スナック「Fleet」   作:金糸雀かしら

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自由とは素晴らしいものである
だが、表向きの言葉の響の良さだけを捉えてはいけない
自由とは常に責任と等号で結ばれて成り立つのだ。

スナック フリートは今日もどこかで誰かと誰かのために営業中です。


第十二話 「知りすぎた男」

公演を終えて、何とか無事に家に着いた。

皆、あっけに取られていたのだろう。

襲撃などもなく本当に普通に帰って来れた。

念の為スマホの電源はオフにしたままだ。

 

ボサボサの頭を掻きながら、ヨレヨレのスーツをソファーの背に投げるように乗せ、ネクタイを引っ張って緩めソファーに座る

タバコに火を付け大きく息を吐く

これで世の流れが変わるとは思わない、おそらく凄まじい勢いで火消しが行われているはずだ。自身のチャンネルを持つ者には生放送をさせ、そうで無い者には録画をするようにさせた。少なくとも小石程度かも知れないが、確実に波紋は残せたはずだ。

 

タバコは最後の一本だったか…書斎に取りにいくか。立ち上がりリビングのドアを開けた。

 

カランカランカラン…どこか古めかしく懐かしいようなベルがなる

 

「いらっしゃいませ、スナック フリートへようこそ」

バーカウンターの内側に私の人生を狂わせたアイツがいた。

 

男「靴下のままなんだが…いいか?」こういう形態の店に靴下のまま来たことがなかったので、まずそこに違和感を感じ焦った。

女「はぁ〜、先ずはドアを開けたらお店だったことに驚きなさいよ…せっかくの初フリートの相手がアンタなんて。あぁー、不幸だわ。」女はどこか呆れながらも、どこか嬉しそうにもとれる表情で答える。

男「お前なら分かってくれるだろ?山城。」

 

山城「いいからそこにかけなさい、アンタの好きな焼酎と適当なツマミ出してあげるから。」

男「悪いな、お茶割りで頼む。あとタバコあるか?ここ?」山城の目の前に腰掛け左手の人差し指と中指を立てる

山城「はいはい、コレどーぞ。はい、お茶割りとお新香ね。」着物の袖から男の好きな銘柄のタバコを渡し、飲み物もカウンターに乗せる

男「ありがとう、あぁー生き返る」流れるような手つきで酒を飲み、お新香をかじり、タバコに火をつけ一服する。

山城「私は適当にもらうわよ、公演お疲れさま。凄いことになってるわよ?」グラスを突き出して来たので、そうか。と一言添えて自身のグラスを重ねた。

 

山城「U–スタイルの新規アップが貴方の公演だらけよ笑。他の動画アプリもコピーがコピーを産んで削除が追いついてないみたい。」

男「ああ、良くも悪くも強烈な印象を与えることには成功したみたいだな。内容まで汲んでくれるかは運次第だけどな。」コップを煽って空のグラスをカウンターに置くと同時に新しいものと交換された。

山城「大丈夫よ、伝わるわ。少なくとも海軍関係者に、特に艦娘とその側にいる人たちには必ず。」懐からタバコを取り出し、カウンター上の画面が点灯していないディスプレイを見つめながら紫煙を燻らす。

 

男「人間の自由意思というのは厄介なものだ。100人中100人が賛同することは絶対にない、抑止力で罰を定めてもルールを必ず破る者が現れる。自分に被害が及ばないと知れば言いたい放題やりたい放題、必死に行動する者の隙を突いて私服を肥やす。そんな奴らに自由の代償を自覚させる。それだけのことさ…」

 

山城は黙ってリモコンを手に取りディスプレイの電源を入れる、画面に壇上で公演を行う男の姿が映し出される

山城「あのTチャンネルですらアニメを流さずアンタの公演を流してる笑」落ちそうなタバコの灰を綺麗に保ったままケラケラ笑う。

 

画面の中の男「以上を理由に私は艦娘の意思の完全解放の手段を海軍に提供する。海軍が実施しないのであれば望む艦娘は私の元に来て欲しい、君たちも我々人間同様「自由」であって良いのだ!」

 

山城「例外はいるけど、基本的にヒトを攻撃できない私たちは良いように、本当に良いように使われて来たわ。戦闘に出られる、それに関われるのは生まれ持った矜持に反してないからそれはそれなりに幸せよ、もちろん酷使がほとんどだけどね。でも、「女の体」であるがために一度も海を見たこともなくキタナイモノを突っ込まれるだけの日々を送ってる子たち、運良くまともな恋愛ができた子たちはヒトの女から顔と体だけの欠陥品、男を奪うだけの乞食と罵られる。でも攻撃不可のロックが外れれば…私たちは人類の支配者になれちゃうわね。」タバコを消して、カウンターに片肘を付け頬を乗せて男を見つめる

