【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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今日、歴史が動く!


102話 THE DAY

殻木球大。

京都の片田舎、亜羅須町に蛇腔総合病院を構える、無個性の外科医。病院経営の傍ら、児童養護施設や介護施設の開設を行い、人々からは敬意とともに受け入れられている。

 

そんな、温和で寛容な彼は、

 

BEEEE!!

 

「早い!早い!?早ぁあああぁぁい!!!」

 

崩れ壊れる病院を見て発狂していた。

 

GUUHGGGGGG!!!

 

彼の身柄を取り押さえ、崩壊から逃れたB組の物間。幾多ものプロヒーローが破壊に飲み込まれるなかで、脳無の個性をコピーすることで病院からの脱出に成功していた。

 

難を逃れ、浮遊状態の彼の眼下には、異様な光景。先ほどまで病院だった場所には、ただ瓦礫と砂が積み重なっている。

 

「なんだってんだい!?あの巨大トカゲ(スピナー)を倒して、その元凶を叩きにきたら突然…」

 

「くぅぅぅぅう!!!!なぜじゃ!なぜ今起こしたアルビード!!」

 

知らぬ名を叫ぶ殻木。

 

DNAリアンと脳無を製造しており、敵連合の核だと推測された彼は、鼻水を垂らしながら物間の手元で騒ぐ。

 

「まだ、たった50%!!完璧には程遠いのに!」

 

その言葉を聞いて、物間は推測する。おそらく、製作途中の脳無のことだろうと。

彼は、犠牲となったプロヒーローたちを称えるように殻木を煽る。

 

「…脳無のことかい?残念だったね。最後には、僕らヒーローが勝つってことさ。」

 

 

【勝つ】。その言葉に反応するように、殻木は藻掻くことを止める。そして答える。

懐疑的に。それでいて断定的に。

 

「…なーにを言っとるんじゃ?たとえ50%でも、今の死柄木は、オールマイトをも超えておる。だからこそ…惜しいのじゃ!!」

 

悍ましい笑みを浮かべるドクター。

彼が見つめる先には、なにかがいる。瓦礫の中だ。ギョロリと赤い瞳が、こちらを覗いている。

 

白髪の…人型の…なにか。

 

()()は、こちらを一瞥すると、くるりと向きを変え、

「…あっちか」

 

WHHOMM!!

 

ボソリと呟くと、跳躍でその場から消えた。

 

「!?…死柄木?敵連合…確か、USJを襲った首謀者…」

 

「誰を狙いに行ったんじゃろうなぁ…OFAかそれとも…さあ、羽化の時は来たぞ!!マスターピース!!」

こちらは亜羅須町の住宅街。緊急事態の為民間人はいないが、そこら中にはのどかな街並みの()が残る。

 

夕方には子どもの声が聞こえるその街は、スピナーによって破壊された。暴虐の限りを尽くす敵。そんな彼を討ち取ったのが、拳藤、グウェン、ケビンの3人。

 

DNAが暴走し意識の混迷を起こしているスピナーに、エイリアンテクノロジー搭載の手錠をかける。

 

「こいつら、オムニトリックスからDNAをコピーしてるわね」

「ベン大丈夫かな…」

 

グウェンと拳藤が分析をしてる最中に、

 

BOWMMM!!

 

脈絡も、前兆もなく、誰かが墜落する。煙がもうもうと立ち込め、仔細は確認できない。

 

が、敵であることは明白。ファイティングポーズをとり、警戒するケビン。

 

「っ、急に現れて、ナニモンだてめぇ!!」

 

真っ白な頭髪が風に揺られている。

体には紫色の液体が滴っている。

 

「…!?」

 

体つきは変わっている。だが、

ケビンは気づく。かつては仲間だった者だと。

 

「…死柄木!?」

 

「誰だ、お前」

 

数か月前と異なり、成長したケビンの姿のせいで、死柄木は気づかない。

 

「ケビンだよ。今はこんなナイスな大人になっちまってるけどな」

 

「…ああ?意味わかんねぇ‥俺が寝起きだからか?」

 

死柄木の疑問も当然である。

 

敵連合に所属していた時のケビンは、10歳の体か、10体のエイリアンが入り混じった体のどちらかだったから。

 

