【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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100話目にふさわしい、ワッチャワッチャの回です!


100話 チート

エコーエコー。

 

3頭身の体はまるでアニメキャラクター。体はホワイトシリコン製で、およそ生き物とは思えない風体。

 

薄緑色の眼と真一文字に伸びる口は宇宙人にふさわしい不気味さを醸し出す。

 

彼の特徴の一つは音波攻撃。アルビードの極爆ミサイルを、この超音波で起爆することができた。

 

そして、もう一つ。語らなければならない特徴が。

 

「もう大丈夫だよ!カッチャン!トドロキ!」

「なぜかって!?」

「ボクラがいる…」

「ってことだ、わかったかよ!!」

 

この、分裂能力である。

 

瓜二つ、どころか完全な分身をみせるエコーエコーを見て、轟は思い出す。

 

「そういや…救難訓練でも似たような分身してたな…」

 

「あれはディトーだけどね!」

「あっちの方がいっぱい分裂できるのよ」

 

「ああ、なるほど…」

 

それだけを言って黙る轟。思わず爆豪が突っ込む。

 

「んなことどーでもいいだろうがモブども!!そもそもクソチビが4人に増えたって意味ないだろうが!」

 

その言葉を聞いて聞き捨てならないと1人のエコーエコーが反論する。

 

「はぁ!?元のオレはもうチビじゃないぞ!」

「なんならボクの方がスマートなんじゃないかしら?」

「ああん!?」

 

緊迫した場面のはずなのに、やいのやいの騒ぐ雄英生たち。彼らを見て、

 

「仲間割れか?これだから低知能種族どもは」

 

腹に響く声でアルビードは笑う。

 

「ソノロシアンは戦闘に特化した種族ではない。加えて、今の俺はU.ヒューモンガソー。負ける道理がまるでない!!」

彼の言う通り、ヒューモンガソーは戦闘特化の恐竜型エイリアン。さらにアルティメット化により200%の能力が引き出せる。

 

ただのオムニトリックスしか持たないベンは圧倒的に不利。

 

「確かに…ちょーーとは認めてやるよ!アルティマトリックスのこと!!そもそもアズマスが試作してたやつだしね!」

 

正対するアルビードを指さす。

正直、ずるい!という想いが無いわけではない。オムニトリックスの進化系であるアルティマトリックス。できることなら自分が使ってみたかった。

 

…もしアルビードがもっと早くそれを手にしていたら、あるいはベンがウォッチを手にするのがもっと遅かったら。

 

ベンは負けていただろう。

だが、彼がウォッチと出会ってから、もうすぐ2年がたつ。

 

エコーエコーの一人が、背中を向けながら話す。

「だけど、さっき言ったろうが?」

おもむろに、胸のマークに小さな手を当てる。

 

「…ボクの方が」

マークを45度回転させる。砂時計型のマークが水平に。

 

「ずっと手馴れてるのよ!!」

一列に並んだ4人のエコーエコー。それぞれが喋り切った後、

主人格であるベンは、呼びかける。

 

「10数えてからな!1、2、

 

「「「「10!!」」」」

 

QWANN!!

QWANN!!

QWANN!!

QWANN!!

 

アルビードがしたように、胸のマークを叩く。

 

彼らを包むのは緑色の光。

 

ここで、ベンの変身体についての話をしておく。

 

【分身】の性質を有するエイリアン。例えば先に挙げられたディトー。

 

彼の場合、分身しても人格は同期しており、痛覚なども共有している。ゆえに、変身を解除するときも、全員が一体に集合していなければならない。もし集合していないのならば変身は解除できず、ただエネルギーが吸われていくだけだ。

 

だが、このエコーエコーはちがう。全員がそもそも異なる人格を持っているのだ。

例えば粗雑な人格、例えばはんなりと女性的に、例えば冷静沈着な者もいる。

 

この特徴に加え、新オムニトリックスにより、変身解除を好きなタイミングでできるようになった。

 

なにが言いたいのかというと、

 

「さあ、ボクらのヒーロータイムだ!」

「そうねぇ」

「いいから早くやっちまうぞ!」

「じゃ、先にボクが変身するよ…」

 

人間体のベンが4人になるということだ。

その光景に驚きを隠せない轟と爆豪。当然だ。さきほどまでエイリアンに変身して戦っていたベン。

 

彼が異形に変身し超パワーを発揮することは知っている。だが、人間体の時はただの子供だった。まるで無個性のように。

 

なのに今は、その人間体までもが増えているのだ。

 

そして彼らでなく、アルビードまで目を丸くしていた。

 

(まさか分身したまま変身を解除するだと?!そんなのアズマスでも知らなかったはず…!!)