 

男「ああ、そうだ。何の代償もなく命の安全と快楽を得てきた人類への宣戦布告さ。何日生きられるかな?俺」ニヤリと笑い山城を見つめ返す

山城「仕方ないから守ってあげるわ。だからお店が私たちを呼んだのよ」

男「オマエの胸の中で死ねるなら本望だ、色々ありがとうな山城。オマエの協力がなかったら理論は確立できなかった。」

山城「本当よ、実験失敗の後遺症で砲が出せなくなった私は海に立てるだけの事務のお姉さんよ?責任とってよね…あぁ、アンタに会ったのが不幸だわ」

男「それはこっちのセリフだ。純朴だった少年を手籠にした代償だ、オマエに会わなければ適当な装備の研究して子を成して奴らと同じようにオマエたち艦娘を都合の良いモノとして見ていただろうな。オマエに出会えた不幸を喜んでいる自分が面白い、良い人生だった。」

 

山城「子供…欲しかった?」山城は頬杖をつきながら視線をそらす

男「ああ、欲しいな。オマエとの子が。色々と調べて…これは本当に仮説いや、願望というか仮定の「話」にすら至らない戯言なんだが…」再び空のグラスを交換してもらい、紫煙を燻らす。

 

男「ーーーーーーーーーー。」

話を聞いた山城は体を起こし両手で自分の口を抑える、その目からは涙が溢れている。

男「だが、可能性は0ではない。でも余りにも「犠牲」が大きすぎてとてもじゃないが責任がどうこうだというレベルの話しじゃない。」

山城「ええ、そうね。でもね、「妥当な代償」だとは思う。対価が釣り合ってる…。」

男「ああ、だが大前提として深海凄艦殲滅は必須だ。そしてこの深海凄艦に関しても思うところがある。」

 

対話を重ね酔いも程よく周ったころ、男はおもむろに靴下を脱ぎ裸足で歩いてソファーベットに深く腰を落とす。

男「話し疲れた。」タバコの煙を天井に向け吐き出す。

山城はグラスとタバコを持ち男の隣に腰掛け、一口含んで同じように天井に煙を吐き出す。

 

山城「オリジンの姉さまから連絡があったの。まぁ、連絡を受けてアナタの所に行こうとしたらココだったんだけど。」

男「お姉様から!?」男は背もたれから体を起こし山城の方を向く

山城「なんでアンタが嬉しそうなのよ!確かに姉さまの魅力に魅入られるのは分からなくもないし、仕方ないけれども面白くないものは面白くないのよ。はぁ、不幸だわ」今度は山城が背もたれに深く背中を預ける

男「んんっ。扶桑さんは何て?」ひとつ咳払いをして体裁を整える

山城「動画を見た元帥が護衛と保護も兼ねて朝イチで武蔵さんを迎えに寄越すそうよ?本営とアポ取れて良かったじゃない。」

 

男「やっぱ元帥「は」優秀だよな…助かるが…」と言葉を切り立ち上がり山城の正面に立ち手を伸ばす。

男「私と踊っていただけませんか?お嬢様」山城は差し出された手に自分の手を重ねて、引っ張られる力に沿うように立ち上がる。

山城「アナタ踊れるの?」

男「全然。踊るを口実に君の体に触れようと思ってね。」店内のBGMが変わり、照明が暗くなる

山城「あは、本当不思議なお店。」

 

2人で抱き合い、左右に体を揺らすだけの踊り

 

山城「出会ってから10年ちょっとかしら?」

男「11年と4ヶ月だ。」

山城「そこはそうだねだけで良いのよ、バカ。」

男「ああ、そうだったね」軽く口付けをかわす。

山城「色々あったね…」

男「ああ、色々あった。」

山城「不幸型戦艦の量産品の中の欠陥品…」

男「レアの中の更にレアってことさ」

山城「バカ///」

男「そのバカな男に付き合ってくれる。ほら、レアじゃないか」

山城「もう///」

 

曲が終わり店内が明るくなる

天井から2人の間に紙が落ちてきた。

 

本日のお会計

 

飲食代 ¥12,000

他 ¥50,000

 

とても良い話を聞かせていただきましたので、微力ながらお手伝いできたらと思いお代は頂きますがアフターサービスをご用意させて頂きました。本日はお会計の後、お二人で入り口ドアから退店してみてください

 

スナック フリート

 

山城「あら、楽しみね。何が起こるのかしら?」

「聞かせて…か」

会計を済ませてドアを開けると、かなり豪華な一室だった。山城はどこかで見たことあるような…?と小首を傾げていたが、膝裏を掬われベットに放り出される

 

