ダンジョンで暮らすのは間違ってるらしいケド……。   作:ハイキューw

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第5話 黒い男、これまでの経緯を振り返ってみる。

 

 

「へぇ……、それで眉唾で荒唐無稽な夢の話を神の前でしたって訳。それもあの(・・)ファミリアの主神に」

「あーはっはっはっは! その通―り! まっ、全部夢の中の話で~ 云々は言ってないけどね。フレイヤの姫さんには多分 嘘は通じないのは解ってた事なんだけど、オレ自身が(・・・・・)半信半疑な話ってのはどうだろ? ってちょっぴり興味もあったかな? まっ、テキトーにお茶した後はお暇したから、姫さんがどう思ってるかまでは聞けてないけどね」

 

ホームに戻って談笑タイム。

賑やかな声が響いてくる。

 

「ふーん。それで信じて貰えてそうだったかい?」

「んー、どうだろ? 最初は目を丸くさせてたんだけど、最終的には笑ってたかな微妙かな」

「そりゃそうだろうさ」

 

ルシファーは、備え付けられているスライム式のソファーにだらりと寝転んでいた。

人を堕落させるのには、十分過ぎる程の威力を備えているソファーだ。

ここに座ったら、一瞬でだらだらさせてくれる。眠ろうと思えば10秒で良い。まさに最高。

素材は一級品を揃えて職人に直接オーダーメイド。贅沢と言う文字を存分に使ってるから、当然と言えば当然なのかもしれない。

 

 

賑やかになったのは、そこに一仕事を終えたフロラが戻ってきたから。

今日 地上であった話を聞かせていたのである。

 

 

「今日も楽しそうで何よりだ。それで、こっちの話も進めたいんだけど良い?」

「んんっ! 了解! それを待ってたんだよ、オレ」

「だらしなく寝てた癖に、待ってたはないでしょうが」

 

 

一頻り話を聞き終えた所で フロラは、ふぅ ともう1つ軽くため息を吐くと、今日の仕事に関してを説明し始めた。

 

 

「このエクストラ階層だけど、とりあえず以前より3~4階は増設したよ。デインがホブゴブリン達をしっかりと統率する様に言い聞かせてるから、ゴブリン達の陣形が乱れたり、アイツらが冒険者にやられて死ぬような事も とりあえずなさそうさ。強い奴が来たら逃げる様にってのも再三言い聞かせてるからね。勿論、その逆、冒険者側も然り。ネイルは、ダンジョントラップの起動確認してたよ。あのバカ、入り口(スタート)に戻すトラップの筈なのに、一気にゴールまで跳ぶ様に設定してたらしくてさぁ。……ほんっと良かったよ。ちゃんと起動確認する様に頼んで。タダでドロップアイテム持ってかれるトコだった」

「現場監督 お疲れさん、フロラ! んじゃあ、後は任せろ! のんびりタイム終了っ!」

「ん。任せたよ。……………ん」

「ん? ああ」

 

フロラは、ふよふよ と宙を泳ぎながら、軈てルシファーの手の届く位置にまで身体を下した。 その仕草を見て 直ぐにぴんっ、と来たルシファーは フロラの頭をそっと撫でる。

エメラルドに輝く髪は触っているルシファーにとっても心地良い感触。いつまでもそうしていたい、と思える程だ。

 

 

「今日もお疲れ様フロラ。いつもありがとな」

「……ああ」

 

 

容姿も雰囲気もTHE・大人なフロラ。

 

賑やかな2人娘とルシファー含めた 纏め役、世話役ポジションっぽいフロラだが、時折甘えた仕草も見せる。

かなりのギャップがあるかもしれないが、ルシファーの前でしか見せないので、彼女とルシファーだけの秘密の1つなのである。

 

 

因みに、怒らせたら4人の中で1番怖いと言う意見もあがってるので、それぞれがバレる訳にはいかない……と思っているのはまた別の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、ルシファーたちの説明を入れておこう。

 

 

 

 

 

 

この世界で目覚めた彼らには、当初言っていた通り記憶が無い。

 

 

気付いたら、この地下迷宮(ダンジョン)と呼ばれる、この世界唯一のモンスターが沸き出る未知の穴深くにいた。

 

 

薄暗く、じめじめした寂しい場所で1人だけ―――と思っていたら、そんな彼を、ルシファーを見守るかの様に3つの光たちが彼に集っていた。

 

 

赤・青・緑の光源は やがて形を成し、それぞれデイン・ネイル・フロラの美しい美女、美少女の姿へと変わったのだ。

 

彼女たちもルシファー同様に記憶は全くない。……が、記憶がなくとも、まるで最初から解っていたかの様に、まるで魂に刻まれていたかの様に、本能的にルシファーを主として仕え、慕って共に暮らしている。