15歳の、筋骨隆々の今の体では気づかれないのも仕方ない。

 

呆けているような顔の死柄木に、ケビンは諭すように話しかける。

 

「なあ死柄木。こいつら、お前らの差し金だろ?」

 

指し示すのは、寝転がるDNAリアン、ハイエンド、スピナー。

 

「…」

 

「さすがにやりすぎだぜ?俺も犯罪に手を染めまくってるけど、文明崩壊レベルはなぁ…俺の愛車がもう手に入らなくなっちまうだろ?」

 

肩をすくめながら説得するケビン。この言葉は、彼の本心だろう。

ベンに体の異常を治療され、多次元を見て回ったケビン。

 

そこには、ベン達と協力している彼と、敵対している彼がいた。

 

どちらも性格の悪い彼に変わりはなかったが、楽しそうなのは断然、前者だった。

 

そんな経験を経て改心した、

というわけではないが、彼は力の振るい方を考えるようになったのだ。

 

自嘲的に笑う彼に対して、死柄木は少しだけ表情を変える。

「お前がケビンだとして…変わったな」

 

「いや、だから」

 

否定しようとする前に、死柄木は不意に、手を伸ばす。

 

「まあ、俺を理解しなくてもいい。」

 

その言葉とともに、

 

「全部壊すから」

 

顔に手を添える。

 

BAKIBAKIBAKI

 

が、実際に振れたのは薄紅色のバリア。

 

「ったく、ケビン!!油断してるんじゃないわよ!!」

 

崩れ落ちるバリアを見て、冷や汗をかく。

 

「っ!?サンキュー、グウェン!」

 

近くに転がる鉄骨に彼が触れると、同化するように、体が鉄へと変化する。

 

【吸収】の個性。電気や炎、果てはウォッチの力をも吸収できるこの個性はある種エイリアンレベルの個性かもしれない。

 

だが、体が個性に追いついていない彼は、オムニトリックスという強大な力を吸収した結果、凶暴な性格に。

 

そこでケビンは、触れた物質の素材を吸収し反映させることにしていた。これならば力が暴走することもない。

 

鉄そのものとなったケビンは、死柄木に拳を放る。

 

BASSHHIN!!

 

が、容易に受け止められる。

 

「お前…弱くなったな」

 

死柄木の肉体強度は、素でオールマイト並。ケビンもかなりのものだが、それでもマスターピースにはかなわない。

 

崩壊で、鉄の体が一瞬で崩れる。急いで個性を解除して、鉄と体を分離させる。

 

「うぉっ!!あっぶねぇ!気を付けろ!」

 

「わかってるわ!!」

ブロウ=アイド=ウィンドリア!!

 

死柄木の背後から、グウェンと拳藤のダブル魔術。

 

STOOOMM!!

 

台風を出現させる魔法を同時に出すことで、大地を削る竜巻を敵にぶつける。

 

それでも、

 

「…ああ…まるで、生まれた時から備わってたみたいだ」

 

先生の個性…

 

【突風】【押し出す】【かまいたち】【嵐】

個性の発動とともに、彼の体は変幻する。恐竜の様な姿でもあり、金剛像のようにたくましく、あるいは風を纏うしなやかな幻獣。

 

強奪した個性。其の1つ1つが強化されている。個性の行使ごとに、体が変形する。

 

遠くで、殻木が呟く。

 

「まだ…【個性の先祖返り】しか定着しておらんのに…」

 

ただでさえ強力な【個性の先祖返り】。事実、DNAリアンにプロヒーローは手も足も出なかった。

 

加えて、AFOがため込んだ個性の数は100では効かない。その数の個性が、全て先祖がえりを起こしているのだ。

 

「きゃっ!!」

 

攻撃を打ち消され、バリアを張ってもなお、グウェンらはダメージを負う。

 

「なんでかわからないけど、お前たちヒーローを見てると、腹の奥で煮えたぎる…」

 

自分でもわからない、憎悪が。

 

「だから、まずは、お前だ」

 

彼の目線の先には、ヒーローの卵。死柄木の風圧攻撃で体制を崩された拳藤に防御の術はない。

 

無防備の彼女を死柄木が捉える。

 

瞬間、空中で光が。

 

BEEMM!!!

