【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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もう、タイトル通りです(笑)ワチャワチャ!


97話 ベン

「あ、あなたは…」

 

「何だよその反応!?ボクだよ!ベン=テニスン!」

 

親友の名を自称するのは、緑色のジャケットを羽織った青年。歳は自分と同じか、それ以上だと思える顔立ち。身長も170を超えており、10歳の体躯であったベンとは全く異なる姿。

 

そう、間違いなく、ベンではないのだ。なのに、その男の空気は、どこか懐かしい雰囲気を醸しだす。

 

だが、まだ信用ならない。現に声も姿もそっくりな偽物がこの半年間潜伏していたのだ。簡単に信用していては後ろから刺されてしまう。

 

そう考える緑谷に対し、ベン=テニスンを自称する青年は手首を掲げ、

 

「見てよ!ボクのニュー ウォッチ!!前のよりもアップグレードされてるんだぜ!」

 

この、急を要する危険な状態にも拘わらず、

 

自慢する。

 

場違いな自慢と、誇らしげな顔。ニヒヒと笑うその顔はまさしく、中学3年生からの親友、ベン=テニスンだった。

 

「ほ、ほんとに…」

 

「だからそう言ってるじゃん!って…ああ、そっか。この姿ね」

 

自身の体を見つめるベン。

 

「ほら、今僕指名手配されてたでしょ?だから、色んな場所にいってもばれないように、アズマスにやってもらったんだ!まあこの姿がほんら」

 

「やっぱりアズマスか…」

 

ベンの言葉を遮ったのは、さきほど吹っ飛ばされた偽物。彼の姿は先ほどまでとは異なるものとなっている。いや、ベンそっくりではあるのだが、茶色の髪は白に、緑色の服装は赤色に。

つまり、補完色となっているのだ。

 

 

「うわ…変な色!けど、これでもうお前はボクに化けれないぞ!アルビード!」

 

名を呼ばれたのは、アズマスの助手、アルビード。

 

「…ああそうか。構わないさ!もう、タネは十分に仕込んだからな!」

 

開き直るように宣言する。

 

「お前のせいで日本にいられなかったんぞ!お陰でスモウスラマーカード ニューシリーズだって買えなかった!!」

 

「それならこちらも同じだ!貴様の体と同期してしまったせいで、あの異臭を放つ揚げ物(チリフライ)を摂取し続ける羽目になった!」

 

アルビードとベンの言い合いはまるで子供の喧嘩。

イマイチ話が飲み込めない緑谷の為にベンは説明する。

 

「あいつ、アズマスからオムニトリックスの試作品を奪ったんだよ。でも、ウォッチ自体はボクを(あるじ)としているから、装着したとたん、ボクの体に“同期”してしまったんだろうって…ほんと、いい迷惑だよ!」

 

そこで全ての謎が解ける。

 

ベンしか使えないエイリアンを使用できた理由。

ウォッチと類似した装置。

ベンと同じ姿。

 

親友がこの大惨事を引き起こしたわけではないと確証を得られ、多少は心が軽くなる緑谷。

だが、それでも彼の気は休まらない。

なぜなら、

 

「…イズク…ボロボロじゃん…こいつらのせいか」

 

先の衝撃でDNAリアンの拘束は逃れたが、以前彼らはこちらを睨んでいる。主人の指示がないためか動きはしないが、いつ、先の波状攻撃が繰り出されるかはわからない。

 

だが、緑谷は彼らを憎むのではなく、心配する。

 

「待って…彼らは…元人間なんだ…もう戻らないって言われたけど…だけど…僕は!!」

 

なんとかしなければ…割れた頭を押さえながら、思考を巡らせる。

再び力を振り絞り、立ち上がろうとする緑谷。だが、ヒビが入り続ける彼の体は、もうどう頑張っても立てない。

 

地に這いつくばる緑谷の肩に手を置くベン。何かつぶやくと、スタスタとDNAリアンの方へ歩いていく。

 

「あぶな…!」

 

「大丈夫だって!…オムニトリックス!」

 

不意にベンが呼び掛けると、ウォッチが作動する。

 

【DNA異常を感知。DNA情報を書き戻しますか】

 

「頼んだ」

 