 

ルシファー自身も同じく彼女たちを会った当初から真に信頼し、そして親愛もしている。

つまり、生まれはダンジョン、出会った時から この4人は家族同然なのだ。

 

 

一先ず孤独と言う強敵はやっつける事は出来そうだが……、問題は次だ。

 

 

この洞窟(ダンジョン)で目覚めたのは もう起きてしまった事なので この際仕方ない。

ただ この先、どうしようか……、何をすれば良い? と言う何も解らない知識不足なのが問題だった。

 

この世界の成り立ちも、この場所も当然ながら当初は全くわかってなかったから。

 

 

なので、4人で相談していた結果。

 

この場所がどういう場所なのかは一先ず置いといて、此処を住み心地の良い様に改良・劇的ビフォアーアフターしよう! とネイルが大きく手をあげて提案した。

 

 

勿論、それに反対する者は皆無であり、全員が大賛成。

 

何をどうするれば良いかは解らないけれど、何もしないよりは良い。

とにかく何かをやってみよう、と。

 

そして、まるでそれを待っていたかの様に、淡い光が自身たちを包み込み―――ダンジョン内に新たなエリアを構築できるような力がそれぞれに備わっていった。

 

デインが、ダンジョンに無限に湧いて出てくるモンスター関係の特化型。

ネイルがフロア構築、ダンジョン拡張のエリア関係の特化型。

そして、フロラがその全てを補完できる様に満遍なく、バランスよく使用する事が出来る万能型。

 

ルシファーに関しては………所謂 戦闘特化型? に落ち着いた。

何故だかは解らないが、恐らくは戦闘ばかりしていたからだろう。如何に主である、とされているとはいえ、ルシファーは男で、3人は女。先陣切って出ていくのは男の役目なのだ、と。

 

 

そして、新たなエリアを作った。

10m程の四方の正方形型の空間を作成し、更に あれやこれやと組み立てていった。

 

 

洞窟の素材やら岩盤やらを元に、住処を作る為にドンドン作っていく。

 

その姿は、 ブロック積むぞ! ブロック積むぞ! ビルダーズ! である。

 

 

時折湧いて出てくるモンスターは、ある程度形が整うまでは 男であるルシファーが担当していたのだが、新たに生成したエリアのモンスターは少しばかり勝手が違う様だった。

 

最初のダンジョンで遭遇していたモンスターは 凡そ、知能と呼べるものは殆ど無い。

無垢と言って良い。ただただ人を狙って襲ってくるだけの存在だった。

 

だが、自分達で拵えたダンジョンから発生するモンスターたちは全く違った。

 

明らかにこちらにコミュニケーションを図ろうとしてきたり、出来上がった空間の中、あっちこっちで走り回ってまるで遊んでいたり……と、通常のモンスターたちと行動パターンが全く違う。更に違うと言えるのはその姿。厳ついのも居れば、牙を剥き出しに涎を垂らしながら向かってくるものもいるモンスターたちなのだが、……実に愛らしい姿へと変わっていた。

 

無論、一歩外。今まで存在していたダンジョンの方へと戻ってみると…… グロテスクな従来通りのモンスターたちが蔓延っている様なので、この新たに生成したダンジョン、エクストラダンジョンのみの生態だ。

 

外のモンスターは、この中で生まれたモンスターに対しても、まるで異物を除去する! 汚物は消毒だ! と言わんばかりに目の色変えて襲ってくる。

なので、基盤が固まるまで、落ち着くまでは きっちりしっかりルシファーがカバー。

 

折角誕生してくれた彼らをイジメるのは許さない! とデインも協力するとの事で、大人しくさせ、ネイルがしっかりとダンジョンとダンジョンを繋ぐ扉を生成してくれて一安心。 

 

その過程で、モンスターを倒すと手に入る魔石や所謂 ドロップアイテムも沢山手に入るので、後々町に出た際に売買する事で、金銭面で全く問題なくなった。

普段の羽振りの良さは、この辺りから来ているのだ。

 

極めて希少(レア)とされるモンスターとも出会うので、ドロップアイテムも大量に獲れるから。

 

 

 

 

何日か立って(体感で)今日も そ~ら、エ~ンヤコラ~~! と皆で再び汗水流しながら 理想空間を作っていた所で、()が騒がしくなった。

 

 

 

 

 

仲間割れか何かしてるのか? と思えるモンスターたちの呻き声に続いて、明らかに人間のモノであろう喧噪が聞こえてきた。

 

 

それが、最初の人間たち、冒険者たちとの邂逅である。

 

 

当然、冒険者たちに最初、ルシファーたちは変な目で見られた。

明らかに軽装備。(寧ろ 装備と呼んでいいのか解らない)

