解決などは望まない、ただ聞いて欲しい
そのような方々のお役に立つため
当店は今日も営業しております。
私がこのまま海に沈んでも、残るものは何一つない。
そんなことを考えながら海に立つ。
マンションの部屋に戻り、帰りがてらに買った酒を飲む
顕現してから3年で鎮守府外での生活を許される
恋人と住んだり、仲間、ひとり暮らし、どれも自由だ。
先頭は大抵碌なことにならない、だって艦娘だから
とくに趣味らしい趣味もなく、ただ生きてる
生活にも任務にも不満はないけど面白さもない
彼氏もいたことあったけど、まぁお察しよ。
実はヒトの彼女がいて、私は彼女にできないプレイ用。うける笑
稀に艦娘でも上手くいく話を聞くけど、どうやら私には縁がなかったみたい。
2本目の缶を開け、おつまみを食べる
何で女の体なんだろ…良いことなんて何一つないよ。飲んだら寝よ
今日から3日間オフだ、出撃後の確定休み
やることない
各地に複数の姉と妹がいるけど、同じ場所には阿賀野ねえたちの中の1人しかいない。
まぁ、この阿賀野ねえはどうせ休日全て提督のストーカーすることに費やすんだろうな。
あーあ、とりあえず残りのお酒を消費するかな。
可愛らしく飾られ、人と住むことを前提とした家具の数々をなんとなく眺めながら飲む。
浮かれてた当時は楽しかったなぁ…近いうち家具は処分しようかな。
貯金はどうしよう、駆逐艦の子達で分けるように遺言状でも書いておくかな。机に向かい普通の茶封筒にノートを切った紙に書いた紙を入れて、中身の入ってない写真立てに差し込んでみた。
悪くないわね笑
今日の遠征はなかなか大変だった。かなり戦闘をこなした。
今回初遠征の子が「大和砲」を選択した。めっちゃくちゃ喜んでいて、どれくらい嬉しいかを熱弁された、可愛い。
帰投時に提督とその子が話していて、その子は大声で泣きながら走って行った。どうやら本営が武蔵さんの強化実験に使いたいらしく、違うものでお願いしたらしい。
うーん…新しい大和さんが顕現しないので、現状一体のみの大和型の武蔵さんにアレこれしてあげたい本営の気持ちも分かる。
もちろん、初遠征で憧れの人の装備をもらいたいあの子の気持ちも分かる…。どうにかならないかなぁ、心無いこと言うと私たちや駆逐艦の子達はすぐ沈むから沈んだ後に…はぁ、この思考はダメね
明石さんの所で帰投後のチェック済ませて、着替えのロッカーを目指していたら先ほどの子が緑の髪のお姉さんに慰められていた。
「こうなったら、巻雲さんに相談しましょう。」「巻ねえ動いてくれるかなぁ?」
おおっと!何やら不審なワードが聞こえてきました…。間違いなく「あの一族」の巻雲さんのことですよねぇ。
よし、私は何も聞かなかった。帰ろう。
アパートに着いて玄関を開けると不思議なベルの音がした。
ブーツを脱ごうとしたら、床が違う…ふと顔を上げるとバーのような所の入り口に私はいた。あ、ついに来れたんだ!
「スナック フリートへようこそ」私を迎えてくれたのは、先日訓練基地を卒業したばかりの練習巡洋艦のお姉さんの方でした。
「同じ佐世保の能代さんですか?」小悪魔・サキュバスなどと至る所で言われる妹シリーズさんとはまた違う、こう、何だろう…エロい。
女教師モノのAVに出たらすごいことになりそうな…てか、他の場所でこの人の同型に会ったことあるけど、全然違う。
能代「はい!佐世保の能代です、こうして2人でお話しするのは初めてですね。」とりあえず当たり障りのない返事をする
香取「改めまして、先日着任致しました香取型練習巡洋艦、1番艦の香取です。さ、どうぞおかげください。」彼女の正面のカウンター席に座る。
香取「こちらで適当に見繕ってお出ししますね。」私が椅子に座ると彼女は慣れた感じで準備を始める
香取「こちらジョニーウォーカーのジンジャー割りです、少し鼻に残りますが心地よい香りですよ。」あ、その銘柄知ってる。米軍との定期便で良くみるやつだ。
能代「いただきます、確かここは給仕側の方にもご馳走するのがマナーでしたっけ?初めて来れたのでシステムが分からなくて。とりあえず香取さんもどーぞ!」
香取「強制ではないんですよ?ですが、ありがたく頂きますね。」同じモノを手早く作りグラスを差し出してきた。
能代「えーと、えーと。初フリートに!」
