スナック「Fleet」   作:金糸雀かしら

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何気ない日常の一コマにお酒と食べ物がある、そして話し相手がいる
誰かにとって、それは当たり前過ぎて価値はなく
誰かにとって、それは望んでも手に入らない宝物

それぞれの日常にひと匙のスパイスを、「スナック フリート」開店いたします。


第七話 「戦艦 ウォースパイト」

五日という名の転生者提督が率いる横須賀鎮守府

「止まるんじゃねぇ」をモットーに各々が努力を怠らない最強にして最狂で最凶

 

五日「技のオリジン、力の2代目、知の3代目…

バーカ、「知」じゃなくて「血」だろ。」

と呟き資料を放る。雑に投げられた資料は配属願と、とある艦娘の略歴があった。

 

五日「それに、本来は「力と技の」だっつーの。」

艦娘の略歴を拾い上げ悪態をつく

QueenElizabeth級 2番艦 ウォースパイト(世襲型3代目)

小さな王冠を頭に乗せた、いかにも良家のお嬢様然とした薄いブロンドヘアーの女性が載っている

 

鹿谷訓練基地への配属を希望 と記してある

 

世襲型の文字をしばし見つめ、資料を再び机に投げ出し両手を後頭部に置き背もたれに深く身体を預け天を仰ぐ

(建造できないってことは、そういうことなんだろ…なぁ?◯◯)

 

「司令官、承認してあげないんですか〜?」右前の秘書艦テーブルからほんのり間延びした声がかかる

五日「なぁ、青葉。建造されてから母国にいる期間より遠い東の島国にいる期間の方が長い女王陛下のお気に入り艦娘を再び配属させるメリットはなんだ?配属させたらまた長門貸し出さなきゃなんねーし、女王陛下から嫌味は言われるし、うちに来て戦力のひとつになるなら少し、ほんの少しだけ分かってやらなくもないが希望はいつもの訓練基地だ。」

 

青葉「あははは。まぁーそこは高貴なるお嬢様の気分転換というか、鹿谷には間宮「さん」がいるから少し残念な母国料理に飽き飽きして恋しくてたまらないんじゃないんですかね〜」青葉と呼ばれた薄紫色の髪の毛をアップにした艦娘が苦笑いしつつ軽いノリで答える

 

五日「そうなのか?俺はてっきり間宮の「弟子」の方かと思ってたわ。今日は特にやることねーから、ちょっと街にでも行ってくるわ。お前も適当なところで切り上げて上がれ、じゃあな。」と扉をさっと開け出て行った。

 

青葉「あー、今回は無理ですねぇ。この感じだと。でもこの間来たビスマルクさんも滞在延長申請したみたいですし、流石にあの2人を同じところに囲う訳にもいきませんし、今回は仕方ないですね。」机の上の資料をまとめ帰る準備を始める

 

青葉「それにしても、あの気難しい2人が夢中になるお弟子さんかぁ〜。青葉、気になります!」秘書官机の引き出しから出張申請書を取り出し、ささっと書き上げ提督の執務机に置く。思い立ったが吉日、止まるんじゃねーぞを体現する秘書艦は颯爽と出ていった。

 

カランカラン…「いらいしゃいませ」

扉を閉めた際に付けていないベルが鳴り「流暢な」日本語を背中で聞いて、五日はため息を吐く。「あー、マジかー」

振り返るとバーカウンターがあり、カウンターの奥には先ほど資料でみた艦娘が白シャツ、黒スラックスに着替えて髪を簪でまとめあげて右の手のひらをこちらに向け着席を促していた。

 

流されるまま着席すると、白い大きなラベルの貼られた緑色の瓶とチョコとナッツが無造作に乗せられた皿とグラスをひとつ置かれた。

グラスの中には綺麗な球体の氷がひとつ。丁度中を埋め尽くす感じで入っていた。

 

「スナック フリートへようこそ、それはラフロイグよ。王室御用達なんて言われたりするらしいけど余り見たことないわ。給仕なんてしたことないから自分で適当にやってちょうだい。」トントントンとカウンターにただ物を置くように乗せ、こんな感じでしょ!と得意げに微笑みながら腕組みする。

 

