【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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短いです!


101話 楔

日本全土に広がっていた暗雲。

皆の心に蓋をする春雨だったが、帝国ホテル前だけが、快晴模様となっていた。

 

久しぶりに顔を出した太陽に照らされ、ベン=テニスンは振り返る。そこには全身を負傷した爆豪と轟。

 

時間を稼いでくれた彼らにお礼を言わなければ。その想いから駆け寄ろうとすると、ホテルに影が見える。

 

よく見ると、ぞろぞろとホテルから出てくる避難民だった。亀のような様相だったり、鋭利な牙が顎から目元まで伸びている者も。

 

ほとんど全員が、異形だった。

 

その中の一人が、恐る恐るベンに尋ねる。

 

「き、君は…」

 

「ん?ああ、ボクの名前は…まいっか。ベン=テニスン!最強のヒーローだよ!」

 

「ベン=テニスン?!ってことは…エイリアン…!」

 

彼の名前を聞くと、平伏し手を合わせる人々。

 

「うわわわ‥な、なにしてんの?」

 

「あなたはエイリアンなんですよね。あなたが我々のルーツを教授して下さったおかげで目が覚めたのです…」

 

その言葉でベンは思い出す。アルビードがベンに化けていた時、エイリアンが存在することを宣言した。そして、異星概観信仰派と呼ばれる、エイリアンの存在を信じ、自由に力を行使する集団が形成された。

 

(うわっちゃぁ…しかもエイリアンに関していえば間違ってないし…けど)

「あのさ、あれを言ったのはボクじゃないよ。単なる偽物の言葉。エイリアンなんていないよ」

 

「そのような言葉で誤魔化さずとも…忌々しいことに、この国はあなたを捕らえようとしています。しかし、我々はあなた様を歓迎いたします、テニスン様」

 

まるで純粋無垢な少年のように、ベンを見つめる男。若干の気味悪さを覚えるベンだったが、受け入れられていること自体は嬉しい。

 

それこそ、今後自分がトレーディングカードになったりするのではないか。

 

少しだけ浮かれた時、避難民のなかにいる、10歳ほどの少年が水を差すように

 

「なにがテニスン様だよ、馬鹿らしい」

 

その言葉で、全員の視線が少年に集まる。

 

「何を言ってるんだ君は!」

「我々の在り方を教えてくれた御方だぞ!」

 

母親と思わしき獣人が少年の口を押え、平謝り。

 

「すみません!すみません!この子はまだこの状況をわかっていないんです!!」

 

「やめろよ母さん!だっておかしいじゃん!こいつのおかげで目が覚めたって言ってるけど、逆だよ!家が壊れたのも、お母さんが馬鹿にされたのも…全部こいつが悪いんじゃん!!」

 

「テニスン様に対して‥!!」

 

鬼の形相になったリーダー格。今にも手を出しそうな彼をベンは止める。

 

「ちょちょちょ!ずっとこんな状況だったんだし、気が立つのも仕方ないって!とにかく、ここから離れて。できれば雄英とかシェルターがある場所に」

 

「は、はい…」

 

救世主の言葉だからか、彼の言う通り、すごすごと避難を始める。

ベンの頭の中では、

【全部お前のせいだ】

この言葉がループしていた。

 

「…カッチャン、トドロキ!ありがと!変身までの時間稼ぎ!」

 

倒れている2人の元に向かい、礼を言うベン。

 

あまり己のプライドに頓着の無い轟は、差し出された手を掴む。

 

「ああ…その喋り方と…顔。やっぱりテニスンなんだな…」

 

「そう言ってるだろ?」

 

「…見たことねぇ変身だった。前より断然強ぇ。」

 

「でしょ!?めちゃくちゃパワー使っちゃうからあんまり使わないんだけど、すごいだろ!どんな敵でも一発さ!でも…まあ?2人のおかげでもあるかな?」

 

陽気にはしゃぐベン。実はこの戦い以前から、さきほどの分裂変身を訓練していたのだが、どれも失敗していたのだ。

 

というのも、性格の異なるベン達が連携を合わせることが難しいのだ。自分のはずなのに、考えることがまるで違う為か、狙ったエイリアンに変身するのでさえうまくいかなかった。

 

中にはベン自身に反旗を翻す者も。

 

今回は結果オーライだったが、内心ドギマギしていたベンであった。

 

そんな彼から差し出された手をふり払う、不機嫌な爆豪。

 

「けっ!所詮俺の爆破の真似事だ!近いうちにぜってぇ追い抜いてやるわ!」

 

