【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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頑張ってくれ、人間代表!!


99話 轟豪

小ぶりな雨で濡れる装備。雨の日や冬は、エンジンがかかるのに時間がかかる。それでも、市民が目の前にいるのに、言い訳するのは、ヒーローじゃない。

 

オールマイトを憧れとする爆豪は、未知なる敵と対峙する。

 

巨大な宇宙恐竜、U.ヒューモンガソー。

 

アルビードがアズマスから盗んだアルティマトリックスは、強力なエイリアンをさらなる化け物へと仕立て上げる。

 

互いに動かない。が、爆豪らが動かなかったのは警戒の為。アルビードが動かなかったのは、走り去っていくベンを見ていたから。

 

自分に注意を払わない敵に対し、爆豪は憤る。

「どこ見てんだクソ敵がぁぁ!」

 

BOMM!

 

先手必勝と言わんばかりに猛る。

爆破による飛行で空へと浮く。そして、冬服の防・発熱機能により、爆ぜる汗腺を刺激する。

 

徹甲弾機関銃!(A・Pショット=オートカノン)

 

BOMBOMM!! BOMBOMM!

 

掌全体の爆破を一点に集め起爆。これにより爆破は銃撃化し、貫通力も増す。一発でも敵を退ける銃爆撃を容赦なく連射。

 

が、

 

「邪魔だ」

 

BBWOON!

 

ただ腕を振るだけ。

たったそれだけで、渾身の徹甲弾はかき消され、爆豪もろとも吹き飛ばされる。

 

「ガッ!?」

 

ホテルのガラス戸を突き破り、壁にめり込む。ホテルに張られていたバリケードは、ボウリングのピンのように弾きとぶ。

 

「爆豪っ!!」

 

敵の様子見と爆豪のサポートに回ろうとしていた轟。建物内から戻らない爆豪を心配するも、すぐにその余裕はなくなる。

 

 

「…っち!」

 

 

ノッシノッシと5メートルはあろう足裏で、車を踏み潰しながら進むアルビード。

背中側にいる爆豪を守るため、轟は防壁兼攻撃を試みる。

 

「穿天氷壁!!」

 

PAKIPAKKIII!!

 

右手を地面スレスレにさらい、氷を出現させる。

 

普段は広域制圧、多人数への攻撃だが、今回は違う。

 

ただ巨大な一体のための、巨大な氷壁。

 

体育祭で見せた最高出力氷壁をいとも簡単に顕現させる轟。それは、この半年間での成長を示す。

 

美しい半透明の結晶が敵を襲う。飲み込まんとする氷は、10キロ先からでも判別可能なほど巨大だ。

 

しかしそれも、

 

「ふんっ!」

 

CRASHH!!

 

アルビードの拳で容易に砕かれる。敵を襲ったはずの氷塊。一瞬で粉々になった結晶は、氷柱となって轟に降りかかる。

 

「一発かよ…」

WHHOMM!

 

左腕からは赤く燃ゆる炎。

 

火炎放射で、氷を溶かしつつ、敵に牽制を入れる。自身と敵の間にある炎の壁は生物すべてが恐れるはずだ。

 

彼の考えのとおり、炎の向こう側で、アルビードの動きは止まる。

 

功を奏したのかと一瞬気を抜く轟。

 

しかし、その揺らめく炎の先から見えたのは、敵の銃口。さきほど、遠目から見た銃撃を思い出す。

 

「っ膨冷…」

(いや、駄目だ!威力が足りねえ…!!)

 

氷で冷やした空気を熱で膨張させ爆発を起こす“膨冷熱波”。

通常の敵には十分すぎる火力なのだが、これでは足りないと判断。

 

すぐに、奥義へと移行する。

 

(体中の熱を、引き上げろ!!)

 

瞬間、彼の周囲には陽炎が発生する。地面は焦げ、周囲の車は溶けだす。

熱が体に籠り、蕩けそうな脳を制し、放つのは

 

「赫約熱拳!」

 

父であるエンデヴァーから教授され、この半年で身に着けた究極奥義の一つ。

 

轟の左半身からは勢いよく焔が舞う。そしてそれらは左腕に集約し、さらに、拳一点に集中する。

 

「噴流熾炎!!!」

 

WHHOOMMM!!!