五日は特に返答するわけでもなく、カウンターから載せられたものをおろし、グラスに注ぎクイッと一口で飲み切り、再び氷の上まで注ぐ。

氷がグラスを埋め尽くすように入っているため、いっぱい入ってるようには見えるが実際は見た目ほどには入っていない。

 

五日「こいつは好みがハッキリ別れる酒でな、好きなやつはこれ系ばかりを飲み続ける。おれは可もなく不可もなくって感じだけどな。そもそも日本にいる時間の方が長いんだから見たことなくてもしょうがないんじゃねーか?ウォースパイト。」再び一気飲みしてナッツをかじり、また注ぐ。

 

ウォースパイト「この状況に驚いてはいないのね?ひょっとして何度か来たことあるのかしら?わたしは冷蔵庫にあるジュースを適当にもらうわ。ところで申請書は受理してくれたのかしら?」冷蔵庫から小瓶を取り出し指で瓶の王冠を捻じ曲げて外し、瓶に直接口を付けてジュースを飲む。飲む際に簪の桃色のアクセサリーが揺れ、五日は少し目を見開く。お嬢様らしい見た目からは想像できないワイルドな行動ではあるが、美人補正とでもいえばいいのか何故か様になっている。

 

五日「何度か来たから場所には驚いてないが、お前には驚いているよ。あと申請は却下。」胸のポケットからタバコを取り出し火をつけ、その場でひと吐きしてウォースパイトの目を見つめ

 

五日「却下」

 

ピキッ!とウォースパイトが持っていた瓶に数本の白い線が走る。無言で冷蔵庫から新しい瓶を取り出し再び口を付けて飲み、瓶をカウンターに置き真剣な表情で問う

 

ウォースパイト「どうしたら許可してもらえるの?」なんで?どうして?とは問わない、全ての状況を分かった上で申請を出した。

 

五日「なんで?と聞かない点は評価してやる。お前のそういうところは気に入ってる。」グラスを煽り、タバコを咥え再び注ぐ。

 

五日の返答を聞き、ウォースパイトはグラスに丸い氷を入れカウンターを大きく迂回してホールに出て五日の隣へ腰掛ける。

五日は黙ったままウォースパイトが持って来たグラスに酒を注ぐ。

 

ウォースパイトは注がれた酒を五日同様一気に煽る。五日はより近くで揺れる簪のアクセサリーが目に入るも視線をそらし再び空のグラスに酒を注ぐ

ウォースパイト「どうしても、あの人のそばにいたいの。特別な関係になれなくてもいいの、ただ失いたくないの。訓練基地とは言え襲撃がないとは言い切れないわ、今のわたしなら例え何十隻が相手だろうと、あの人と施設の人たちの脱出の時間だけなら絶対に稼げるわ。イギリスはもちろん他の配属先からではそれは叶わないわ。」語り終えると膝に握った拳を置いて首を大きく垂れる。簪が何かを語りかけるように揺れる

 

五日は視界の端に入る簪から顔を背けたままグラスを持ち、一口だけチビっと口を潤す(うるさいな、分かってるよ…◯◯)

 

ウォースパイト「オリジンから技を継承した二代目は力の使い方を極めたの。二代目から力と技を継承したわたしは「この想い」を次に繋げたい。あの人のそばにいられるなら、次の大規模作戦でこの身が朽ち果てるまで戦い抜くことを誓うわ。それはあの人を守ることにも繋がるから。だからお願い、どうしたらいいのか教えて。」

五日は溢れる涙をそのままにしてこちらを見つめ懇願する彼女に顔を背けたまま、タバコを吸い煙を天井に向かって吐き出す。

 

五日「なぁ?その簪はどうしたんだ?」

ウォースパイト「え?あぁ、これはこの服と一緒に置いてあったの。服と一緒に付けて接客しろって書いてあったわ。グスッ」人差し指で後頭部の簪を弾きながら答える。

 

五日「ネルソンシリーズとアークロワイヤルシリーズから1人ずつ横須賀に寄越せ、寄贈だ。鍛え直すから練度は問わない。次の作戦では俺の指揮下に入れ。それと、その簪で配属を認めてやるよ。」

