スナック「Fleet」   作:金糸雀かしら

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スナック フリート、神出鬼没、変幻自在の秘密の酒場
場所というのは雰囲気付けに過ぎない、いつだって主役は店員と客なのです

今夜もお客様がいらっしゃいました


第五話 「駆逐艦 秋雲」

ビジネスホテルの一室でテーブルに着いている秋雲は大きく伸びをする

机には乱雑に置かれた写真と紙の資料とノートパソコン

 

「あぁ〜一服しに行くかな…。よいしょたこん」

 

とある警備府での取材をもとに彼女が描いた読み切り恋愛漫画

「時空を越えて」陽雲アキ著。は艦娘を始めとする女性に大反響を受け実写・アニメの映画化となりその脚本を書いていた。陽雲アキの名は秋雲オリジンのペンネームでオータムクラウド達の合作の時にも使用される。

ヒロインの女性が言った「初めてだから優しくしなさいよ、でも私でいっぱい気持ちよくなって♡」はテレビでは放映されないがネット上ではブッチギリの流行語大賞1位となり、多くの女性の心に深く刻まれた。

 

脚本制作に行き詰まり、喫煙所へと向かう秋雲。喫煙所の入り口でタバコを咥えドアを開け中に入る。

 

「いらっしゃいませ、スナック フリートへようこそ。お好きなところにおかけ下さい」憲兵服の男が出迎える

秋雲「ま、まさかここが伝説の…」驚いて咥えていたまだ火をつけていないタバコを落とす。

普通のバーカウンターにソファーが一式。カウンターテーブルには大きめのディスプレイのパソコンが置いてある。秋雲はタバコを拾いカウンターにつく

 

憲兵「先生はお酒飲めないんですよね、これウチの実家のある県の名産のリンゴジュースです。すっきりしますよ。私もいただきますね。」オシャレなグラスに注がれたリンゴジュースで乾杯

秋雲「初めて来れたここにも驚いたけど、そっちに立っている君にも驚いたよ…。どうなってんだ?これ」

憲兵「私も驚きました、実家のある駅に着いた新幹線を降りたらこの店のバックヤードで憲兵服着てました笑。噂でしか聞いたことなかったのですが自分が招待されるなんて夢にも思いませんでしたよ。」

秋雲「アタシもしっかり目に焼き付けて帰るよ、実家とは大型休暇でも取ったのかい?時間あったらまた作品のヘルプお願いしたいんだけど」タバコを再び咥え火をつける

憲兵「先生から連絡来たら言おうと思っていたのですが、憲兵は辞めて来ました。少しのんびりしたら、以前声をかけて頂いた夕張社長のところに行こうかと…」男は提督学校上がり、武芸百般で機械弄りも優秀、戦略は芳しくなかったが物事の知識も豊富でハンモックナンバー入りは確実とされていたが、極度の船酔い体質のためナンバーには入れず兵器課へ行くも生み出すモノが玄人仕様のピーキーなものばかりで周りがついて来れず、武の腕を買われ憲兵となった。夕張重工の社長でもある夕張オリジンが兵器課を訪れた際、辞めることがあれば是非ウチにと名刺を渡された。憲兵時代に秋雲が落とした原稿を拾い、添削をして返した事から秋雲と仲良くなり、手先の器用さと豊富な知識でマンガアシスタントから小説の添削までこなしていた。

秋雲「ダメダメダメダメ!なんで辞めたかは聞かないし、興味ない!でも、自由になったのなら秋雲さんが君を雇う!このとーーり!」タバコを灰皿に置き、カウンターキッチン内にいる憲兵に向かって手を合わせ拝み倒す。

憲兵「お話しはありがたいのですが、夕張社長との契約も結んで正直楽しみな事でもあるので以前同様お手伝いという形でいつでも力になりますよ」秋雲の空のグラスにリンゴジュースを注ぐ

