【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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究極=


98話 究極

赤いジャケットを羽織り、赤い瞳で睨みつけるアルビード。

その対象は、

緑色のジャケットを羽織り、緑色の瞳で笑うベン=テニスン。

 

各地からの連絡を脳内で受け、その細部を把握するアルビード。

 

「他次元から仲間を呼んできたのか…」

 

「そういうこと。タイム…じゃなくて次元トラベルさ!」

 

とある博士に協力してもらい、様々な世界線に飛んだベン一向。数か月かけて、ようやく仲間がそろったのだ。

 

「なんか変な感じだったよ。特に、ボクが日本語を話せない世界線だと、“個性”が存在しなかったし!けど、まあ楽しかったよ、色んなボクに会えて。」

 

余裕の笑みを浮かべながらウォッチに手をかける。

その余裕の根拠は、

 

「もちろんその中には、お前を倒したボクだっていたさ!」

 

多次元の自分が目の前の敵に打ち勝った事実。

 

対するはアルビード。

ベンの登場自体には驚きを隠せなかったが、計画自体は終わっていない。

 

そう考えながらガントレットに手を添える。

「その次元の僕は事の運びが下手だったんだろうさ。」

 

「いいや?お前も同じだ!」

 

両者はそのセリフを言い終えた後、装置を押し込む。

 

QBANN!

QWANN!

 

彼らの体にエイリアンDNAが注入される。

 

ドクンドクンと心臓は脈打ち、血液は全身をエイリアン細胞に変化させていく。

 

細胞が分裂・変異したかと思うと、胸骨格は膨れ上がり、体中の皮膚はゴツゴツと剛質に。

 

土色をした尾が尾骨から伸びて、地面に垂れる。

 

2本脚で歩く恐竜といえば想像は容易だろうか。古代の生物を思わせるその様相。

 

クリクリとした大きなベンの瞳が、爬虫類のようなつぶらな瞳になった所で変化を終える。

 

「ヒューモンガソー!!!」

 

変身した勢いでその名を叫ぶベン。ウォッチが新しくなった時から、彼は変身時にその名を叫ぶようにしていた。

 

まるで、自分はここにいるぞと表明するかのように。

 

対するのもヒューモンガソー。瞳が赤いこと以外は瓜二つ。

 

この戦いを観戦しているのはホテルに籠る異星概観信仰派のみ。彼らはこぞってガラスの内から両者をじっと見る。

 

どちらが正義の味方で、どちらが世界の混乱を招いたのか。彼らには区別がつかなかった。

 

仕掛けたのはアルビード。その巨体は周囲のアスファルトに足跡を作りながら突き進む。

「ぬぅぅぅぅん!!」

 

一挙手一投足が大地を揺らす敵に対し、ベンは真っ向から迎え撃つ。体長10メートルの化け物2体が、両手を合わせがっしりと組み合う。

 

「おおおお!!」

「っぐぐぐ!!」

 

同じ変身であるため、力は拮抗。このまま長期戦になる、

 

かと思われたが、其の予想は外れる。

 

手首を返し、足元を蹴り弾くベン。

 

アルビードは、その巨体が仇となったのか、直ぐに体勢を直せない。

 

その間にベンは相手の背後に回り、尻尾をギュムっと掴む。

「なっ!?」

 

力任せにブンブンと回す衝撃波で、周囲の廃車は粉々に。それでも気にも留めず回す回す。

 

「おおおおおおおお!!」

 

千切れんばかりに尻尾を振り回したかと思うと、ビルと同じ体躯のアルビードを、

 

廃屋となった住宅街へぶん投げる。

 

BWOOOMM!