ウォースパイト「Oh my got!」両手で頬を抑えてから、歓喜の表情で両手を広げて五日に飛び込む

五日はカウンターを足で蹴り椅子ごと後ろに滑り、空いたスペースをウォースパイトがダイブして行き「へぶっ!!」という声が聞こえた。

 

五日「軍服クリーニングに出して明日までこの軍服使わなきゃなんねーんだ、せめて涙と落ちた化粧なんとかしてからくっつけ。」

ウォースパイト「わたしの抱擁を避けるなんて、世界であなた1人だけよ。はい、簪どうぞ。ネルソンたちは明日にでも出発させるわ、本当にありがとう、提督。」立ち上がりながら簪を五日に渡して深くお辞儀をする。

 

五日「デメリットよりメリットの方が上回るのなら断る理由はない、それだけさ。」椅子を戻して簪に付いた五つの花弁で表した桜の花のアクセサリーを眺めながら残りの酒を飲む。

再びウォースパイトが隣へ座り、彼女のグラスに酒を注ぐとカウンター上のディスプレイに電源が入る

 

こちらに背を向けて歩く3人組、男の両隣に女2人。男はコックコートのようなものを着ていて左の女性は灰色が多い軍服、黄色に近い金髪のロングヘアー。右の女性はオレンジ色を連想させる茶色のツインテールで男の右腕にくっついている。

 

「ねぇ、◯◯。明日ヒバぁーんなんでしょ?あたしとお姉様と一緒にカイモノいきまshow!ね?お姉様!」ツインテの子が話しかけながら顔を男の向こう側にいる金髪に向けてグッと体を男に寄せ男が気持ちよろける。

「悪くはないワ、Prinz。欲しいモノがあるのだけれど、お店のカンバーンはまだ読めないのよ。どうかしら?Danke,Prinz」よろけた男の左肩にそっと右手を添えて顔をPrinzと呼んだ子の方に向ける。

 

男「私も欲しい包丁があるので買い物に行くつもりですが、優柔不断なので時間がかかります。ですので買い終わった後に合流という形でよろしければご案内しますよ。ビスマルクさん」右腕にかかる柔らかく心地よい感触から意識を離すため左にいるブロンドに告げる

 

ビスマルク「Danke!◯◯!ワタシはイイ女だから、アナタの買い物について行ってキヲ使わせたりしないわ、ゾンブーンにイイモノを選んでイイキモチでわたしたちをもてなしなサイ!」満面の笑みで男の左腕に両手で絡みつく、フニッという大きな擬音と共に。

プリンツ「お姉様、そういうのは黙ってアリガトウとだけ言うのがナデーシコなんですよ」右腕から体を離し少しだけ男と距離をとる、数々の「お姉様」を勝利に導いて来たアシスト王。「王の杖 プリンツオリジン」の名は伊達じゃない!本当は日本語ペラペラさ!

 

ビスマルク「何言ってるノ、プリンツ。ナデーシコはこないだ来たフソーのような女性のことを言うのよ。フソーなら「ハイ」だけで終わるワ、イチでジューを知らせる、それがナデーシコ。女としてくやしいけど、ワタシはまだそのクラスにはいないの、だからアピールしてるのヨ」男の左腕から手を離し腕組みをして得意げに語る

プリンツ「お姉様…♡」この子はオリジンお姉様を超える「王」になる、間違いない。そして、王に至るためにはこの男が必要。任せてください、お姉様。このプリンツオリジン、全身全霊を持ってサポートいたします。

 

男「扶桑さんは確かに素敵でしたね、でも私はニブイとよく言われるのでビスマルクさんのような感じで接して頂けるとすごく助かります。」左腕の心地よさがなくなったことに少し寂しさを感じながら耳を赤くして前を向く。

 

プツンと画面が黒色一色に戻る

五日は「なんで煽るかなぁ…」と呟きつつ内側の胸ポケから長財布を取り出し手持ちを確認し始める

 

ディスプレイは得意げに光沢を出した。先代は真っ二つされたが、私は違うッ!この間きたメガネをかけた全身真っ白のお姉様により最高の硬度、最高のカメラアングル機能、最高の画像解析度を得た「ディスプレイ-傀」だ。それぞれが抱きついた時に胸の接触部分のアップを右半分に左半分は男の表情を!