秋雲「ぐぬぬぬ…そういう状況なら仕方ないか、夕張のとこなら安心だけどできれば辞めることを知らせて欲しかった…また時々しか逢えないじゃないか…」ぽろっと本音が最後に漏れてしまい焦るが、憲兵は冷蔵庫を物色中でうんうん唸ってる。

 

憲兵「ホント不思議なところですね、私と先生の好物が冷蔵庫に入っていましたよ。」カウンターに戻りカツオのタタキとクラゲとキュウリの味付けサラダを出す。

秋雲「はえー、秋雲さんの大好物のカツオのタタキじゃないか。ポン酢最高!」と一口目を咥えたところでプチュン!とテーブル上のディスプレイの電源が入る。画面には小さな座卓を挟んで向き合っている秋雲と憲兵が映る。

 

秋雲「あーもう、何回描いても不安になるわ!大体さ〜秋雲さん経験ないんだよ!他の秋雲さんの一部はちゃっかりしちゃってるみたいだけど、経験ないからこの表現で合ってるのか毎回自信がないッ!」と言って立ち上がりジョジョ立ちを決める。どうやら酔っているようだ…

憲兵「ですよねー、私もマンガやビデオの知識しかないのでこればかりはアドバイスができないです!セックスって何ですか!分かりませんッ!」こちらも負けじとジョジョ立ちを返す、明らかに酔っている!

秋雲「処女と童貞が頭捻って意見を出し合っても正解には辿りつけないよなぁ…」ドカッと座って片膝を立てる

憲兵「でも、締め切りは待ってくれません!先生!あ、先生パンツ見えてますよwww」こちらもドカッと座って片膝を立てる

秋雲「あ?見せてんだよ!オリジンとして歳は重ねてるけど、どーせこんな見た目のガキじゃ興奮しないだろ?」両膝立てる…

憲兵「何言ってんですか?先生はめちゃくちゃ魅力的ですよ!パンツはしっかり焼き付けました、部屋に帰ってオナニーしたいんでお開きでいいすか?」身を乗り出し秋雲の両膝を手で閉じる

処女「はっ!アタシの機嫌を損ねないためのお世辞だろ?いーよ、そういうの。アタシだって分かってんだ…」ちょっと涙ぐんで目を逸らす

童貞「俺は本気ですよ先生、アシスタント代なんて本当はいらない。先生のそばで過ごせるだけでも嬉しいし、時折見せる無防備な姿は良いオカズなんですよ!」酒パワーすごい

処女「なななな…プルルルルルルル!」スマホがけたたましく鳴りワタワタしながら出る。「はい、はい…。え?入稿明後日でも良いんですか?助かります、はい…。では」電話を切って振り返るとスースーと女の子の様に優しい寝息を立てている憲兵がいた。

処女「…。コイツめ!」と言いながら頬に軽くキスをする。「素面で言ってくれたら秋雲さんはいつでもOKだぞ、分かってて隙見せてんだよ。臆病はお互い様だけどな♡」毛布をかけたところで画面が暗くなり、文字が表示される

 

「one more? yes/no」

 

「「ノオおおおおォォ」」と言いながら2人でディスプレイに抱きつく

互いの体が触れ合い、ハッとして元の位置に戻る2人。ダレカタスケテ

気まずい時間が流れ、また画面が動き出す。

 

夕張「そう、ウチに来てくれるのね!大歓迎よ!!!」画面には手を合わせて大喜びする夕張が映る

夕張「でも、いいの?せっかく自由になれたのにアキのとこ行かなくて?」

憲兵「良いんです、行ったら受け入れてもらえるでしょうしその時は幸せだと思いますが友達の先を求めてしまうから。」

夕張「第三者から見ると両思い間違いなしだけど、人の恋愛観に茶々入れるほど野暮じゃないわ。とにかく歓迎よ、来月からよろしくね!」

再び画面が変わる

リシュリュー「あら?今日はあの憲兵は一緒じゃないのね?」ソファーに足を組んで座るリシュリューが映る

秋雲「え?ああ、今日は取材なのでワタシだけですよ。貴重なお話ありがとうございました。羨ましくて仕方ないです…」

リシュリュー「そう?今でこそ幸せだけど、25年よ…本当は演習で見かけた時に飛びつきたかった。貴方のリシュリューよ!って、でもそこでそんな話して気味悪がられるのが怖かった。彼も思い出してくれた瞬間だったけど、私には分からないしね。拒絶された時のことを思うと怖くて踏み出せなかったわ」