淡々と事務をこなすようにベンは命令する。

その声に反応し、オムニトリックスからは緑色の光が。

 

「ギィィイ!!?」

 

ドラキュラが太陽の光を浴びるように、DNAリアンは叫び声を上げる。体中をグリーンライトに照らされ、彼らはドサリと倒れる。

 

すると、顔に付着していた紫色のヒトデ、ゼノサイトがポロリと外れる。

 

体を覆っていた黄土色の皮膚はぺろりと捲れ、中からは人間が出てくる。

 

そのうちの一人は、

 

「お母さん!!」

 

緑谷の母だった。意識はまだ取り戻せていないが、息はある。その確認をした緑谷は、先ほどとは反対の、安堵の涙を流す。

 

と同時に、緊張の糸が切れたのか、蓄積されたダメージが一気に彼を襲う。もう意識も保てない。

 

意識が途絶えそうになる中で、視界の中央にはベン。

 

「てゆーかイズクもやばいじゃん…なんだよその目。カラコン?」

 

そんな彼に軽口をたたきながらも、ベンは先と同様に光を当てる。

 

すると、黒鞭状の左腕はシュウシュウと煙を上げる。

白煙と化した頭髪は深緑色のくせっ毛に。

そして、体中に入っていた亀裂は見る影もなくなる。

 

「ベ、ベンく…」

 

「これで大丈夫!あ、それとこれを渡そうと…って」

 

ベンの言葉を聞く前に緑谷はその目を閉じていた。それもそのはず。エイリアン化していたため感じられなかった疲労が一気に襲ってきたからだ。

 

そんな緑谷に対し相変わらず変な奴だとおもいながら、ベンは彼を横たえる。

 

その様子を見ていたアルビード。赤色の瞳を輝かせ彼はベンを挑発する。

 

「オムニトリックスにそんな機能があったとはなぁ。まあ、所詮副次的なもの。これはあくまでこの宇宙を支配するための力なんだよ」

 

「ったく…どいつもこいつもウォッチをなんだと思ってるんだよ!アズマスもブチ切れてたぞ!」

 

「ふん。もはやあいつなんぞ僕の敵じゃない。この地球に僕の部下が何人いると思っているんだ」

 

彼が示すのは日本全国に配置されたハイエンド、DNAリアン。そして、適合者たち。

例えベンがウォッチを使おうとも、日本全国に散らばる配下を止めることは不可能。

 

アルビードの言葉に、ベンは

「はんっ!お前なんかボクがワンパンさ!そもそも、誰が1人なんていった?」

 

悪だくみをするように、ニヤリと口角を上げた。

 

【雄英高校】

 

ヒートブラストの力を宿した荼毘、いや、轟燈矢。その圧倒的な力に成す術なく敗北したエンデヴァー。彼の前に現れたのは、中年と少年の2人組だった。

 

中年は自分と同じくらいの年。だが、少年の方は知っている。なぜなら、

 

「お前は!!ベン=テニスン!!」

 

オールマイトを葬った、息子の同級生。その名を口にだし昂るエンデヴァー。そんな彼を諫めるのは、茶髪で筋骨隆々な中年。

 

「大丈夫。彼はあなたが知っている彼じゃない…しかし、お互い、息子の教育には困りますね…」

 

この状況に似つかわしくない、余裕なセリフ。中年は顎髭を触りながらエンデヴァーに語り掛ける。その顔付きは、体育祭で見ていたベン=テニスンの面影がある。

 

ベン=テニスンの父か?

 

疑問が顔に出たのか、中年は答える。

 

「ああ、オレは彼の父親ではないですよ。とにかく、後は任せてください」

 

あまりにも穏やかな声に、言い返すことができなかったエンデヴァー。中年は,

隣ではしゃぐベン=テニスンに声をかける。

 

「Amazing!!!! All the humans in this world are like aliens!!」

 

「ベェン!翻訳機能をつけ忘れてるぞ」

 

「Oh!aa…ああ…うん。オッケ!!にしてもすごいや!人間全員が火を噴いたり、空を飛んだり!ボクもこっちの世界で生まれたかったよ!」

 

「はは。それだと、オムニトリックスと出会わなかったかもだぜ?」

 