武器も無い。なのにこんな場所に居る……と気味が悪い様な目で見られていたが、色々と押し問答している間に、モンスターを倒してあげたり、助けてあげたり。それらを重ねる事に打ち解け合う事が出来た。

 

その初めての人間が、酒場でも共に騒いだドリルと言う冒険者だった。

 

 

 

ドリルから、この場所……事、ここより上に存在する街―――オラリオの事。

冒険者の事、神の事、その派閥であるファミリアの事。色々な事を聞いた。

 

 

 

その後、皆で ダンジョンの外の世界――オラリオに足を運んで遊んだり、本拠地(ダンジョン)に戻ったり、を繰り返した。

 

 

ダンジョンと言うのは基本的に危ない。

下層へ進めば進む程、比例してモンスターの強さ、凶悪さは増していく。

 

 

そんな危ない場所で暮らすのは間違ってる事らしいけど……、神同士の派閥争いがちらほら目に付いて、ネイルもデインも街に遊びに来るのは良いとしても、腰を下ろすのはやはり、ダンジョンの中が良い。と言う事で引っ越しはせず そのままダンジョンで暮らす事になった。

 

 

その後は、見ての通りである。

 

 

ルシファーはダンジョン、オラリオで盛大に遊びまわり、他の3人も基本的にはダンジョン管理に回っているが、たまに一緒にオラリオで食べたり色々と見て回ったりと楽しんでいる。

ルシファーが外に行くのに、たまにしかついてこないのは、外に出ると色々と大変なのだ。ネイルやフロラ、更に見た目幼女と言って良いデインにも 冒険者・男神たちが寄って集ってナンパ紛いの事をしてきたり、珍しい髪の色をしているからか、最初は目だったりと大変だった。

 

基本的にルシファー以外の男は知らん、と素っ気ない態度なのだが、次から次へとキリが無い事もあって更に大変だった。

 

例え神であっても 態度を変えないのは 流石に無用な争いを諍いを起こしてしまうので、穏便にを主としてきたのだが…………、トラブルと言うモノは何処でも、どの世界でも必ず起こると言うモノだ。

 

血の気の多い冒険者が集うこの町、オラリオでは当然。

 

 

 

「さーて、一仕事終えた後は―――っとと、そうだったそうだった」

「?」

 

フロラは、頭から離された手を 名残惜しそうに見上げながら、首を傾げる。

特に今日――ダンジョン拡張やモンスター育成、討伐系以外の仕事は無い筈だし、ルシファー自身からも特に聞かされてない。

でも、こうやって思い出して――――更に良い笑顔をしてる時は決まって何かしてくる。と言うのは解る。

 

 

「今日はアレだ! 神さんたちの集会がある日じゃん!」

「え? ―――ああ、確か何か月かに1度あるっていうヤツか」

 

 

フロラも思い出したのか、頷いた。

以前知り合った神の中で、教えてくれた事がある。

神の会合。【神会(デナトゥス)

 

それはは神々の情報共有の場であり、ファミリアやギルドが提携して、都市全体を巻き込む催しを企画する場。

殆ど有名無実とはいっても、この神会(デナトゥス)は諮問機関として認められる様で、影響力はかなり高い。

 

 

―――とりわけ、一番盛り上がるのが【ランクアップ】した者たちの称号(ふたつな)を決める事だ。

 

 

今日酒場で、神ロキが盛大にヤケ酒食らった理由はきっとここにもあるんだろう。

あの神ヘスティアのファミリア……歴代最速でLv2 に昇格したベル・クラネルの称号(ふたつな)もここで決まる。

 

つまり、正式に地上に降りてきてる神々全体にベル・クラネルの名が正式に周知される。

自分自身の子供(ファミリア)……アイズが持つ最速記録を塗り替えられた、と。

 

ヘスティアを目の敵に、犬猿の仲だからこそ、あの酒場で盛大に悔しがっていた。

 

 

 

「はぁ、で? 今回も紛れ込む(・・・・)のかい?」

 

思い出した後のルシファーの笑顔を見て大体察したのだろう。

フロラは、ひょいっと頭を上げて視線をルシファーと合わせて聞いた。

 

 

「おう! 大体の時間は知ってるから、それまでに仕事ぜーんぶ片付けるぜー!」

 

 

ぐっ、とサムズアップするルシファー。

フロラは更にため息。

 

アレの何が楽しいのか……、と思ったりするが、別に止めたりする気はない。

でも……。

 

 

「あまり、目移りしないこと」

「ウッス!」

 

 

と言って、ルシファーの頭にチョップした。

 

ルシファーは解ってるのか解ってないのか……、ただただ笑顔で、ネイルたちの方へと向かうのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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