秋雲「ワタシも…そうです。描いてる事柄から人の恋愛とか相談に乗って知識だけは増えて行動していく子達を見てワタシも!と思いはするんですけど、彼が友達やアシスタントの先を求めていなくて断られたらどうしようって思うと…」

リシュリュー「私もなんだかんだで結局受け身だったから偉そうなことは言えないわ、ただ第三者から見ると貴方達両思いにしか見えないけどね…」

画面が暗くなりまた文字が現れる

 

「焦ったいヤツらだな、次はお互いをオカズにしたそれぞれの自慰シーンでもいっとく?」

 

バギャッ!秋雲の艦娘パワーチョップで真っ二つになるディスプレイ…来世で会おうぜ

 

憲兵「こ、こ、こういので自分の気持ちを晒されるのは腹立たしいけど…さっきの映像は事実です!あなたと共にいたい、あなたに触れたい、友達の先を求めています。秋雲さん、あなたが大好きです!あなたが欲しい!」恥ずかしさの限界突破で敬礼をしながら告白する

秋雲「…///」耳まで真っ赤になりうつむく秋雲。

秋雲「あ、あたしはガサツだし、普通のマンガや小説だけでなくエロマンガとかも描いてるし、タバコは吸うし、見かけこんなんだし…あの、おさあの…あ」言葉につまり泣き出してしまう

憲兵は片手でカウンターテーブルを押さえて両足を高く振り上げそのまま手を軸にして回転し、秋雲の背中側に立つ。さすが武芸百般は伊達じゃない。泣く秋雲の両肩を掴みクルリと椅子を回転させお互い向き合う。

憲兵「最初は面白い分野があるんだな…そんな感じでした。ですが一緒に過ごすうちにあなたのことがドンドン好きになっていき、作品の人物をあなたと自分に置き換えたりしていました。時間を重ねるほど想いは増していき、臆病な自分は結果を恐れて逃げてここまで来てしまいました。一緒に暮らしませんか?いえ、一緒に暮らしてください。私がこれからもあなたを支えますから、あなたも私を支えてください。秋雲さん、大好きです。私の恋人になってください。」男、見せました。

秋雲「ワタシも君が大好きだ、これからも共にいて欲しい。」口付けを交わすと店内BGMが蛍の光に変わる…え?

秋雲「これは、帰れってことだよね…。」

憲兵「おそらく…あれ?」秋雲の背中にある張り紙を取り2人で見る

 

「ディスプレイ代25万円 デビットカード可。お食事代はサービスで、こちらのチケットの有効期限は本日までです、是非ご活用ください。スナック フリート」紙の下にはクリップで超高級ラブホテルの無料宿泊券がついていた

 

2人「「…///」」

 

支払いを済ませて壊したディスプレイの片付けや洗い物をして出口の扉を開けると、そこはラブホテルのフロントだった。

 

秋雲「は、初めてだから優しくしなさいよ…でも、アタシでいっぱい気持ちよくなってね♡」

 

しばらくして憲兵の考案するピーキーな兵装の数々はオリジン艦娘達にフィットし発注が相次ぎ、具現化できるのが夕張しかおらず社長兼現場復帰でいけない笑顔の夕張オリジンが見かけられた。

陽雲アキの作品も「具体的な表現」が加わり時空以降の作品を一冊は持っていることが世の女の子の常識となるバイブル的なものとなった。

 

ここはスナック フリート、アフターサービスの良さも売りの不思議な酒場

 

 

 




引越しでWi-Fiがまだなく通信量0のスマホで細々と作っております…。
細かく確認して何かの拍子でのフリーズが怖いので、修正は後日…
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