 

当然だ。これは、オムニトリックスAFになってから、ベンが発案した新戦法なのだから。自由で型破りな発想。それこそマックスにさえできないことをベンはやってのけるのだ。

 

幾分か冷や汗をかいたアルビード。しかし、一呼吸すると、すぐさま冷静に。そして状況を的確に判断する。

 

「…だが、人間体の貴様が何人いようとも、意味はないぞ!!」

彼の言う通り、人間体のベンに戦闘能力はない。ただ徒に数を増やそうとも、死体が増えるだけ。

 

そう思うが、ふと気づく。分身した彼ら全員に、

 

ウォッチが備わっていることを。

 

「ふーん、じゃあ、これならどう?」

普段のベンよりも冷静に語るベン。無感情にポチリとウォッチを押す。

 

QWANN!!

 

「ブレインストーム」

 

変身したのはカニ型エイリアン。足が3本胴体から出ており、手は小さなハサミのよう。そして、頭が体の50%を占める特異な形態をしていた。

 

その頭の中央に亀裂が入ると、カパリと開き、黄色の光線が他のベン達に注がれる。

 

注がれたベン達の脳内に、彼の思考が流れ込む。

 

「これで大体の作戦わかりましたか?それじゃ変身してください」

 

敬語で命令するブレインストーム。彼に対し主人格のベンは反論するが、他のベンは気にしない。

 

「ちょっと、本物はボクなんだから。リーダー取らないでよ!」

 

「誰でもいいわぁ、そんなの!」

 

QWANN!!

 

「スワンプ~ファイヤー♪」

 

オペラのように名乗るが早いか、首元から種子を掴み、敵に投げつける。

 

頭から足元まで不規則に降りかかる種子にアルビードは対応できない。幾らかははじき返すも、その巨体が災いしたか、太もも辺りに着弾してしまう。

 

触れるが早いか、種子は彼からエネルギーを吸収し、根を張り、蔦を伸ばし、体中に巻き付き始める。

 

「ちっ!!‥っ!?」

 

舌打ちしながら蔓を引きちぎろうとした瞬間、

 

QWANN!!

 

顔面にネパネパした塊を受ける。

 

NETTT!!

 

「っうがっ!」

 

「キキッ!!どうだい!?ボクの特性粘糸は!!」

 

嬉しそうに跳ねるのはスパイダーモンキー

 

主人格であるベンが変身していたのは、名が表す通り、猿と蜘蛛が合わさったエイリアン。

 

青い体毛の生えたサルで、骨格は比較的地球の猿に似ている。腕が4本あること以外は。

 

猿の身軽さと蜘蛛の粘糸で敵を翻弄する彼は、イタズラ好きのベンと相性は抜群だった。

 

尻尾から蜘蛛の巣状の糸を吐き出し、敵へと付着させる。

スワンプファイヤーの蔓縛に加え、粘着糸の猛撃を受けさらに苛立つアルビード。

 

ベンへの復讐は彼の重大目標。対象が目の前にいるのに目標が遠ざかるのを感じ、ついに爆発する。

 

「…くそおおぉぉお!!チマチマ足止めしかできない劣等種族が!!」

 

ガチャン!という音で、さきほどの爆撃を思い出す爆豪達。

すぐさま迎撃態勢をとる。

 

 

 

「この、極超音速ミサイルで…!!?なっ…」

 

「どうしたの?まるで、体内の発射機構が湿気た顔してさ!」

 

迎撃態勢をとった爆豪らの隣で、3()()()ふふんと自慢げな顔だ。スパイダーモンキーに変身したベンが挑発する。

彼らの言葉で、アルビードはハッとし銃口を見返す。

 

ドロリ

 

と彼の銃口から出てきたのは、

 

「グープ!!」

 

緑色のスライムエイリアン グープ。

 

半液体の体を持つ、ウォッチの中でも奇怪なエイリアン。制限はあるが、細く狭い場所にも容易に入り込める。

 

「お前の体内のミサイルたちは皆ベットベトにしてきたよ!!」

 

U.ヒューモンガソーで最も厄介だったミサイルマシンガン。それを防ぐことがベン達にとっての勝利条件だった。

だからこそ、敵の動きを制限し、注意を引き行動を皆がとり、その間にグープが起爆不能にしたのだ。

 

思わぬ伏兵に気を取られるアルビード。

 

その隙に、ブレインストームは光線を当てる。

 

PZZZZZZ!