 

荒ぶる炎は炎塊となり、吹き出すマグマのように轟から放出される。

数発の弾丸を、圧倒的高熱、高圧の炎が飲み込む。

 

そこまでして、ようやく、

 

銃撃は弱まる。

 

轟の体を吹き飛ばす程度に。

 

DOM!DOMDOM!!

 

「ぐあっ!!」

 

爆豪同様、体をビルの壁に叩きつけられた。その時思い出すのは、神野での父の戦い。

 

アルビード扮するダイヤモンドヘッドに、勝てないながらも追いすがった父。

 

(あいつも…こんな気持ちだったのか?)

額から血を流す轟。少しずつ意識が薄まるのを感じる…彼の眼は、徐々に閉じていく

ホテル一階内部。周囲にはバリケードが張られていた。過去形なのは、さきほど自分が破壊したから。

 

爆豪は、背中に刺さるガラスを気にも留めず、思考を巡らせる。

 

(くそがぁぁ!!オレの攻撃も、半分野郎のも、全く効いてねぇ!あり得ねぇ耐久力、パワー!遠距離にも対応できるマシンガン…それこそ…)

 

脳裏に浮かぶのはオールマイト、そして、イカれた幼馴染。

 

先のベンを自称する青年は逃げれたのだろうか。いや、普通の人間の足ではそう遠くにいってないだろう。

 

ならば、まだ時間を稼ぐ必要がある。

 

“勝つこと”のみに執着する爆豪

 

だったが、小さいころから隣で、

 

“救けること”にのみに執着する人間が隣にいたためか、今、彼は、無意識にその身を動かす。

 

(救けて…勝つ…!!)

 

ホテルの瓦礫を押しのけ、壁にめり込んだ轟を鼓舞する。

「…轟ぃ!!何寝てんだこの天然半分がぁ!!」

 

「…爆豪」

 

本当はやりたくない。だが、救けて勝つためにはこれしかない。

 

「耳貸せや!!」

 

 

チャンスは一度。何度も使える手ではない。

 

「お前が知ってたとはな…」

 

「ああ!?勝手に俺の特訓場にいたんだろうが!!」

 

「ああ、わりぃ。お前も使ってたんだな。今度から声をかける」

 

「うぜぇ!!そういうことじゃねぇわ!!」

 

(ベン=テニスンは逃げたか…所詮、こんな辺境の星でオムニトリックスを遊びに使っていたガキだ。僕には敵わない。)

 

アルティマトリックスの性能に十二分に満足するアルビード。ベンとの戦闘、爆豪らとの戦闘であまりダメージが入っていないため、変身時間にも不安はない。

 

「さて、そろそろ、…?」

 

背後からの気配を察し振り向く。

 

すると、建物から2人の少年が出てくる。

 

「たった一発で足を引きずり、血を吐くとはなんて脆い種族だ」

 

そう見下した彼に、雄英生は吠える。

 

「おめぇは絶対ぇぇ、ぶっ殺す!!」

 

BOM!と爆ぜ、勇猛果敢に突っ込んでいく爆豪。

 

さきほど同様、腕で振り払おうとするアルビード。

 

しかし、敵のパワーを学習した爆豪は、ギリギリのところで避け、今度は彼の眼前に迫る。手を伸ばせば彼の眉間に触れるほどの位置。

 

「こんだけ近づけば…どっちかは食らうだろうが!!」

 

左手の爆液は圧縮し、右手の爆液は拡散。それぞれ爆発の温度を調整することで、

 

閃光盲爆(スタン・ブラインド)!!」

 

周囲を真っ白に照らす閃光とともに、周囲を包むのは黒煙。敵の視界を奪うことに特化した、嫌らしい一手。

 

その意図に気づき、咄嗟に目を瞑ったアルビードだが、どちらにせよ煙幕で視界は真っ黒。

 

アルビードは一瞬爆豪と轟を見失う。

 

「っち、面倒な…フッ!!」

 

目を押さえながら、息を吹く。それだけで周囲の煙は彼方へと霧散。

 

開けた視界には、

 

誰もいなかった。

 

「遅せぇ!!」

 

代わりに聞こえるのは懐からの罵倒。

 

(どんなに強くても、どんなに踏ん張りがきく奴でも、真下からの攻撃で浮かないわけがねぇ!!)

