あの時一緒にいたみんなはもういない、いるけど「違う子」だったり
今度は私が誰かの思い出になるのかな?
縁が縁を呼び、そこからまた新たな縁が紡がれる
いつ、どこで、誰が、誰と。そこにはいつも当店がございます。
スナック フリート引き続き営業中です
「パンツチェックの時間だァ!オラァ!」
艦内に響き渡る怒号のような放送を受け私は後方のデッキ目指して駆け始めた。仲間も次々と合流してくる。
「よ!白雪。口切りはアタシから行かせてもらうぜ!」ウェーブのかかった黒髪ロングでピンクのインナーカラーが似合う。
陽炎型のあの2人も含まれる「艦種詐欺5人衆」の一角、長波さんが声をかけてくれた。詐欺と呼ばれる部分をたゆんたゆんさせながら…
長波「今回はアタシが隊長だからな、ちょっと「気合い」入れてきたぜ?」ニカッと笑い先に進んで行った。
「あらあら、張り切っちゃってまぁ〜。白雪ちゃん、落ち着いていきましょうね〜」ゆるい感じの語り口調にどこか艶が含まれる話し方の荒潮さんにポンと肩を叩かれる。今回の教導役かつメンバー唯一の改ニ。
「にゃしい!」「なのです!」「ちょっとイイトコ見せないとなぁ〜」と後ろからも声が続く
デッキに着くとカタパルトにもう長波さんが乗っている。錨型のロックを射出スライドに引っ掛け、こちらを振り向く。
長波「さぁ!張り切っていこーか!夕雲型4番艦 長波サマ。さー!行くぜ!オーッ!」ガコンとロックが外れると長波さんは勢いよく海に打ち出された。
空中で艤装のスクリューをフル回転させて海面に着水したと同時にトップスピードで大きく旋回して船に並ぶ
「長波サマ、青のレースです!」「おおおー!新作だ!」「色っぽいの似合うなぁー!」と上の方から声が聞こえる
荒潮「暴れまくるわよ〜」続いて荒潮さんも着水。そうなんです、射出されて高い位置から着水するので下着が丸見えなのです…パンツチェックの由来はここから来てます…
スパッツを普段履いている子も、この時だけは脱ぐ。船員さんとのコミニュケーションのひとつであり、今度はどの下着を選ぼう?と「次」を意識できるように…
「荒潮、白の…総レースです!!」「半端ねえ!」「流石荒潮、朝潮型はガチ」また上の方から声が聞こえる
今回は発生した資材溜まりへの遠征です。
戦闘後しばらくすると海上に資材溜まりと呼ばれるモノが発生します。
一艦隊だと水雷戦隊にドラム缶を乗せ回収に向かいます。
一艦隊が数戦こなした場合は小規模の資材溜まりが発生するので、回収艦に護衛を付けて向かいます。今回はこれです。
連合艦隊ひとつのあとは中規模、連合艦隊複数だと大規模となり、大規模の場合はタンカーで向かい護衛の数も相当です。
港を出発する時は回収艦に乗ります。船がトップスピードに乗るまでは港から空母の方々の艦載機が警戒に当たり、トップスピードに乗ったら私たちの出番です。
最後、私の番になりました。訓練基地を卒業して今回が任務デビューです!この日のためにちょっと大人っぽい下着を買いました!いざ!