 

「おらぁぁぁぁ!!」

 

 

ガラガラとブロックを押しのけ、アルビードは立ち上がる。しかし、その顔は苦虫を潰したように歪んでいた。

「っち…」

 

「残念だったなアルビード。お前じゃオレには勝てない!」

 

ヒューモンガソーVSヒューモンガソー。本来決着がつかないように思えたその勝敗は、ベンの圧勝だった。

 

その理由は、練度。

 

ベンはウォッチを手にして約2年経つ。

雄英での訓練を経て、そしてこの半年間の次元トラベルにより、彼は新オムニトリックスの使い方をマスターしていた。

 

対するアルビードはここ半年しかその装置を使用していない。それに、ベンであることを疑わせないために、フォーアームズやダイヤモンドヘッドといった初期エイリアンにしか変身していなかった。

 

もちろんアルビードもある程度は戦える。それこそ、この国のヒーローが束になっても勝てないほどに。

 

だが、ウォッチの力を持ったベンは別。

 

闘いのセンスではベンに後れを取っているアルビード。そのことを自覚し、やや感情が乱れる。思い出すのはアズマスの声。

 

【お前は直ぐに争い優劣を決めようとする。だからこそ愚か者なんじゃ】

 

脳内の師はいつでも自分を認めない。その事実に辟易しながらも、彼は冷静になる。

 

いまこそ、優劣を決める時が来た、と。

 

「…オムニトリックスの機能を知っているか?」

 

まだ勝算は大いにある。むしろ、自分が負ける道理が無い。

 

「え?」

 

突然、会話を始めるアルビード。その姿は未だ恐竜型エイリアンのまま。

 

「アズマスは使用者の負担を考え、オリジナルよりも弱体化させている。もしオリジナルを再現してしまえば記憶の混合が起こってしまうからな。」

 

その話を聞き、思い出すのはリーバック。脳無から直接DNAを採取、変身したとき、脳無の記憶がベンに流れてきた。

 

だが、ベンもそのことはアズマスから聞いている。

 

「知っているさ。ウォッチはあくまでも種族間の橋渡し役。無理して戦闘力を上げるべきじゃない」

 

次元トラベルでこれまでとは日にならないほどの人間と出会って来たベン。多種多様な考え方に触れ少しばかりは大人になったのだろう。

 

アズマスの意図を汲み、その説明をなす。

 

その言葉を聞き、アルビードは嘲笑を浮かべる。

 

「はっ。何のためのオムニトリックスだ。全知全能たるエイリアンにまで変身できるのに、戦闘に使うべきでない?お前だって私欲を優先し、戦闘に使っていただろう!?」

 

「うっ!」

 

痛いところを突かれて押し黙るベン。

 

「だが、やつはお前を認めた…ふざけるな…」

 

“全ては僕のために”

 

アズマスの助手だったにも拘わらず、その思想は正反対。

全宇宙を支配し、自身の優秀さを理解させたい彼は、力に溺れ始めていた。

 

ゴツゴツとした冷たい右手を、アルビードは胸のマークに宛がう。

 

「オムニトリックスはオリジナルより弱体化させて変身している。」

 

では、その逆に、オリジナルより強化したならば。そしてその強化個体を制御できたならば。

 

「オムニトリックスを超える装置。それがこの、アルティマトリックスだ!!」

 

その巨大な手は、オムニトリックスマークをパチンと叩く。まるでウォッチを押すように。

 

ZQAANN!!

 

すると、マークは赤く発光。そして、マークを起点として、彼の体に変化の波が波及していく。

 

体は一回り大きく。皮膚の色は土色から苔色に。背中からは棘が生えて、尾の先端には棘のついた球体が。

 

先までのニュートラルな恐竜人間とは異なり、アンキロサウルスが二足歩行しているかのような様相。

 

ややメカチックな装飾が施された手には筒のようなものが4つずつある。

 

変身を完了した時、まるで意趣返しのように、彼は叫ぶ。

 

「アルティメット ヒューモンガソー!!!」

 

戦闘に長けたヒューモンガソー。そんなエイリアンの力を200%引き出した形が、アルティメット ヒューモンガソー。

 

さきほど同様、ズンズンと迫りくる緑色の恐竜。

 

ベンはもちろん背中を向けない。押し負けないよう巨大化しながら、拳を振るう。

 

DGOONN!!