そのセリフから、青年をベンと認めているようだ。

 

「えー。カッチャンには無理でしょ!」

 

「ああん!?」

 

「こんな事態なのに何してるんだ。それにしてもテニスン。お前、この半年間何をしてたんだ?」

 

「それも今話すことじゃねぇだろが!」

 

「えっと」

 

「答えるんじゃねぇ!!」

 

ベンは爆豪を無視して、神野事変以降の動向を語る。

 

「敵連合のアジトをじーちゃんたちと脱出したはいいけど、ボク、指名手配犯になってたでしょ?今はこの変身バッジがあるから誤魔化せるけど、その時はなかったし」

 

そう言って胸元の「10」と書かれたワッペンを指す。どうやらこの装置で体を装っているらしい。

 

「だから、これができるまでの2か月間はアメリカでヒーローやってたんだ!」

 

「はぁ?密入国したんか?それに、てめぇは免許なしだろうが」

 

「あー…その辺は…まあいいじゃん!」

 

「よかねぇわ!」

 

ベンの予想に反し、爆豪はモラルある人間らしい。

 

「それに、アメリカではすっごい人と友達になったんだ!まあ、あっちはエイリアンの方しか知らないけど…」

 

「で、装置が完成して今の僕の体になった後は世界中を回ってたんだ。あ、世界っていうのは、違う次元のことだよ?いろんな世界で仲間を探してたってわけ」

 

「じ、次元トラベルだぁ?」

 

突飛な話に理解が追いつけない爆豪と轟。個性の範疇を超えた者達の旅なので仕方ないのかもしれない。

 

「まあ、あれもこれもぜーんぶ、アルビードを倒す為だったってわけ。あ!そういえばアルビードは!」

 

さきほど討ち破ったアルビード。U.ヒューモンガソーから変身が解除されたのは見たが、まだ捕獲していない。

 

急いで3人で駆け寄ると、そこには目を瞑ったアルビードがいた。

 

「しかし…こいつとテニスン、そっくりだな。」

 

その姿は青年のベンと同じ顔、同じ体格をしている。頭髪や服装が反転しているため、完全に一致はしないが、それでも似てる。

 

「ほんとだよ。半年前は子どものボクの姿まんまだったし、最悪さ。なんでも、これとウォッチが同期してて、ボクが使用者設定になってるから、こいつもこの体になったらしいんだ」

 

アルビードの手首のアルティマトリックスを指さし、ベンは愚痴る。

 

「…そういや、お前のそれと似てるな…テニスン。お前一体、なんなんだ?エイリアンじゃないにしろ、この時計にしろ、普通じゃない」

 

轟の質問にギクリと反応するベン。彼が答えるか悩んでいると、爆豪が横入りする。

 

「んなことどうでもいいわ。それより…」

 

その時、アルビードの左手が動く。

 

彼らが反応する早く、ポケットの装置を起動させ、ボタンを押す。

 

BEEEEEE!!

 

予想外の警告音だったが、すぐさま臨戦態勢に入る爆豪ら。

 

「!?なんだぁ!」

 

だが、アルビードは変身しない。ふらふらと立ち上がろうとするが、上手くバランスを保てない。意識も曖昧のようだ。

 

まるで捨て台詞を吐き捨てるように、

 

「…もう、この国は滅亡するのみ…全て、お前のせいだ」

 

彼の言葉で頭によぎるのは依然助けた狐型の女性。そして、先ほどの少年。

 

言葉がよどむ。

 

「どう…いう…ことだ」

ベンの質問に答えることなく、アルビードは倒れる。脈があることを確かめながら、轟は呟く。

 

「負け惜しみか?」

 

「いいや。さっきクソみてぇなボタンを押しやがった。なにか、あるにちがいねぇ」

 

彼らの反応に同意し、すぐさま行動に移すベン。

 

「確かに。すぐさまこの世界が崩壊しないと見るに、次元破壊爆弾とかでもなさそう。ボク、見てくる」

 

「見てくるって‥どこを」

 

「全部!」

 

QBANN!!

 

「ジェットレイ!!」

 

赤く、人間大の蝙蝠が爆豪らの前に現れる。

エイリアンは甲高い声で、彼らに伝える。

 

「アルビードの確保はお願いね!じゃ!」

 

見えないスピードでその場を離脱するジェットレイ。

彼の狙いは、超スピードによる、日本縦断だった。

 

世界の崩壊が、近づいていた。

 




完全に明るい展開は前回やったので、今回は少し暗め?

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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