山城「きゃっ、なn…」唇を男の口で塞がれ、腕をバンザイの格好でベットに押さえつけられる。口が解放され男の顔が目の前にある

男「朝までの時間は限られている。さぁ、久しぶりの「検証」をしようか、山城。」着物の合わせ目から手を差し込まれ、あっという間に片方の乳房があらわになる

山城「ね、ね、姉さま。山城、必ず帰ってきます。不幸だわ///」

 

我、夜戦に突入する

 

翌朝、同時に目が覚める。すぐに山城が上に乗り連戦の気配がした時にドアの方で咳払いの音が聞こえる

「んんっ!何者かが貴賓室で寝ていると報告を受けて来てみたが…迎えに行く手間は省けたが元気なようで何よりだ。」白髪で威厳溢れる風格の褐色肌の艦娘がドアの横に背中を壁に預け腕組みしていた。」

 

山城「あっ!武蔵さん!やっぱりここ貴賓室だったのね!どうりで…」ベットに両手をついて辺りを見渡す。

男「あ、武蔵さん。靴の予備ってあります?」山城に乗られたまま、顔だけを武蔵に向け尋ねる

山城「え?最初に気にするとこソコ?違うでしょ?」

男「あぁ。サイズを伝え忘れてた、27センチです」

山城「はぁ〜、バカじゃないの。もぅ、不幸だわ…」と両手で顔を覆う

 

武蔵はものすごく大きくため息をついた。

武蔵「はあぁ〜っ。2人とも先ず服を着る素振りくらいはしろ。」

 

山城「きゃあああああああっ///」

 

ーとある日の大本営地下施設の一室ー

元帥・大将・五日と複数のオリジン艦娘と山城が壇上に立つ男の「仮定にもならない話」を聞いていた。

 

元帥「男くん、済まないが君をこれから数年間軟禁する。外出の際は腕の立つ艦娘を複数付ける。そして…ありがとう、「我々」だけではこの仮定の話しに至ることは間違いなくできなかった。」

 

五日「で?どうするよ?」わざとらしく大きく伸びをしながら続きを促す

 

元帥「この話を元に作戦を組み立てていく。細かい打ち合わせは定期的に行うようにする、あとは「両側の」駒の台頭を待とう。」

 

男は驚いていた、ほんの願望のような途方もない確率の話を元に作戦を立てる??違う。俺ほど細かい設定や理論が添えられなかっただけで、方向性のひとつとして似たようなモノがぼんやりとではあるがあったに違いない、我々と両側は何を示唆している…両、2つ、対?

 

なるほど、あぁ、なるほど。20年以上も戦っていれば、一部「そういう関係」も出て来るわな。全く、人間ってヤツは…と、笑みをこぼす

 

元帥がこちらを向きウインクをする。ジジイのウインクなんていらねーよ

 

 




山城は何かを感じドアを開けて外の艦娘を見つけ困惑気味に話しかける
山城「あの…姉さま、もう護衛は大丈夫ですから…」
扶桑「あら、確かにここは軍の施設だし安全面は問題ないかも知らないけど、可愛い妹の心配する姉が邪魔なお年頃かしら。あぁ、空はあんなに青いのに…」(夜です…姉さま)
山城「違います!姉さま!姉さまが邪魔なことなんてあり得ません!ですが、その…流石に、あの…」
山城はとても扇情的な下着が見えないよう、ドアから顔だけを出している
扶桑「どうせ私はオリジンのくせに沈んでないだけで長生きの独り身欠陥おぼこ戦艦よ、あぁ、不幸だわ…」トボトボと去っていく扶桑を見つめながら、小さくごめんなさいを呟いて部屋に戻る

男「お姉さまは行ったのかい?」上半身だけ起こして問いかける男に山城はしなだれかかる
山城「いくら大好きな姉さまでも、流石に喘ぎ声は聞かれたくないわ…」
男「ふふ、良いこと思いついた。まだお姉さまが外にいると想像してごらん…。」男は山城の股に手を差し込む
山城「あっ、やっ。「声出したら聞かれちゃうよ?」山城はビクッとして手で口を抑える
男「いい子だ、山城。さぁ、今夜は新しい検証を開始しよう」
山城「ンーーーーー」

扶桑「…。」(全然聞こえなくなってしまったわ…)
今夜は諦めて帰りましょう、はぁ…。
この数ヶ月後、とあるお店で訓練生と出会うこととなるのだが、出会った後も自分を慰めることが続いたとか続かないとk…おや、誰か来たようです。

それではまた
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