 

が、相手の拳で吹っ飛んだのはベンのみ

 

ホテルを囲うように建っていたビルに倒れ込む。

さきほどまでの拮抗は嘘のように、簡単に力負けする。

 

「いってぇ…くそぉ!」

 

壊れた建物に手をつき起き上がるベン。正面を見ると、猛然とタックルを仕掛けるアルビード。

 

「おわっ!」

 

寸でのところで飛び避けるベン。手つきにしていたビルはそのタックル一撃で粉々に。

 

(完全にパワー負けしてる…これがアルティマトリックスか‥!!)

 

ベンは避けた先にあった廃棄された車を、

 

「うぉぉぉぉ!!」

 

THROW!!

 

 

思いっきり蹴り飛ばす。近接が駄目なら遠距離から。

 

ヒューモンガソーのことは一番理解している。彼の苦手は遠距離攻撃。

 

(これなら…!)

 

そんな甘い考えは、簡単に吹き飛ぶ。

 

GATYANN!

 

何かが装填された音。ツンと鼻を刺す火薬の匂い。向けられた敵の手。

 

本能の“逃げろ”という声。

 

それらすべては、U.ヒューモンガソーによるもの。

 

さきほどまでの巨大な手は収納され、手首の4つの穴がこちらを睨んでいる。まるで、銃口を突きつけるように。

 

「まさか!!」

 

DDDDOOO!!

 

耳を塞ぎたくなるような連射音。それに合わせてグルグルと回る両手。マシンガンと化した両腕からは、夥しい数の銃弾が撃ち込まれる。

 

避けようにも、後ろには避難民集まるホテル。一発でも当たれば倒壊してしまうだろう。

 

BANBABABANNN!!!

 

「ぐうううううう!!」

 

守るために、何百発もの銃撃を、その身一つで受ける。一発一発が必殺の威力。生物兵器の本領発揮とばかりに乱射する敵。

 

懸命に踏ん張り、これ以上後退しないように堪える。

 

一瞬クラリと来るが、それでも膝をつかないベン。

 

永遠とも思える地獄が、カラカラカラという音とともに止まる。それは、敵のバレットが空になったことを表す。

 

ワンセットを打ち終えたのか、アルビードの猛攻は休止する。

ベンは確認と挑発を兼ね、

 

「…もう終わりか?」

 

「いいや?まだまだこれからだ」

 

答えるアルビードの手からは硝煙が。

 

まだまだ攻撃が続くことは確からしい。そのことを理解しつつも、希望を見出すベン。

 

(確かに強い…これがアルティマトリックス…だけど…)

「そのぐらいなら全然勝て…」

 

QWANN!!

 

啖呵を切ろうとした瞬間、光り輝く体。光の中からは人間のベンが。

 

「はぁ!?なんで!?解除するほどダメージはくらって…ハッ」

(もしかしてさっきのDNA解析!?まさかそれでエネルギーを!?)

「なんだよ!!!そう言う大事なことは教えろよ!」

 

1人地団太を踏むベンに対し、アルビードは容赦なく構える。

 

「お前が死ねば僕の体も戻るだろう…哀れな人間体のまま、死ぬがいい」

 

ガチャリと次弾が装填、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

されるより先に訪れたのは、彼の顔面を捉える爆発。

BOOMM!!

 

「っ?」

 

爆発は攻撃と目くらましを兼ねたもの。濛々と立つ鼠色の煙のせいで視界は不明瞭。その中で、アルビードは聞いたことの無い声を聴く。

 

「一般人はさっさと逃げやがれ!!」

 

登場してすぐに切れ散らかすのは若い声。急に現れた人間に対し。排除対象のベンはこう叫ぶ。

 

「カッチャン!!」

 

「誰がカッチャンじゃぼけぇ!!!!」

ベンのピンチを救ったのは、緑谷の幼馴染、爆豪克己。

 

続いて、轟焦凍、蛙吹梅雨、麗日お茶子が到着する。

 

「大丈夫ですか?早く非難を!」

 

麗日がすぐさまベンを保護する。どうやらまだ彼がベンだと気付いていないようだ。

 

一般人への対応を見せる彼女に対し、青年姿のベンは名を呼ぶ。

 

「オチャコ!!」

 

「へっ?なんであたしの名前を…」

 

「ボクだよ!ベン!ほら!」

 

そう言ってオムニトリックスを見せる。

 

だが、元々のウォッチと変わっており、そもそも偽物も類似品を所持しているため、いまいち信用できない彼女ら。

 

「んでてめぇがあのクソチビなんだ!?どうせ愉快犯か模倣犯だろうが!!」

 

「あーもー!なんでそんなに怒鳴るかな!?だからイズクとも仲悪いんだよ!バカッチャン!!」

 

「んだてめぇ!!!」

 

再会早々口喧嘩をおっぱじめるベンと爆豪。

2人を収める麗日と轟。

 

「ちょ、そんなことやってる暇ないやろ!!