白雪「特型駆逐艦 白雪、出撃します!」
私は見事に顔面から着水して、クルーの皆様に下着を丸々ご開帳してしまいました…。不幸だわ
「白雪…黒の…ふぅ」「大型新人来たな」「フリルレース…」「今回の勝者だれ?」「艦長補佐じゃね?」
パンツチェックの儀式が終わり、私は次の当番なので早めの昼食をとっています。基本的に3人が並走して数時間ごとの交代制です。隊長の長波さんと教導の荒潮さんは、他の2人が交代したら互いに交代なのでちょっと時間が長めです。
「ここ、いいかな?白雪。」頭の上から声をかけられ見上げると、今回の賭けの勝者の艦長補佐さんがいました。
白雪「どうぞ!補佐どの」私は少し椅子を横に引いて、隣の椅子とのスペースを少し開ける
艦長補佐「自分はまだ訓練校の生徒です、気さくに話しましょう。英雄(ひでお)と呼んでください。遠征の任務は私も今回初めてなんですよ。白雪と同じだよ。」英雄さんが席に着くと、彼のカバンから小さな妖精が出てきて彼の肩に乗った。
白雪「そうなんですね、こちらこそよろしくお願いします。」
ーホントはもう1人来る予定だったんだけど謹慎中で
あの賭けは遠征だけじゃなく普通の出撃でも
ここだけの話しこの妖精が教えてくれるから…
他愛もない世間話をして過ごしていたら、艦内放送で交代の鐘が鳴った。
白雪「ありがとうございます、楽しかったです。緊張ほぐれましたー!」とガッツポーズをして、頑張っての声かけを受け再び後部デッキに向かい海に出た。
遠征の装備は少し特殊で隊長格は主砲と対空機銃、もう1人は魚雷、もう1人は「08式プルバップマシンガン」というモノを両手で支えて使う。
明石オリジン考案、夕張重工作成のちょっと変わった機銃?です。1トリガー3連射の銃で一度当たれば相手の動きを少し止め、そこに更に当て、更に当てで止まった所を他の2人がトドメをさす感じです。
軽巡洋艦の方々は片手で使いますが、私たち駆逐艦だと少し厳しいです。
長波さんのお姉さんの巻雲さんたちは2丁持ちできるそうです…
中でも夕雲型最後のオリジンの巻雲さんは主砲とマシンガンの構成で、おいたをすると演習で地獄を見ることになるらしいです…
ちょっと虚な目で装備説明をしてくれた長波さんを見て、あんな可愛らしいのにイケイケなんて人は見かけによらないというのを実感しました。
出港から15時間くらいで、資材溜まりに着きました。はぐれのイ級や軽巡洋艦クラスばかりで艦隊戦にはならず順調でした。
そして…
何と私は烈風を手に入れました!もちろん装備できませんが、初の遠征任務の子は資材溜まりから好きなモノを一つもらえます。
何故かとても素敵に見えたので貰うことにしました。長波さんの妹の清霜さんは初遠征で「大和砲」と呼ばれる戦艦主砲を貰いましたが、余りの希少性の高さから本営と揉めたみたいなのですが…
先ほどの巻雲オリジンさんが本営に行ったらあっさり許可されたそうです。何があったんでしょうね…
遅い晩御飯を先に席にいた英雄さんと食べました。烈風自慢しちゃいました笑
シャワー浴びて仮眠を取るために部屋に戻ります。さー帰路も頑張ろう!
カランカランカラン…どこか古めかしいベルの音が鳴り響きました。
「イラッシャイ…って今度は艦娘ゥ?」目の前に深海凄艦の姫級がいました。初遠征で沈むんですね、烈風なんていいモノを手に入れたばかりに…
私が入り口でガタガタ震えていると
「ハァ、ナンテ日ナノカシラ、ソコノ駆逐艦。トリアエズカウンターにスワリナサイ。ココで攻撃ナンテシナイワヨ」と言われた。
え?カウンター?あれ、そもそも私は部屋に戻ろうと…とりあえず怖いから言われた通りにしよう。
「ハイ、リキュール抑えたカンパリグレープよ。寝ル前の方が一杯ニワ丁度イイワ、せっかくダカラ少し付き合いナサイ」と言われ、言われるがままお酒をもらい話を聞いていた。
要約すると頭のおかしな人間に初対面で求婚されて、ぶちのめしたはずなのにまたこの店であって、再び求婚されたらしいです…意味わかりません
とりあえず私もそんな人間見たことないですなどと答え、ある程度話してスッキリした港湾棲姫さんがお代はいらないから帰りなさい。海で会ったら容赦はできないわ。と言われお開きになり、ドアを開けたら船内の部屋でした。
あそこがみんなが噂していたスナックですね…初体験の相手がまさかの港湾棲姫さんとか色々思考が追いつかないです。寝ます。
起きてから2度ほど護衛を交代して、港まであと1.2時間のところまで来た。長波さんと荒潮さんだけが護衛に残り、私たちは休息を与えてもらった。食堂でまた英雄さんを見かけたけどみんなには聞かれたくなかったので対話室にお誘いした。
