スナック「Fleet」   作:金糸雀かしら

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本気と書いて「愛」と読む
愛と書いて「港湾棲姫」と読む
港湾棲姫と書いて「妻」と読む
妻と書いて「この世の幸せ」と表現する
IQ160は伊達じゃないッ!
護国の英雄が越えられなかった壁と呼ばれる男
彼は今日も覇道を歩む

スナック フリート引き続き営業中です。


第十一話 「港湾棲姫」

ふと意識を取り戻すと、視界が随分と暗かった。しかし、顔と後頭部にかかる圧の何と心地よいこと…。

その感触が彼女の乳房と太ももによるものだと気づいた私は、本当に本当に名残惜したかったが会話もままならないので彼女の腰にトントンとタップをして上体を起こした。腰もまた素晴らしかったのは言うまでもない。

 

男「介抱ありがとうございました。また気を失ってしまうとはまだまだ鍛錬が足りなかったようです。」ソファーに腰掛ける彼女の前に跪き、完敗の意も込めて首を垂れる。

 

港湾棲姫「コノお店に死体をオキタク無かったダケ。サァ、モウカエリナサイ」左手を上下させて追い払う仕草を取る

男「いえ、まだ帰れません。私はまだ貴女と会話らしい会話すらしてないです。まずは、この出会いにかんしや「ニンゲンがイイキナルナ!」彼女から渾身の左ストレートが私の顔に放たれる。

私は左手で彼女の拳を私の顔の左側に来るよう誘導して、右手で彼女の左腕の肘を引き寄せながら立ち上がる。拳の勢いを崩され肘も巻き込まれて彼女の体は浮き両足が空中を舞う。左拳を掴みながら私は半回転し左腕を引き寄せ、こちらに寄せられた彼女をお姫様抱っこをしてソファーに座る

 

「おおおお、スゴイぞニンゲン!」少女が感嘆の声を上げる

男「落ち着いてください、港湾棲姫さん。貴女に危害を加えるつもりは微塵もございません。ただ、お話がしたいのです。」彼女は大きくため息を吐いて、カウンター席に座るよう指示をした。

 

私は一体何をしているのだろうか、この隙あらば愛と言うものを言葉に混ぜる奇妙な人間と会話を続けている。

とりあえず適当なこと言って帰ってもらおう、もう疲れた。

港湾棲姫「ウンメイだと言うならヒトツ本物かどうか試してヤロウ。ホッポのタメニ烈風を用意シテ再びワタシの前に現れルことがデキタラ、マズハお前を友と認めヨウ。順序は大事ダロ?ニンゲン」この店は望んで来られる所ではない、本島にニンゲンは辿り着くことはできない。これでおさらばだ。全くとんでもない目にあったものだ。

紛うことなきフラグを立て、三日後に男がバーテン側に立つという形で見事に回収されたのは語るまでもない。

 

結果、通信機として活用するようにするため自分のツノを折り男に渡した。

 

会話や港の片隅での逢瀬を重ね、デバガメしていた陸上繋がりの仲間を交えて会ったこともあり、良き友人ぐらいの関係にはなったが毎回毎回愛を告げられ過ぎて、ありがたみがなくなった。ありがたみ?私は何を思っているのだ…?

知り合って数ヶ月が過ぎた頃、鎮守府の一般公開に誘われた。当日はコスプレ?をする一般人も参加するため、深海凄艦のコスプレという形で来ればクオリティーの高さで注目されるだろうが、普通に楽しめるとのこと。

卒業を数ヶ月後に控え、研修生ナンバー1とナンバー2の模擬戦がショーの一環として行われるとのこと。

彼は武術と模擬戦以外の成績を落とし、ナンバー2になっていた。本人曰く提督になるつもりはないらしい。卒業後の話もしたいから、初デートを楽しみたいといつもより圧を感じるお願いをされた。仕方ないやつだ。

 

模擬戦は彼の圧勝だった。対戦相手も素晴らしい戦術展開を見せたが、彼はその上を行った。まるで相手がどう行動するか分かっていたかの様な戦いだった、彼が深海妖精を認識できないのが悔やまれる。って、また変なこと考えているな、わたしは。

 