「お前がテニスンだとしたら、なんでお前はあんなことを」

 

そう。ベン=テニスンは世間的にはオールマイトを葬った人間である。クラスメイトである彼らも、それを覆す根拠はなかった。

 

轟は至極まっとうな質問を返す。

 

「だからぁ!アイツはボクの偽物!ウォッチを…あ、これは言っちゃ…あーもーいいや!とにかく、アイツはボクと同じ変身をできる装置をゲットしたの!そしてボクに変身してるんだよ!」

 

支離滅裂になりながらも懸命に説明するベン。これまでの経緯をとにかく話す。

 

そして最後に、

 

「とりあえず、イズクを安全な場所に。DNA異常は治したけど、ケガはまだ治ってないんだ」

 

彼の後ろには眼を閉じた緑谷。そして緑谷の母や、その他DNAリアンから元に戻った市民。

 

「デク君!!」

 

麗日は緑谷の元へ駆ける。そして、苦しそうではあるが、元に戻っている緑谷を見て、こう思う。

 

(例えこの人が偽物だろうと、デク君を助けたのは、間違いなくこの人だ)

 

市民にも気づいた爆豪は少し驚き、そして指示を出す。

 

「っ!?…おい蛙女!丸顔!」

 

「つゆちゃんよ」

「その言い方どうなん!?」

 

「うっせぇ!!丸顔がバ‥モブども、デク、蛙を浮かせ!で、蛙女はモブ3人、丸顔がデクを掴んどけ!!!」

 

緊急事態ゆえに、即座に個性を発動する麗日と蛙吹。

爆豪は説明しながら、両手をBONBOMと爆裂させる

 

「もうどこにも安全な場所なんてねぇ…だが、少なくとも雄英に行けばシェルターもあるしリカバリーガールがいる…」

 

「ちょ、まさか…」

 

何度も見てきた光景。爆豪が何かを投げるシーン。だが、今度は物ではない。

 

「だから…死ねぇぇぇぇぇ!!」

 

BOOOOOMM!!

 

一瞬で彼方まで消える計6人。その様子を見て少しばかり引いているベンと冷静な轟。

 

「うわぁぁ…カッチャン、今のはやばいね…」

「爆豪。人を投げるのはよくないんだぞ」

 

「黙れクソども!!!そもそも、お前があのチビだって認めたわけじゃねぇ!さっさと隠れてろ!」

 

爆豪の指示に対し、ベンはこくりと頷きながらも、

 

「大丈夫!少し時間を稼いでくれればすぐに回復するから!」

 

そうウォッチを見せる。

 

「確かに…テニスンっぽいな…」

 

ここで初めて轟がベンに肯定的な意見を口にする。

 

「とにかく、少しでいいから!!」

 

人間体の時には素直に人に頼るベン。彼らを信じ、身を隠しに走る。

 

そんなベンを目で追う轟に、爆豪は呼びかける。

 

「半分野郎…!」

 

舌打ちしながらも、

 

前に集中しろ、

 

と顎で伝える爆豪。

 

「ああ…わかってる…あいつ、強いぞ」

 

ようやく煙が晴れ、こちらを凝視するアルビード

 

いや、U.ヒューモンガソーが見える。

 

不意打ちだったにも拘わらず、ほとんどダメージが入っていない。

 

まさに、未知の敵。

 

「爆豪。行くぞ」

「命令すんじゃねぇ!!」

 




・無理ゲーだ…
・アルティマトリックスやオムニトリックスの仕様は、59話 個性の始まり でチョロっと書いてます。

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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