妖精さんと共にいる人なら大丈夫かなぁ〜と単純な思い込みで。
昨夜のスナックの話をしたら英雄さんは両手で顔を覆って天井を向いていた。妖精さんはテーブルでお腹を抑えて笑い転げていた。
英雄「白雪、ごめん。その男オレの親友だわ…ほら、昨日話した謹慎中の…」私ではなくオレと言ってしまうくらい衝撃だったみたいです笑
英雄「何をしていたかと思えば…アイツ。」悪態をつきますが、どこか嬉しそうでした。烈風の話をアイツにしていいか?アイツは全財産持って来るだろうけど、足りなかったらオレも出すなどなど
話はしていいです、でもその人を見てから決めます。と言ったら、それで充分です。ありがとうと言われました。あとはまた他愛もない話し、主にその男の人のぶっ飛び具合などを聞いて初任務を終えました。
解散時に一緒に遠征した人たちにラブ?ラブの予感?などと揶揄われたりしましたが、きっと沈む時にはこの光景が浮かぶんだろうなと思えるくらい衝撃的な任務デビューでした。そして翌日…
私は今混乱しています…寮の来客応対室のテーブルには銀行の帯でまとめられたお札の束が山積みになり、この山の持ち主である軍服を着たものすごいイケメンが椅子に座る私の横で土下座しているのです…
男「どうかこれで私に烈風を譲っていただきたいです。足りないようであれば家を売り払ってきます、どうか、どうか…」と頭を床につけたまま話しかけてくる…と、とりあえず座って頂こう…ヒィッ
白雪「事情は港湾棲姫さんからうかがっています。この対応を見ればあなたの本気度も充分伝わってきます。ですが、一つ質問に答えて欲しいのです。」目の前の美丈夫は何なりとと答える。はぁ…本当にイケメンですね…
白雪「あの…私はまだというかこれからもあるか分からないのですが、愛するってどういう気持ちなのでしょうか?私は生まれで言えばまだ数ヶ月ですし、ヒトの女性と同じ体ですが見ての通り港湾棲姫さんや他の大人びた駆逐艦仲間と違って幼いから興味はあっても相手してもらえなかったら愛も何もないだろうなって。自分に可能性が薄いのであれば、今大恋愛を開始しようとしてるあなたに聞きたいと思いました。」言い切って私は下を向き、膝の付近に置いた自分の両拳を見つめる。
男「自分の心に素直になってください。みんながアレはちょっととか、あの人みたいなのはみんな憧れるとなどの他人の言葉に惑わされず、自分が好きだと思ったことを信じてください。白雪さんの心は白雪さんだけのモノなんです、自分が好きと思ったら好き。では、相手に好きになってもらうには?自分の容姿じゃ不安だ…それは誰しもが思うところです、例えば私なんて種族違いますよ?あちら側の美意識からかけ離れているかも知れません、それを理由に諦めるのであればそれは本物ではないのです。私が心掛けているのはただひとつ、「絶対に偽らない」これだけです。何をどうしようと私はヒトで深海凄艦にはなれません、ですが諦めるつもりは毛頭ないのでヒトのままの自分でありったけの思いを伝えるだけです。愛するというのは自己満足です、相手を幸せにしたいのも自己満足です。全て自分が自分が…それで良いのです。自分がという確固たる意思がなければ相手の思うことに応えようがないではないですか?だからまず自分が幸せな気持ちでなければならない。愛するというのは、自分が最高に幸せになるための動機。長々と語りましたが私はそう考えます。」
何故か凄いストンと胸に落ちてきた、自分が幸せになりたい。うん、生まれたからには幸せを求めたい。私が好きになるのは間違いなくヒトという種族だろう、この人と同じように違う種族に恋をする…よし
白雪「とても…とても奥深くまで私の心に届きました。烈風は無償でお譲りします、その代わりあなたの目から見て私に似合う男性がいたら紹介して下さい!この烈風があなたの恋に一役買うのであれば、あなたが私の恋に一役買ってください。等価交換です!」男性は目に涙を浮かべ、ピシッと一本のスジが通る立派な敬礼を私に向け
男「このご恩は一生忘れません。もちろんあなたに紹介できる方がいたら紹介します、紹介に至れない時は違う形であなたの支えたなることを誓います。本当にありがとうございます。」カッコいいなぁ…港湾棲姫さんいいなぁ。なんて思いながら、少しばかり出会うまでの経緯と出会ってからの行動などを聞かせて頂いた。
うん、出会う前は天才提督候補生。出会ってからは、その…あの…港湾棲姫さん、お幸せに!
