【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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更新が遅れて申し訳ございません!最後の構想を練っていました!
ここからは、どんどん更新していきますので、今年もよろしくお願いします!!


103話 熱戦・接戦・大激戦

海、山、河、谷。

 

たった数分で日本を縦断してきたのはジェットレイ。万能な飛行性能を有するエイリアンは、倒壊した街に降り立つと緑色の光を放つ。

 

QWANN!!

 

光が収まると中からは青年が。

 

「ちょっと!!空からでもわかるくらい地面割れてんだけど!?誰だよ!これやったの!」

 

状況を理解できていない彼に対し、グウェンは問いかける。

 

「ベン!そんなことよりアルビードは!?まさか見つからなかったの!?」

 

「まさか!ちゃんと倒してきたよ!」

 

彼女の問い、ベンは快活にサムズアップを決める。

だが、その返答は彼女の求めるものではなかった。

 

「じゃなくて!アルティマトリックスの回収は!?あれがあったら何回でも襲撃してくるじゃない!!」

 

そこで自分の任務を思い出す。

緑谷や爆豪、轟らとの再会で、アズマスの頼み事である【アルティマトリックスの回収】をすっかり失念していたのだ。

 

「あ…いや、ほら…僕たちヒーローじゃん?人の物勝手に盗るのは…」

 

「あんたのそ!れ!も!似たようなもんでしょ!」

 

と、ベンの手首を握り、オムニトリックスを指し示す。

 

「いや…あはは…あっ!イツカじゃん!久しぶり!!」

 

話題を変えるためか、白々しく隣にいた拳藤に声をかける。

 

呼びかけられた拳藤は一瞬戸惑う。

 

当然だ。

彼女の知るベンは小学生程度の体躯。目の前にいる好青年とはかけ離れている。

 

だが、

 

「なんだよイツカ…そんな変な顔して。あ、もしかして怒ってる?やめてよね、こんなところで癇癪起こすのはさ!」

 

「…誰が癇癪起こすだって?このおバカさん!」

 

同じ目線となったベンに対し、彼女はヘッドロックをかける。

 

「あいたたたたたた!!ちょ、やめろっての!!」

 

彼女の腕をタップするベン。よく見れば、少年ベンの面影はある。

 

なにかしら、おそらくオムニトリックス関連で成長したのだろう。

 

拳藤は推測する。そして同時に、胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。

 

「ったく…半年もどこに行ってたのよ!」

 

「別にいいだろ?イツカには関係ないよ!!」

「ほんっとに…後でじっくりきかせてもらうからね!!」

 

面倒見の良い姉と手のかかる弟のような関係。その様子を静観していたグウェンだったが、一応の注意を入れる。

 

「ベン、気を付けて。あのシガラキってやつは、今までの敵とは別格よ」

 

「シガラキ?」

 

DZAAAA!!

ベンが聞き返すと、彼女との間になにかが滑り込んでくる。

 

「俺と一緒に雄英襲ったやつだよ。確か、木椰のモールでもあったんだろ?」

 

その何かは、死柄木に吹っ飛ばされたケビンだった。眼下に寝転がるケビンに、ベンは、

 

「ああそうだったっけ。足元からの解説、ありがとう、ケビン。それにしても君、ボロボロじゃん」

 

「ああ?そりゃ、誰かさんが俺の力を奪っていったからな」

 

「あれは元々オムニトリックスの力だよ」

 

「へーへー。じゃあ、とっととそのポンコツトリックスの力を見せてくれよ」

 

「わかってるさ!」

 

互いに悪態をつくも、どこか信頼が見える。

 

以前の憎しみ合っていた彼らからは想像もつかない会話。この半年で、彼らがどんな旅路を歩んだかが、手に取るようにわかる。

 

ケビンに煽られたベンは、ウォッチを叩く。

 

QWANN!

 

「スワンプファイヤー!」

 

変身したのは燃え盛る植物エイリアン。新オムニトリックスの中では最も変身頻度の高いエイリアンだ。

 

彼が見据えるのは、ドロリとした視線を向ける死柄木。

 

およそ初めて、ベンと死柄木は対峙する。

 

白髪を靡かせる死柄木と、黄炎を揺らすベン。異質な空気を纏う死柄木に、第六感がはたらく。

 

グウェンの警告は、冗談でも、大げさでもない。そう確信するベン。

 

だが、だからこそ、普段通り軽口を叩く。

 

「お前がラスボスか?にしちゃあまりにも細くねぇか?」

 

そんな彼に対し、死柄木は自問自答するかのように答える。

 

「…ラスボス…俺は…魔王…いや…」

 

そして、ぼんやりとした目つきのまま、右手を構え、自身の存在を称する。

 

(ヴィラン)だ」

 

WHOOMM!!

