スナック「Fleet」   作:金糸雀かしら

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「スナック Fleet」まことしやかに語り継がれる秘密の酒場
入店資格は海の関係者であることと、店員と客はお店が選ぶらしいです

今夜は珍しい方が主役のようです


第三話 「猫妖精」

カランカラン…使い古された心地の良い音色を放つ鐘が鳴る

 

元帥「いらっしゃい、先に始めさせてもらってるよ」カウンターキッチンの中で椅子に腰掛けて飲んでいる国軍元帥

「とうとう私も来ることができたのだな…我々の力を持ってしても結局ここの謎は()()()()()()なぁ…」呟きながら席につく白いセーラー服姿で頭に猫を乗せた50cmくらいの妖精、「猫妖精」と呼ばれる妖精の統括者

元帥「姐さん、何飲みます?」

猫妖精「君と同じものを頂こうか」

冷えていない大きめの冷酒グラスには透明の液体が注がれ、刺身を始めとするツマミ数種が並べられる

元帥「日本酒の真澄です、下士官の給料でも買えて味も申し分ない。和食全てに対応できる良い酒ですよ。常温がおすすめです。」妖精はグラスを傾け半分ほど一気に飲む。

猫妖精「なるほど、これは飲みやすいな。若僧のくせに良いものを知ってるじゃないか笑」

元帥「こちらに来る前によく飲んでた、この世界にもあって良かった…。」

猫妖精「転生者だったな、もう25年か。若僧が今では元帥、こういう事でしか時の流れを感じられないのは我々妖精の悲しいところだな」

元帥「私をそう呼んでくれる者も少なくなった。あの時はここに当時の元帥が立って私はそちら側だった、その後こちら側には何度か立ちましたがね。」互いにツマミを拾いながら早いペースで酒を煽る

 

猫妖精「それにしても今回の大規模作戦は凄かったな、戦後が笑笑」元帥は酒をなみなみ注ぎ、一気に飲み干す

元帥「7-10日の予定が4日で終わってしまった。横須賀の活躍は相変わらずだが、大湊のリシュリューと佐世保の香取の隊が凄かった。終わった後にリシュリューが妻にケンカを売って、横から香取が2人にケンカを売ってなぁ…」遠い目になる

猫妖精「他の妖精から色々聞いたよ、香取はアイツの息子が抱いたそうだぞ。親子二代で練習巡洋艦にオネツとは笑えるが「駒」の台頭は悪い事じゃないぞ?今回の戦いでやっと()()も見えたそうじゃないか」ケラケラと笑う

元帥「アイツの倅が提督になっただけでも驚きだが、姉さんの言うように本当の勝利がようやく見えてきた、深海棲艦が現れて30年にしてようやくだ。」

猫妖精「若僧の知識がなければ人類はここまで来れなかったろうな、時代ごとに鹿島のパートナーのアイツみたいな英雄はいたが英雄1人ではどうしようもない。粒が揃い始めたと同時に見えた最終目標、やっとだな…」

元帥「前にも言いましたが私のいた世界では「艦これ」というゲームでした、ゲームの知識とこの世界という現実を効率よくすり合わせただけですよ。それでも25年かかりました。」冷蔵庫から新たなツマミを取り出し皿を交換する

元帥「で、姐さん。本題は何だ?ここに私達だけということは何かあるんだろう?私は店側だから、姐さんだ。」猫妖精のグラスに酒を注ぐ

猫妖精「…。」なみなみと酒が注がれたグラスを見つめている

 

猫妖精「寿命がきた、今夜でお別れだ若僧。私も生き物だったんだ、嬉しいよ」

元帥「…。」自身のグラスに酒を注ぎ、チビチビ飲む

猫妖精「驚かないんだな?ふふふ、()()()()()()()でもいたのかな?」

元帥「何でもお見通しですね。私もつい最近知りました、艦娘にも深海棲艦にも寿命がある。皆総じて生物であると」

猫妖精「さっきも言ったが私は嬉しいんだ、戦後を見られないのは残念だが充分楽しかった。これをきちんと公表すれば妖精も艦娘も生き方が変わる、見た目の老いはないかも知れんが本当の意味での「必死」という行動が取れる」ニコニコと微笑みながら摘み、飲む。あぁ、美味いな。