香取「乾杯」
話は意外と盛り上がった。
「年上」の妹さんと一度来たことあるそうな。
その時の妹さんの見よう見まねでやってみたんですけど、上手くできてたかしら?ふふっ。って、やっぱエロい…
この鎮守府のこととか出撃について、近くの街のおすすめとか話題はこと欠かなかった。
能代「で、気がついたらいつの間にか5年生き延びてます笑。阿賀野型最長老ですよー、でも本当たまたま沈んでないだけで特殊な能力がある訳でもなく、熱意のある何かを持ってる訳でもなく、ただ生きてます。」
香取「それはそれでひとつの生き方の正解なんだと思います。皆が皆、オリジンの方々とか量産型の二つ名持ちの方々のような艦娘ばかりだったら今頃決着は着いていたと思うのです。悪い方向で。」香取さんは手元のグラスで喉を潤し続ける
香取「これは妹の受け売りなのですが、強い艦娘は「概念」の様なモノで私たちの様な特に突出したものがない大量の艦娘は「肉体」なんだそうです。概念が力を行使するために私たちは時には肉体としてダメージを受け持ち、時には道を切り開くための楔となる。片方だけでは成り立たない、そして数は違えど死はどちらにも平等だ。と言ってました。戦いの海に立った時点で艦娘としての役は全うしているから、あとの時間はどのように消費しても自由で尊重されるべきモノだそうです。」
能代「さすがに「深淵」と呼ばれる方の言葉は重みが違いますね…こんな私でも良いんだって思えちゃう感じがすごい」
香取「姉の1人としてもすごい妹だなぁって思うのですが、些か個性が強すぎるんですよね…」頬に手を当て天井を見るその仕草は、やんちゃな妹を持ち悩むお姉ちゃんって感じでなんか親しみがわく。
能代「何かに熱中できなくても、あとに何も残さなくても、それは私の自由か…へんな感じ笑」
香取「ふふっ、そうですね。私も初出撃で沈んでしまうかもしれませんから、生きてる今を楽しめる何かをこれから探して見ようと思うのですよ。見つからないまま沈むかも知れませんが、探すことだけはやっていこうかな?って妹の話を聞いて思いました。」その笑顔はどこか少女じみてるけど、どこか艶やかで、とても顕現して半年の艦娘とは思えなかった。なんか、こういう話し合いも素敵ね。
その後も話題は尽きることなく、私たちはお店が閉まるまでワイワイ騒いだ。
今日もまた、良くある1日だった。
変わったことと言えば阿賀野ねえが
阿賀野「ねえねえ能代、あのこないだ来た香取さん。阿賀野的にはキュピーンと来るものがあるの!」
能代「んん?どんな感じのキュピーンだったの?」
阿賀野「恋のライバル」
能代「へ?提督も特に贔屓してる様には見えないし、そもそもあの2人接点ないじゃない。来たばかりだから向う数ヶ月はひたすら下積みよ?」
阿賀野「やれやれ。わかってないなー、能代は。」
能代「いや阿賀野ねえが思う以上に私と香取さん仲良しだから、私の方が全然知ってると思うだけど…」
阿賀野「ああ、お姉ちゃんは悲しいわ。そんなんだから良いように遊ばれちゃうのよ?せっかく可愛いんだからもっと乙女練度をあげなさい。」
能代「ちょ、なんか酷い言われようなんですけど笑。」
阿賀野「とにかくあの人は要注意艦娘よ!乙女レーダーにゆんゆん来てるの!でも奪い合いにはなりそうにない…感じ?なんかこう大人の余裕が見え隠れしてる気もするのよね…。」
能代「はいはい、これでライバルは何人になったんだっけ?姉さんは頑張らなくていいの?」
阿賀野「ふふん、そこは抜かりないわよ!そのために毎日「提督日誌」をつけてるのよ!」
能代「そういう間接的なモノじゃなくて、たまには直接的にアピールしたら?その残念なお腹周りは隠しつつ良い胸持ってるんだからちょっと押し付けたりとかしてみたら良いじゃない?」
阿賀野「残念言うな〜!これは提督が枕にした時に最高の感触を与えるために緻密な調整のもとに作られt…「はいはい。分かりましたよ。出撃だからまた帰ったら聞くからねー!」被り気味に押し切って、私は兵器庫へ向かった。
ふぅー、今回も生き延びたなぁ…
私がこのまま海に沈んでも、やっぱり残せるものは何もないけど
悲しんでくれる「仲間」はいるのよね
帰投したら阿賀野ねえでも誘って飲みに行こうかな
モブ娘の日常を書いてみたかったけど、難しい…