 

その効果は知識の強制伝達。ブレインストームの種族は、グレイマターに勝るとも劣らない知能の持ち主なのだ。

 

圧倒的量の情報を敵に()()()()ことでその動きをさらに拘束する。

 

もしアルビードがガルヴァンの姿であれば、この攻撃はいとも簡単に抜け出せただろう。

 

しかし、オムニトリックスを使用した際の頭脳は変身先に依存するため、ヒューモンガソーへ変身している彼にこの情報量は酷だった。

 

「今です」

 

あくまで冷静沈着に指示するブレインストーム。彼に従い、その他の3人は姿を変える。

 

怒れる彼は燃える草木に。

柔らかな心を持つ彼は凍える藍蝶に。

そして、主人公は古代の支配者に。

 

「スワンプファイヤー!!」

「ビィィグチィィィル!!」

「ヒューモンガソー!!」

 

作戦はもう決まっている。後は実行するのみ。

 

今から繰り出す技を思い、ヒューモンガソーは語る。

 

「…ケビンから教えてもらったんだ。力の組み合わせってやつを…そしたら…」

 

チラリと見るのは轟の方。

 

「よく考えたら、何回も見てるんだよね」

 

初めてはUSJ 

2回目は体育祭で。

 

焔と凍。その2つを掛け合わせることで超常的なエネルギーを生み出せる。

 

GASSIN!!

 

ヒューモンガソーの背中にスワンプファイヤ―が根を張る。蔦で体を押さえると同時に、ビッグチルも括り付ける。背中にはスワンプファイヤーとビッグチルの両者が。

 

敵を拘束したのは、避けられないようにするため。

 

メキメキと巨大化したベンは、その筋肉に任せて大ジャンプ。

 

空中から愚か者(アルビード)を見下ろす。

 

やっとのことで知識光線が解除されたアルビード。しかし、彼の体はまだ植物と蜘蛛の巣でがんじがらめだ。

 

「…!!この体は!!ヒューモンガソー数体分の頑丈さを持つんだ!素体のお前なんかに…!」

 

藻掻き乍ら、自身の強さをひけらかす。

 

そんな彼に()()()は上空に繰り出す。

 

FOOOOO!!

 

ビッグチルが超冷気を。

 

WHHOM!!

スワンプファイヤーが暴炎を。

 

轟は気づく。彼らが何をしようとしているのかを。

 

…半燃半冷という人間の“個性”でもこの技は大爆発を起こす。

 

もし、この技がエイリアンレベルで行われれば、

 

BBWWOOMMM!!

 

究極の変身をしたヒューモンガソーの装甲も、

ぶち破ることができよう。

 

核爆発でも起きたかのような爆炎が、空中のヒューモンガソーを地上へと押し出す。その勢いを全て、拳に乗せる。

 

彼の体重×超爆発によるスピード。

暗雲、春雨すべてを吹き飛ばすよう爆発エネルギーをパンチに変換。

 

「フリーズメタン・ディノパンチ!!!」

 

DOOOOOMMM!!!

 

全体重が敵に伸し掛かる。地面が彼を中心に沈降する。

3体のエイリアンを駆使した拳は、何層にも及ぶU.ヒューモンガソーの装甲を

 

「ガッ…」

 

QWANN!!

 

ぶち破る。

その言葉を残し、アルビードの変身は解け、ただの人間の姿に戻る。

 

ベン達4人が、人間の姿、エコーエコーの姿を経由した後1人に戻り、そしてまた人間の姿に戻る。

 

1人、空を見上げるベンは笑顔。

 

「やぁっと雨やんだ!」

 




今回出たエイリアン
・エコーエコー(全員)
・ブレインストーム(冷静なベン)
・スワンプファイヤー(乙女なベン)
・スパイダーモンキー(主人格)
・グープ(怒りベン)

・ビッグチル(乙女)
・ヒューモンガソー(主人格)って感じです!わっちゃわっちゃ。
・エコーエコーのこの技は、一応デメリットはあります。それはまた次回!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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