 

その光は直進し、レーザー光線へと変わる。

 

死柄木が【反射】で撃ち返すも、なんなく避けられる。

 

敵を全うする死柄木。彼の歩みを止めるべく、

 

「海も山も谷も探したよ、全く!!チームベン10、集合だ!」

 

ベン=テニスンは現れる。

【雄英】

 

ヒートブラストの力を宿した荼毘。復讐の炎にエイリアンDNAをくべた彼は、間違いなく地球上で最強の炎使いだった。

 

が、それは所詮地球上、それもこの次元での話であり、宇宙の救世主たちには敵わない。

 

ウォッチ内のエイリアン2体を融合させる力を持ったベン10,000。荼毘と同じヒートブラスト、そして、水を自在に操るウォーターハザードを融合させることで、一方的に荼毘を封じていた。

 

焔を出し尽くし、息切れする荼毘に対して、ベンはウォッチを翳す。

 

「悪いが、その力は危険なんだ…オムニトリックス」

 

【DNA異常を感知。DNAの書き換えを行いますか?】

 

「ああ」

 

SCANN!!!

 

返答と同時に、ウォッチは荼毘の体に緑色の光線を直射。

すると、青く燃え盛る四肢は、元の火傷だらけの体に。

 

「っっっ!?てめぇ!!何しやがる!!」

 

当然激昂する荼毘。殺意を込めた彼の瞳に対し、ベンは諭すように語る。

 

「これは君自身の力じゃあない。そんな戦い方ばかりしていると、自分を見失うぜ?」

 

一瞬遠くを見る、ベン10,000。これは、教えてもらったことだ。自分自身に。

 

だが、怒り狂う荼毘に彼の言葉は届かない。

 

「ふざけるな…俺は…そこにいるクソ親父を殺すために敵になった!死柄木も、この社会も、俺の体すら…どうでもいいんだよ…全部、あいつに復讐するためだ!!この感情こそが俺自身だ!!この想いを否定するのは…」

 

荼毘は火傷が広がることを気にせず、蒼炎を繰り出す。

 

「俺の存在否定と同義だ!!」

 

しかし、

 

PAKIIIIIINN!!

 

コバルトブルーの爬虫類から、青白い光が。

彼の冷凍光線で、炎もろとも荼毘は氷漬けに。彼の炎では、その氷は溶かせないようだった。ただ、氷像の眼は、怒り狂ったまま止まっている。

 

QBAANN!!

 

アークティックイグアナから戻ったのは少年のベン。

 

「なんか、 ボクらの世界にはあんまりいないタイプの敵だったね」

 

荼毘はとにかく父を消すことに終始していた。復讐のための復讐に命を燃やす敵。10歳のベンには、彼の心情は理解することができなかった

 

未熟なベンに対して、酸いも甘いも嚙み分けた彼は、自身の考察を語る。

 

「ああ…“個性”という、この世界特有の因子のせいかもしれないな。もしかすると、この世界のオレ…」

 

その言葉を言い終える前に、目の前の空間が歪む。ねじれた空間から顔を出したのは、ウォッチを付けたグウェン。少年のベンを見るなり声をかける。

 

「終わった?!皆待ってるから早く来てよね!」

 

「む…!なんだよその言い方!調子に乗るなよ!」

 

「なんですって?!」

 

「なんでウォッチを持ってるかは知らないけど、絶対お前なんかよりボクの方が強いからな!?」

 

「なんかあんた…向こうのベンよりも…バカそうね…」

 

「なにぃ!?」

 

顔を合わせるなり喧嘩し始める2人。彼らを嬉しそうに仲裁する大人のベン。

「はっはっは。勘弁してくれよ、グウェン?」

 

「あなたは…逆に本当にベン?」

 

グウェン10が空間から顔を引っ込めると、ベン10とベン10,000もそこに向かう。

だがゲートの一歩手前で、未だ荼毘を細めた目で見ているエンデヴァ―に、

 

「お互いに、息子のことを信じてあげましょう。」

 

その一言をかけて消えていく。

ここは次元の間。周囲には絶え間なくエネルギーの渦が取り巻いており、安定しているのはこの足場だけ。

 

ベン10,000 達が戻ってきたとき、パラドクス博士とデク10と話していた。

 