 

爆豪の考える通り、生物が地面に足を付けたまま、下からの力に耐えることは難しい。

 

というのも、そもそも重力という地球の作用がその機能を果たしてくれるから。

 

逆に言えば、ヒューモンガソーの体重何千トンを浮かばせるパワーさえあれば、

 

彼を空中へ運ぶことはできる。

 

「とりあえず…死にやがれぇぇ!!!」

 

カチャンと外れる籠手。この籠手は本来、リスクなしで最大火力を撃つ道具。

 

だが今回は、本来とは異なる用法で敵を討つ。

 

両籠手を外し、敵の懐へ投げる。これで普段の最大火力2発分。

 

さらに、籠手めがけて放つのは、反動有り最大火力。

 

二重榴弾砲着弾(ダブル・ハウザーインパクト)!!!!!」

BOOOMM!!

 

オレンジ色の閃光は、敵の体を爆破していく。

そして、籠手に溜められた爆液に攻撃が到達したとき、さらに爆発は激化する。

 

「ふっっっっ飛べ!!!」

 

BBBBOOMM!!

 

今爆豪が出せる、最高最大火力の爆撃により、ヒューモンガソーの巨体は宙へと舞う。

 

「っ?!」

 

予想外の一撃に空中での姿勢制御が崩れるアルビード。いくら彼とて、空中で自在に動けるわけではない。むしろ、その体躯が仇となって、身動きがとれない。

 

そんな苦手な空中で待っていたのは、体中に霜を下ろした轟。

 

(赫約熱拳は体中の熱を引き上げ、集約し放つ技。これを、右に応用する!!)

 

「蒼零凍拳!!!」

 

本来、彼の右は氷を顕現させる力。地面から氷を出現させ、もしくは地面を伝わせて敵を氷で覆う。

 

どちらも、あくまで“氷”で攻防していることには変わりない。

 

だが、限界まで熱を引き下げ、敵に触れるこの技は、

 

「玉塵零度!!!」

 

内部からの凍結を引き起こす。

 

PAKIPAKIPAKI!!

 

冷気が轟の右手から伝わり、敵の心臓部へ到達。その瞬間から臓器、体液、骨格全てが凍り始める。

 

FRFEEZEEEE!!!!

 

アルビードの体は、轟とともに落下したときには、体中が固まっていた。

 

「っはぁ、はぁ…」

 

轟は白い息を吐きながら、左の炎で体温を戻そうとする。しかし、まだ慣れていない技であったため、意識がぼんやりする。

 

まるで雪山に何十時間もいたかのように、震えが止まらない。

 

隣の爆豪も、容量超過爆撃により、両腕が痺れ、軋む。しかし、その痛みと、

()()()()()()()()()()という、自分にとって最も屈辱的な手段のおかげで、なんとか敵を拘束することができた。

 

「…へっ!!俺に勝てるやつなんざ!!どこに…」

 

もいない。そう言おうとしたとき、聞こえた。

 

GANN

 

小さな起動音が。

 

ガシン、ガシンという、まるで兵器が運ばれるような。

 

DOOMMM!!!

 

凍っているはずの敵からミサイルが飛び出す。それらは周囲の建物に着弾し、爆発。瓦礫の山と大火災を発生させる。

 

その衝撃と熱で、彼の体中の体液は煮沸し、体は最高潮の状態へと変化する。

 

「所詮この程度だろ?僻星のサルめ」

 

生物兵器は宣った。

 

正直、予想していなかったわけではない。自分達の最大火力で仕留めきれないことは。

 

しかし、まさか、10秒も持たないとは…

 

「…く‥そが」

「…ハァッハァ…な…んかいでも、…ぶちこむぞ」

 

ふらふらと立ち上がる2人の英雄。もう意識を保つことさえ一苦労。

そんな彼らに容赦なく、撃ち込まれるミサイル。

 

轟が氷を展開しようとするも、もはやそれすら敵わない。

爆豪も手足が痺れ、爆破がおきない。

 

それでも、前から目を背けなかったとき、

 

ECHOOOOO!!

 

横入りした超音波がミサイルを暴発させる。

 

雨雲まで吹き飛ばす爆発で、仰け反る爆豪たち。

 

「…な…んだ?」

 

彼らの前に出てきたのは、

 

「「「「エコーエコー!!」」」

 

白く、小さな、4()()の宇宙人たち。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




・なんというか、ドラゴンボールでいうピッコロ的立ち位置な感じですね。強いけど、相手が理外の化け物という…
・最後のエイリアンは、番外編に出てきた彼です!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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