模擬戦のあとは2人で手を繋ぎ屋台などを周った、手を繋がれた時はびっくりしたが、勝利のご褒美と言うので許してやった。

周りからの視線がすごかったが、恐れるヒトは誰1人いなかった。すごい、キレイ、素敵など賛辞の言葉が少し恥ずかしかった。

「ガト姉さん来てるって!」「ママー!ガトねえと握手したーい!」「貴様らに名乗る名はないッ!」「おおおおー!ガト姉さん!」「N.G.T!N.G.T!」

港湾「アレは何の集まりかしら?」1人の艦娘を老若男女問わず大勢のヒトが囲んでいる。

男「大人気ゲームの助っ人キャラのモデルらしいよ?余りの人気に制作側がオリジナルアニメを検討だか何とか。」

港湾「集積も何かのゲームにハマり込んでるけど、それかしらね?」

 

買った食べ物を人気のない落ち着いた場所で食べていた頃、先ほど対戦相手が1人の艦娘と手を繋ぎながらこちらに近づいてきた。

 

「よりにもよって、お前が来るか!扶桑ッ!」私は咄嗟に彼を庇う様に前に立ち、右腕を長い爪のある戦闘形態に変化させた。

扶桑「港湾さんだったかしら?落ち着いてください、貴女と戦いに来た訳ではないのですよ?」艦娘が深海凄艦に向ける殺気の乗った目ではなく、何と言うかむず痒い慈愛?に満ちた眼差しだったため、私は右腕を元にもどし再び彼の横に腰掛けた。

 

扶桑「英雄さんから聞いてはいましたが…実際目の当たりにすると少し戸惑ってしまいますね。」こちらを見て微笑みながら男と手を繋いだまま私の隣に腰掛けた。ね、本当だったでしょ笑。もう毎日毎日惚気を聞かされてさー最近はブラックのコーヒーばかり飲んでるんだヨ

 

彼が扶桑に要約した出会いからの流れを伝え、扶桑は目を白黒させて楽しそうに聞いていた。陸上と棲姫から文字取ってリセ?まぁ、素敵ですね!リコだとリコリスさんと被る?リコリスさんは会ったことありませんね…中には聞き捨てならない言葉が混じっていて、その都度訂正するよう言ったが、彼は私のことになるとIQとやらが激しく低下するのを身をもって知っているので、最後の方は諦めた。

 

4人で語り合っていたら、空が茜色に染まり始めた。男と扶桑は立ち上がり

扶桑「リセさん、楽しかったです。お邪魔虫はそろそろお暇しますね、ですが海の上で会ったら…」

港湾「ええ、互いの本分を全力で全うしましょう。そこの坊やに遺書を渡して挑んで来なさい!」私は座ったまま右手を差し出す。扶桑は私の手を握り

扶桑「ええ、貴女もそこの坊やと悔いのないように過ごしなさい。良い思い出を沢山持ってお逝きなさい。」と言って去って行った。

 

男「できないことは何もないと自負していたが、2番目に望む深海提督の適正が無いとはな…ままならんな。」去って行く扶桑たちを見つめながら彼は呟いた。1番は聞かなくても流石にもう分かるわ。

 

男「さて、もう少し付き合ってくれ。いつもの港に行こう。」私たちも手を繋ぎ歩き出した。

 

港に着き、彼に小型船に乗るよう指示される。借りて来たらしい。船でしばらく進んで小さな島に着く。波止場から少し歩くと開けた土地に大きな広場があり、広場を両脇から挟むように規則正しく平屋が並んでいる。

海軍関係者御用達の保養所と呼ばれる島とのこと、彼は広場中央の大きな施設で鍵と飲食物を受け取り私たちは平屋のひとつに入った。

 

畳に置かれた小さなテーブルを挟んで、足を崩し2人で缶のお酒で乾杯し他愛もない話を続けた。

大分酔いが回り会話のペースが落ち着き始めた時、彼は私の手を取り真剣な眼差しで語ろうとし始めたので私は右手の人差し指を彼の口に当てる。

 

港湾「貴方の言おうとしていることは分かるわ。何度も言って来たけど、私は深海凄艦。沢山のヒトを殺して来たし、向かってくるならこれからも殺すわ。艦娘も同じく沈める。それでもきっと貴方の答えは変わらないことも分かる、だから勝負をしましょう、まず私のあげたツノを返して。」