 

【気流操作】【業火】【竜巻】

 

エイリアン並に強化された個性を従え、ベンに対し炎の竜巻を放つ。

 

「いきなりかよ!!」

 

WHOMM!!

 

これに対し、両手から熱光線で相殺を計る。

 

寝起きの崩壊で、周囲の建物は軒並み塵芥となり果てていた。

そして、彼らの熱で大地は焦げ、地獄の焦土と化す。

 

オレンジ色の熱光線は、竜巻にぶつかると赤く爆ぜ、霧散する。それと同時に敵の攻撃も弱まり消える。

 

攻撃の相殺に成功し口角を上げるスワンプファイヤー。

 

しかし、油断している場合ではない。

 

躰を限界まで改造した死柄木は、素でオールマイト並の身体能力になっている。

 

彼を髣髴とさせるスピードで、地面をえぐりベンに迫る。

 

エイリアンでしか視認できないスピード。

マズイと感じたベンは、胸のマークを叩く。

 

QWANN!

 

緑色の光が彼を包むか包まないか。それほどギリギリの瞬間、死柄木の手刀は彼を貫く。

 

【金剛】で固められた手槍。貫いたその手で、さらに個性を発動させる。

一つは【AFO】。

一つは【崩壊】。

1つでも致命に至る攻撃達。それらすべてを一身に受けるベン。今度は死柄木が笑みを浮かべる。

 

が、

 

「グープ!」

 

その笑みをあざ笑うかのように、液体となるベン。

緑色のスライムとなったベンには、手槍も【崩壊】も効かない。そもそもエイリアンは個性を持たないので、【AFO】も発動しない。

 

自身を貫く手を意に介さず、ドロリと溶けるグープ。地面にトプンと染みると、死柄木の背後に回る。

 

そしてすぐさまマークを叩く。

 

QWANN!

 

変身したのはビッグチル。肺を膨らませた彼は、

 

FOOOO!!!

 

と、氷の吐息を吹きかける。

宇宙一の超極固冷凍息吹きは、さしもの死柄木でも凍り付く。

 

ケビン11との闘いではこれが決め手だった。ただ凍り付かせるだけでなく、臓器や身体機能まで停止させる氷。

 

もし死柄木が彼と同程度の敵ならこれで終わりだっただろう。

 

だが、複数個性が【先祖返り】を起こす彼は、ケビン11を優に超すスーパー敵。

 

BRAIIIIINN!!

 

掌周辺の氷に亀裂が入ったかと思うと、氷のオブジェクトは無数の破片となっていく。

 

冷やされ劣化した身体機能も、【超再生】によりすぐ元通りだ。

 

少し離れたビッグチルへ、両手を翳す。

 

「【空気を押し出す】【刀化】」

 

BRROOWWW!!

 

目の前の大気は、無数の刃となり相手を襲う。その勢いに押され、空中へと舞うベン。傷からは藍色の液体が滴る。

 

「いっったい!!」

QWANN!

しかしベンは怯まず、攻撃を仕掛ける。

 

「ジェットレイだ!!食らえ」

 

BYYEEM!!

 

敵に打ち上げられたことを利用し、空中からのレーザー攻撃。緑色の瞳から放たれるビームは、もれなく死柄木へ。

 

もちろん、その攻撃をただで受ける死柄木ではない。

 

「【反射】…と【拡散】」

 

自身の中から探すように個性を選択。

レーザーを体にため込んだかと思えば、全てを打ち返してくる。

 

BYEMM!!BYYEEM!!BYYEEM!!

 

「うわっぷ!!」

 

得意の高速起動で避けきるも、死柄木から目を離す。

 

その瞬の間に、死柄木は跳躍し、彼の頭上に。

ベンの上を取り、見下ろしながら個性を選択。

(【崩壊】は触れる必要がある…から、こっちのがいいな)

 

【空気を押し出す】【筋骨発条化】【瞬発力】×4【膂力増強】×3

 

かつて、オールマイトとの戦闘でAFOが見せたこの技。AFOが使用した時は、オールマイトのパンチ並みの威力だった。

 

それ等の個性全てが強化されている。数倍では効かないこのパンチに、

 

QWANN!

 

「ヒューモンガソー!!」

 

ベンはヒューモンガソーで対抗する。

 

相手に上を取られているが、拳を突き上げ相殺狙い。

手は届かないが、彼の力で拳を振るだけで相応の威力は出る。

 

「ぬぅぅん!!!」

 

BWWOOM!

 

巨大生物と、複数強化個性のぶつかり合いは、上空50メートルで勃発。

 

その余波は大気を震わせ、残る建物を揺らすほど。グウェンは倒れているヒーロー達をバリアで守り、拳藤は魔法でなんとか吹き飛ばされないように踏ん張る。

 

最新、最強の力を持つ者の力比べは、

 

DOOWWNN!!