この件のあとしばらくの間、私は「ハンモックナンバー1・2を手玉に取る脅威の駆逐艦」と影で呼ばれていたらしいことを最近知った笑
烈風を譲ってから2年ちょっとが経過した。
私は今、タンカーに乗って大規模遠征に向かっている。あの時のメンバーは別々の所に配属され、今でも名を聞く子や「あのリスト」に載ってしまった子もいた。
タンカー内の割り当てられた部屋で初遠征記念で解散前に艦娘メンバーと英雄さんの7人で撮った写真を見つめる。瞼を閉じると今でもあの時の海とみんなの様子が思い出せる…
今回の遠征は先日要注意リストに載った「難攻不落」の異名を持つ深海凄艦に向かう道中にできた資材溜まり「島」が目的地です。そう、あの時の港湾棲姫さんの所です!写真に常にあのイケメンさんが小さく映っていたのですぐわかりました。もちろん、彼は死んだことになっていますがその後の詳細は英雄さんから聞いていますので。
そして未だ撃破に至らず、道中にできた資材溜まりは溢れて合体し島のようになります。回収目的で派遣しても、そちらも中々成功には至らずたまの成功時に毎回いた私が、なんと旗艦抜擢…隊長経験しかないのですが…
みんな、力を貸して!と写真を両手で持ち上げると
「パンツチェックの時間だァ!オラァ!」
艦内に響き渡る怒号のような放送を受け私は後方のデッキ目指して駆け始めた。仲間も次々と合流してくる。
私は少し余裕を持って駆けていると、前方の通路から今回が初遠征の駆逐艦の子が私の少し前に躍り出てきた。走りながら私は彼女の肩に手をかける
白雪「今回の遠征旗艦、白雪です。ちゃんと素敵な下着は履いてきたかなぁ〜?」後ろから追い付いて来た教導の駆逐艦改ニの子が反対側から、この子の肩に手をかけた。
長波「教導の長波サマだ。この白雪はな、初遠征のパンツチェックで頭から着水して、クルー全員にご開帳したんだぜ?それが今や大規模遠征の旗艦だぜ?気楽に行こう!きっと良い遠征になるぜ?」
私は長波さんが声をかけるのを見て速度を上げ、ドックで準備に取りかかる。後ろに長波さんと初遠征の子の気配を感じ振り向き声をかける
白雪「じゃ、口切りさせてもらうわね。特型駆逐艦 白雪改、行きます!」綺麗に下着を披露しながら着水。タンカー上からメガホンで
「旗艦白雪〜ハーフバックのピンクレース!」「お尻のカタチ最高!」「結婚してくれー!」と例の盛り上がりが聞こえる
長波さんが続き、軽空母・軽巡などの人たちも続々と続いて総勢24名の大艦隊の大トリをあの子が務める。初遠征が大艦隊とか持ってるなぁ〜
私はハンドサインを駆使して皆がタンカーに戻ったり、そのまま護衛を開始したりとばらけ長波さんと2人で彼女の着水を待つ
「荒潮、華麗に出撃よ〜」
荒潮さんは頭から着水して、白の総レースTバックが顕になった…
この子は大物になります。
ー資材島の先の居留地ー
「ダーリン!白雪来たわよ!いつものシフトで良いかしら?」トレードマークとなった白い大きな帽子のツバを持ち上げ、小さな子と遊ぶ男に声をかける
男「ああ、助かるよハニー!やっと島がなくなってスッキリするな」
男は声をかけてきた女性の方へ歩き肩を抱く
「ヲ級、白雪シフト展開。水雷戦隊を3つほど出して適当な所で下がらせなさい、資材回収を見届けたら第一、第二の主力で適度に交戦。白雪は絶対に沈めるなよ」
ヲ級「リセサマ。ワカリマシタ、2.3隻大破状態ニシタラマバラニチリ帰投シマス」
男「いつも悪いな、リセ。」
リセ「いいのよ。私にとってもあの子は恩人だもの。」と言って男にしなだれかかる
男「良いヤツ紹介できなかったからな…」
少し離れた所で小さな子が両手に持った艦載機を動かしながら遊んでいる
「クッ、流石に手強いナ烈風。だが、ワタシはシショーの元で進化ヲトゲタ!見よ!」左手に持っていた艦載機が虹色の光に包まれ変化する
「コレが新たなル姿、ロクサンヨンだ!」そこには瑞雲634空と呼ばれる艦載機があった。
男・リセ「え?ホッポ、何それ?」
ホッポ「流石ワガライバル、ナラバこちらも白いシショーにヨリ得た新しい力、トクト見よ!」右手に持っていた艦載機が虹色に包まれる
「コレが新たなル姿、烈風改だ!」そこには烈風改と呼ばれる…
男・リセ「ホッポどうしたの!それ!」
ホッポ「シショー達が新しいノクレタ」
男・リセ「??」
何度か行ったあの店で2人の師匠を得たそうです。
海の関係者であれば、どなたでも入店の機会がございます。
次回はお店でガールズトーク?に華を咲かせるお話しの予定です。