彼は鞄からとても美しい木箱を取り出し、箱のフタをスライドするとクッションの様なモノに包まれた私のツノを取り渡してきた。まるで宝物じゃない、バカね。

 

私は立ち上がり、彼の横に座り直し声をかける

港湾「これで明日から連絡手段はないわ。スナックで会うことはあるかも知れないけど私はヒントはあげないわ。時間の制限は設けないけど、最初に出会った時みたいに自力で私のいる所までたどり着いたら…」私はここで言葉を切り

 

彼に少し長めのキスをした。

 

港湾「この続きをしましょう。今までのお礼に私の姿をよく目に焼き付けておきなさい。手出しは厳禁よ。」私はそう言って、服を全て脱ぎ彼をベットまで運んだ。何故か彼の体が光に包まれ始めた時は焦ったが、乳房を揉ませたら光が治ったのでそのまま朝まで添い寝をした。

 

平屋の壁に寄りかかり、綺麗な長い黒髪の凛々しい艦娘が空を見上げて呟く

??「何だ、誤報じゃないか。こんなところに深海凄艦がいる訳ないもんな。さて、報告して一杯引っかけて寝るとするか。」

 

港湾「この程度の話よ、大した事じゃないわ」

中枢「港湾、ソレって…」

離島「中枢ヨ、ヤボナことはイウモンジャない。」

皆が港湾棲姫を優しく見つめながら、宴は加速した。

 

あれから一年と少しが経過した。今日も私は艦隊を蹴散らしていく。

ヲ級「港湾サマ、小型船ガ戦場ヲスリヌケテキマス」

港湾「重点的にその船を攻撃して必ず沈めろ、念の為陸上戦に秀でたモノも島内に配置しておけ。必ず殺せ!」私は圧をかけながら命令したが、右の唇の端が僅かに吊り上がった気がした。船の撃沈はすぐに報告された。

 

ヲ級「シタイハカクニンナラズ、港湾サマハアア言ッタガ陸戦にコダワルヒツヨウナシ。ワレラノ砲デチリニスルゾ」上陸予想地点から少し離れた所でヲ級が部下に命令を下す。ショセンハニンゲン、サァコイ。

 

??「待てい!」どこからともなく声がする、声の方向を一斉に振り向く深海凄艦たち。美しく長い黒髪を携えた、凛々しい艦娘が小高い丘の上に立っていた。

??「相手を思うが故に自分が敷いたイバラの道を歩ませ、歩く者もまた相手の意図を汲み取り、敢えてその道を突き進む…互いが互いのことを思い、祈り、進み、そして待つ。人それを「愛」と言う…。」

ヲ級「ナニモノダ!」

??「貴様たちに名乗る名はないッ!」

 

ゲームの設定が先か?はたまた実際の行動がゲームに反映されたのか?

名を語らぬ凛々しい艦娘は今日も不埒を成敗する

 

土煙を巻き上げ、彼が私の斜め後ろに到着した。

私は彼を一瞥し、本気の腕振りをかますが見事に避けられた。知ってる。躱した隙に、彼が艤装に乗った重みを感じる、これも知ってる。だから、私は艤装を解いてヒトのサイズになり右腕のみ再び解放して宙ぶらりんになって落下する彼に狙いを定め、渾身の突きを放つ。

 

港湾「これで、終わりよ!」体を回転させ爪の先を足の裏で横から蹴り華麗に地面に着地して、間を開かず突っ込んでくる…ごめん、知ってた。私は再び全てを元のサイズに戻す。弾かれた彼に上から爪を振り下ろした。

港湾「来てくれてありがとう、そしてさよなら。」地面は大きく凹み、爪の先には確かな感触があって…私はその場で泣いた。

 

「やれやれ、リセを泣かせる時は嬉し泣きと私が決めているんで、泣き止んでくれませんか?あ、待てよ。さっきありがとうと言っていた、ふふ。貴女は本当に照れ屋さんですね。ま、そこが可愛いんですけど。」ものすごくヨロヨロしているが、まだヒトの形を保っている…

