に言われた一言だ。
先輩は女なのに男っぽい格好をして良くヤンキーに間違えられる。だけど優しい人で思いやりがある人だって事を私は知っている、だから私は相談相手にはうってつけだと先輩をカフェに呼びつけていた。
相談理由は、
「…カズ君、私を忘れてないかなぁ、」
まぁ、恋愛相談だ。
「正直…聞く相手を間違っている気がするんだが…それは?」
そう先輩はコーヒーを飲みながら呟く
「こんな表情が薄い女の子忘れてもおかしく無いと思うんですよ、」
「おーい、話聞いてたかー?」
「私だって可愛い感じの笑みを浮かべて、カズくんにお近づきになりたいですよ!でも…でも!出来ないんです…!」
「あー、ダメだ、聞いてねぇ」
セリフだけは力強く、しかし無表情で粋がる少女"幼馴 そまる"はそう息づいた。
なお、先輩はまた馬鹿な事をと呆れた表情で項垂れる。いつもの事なのだ。もうなれた
「お前、この間も話しかけるとか言って、失敗しただろ。このままじゃ一生話しかけることすら出来ないまま青春終わるぞ?」
「それは嫌です。」
「だったら話しかけて見ろよ。後ろで見ててやるから、」
「……お母さんですか…」
「それかよ、笑顔が出来なくても、もっと、別の方法があるんじゃねーか?」
「…例えば?」
「…例えば…そうだなぁ、」
そこまで言うとニヤリと先輩は笑った。
「嫉妬を駆り立ててみるとか…?」
眠いです…眠いです…おやすみなさい…
最後、眠くてひどい事になりました。すんません寝かせてください。
後、色々コメントしていただきありがとございます!いつも励みになってます!
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