元帥「明石にオリジンを中心に調べさせて行きます、でも寂しくなりますね…。」

猫妖精「だが、君のような例もある。私もどこかの世界に生まれ変わるか?また何らかの形でこの世界に来るのか?という楽しみもできたよ」

元帥「死後の世界ってのはどうなってるんでしょうね。私は今回死んだ年齢で肉体もそのままの転生でした、横須賀の五日もそうです。極楽浄土はあるのか?すぐに他の生き物として生まれ変わるのか?」天井を見上げる

猫妖精「それこそ神のみぞ知るだ笑。そろそろ時間らしい…」猫妖精の体が光を発し始める

元帥「姐さん、世話になった。ありがとう」人差指を差し出す。

猫妖精「奥さんにもよろしくな、今回のお代は来世で払うよ笑」出された人差し指に握手をする

元帥「ええ、また会ったらその時に」光の粒子となって消えた猫妖精を見送ると入口の鐘が鳴る

 

元帥「おや、また来客か。いらっしゃい…てかお前か」入口に立っていたのは妻である武蔵オリジン

武蔵「謹慎が解けて施設の扉を開けたらここだった。」ポリポリとバツが悪そうな顔をしながら頬をかく

元帥「まぁ、座りなさい。飲み物を用意する。今、姐さんを見送った所だったんだよ。いい笑顔で逝ったよ」カウンター内で準備をする

武蔵「そうか…私も貴方達と同じモノを、真澄だろ?」ドカッと腰を下ろしテーブルの食べかけのツマミを食べる

元帥「程々にな、今のお前をお姫様抱っこするのはもうしんどい年齢なんでな…」

武蔵「ふふ、なら私が貴方を抱えよう。久しぶりにそのままベッド行こうか」イケメンスマイルで元帥を射抜く

元帥「明日は休みだから頑張ってみるか。それにしても派手にやったな…攻略ですら使わなかった高速修復剤を戦後に何個使ったことか…」武蔵用のグラスを置き酒を注ぐ

武蔵「久しぶりに本気を出せた。リシュリューも近年強かったが、あの香取はかつてのオリジンに近い力だったぞ、何だかんだで扶桑や他のオリジン達も楽しんでたしな。」グラスを持ち元帥に掲げる

 

「「姐さんに乾杯」」

猫妖精に乾杯をしたところで三度鐘が鳴る

 

「あれ…ここはどこでしょう?」ボロボロの白いワンピース姿で子猫の両前足を持って吊るしている30cmくらいの妖精がいた。

 

元帥「いらっしゃい、ここはスナック フリートさ。色々説明をしよう」

小さな妖精は武蔵の膝の上にちょこんと座り、武蔵が飲んでいた酒の残りを一気に飲み干す。

妖精「ブハッ!な、何なんですかこれは…不思議な液体ですね…」ペッペと吐く動作をする

元帥「ああ、これは酒というモノだ。別のものを用意するから大人しく待っててくれ」元帥が冷蔵庫からジュースを取り出すと

妖精「いえ、やっぱりコレを私にもください。クソ不味いですけど、何故か懐かしさ?というモノを今感じました?懐かしさってなんだ?」首を傾げる小さな妖精。

 

元帥と武蔵は顔を見合わせて吹き出す

 

武蔵「今夜は長くなりそうだな、先ずは君に乾杯といこうか」表の看板が自動的に「本日貸し切り」の表示になる

 

ここはスナック フリート、今日も関係者でささやかに賑わう秘密の酒場

 




ちょっとした説明回みたいなものです、文字通り様々な者が集う世界です。
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