DOOGGOOONN!!

 

どちらにも軍配が上がった。

 

不利な体勢だったベンは、勢いよく地面に叩きつけられる。その場には、巨大隕石が落ちたかのようなクレーターが出来上がる。

 

しかし死柄木も、ベンのパンチを完全に相殺できなかったのだろう。さらに上空にうちあげられ、まだ地面に降りてこない。

 

その確認をした後、ヒューモンガソーはプルプルと顔を震わせ、クレーターから這い出て、グウェン、拳藤に対し愚痴る。

 

「おいおい…ほんとに人間か、あいつ?オレのパンチを相殺したぞ?」

 

「【個性】が【個性】の範疇を超えてるわね…まるでDNAリアンみたい。」

 

「うん。それに加えて、たくさんの個性を持ってる…神野でみたAFOみたいだ」

 

拳藤は、さきほどの攻撃を思い出しながら、相槌を打つ。

 

ベンを救出に出た際、生で目にした巨悪AFO。オールマイトが奮闘し勝利してくれたが、彼でなかったらどうなっていたのだろう。

 

そんな敵が、今、自分たちに牙をむいている。怖くない、はずがない。

 

「どうするよ、ヒーローさんたち」

 

両手を頭の後ろに回し、半分投げやりなケビン。

 

彼に対し、

 

QWANN!

 

ベンは変身を解いて、伝える。

「さっきも言ったろ?こっから、チームベン10の時間だってね」

高く高く、空へと打ち上げられた死柄木は考えていた。

 

(…っち。あんまり効いてないな…)

 

ヒーロー1人に対して、大したダメージを負わせることができなかった。どころか、それなりに【超再生】を使う羽目となっている。

 

その事実が彼を苛立たせる。

 

(…くそが…確かドクターたちは…)

 

【この手術が完遂すれば、OFAなんて目じゃないぞい】

【そして、オムニトリックスさえもね】

 

ステイン事件の後、彼は急にAFOから打診された。

手術を受けないかと。この世のすべてを思い通りにする力を与えると。

 

その覚悟が緑谷とのエンカウントで決まり、地獄の苦しみを味わった。

それなのに、まだ勝てない相手がいる。

 

(OFAも、オムニトリックスも…なんなんだ…俺は、誰にも負けないんじゃないのか?ああ、駄目だ…また痒くなってきた…)

 

圧倒的力を持てば消えるかと思った渇きと痒み。

それは、幼少期のトラウマが原因だったが、思い出せない彼に知る由もない。

 

全部、オールマイトが悪い。その一心で手術を受けた。痛みに耐えた。

 

なのに、満たされない。まるで、原点(オリジン)が見つからないように。

 

首元を掻く左の掌には、小さな穴が開いている。

 

底が無いかのような、黒い黒い穴からは、か細い声が聞こえた。

 

「…とうとを‥・・OF‥をウバ…為」

 

(ああ、幻聴まで聞こえるようになっちまった。この一年で俺の体はどうなっちまったんだ)

 

この手術に必要な時間は約1年。しかし、アルビードの独断により、その期間を得ることなく彼は起こされてしまった。

 

そのズレに、彼はまだ、気づいていない。

 

空の旅を終え、ヒュルリと着地する死柄木。彼の顔に、さきほどのような恍惚さはない。むしろ、何かに苛々しているようだった。

 

不機嫌な彼に対し、ベンは人間体のまま語る。

 

「あのさ、一応聞いておくけど、ここでやめるって言う選択肢はない?」

 

その言葉に、キョトンとする死柄木。

 

「ああ…?」

 

「いやさ、このままじゃ、ボクか君、どっちかが倒れるまでやんなきゃじゃん。で、もし君が改心するようなら、何もしないっていうのもありだよ?」

 

チラリと後ろを見るベン。そこには、少しだけ変われたケビン。

譲歩を学び、人を知ったベンは相手の理解を図ろうとする。

 

しかし、その成長が、その言葉が、死柄木の逆鱗に触れる。自分でも理解していない、心の奥底の逆鱗を。

 

「改心…?…そうやって…自分たちが唯一の正解だと信じて…正解以外は見ないように、無いもののように扱ってきたのが、お前らだろ…?」

 

「え?」

 

「お前らの!その生きざまが!この(ヴィラン)を生み出したんだ!!!!」

 

理由は分からない。なぜ自分がここまで滾るかわからない。

ただ、俺の中のだれかが叫ぶ。どうしようもないほど。

 

憎しみを絶やすなと。

 

 




・能力合戦ですね(笑)
・残り10話もないです!ラストスパート!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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