男「師匠と兄弟子の所で鍛え直しましたが、さすがリセ。花畑の向こうに師匠と兄弟子が手招きしていましたよ。」※2人とも存命中です。

 

気づけば私は涙を流したままヒトのサイズになり彼が美しいと褒め称えた夏服の姿で殴りかかっていたが全て拳は空を切る。

港湾「貴女がいない間にヒトを殺した!」

男「そうか」

港湾「艦娘も何人も沈めた」

男「本分を全うしただけだろ?」

港湾「貴方は、同族や仲間が殺されて、殺すような存在に対してどうしてそう冷静でいられる!心は無いのか!」右のハイキックを繰り出そうとした時、彼の動きが突然止まり、顔の左側にヒットしたが吹き飛ばない。

男「私のせいで深海凄艦の本分を辛いと感じてしまうようになってしまったんですね、これは責任を取られねば。」にこりと笑う彼。貴方はどうして、いつも、そうやって!左ストレートを胸に当てるも、もう自分でも力が入っていないのが分かった。

 

男「同族と言いましたが、私の同族は妻であり義理の妹であるリセとホッポの「家族」だけですよ。」私は力なく彼の胸に身を委ね泣きじゃくった。

 

男「結婚しましょう、リセ。貴女はいつも私に幸せを与えてくれた。これからは私も貴女に幸せを与えます。」

リセ「本当にバカな男だわ、貴方は。愛してるわ、来てくれてありがとう。ずっと待ってた。」やや言葉と被り気味に彼の唇を貪った。

 

リセ「最後に会った時の言葉覚えてる?」

男「ええ、もちろん。」

リセ「少し離れた所に簡単な洞窟を作っt、んんッ!洞窟があるの。」

男「ええ、何かしらの用意があることくらい、私の頭が察してますよ。」

リセ「ここは驚くところでしょう!はぁ〜、本当に私が絡むと貴方の頭脳は残念な方向に働くのよね…」言い終わるや否やら膝裏を抱えられお姫様抱っこをされてしまった。

男「リセ、案内お願いします。」

リセ「は、初めてだから優しくしなさいよ!でも、いっぱい気持ち良くなってね///」スカートの中から某聖典が落ちたが、男はそのまま彼女を抱え森の中へと消えていった。、

 

??「これは…?」凹んだ地面に現れた黒髪の艦娘

「それは艦娘や女性たちの間で聖典と呼ばれているものですよ。」後ろから声をかけられ振り向く

??「扶桑か、すまんな脱走兵の確保に失敗してしまったよ。」やれやれのポーズを取ると、扶桑が聖典と呼ばれたものを奪う。表紙を見ながら何かブツブツ呟いている。「私だってマダなのに…深海凄艦に先を越されるなんて…彼にもあの男くらいの甲斐性があれば…」

扶桑は手にした本を前方に投げ出し、突然艤装をフル展開して本を木っ端微塵にした。ふぅ、スッキリした。あら?足下に銀色に輝く男の認識タグを見つける。

??「おお!それがあれば始末したと言い訳が立つな!これで、謹慎は免れることができそうだ。」

扶桑「ふふ、そうね。さ、旗艦に戻りましょう。馬に蹴られたく無いですから笑」

 

ー洞窟内ー

リセ「え?砲撃?皆撤退させたはずなのに、何匹か残ってしまったのかしら?」

男「リセ、くだらない砲撃など気にせず、今はこの「砲」に意識を集中しなさい(IQ160)」

リセ「もぅ、バカ♡」

 

脱走兵騒ぎからしばらくたった頃、海軍の要注意深海凄艦リストに新たな姫が掲載された。

「難攻不落 港湾棲姫」艦隊の行動は全て先読みされ、戦闘が成り立たない。万が一出会ったら即撤退しなければならない。連合艦隊より少ない数での戦闘を固く禁ずる。

港湾棲姫の写真の一部に小さく常にヒトの男性のようなモノが映っていた。

 

ーとあるスナックー

中枢・離島「ねぇ、集積。完全防音の部屋作れない?」

集積「あ?できるけどどうした?」

中枢・離島「喘ぎ声がうるさい!!!!」

集積「あ〜…。」

 




勢いだけで描き切りました。ヨハマンゾクジャ
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