ハリウッド映画を超えるコマ割りをリアルタイムで表現してやったぞ、ハハッ!さぁ、先代の無念。今ッ!ここd…

 

メキャアぁ

 

あれ、前が見えない。心なしか半分になったような気が…パリィ

ん?なんだか上半分が…ミチィ。また横半…めりっ。まT…

 

ディスプレイのあった場所にピンポン玉くらいの黒い塊がある

塊を見下ろす美女の目からは「血」が流れている、そうまるで涙のように

 

五日は最後に一杯のんでおこうと思い瓶に手を伸ばす。瓶の下に差し込むように伝票が挟まっていた。

 

本日のお会計

 

ラフロイグ瓶、ロックセット ¥10,000

 

以上

 

※ディスプレイは自身の慢心による消失のためお代には含まれません。

慢心、ダメ、絶対。   スナック フリート

 

五日「会計済ませたから俺は先に帰るぞー、またな。」

新聞紙を折続けると月に届くんだっけ?これは仕組みが分からんけどディスプレイを折りたたむと黒いピンポン玉ができることは分かった。

一万でイギリス戦艦と空母が手に入るなら女王陛下のお小言なんて屁でもない、いい買い物だったな。なぁ、大和。

 

簪の桜のアクセサリーを指先で撫でながら扉を開けた。




とある日のとある訓練基地

英「あら?未だに箸も扱えないの?ジャガイモは。仲間に介助してもらいながら食べるなんて、もう国に帰って余生でも過ごしてなさいな。」
独「ハハッ!大切な料理をその国の習わしに従って食べる努力している者に対して茶々を入れるとは、さすが嫌味の国のお嬢様だ。そんなに母国愛が強いならさっさと国に帰ったらどうだ?今の発言もお国でなら盛り上がるのだろう?紅茶ジョークだっけ?」

英「あ?」
独「お?」

男「どうしましたか?スイさん、ビスちゃん。料理美味しくなかったでしょうか…」

英・独「いえ!◯◯!今日のお料理も素晴らしかったので、どこが良いか語り合ってたらちょっと白熱しちゃったんです!」肩クミー

男「ああ、ちょっと照れますね…2人に褒められると、その…どうやったらもっと美味しく、もっと笑顔にできるかと私も頑張りたくなるのでありがたいです。2人の仲良い姿、大好きで…あ、これはその…すみません!失礼しました。」

英「あ、プロポーズされちゃった」
独「あ、プロポーズされちゃった」

英・独「「あ?」」

青葉「青葉見ちゃいました…ていうか毎日見ています」
パシャ、パシャ
望月オリジン「これは、流行る!」
ノート広げカキカキ

のちに現在第四次が鋭意製作中の国民的人気SRPG「スーパーにゃんこファイト」が生まれた瞬間である
艦娘がデフォルメ化され、1人の提督と結ばれるためライバルと戦い成長する。選んだ主人公により様々な戦略・仲間・ストーリーが異なりやり込み度も高い、まるで見て来たような濃密なストーリー、一緒に戦っていたかのようなリアルなカットイングラフィック。作品を重ねるごとに増えるライバル。

とある日のとあるスナックにあるディスプレイ

ついに、あの艦娘が参戦…
「Sally Go!主力艦隊、抜錨する!」「艦隊戦か…腕が鳴るわね!」
「イタリアの本当の力、お見せしますっ!」
「行きます!航空隊、発艦始め!」
永きに渡る戦いに終止符が打たれる
様々な国の戦士を影で支え、時に叱り、時に励まし、彼女から手渡されたものを食べると疲労は消え去りライバルとの戦いに備えることができた

4人の戦士たちの交差する視線の先に現れた艦娘…

「アイスクリーム、どうぞ召し上がれ♪」キラーン⭐︎

第四次スーパーにゃんこファイト・ファイナル 今秋発売
「きみは時の涙をみるか…」プツン

全身白いメガネのお姉様「うおおおおお!ついに出るのか!」
白い割烹着を着た大きな赤いリボンの女性「ふふふ、そうみたいですねぇ♡さ、そのお酒にはこちらのアテがピッタリですよ」

スナック フリートは今日も平和です
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