「それにしても、僕の世界以外のベン君は皆オムニトリックスを付けているんですね」

 

多次元を自由に行動できるパラドクス博士。彼だからこそ、次のような事実を知っている。

 

「ああ。それどころか、オムニトリックスが存在していた世界で、テニスン家以外がウォッチを手にしたことはほとんどない。」

 

「そ、そんなにですか!?」

 

「ああ。そもそも君と私たちは、本来違う宇宙に住んでいるからな。」

 

【私たち】とは、その場にいるベン達のこと。そして君とは緑谷のこと。戦友を仲間外れにされたベンは博士に食って掛かる。

 

「どーゆ―ことだよパラドクス博士!」

彼は筋骨隆々の18歳でプロヒーロー。15歳の時、OFAを継いで以来、雄英ではデクとトップ争いを繰り広げていた。

 

「言葉のとおりだが‥うむ…そうだな」

 

博士は顎に手を当てると、緑谷とベン達の顔をじっと見て、

 

「画風が違うだろう?」

 

至極当然、と言わんばかりに教える。

 

「はぁ?意味わかんないって。ほんと、パラドクス博士はいつもわかりにくいんだから」

 

OFA継承者である彼が文句を言い放ったところで、ベン23が戻ってくる。軽い挨拶を博士が放る。

 

「やぁ、終わったかい?」

 

「うん!敵を倒した後、近くのヒーローにさっきの世界のことを聞いてきたんだよ!“個性”の話とかね!この世界を元にした異世界と、ベン23が転生する話…!!これは歴代興行収入ぶっちぎり1位の映画になるよ!」

 

そろばんをはじく動作を見て、10歳のベンは呟く。

 

「…ねぇ、こいつ本当にボク?めちゃくちゃがめついんだけど…」

 

「失礼な。ボクはアメリカⅠの人気者なんだよ?サインだっていっつも求められる。ま、プライべートは断ってるけど」

 

彼が著名人として扱われていることを羨ましがるのは、声が少し低いベン。

 

「…いいよなぁ…ボクなんて一回地球追放されたってのに…」

 

追放されたのは16歳のベンだ。通称ベン10オムニバース。

彼が恨めしそうにしたところで、パラドクス博士は手を鳴らす。

 

「さて、全員集まったね。各々手伝ってくれてありがとう。こちらの世界のベンも感謝しているだろう」

 

「だろうね。ボクらがそろえば負けることなんてあり得ないからね!そういえばこの世界のボクは?」

 

「まだ戦っているよ」

 

「じゃあ手伝ってあげないと!」

 

ベン達が顔を見合わせたところで、パラドクス博士が制する。

 

「それはやめてほしいところだ」

 

「え、なんで!?」

 

「それは、彼の戦いが、この世界の分岐点に位置しているからだ」

 

「「「分岐点?」」」

 

およそ3名ほどのベンが声を合わせる。

 

「ああ。彼が勝つか負けるか。それでこの世界の動向は大きく変わる。それこそ、宇宙規模で。君たちでいえば…ヴィルガクス、ハイブリード、U.ケビン11,マルウェア…」

 

博士は多時空の強敵たちを挙げていく

 

「彼らと戦うとき、君たちは他の次元と干渉せずに戦っただろう?」

 

ベン達全員がかつての激戦を思い出し、この世界の彼を心配する。

 

「全員ラスボスみたいなもんじゃん!さっきの敵もそこそこ手ごわかったから、この世界のラスボスはとんでもないんじゃ…!?」

 

「そうかもしれないな」

 

軽い口調で肯定する博士の言葉で項垂れる少年ベン。

 

「ええ!無責任だよそんなの…」

 

彼に合わせて、16歳のベンや、OFA継承者のベンも落胆する。顔には出さないが、グウェンや大人のベンも同様のことを想っているだろう。

 

それだけ、誰かを救けたいという想いが強いのだ。

 

ヒーローである彼らに対し、博士は慰めととれるかもわからない言葉を与える。

 

「仕方ない。物語がどう転がるかは、」

 

誰にも判らないのだから。

 




・最後らへんはまたワチャワチャでしたね…ベン達を集めるのは大変だ!
・今年の更新はこれでおしまいです。皆さん、良いお年を!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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