中年は少年の手首の時計と、己の両手首に視線を送る。

 

「あー…そういやそっか!じゃあ、何に変身すんの!?」

 

「とりあえず、今はこいつがベストかな」

 

中年が少年のオムニトリックスに触れる。すると、少年のベンは水色の両生類に変身する。半2足歩行の彼は、冷気をこぼしながら、野太い声で喋る。

 

「あ、これって!」

 

「そう。あの時君が名付けた、アークティッグイグアナさ。そして俺は…」

 

中年は両腕をクロスさせる。すると、両手首に装着してある装置が互いにふれあい、緑色に発光。

 

気づいたときには4本腕の、巨大な恐竜に変貌していた。

 

「フォーモンガソー!!…しかし、こうして戦うのもマックス爺ちゃんの誕生日以来だな」

 

「そうだね!今回も、ボクらしく勝とうぜ!」

 

「ああ!」

 

エンデヴァーを助けた少年と中年。その正体は、

原初のベンである【ベン10】と、その【未来のベン10000】だった。

【福岡】

 

「君たちは一体…誰なんだね?」

 

厳かな雰囲気で尋ねるリ・デストロ。背中には柱を生やし、会話している今でも紫色の電気を放っている。

 

予想外の出来事にいら立ちを隠せない彼。その目の前にいるのは、15、6の少年と、藍色のスーツにセーバー銃を携帯したスタイリッシュなエイリアン。

 

「うわぁ…こっちの世界は…エイリアンと人間が混ざっちゃってんのか…」

 

「ベン。それは違います。正確に言えばエイリアンDNAを起源とした能力を有する人間とエイリアンDNAが融合しているのです」

 

「エイリアンDNAを起源って?…んん?…あーもー!!そんなのどうだっていいっての!どっちにしろ、こんなやつら、ボクに係ればお茶の子さいさいだっての!」

 

「オチャの子?オチャ…というのは誰のことですか?それとも、目の前にいる彼がオチャさんの息子だとか…?」

 

トンチンカンな言葉に、ベンはジト目でパートナーを見つめる。

ジト目でパートナーを見つめるベン。

 

「ルーク…」

 

呆れたように名前を呼ばれた配管工は、ため息をつきながら学習する。

 

「そうですか、なるほど。地球の言い回しですね」

 

「そういうこと。じゃ、いっちょやりますか!!もちろん、こいつでね!!」

 

お気に入りのエイリアン、フィードバックに変身したのは16歳のベン。その隣にいるのは惑星ラバンナ出身のパートナー ルーク=ブランコ。

 

様々な時空を飛び越え、色々なエイリアンと戦う彼らは、【ベン10オムニバース】と呼ばれた。

 

 

 

【岩手…鈴樹市】

 

「…どんだけ敵居るんだよ…」

 

「なんでも、∞増殖系の能力を持っているそうよ」

 

青みがかかった瞳の少年は、目の前に広がる景色にうんざりする。

ディトーのDNAに適合したトガヒミコとトゥワイスは、今なおその数を増やしている。

 

そんな彼らを一瞬で後退させたのは、1人の少年と1人の少女。少年は少女の言葉を聞いて舌なめずり。

 

「∞増殖…すごいね。まるでラスボスじゃん…映画化したら500億は下らないぞ!」

 

彼の頭の中ではすでにそろばんが打たれている。

この現状をも商売だと考えられるほど図太い少年。髪の色も瞳同様青みがかっており、体中に着けたアクセサリーもクールブルーだ。

 

「馬鹿なこと言ってないでやるわよ」

 

そんな彼を嗜める少女の髪色は、対極であるオレンジ色。瞳は緑色であり、どこもかしも違うのだが、どこかこの2人は血のつながりを感じる。

 

そして、明らかな共通点は、手首のオムニトリックス。

 

「わかってるって!この、“ヒーローウォッチ”さえあればなんだってできる!」

 

QBAANN!!

QBAANN!!

 

「ローラーウェイ!!」

 

少年はキャノンボルトに変身したにも拘わらず、そう叫ぶ。彼にとっては、このずんぐりむっくりとしたドッジボールは、キャノンボルトではなく、“ローラーウェイ“なのだ

 

「あんた、エイリアンに名前なんて付けてるの!?」

 

「なんだよ。ファン投票で決めた名前だぞ?人気投票だって常に上位さ!」

 

マックスが早くに亡くなり、強敵もあまり存在しない次元。

 

その孤独を紛らわすため、オムニトリックスによる戦闘を商業化し、世界一の人気者、大金持ちとなった少年。人々は彼を、【ベン23】と呼ぶ。

 

そんな彼に厳しいツッコミを入れる少女は、ほんの少しのズレで主人公が交代した次元の少女。彼女の物語の題名は、【グウェン10】。

【京都】

 

 

爬虫類系のエイリアン全ての能力を有するスピナー。京都の町は軒並み崩壊した。ヒーローもほとんど逃げて、残ったのは動けない市民と一握りの英雄。

 

その英雄には、雄英から派遣されたB組ヒーローも含まれている。

 

絶望的状況下で、スピナーを吹き飛ばし、拳藤達を救ったのは2人の男女。

 

「あ、あなたは」

 

「あら。意外とわかんないもんなのね、イツカ。あたしよ、グウェン」

 

赤みがかった髪色と、スラリと伸びた手足。大人びた服装の彼女は、自分の名前を呼ぶ。

 

「!?」

 

「その、色んな事情があってね…けど、間違いなく、」

 

ふわりと拳藤を浮かせる。

 

「あなたに魔法を教えた、グウェンドリンよ」

 

空手と、個性と、魔法を使う最強のサイドキック。

拳藤を助けたのは彼女だ。

 

では、目の前の化け物を吹き飛ばしたのは?

 

その疑問は直ぐに解決される。なぜなら土埃の向こう側には、男性の立ち姿が確認できたから。黒のTシャツにグレーのパンツ。加えて黒髪であるため、一見地味。

 

しかし、彼は地面に触れた瞬間、その体色をコンクリート色に変化させていく。まるで【吸収】したかのように。

 

アメリカのヒーローでも見たことがない顔つき。グウェンに尋ねると、なぜか歯切れが悪い。

 

「あの人は…?」

 

「あぁ…その…いや、一応正気には戻ってるし…そのうち監獄にぶち込むわよ?今だけ協力してるんだけど…」

 

口早に説明する彼女に対し、男性は大声で訊く。

 

「グウェェン!こいつ、やってもいいのか!?」

 

「ケビン!!もうそいつはダウンしてるでしょ!!」

 

 

【士傑高校】

 

キャノンボルトと融合したギガントマキア。暴走車と化した彼をなんとか食い止めようとした関西ヒーロー達。

 

だが、相手は歩く、いや、転がる天災。

 

人間が如何にして止められようか。そんな諦めがファットガムの脳内をよぎった時、少年2人が不意に現れる。

 

「なんや!!はよ逃げぃ!!」

 

彼の言葉は2人に届いていない。緑色のモジャモジャわかめ頭と、どこかで見た茶髪の少年。

 

茶髪の少年は、緑髪の、手首に時計をつけた少年に語り掛ける。

 

「まさかもう一回こいつと戦うなんて」

 

「うん。一応訊くけど、鈍ってないよね?ベン君」

 

「当たり前だろ?」

 

自慢げに、鍛えられたその筋肉を見せつける少年。

 

「僕は、OFA10代目継承者 ベン10だぞ!イズクこそ、ちゃんと使えてるのか?それ!」

 

「もちろん。今は、999体目の使い方をマスターしてるところだよ!」

 

緑髪の少年は、手首の時計を操作する。キュワンと音をたて、エイリアンのシルエットを見せる時計。

 

それは、紛れもなく、オムニトリックス。

 

「じゃ、行こうか!」

「ヒーローとしてね!」

 

彼らは、この物語から1つズレた世界、

【ボクのヒーローアカデミア】と【デク10】の世界から来た、

ベン=テニスンと緑谷出久。

 




ベン10名物、多次元のベンとの協力です。
基本的に無印とオムニバースから登場してもらってますね。
なお、今のベン達の姿については、
ベン、グウェン、ケビン…エイリアンフォースの頃の姿
アルビード…15歳のベンの姿だが、その色は補完色に。装置のハウリングが起きたから。

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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