【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
ここからは、どんどん更新していきますので、今年もよろしくお願いします!!
海、山、河、谷。
たった数分で日本を縦断してきたのはジェットレイ。万能な飛行性能を有するエイリアンは、倒壊した街に降り立つと緑色の光を放つ。
QWANN!!
光が収まると中からは青年が。
「ちょっと!!空からでもわかるくらい地面割れてんだけど!?誰だよ!これやったの!」
状況を理解できていない彼に対し、グウェンは問いかける。
「ベン!そんなことよりアルビードは!?まさか見つからなかったの!?」
「まさか!ちゃんと倒してきたよ!」
彼女の問い、ベンは快活にサムズアップを決める。
だが、その返答は彼女の求めるものではなかった。
「じゃなくて!アルティマトリックスの回収は!?あれがあったら何回でも襲撃してくるじゃない!!」
そこで自分の任務を思い出す。
緑谷や爆豪、轟らとの再会で、アズマスの頼み事である【アルティマトリックスの回収】をすっかり失念していたのだ。
「あ…いや、ほら…僕たちヒーローじゃん?人の物勝手に盗るのは…」
「あんたのそ!れ!も!似たようなもんでしょ!」
と、ベンの手首を握り、オムニトリックスを指し示す。
「いや…あはは…あっ!イツカじゃん!久しぶり!!」
話題を変えるためか、白々しく隣にいた拳藤に声をかける。
呼びかけられた拳藤は一瞬戸惑う。
当然だ。
彼女の知るベンは小学生程度の体躯。目の前にいる好青年とはかけ離れている。
だが、
「なんだよイツカ…そんな変な顔して。あ、もしかして怒ってる?やめてよね、こんなところで癇癪起こすのはさ!」
「…誰が癇癪起こすだって?このおバカさん!」
同じ目線となったベンに対し、彼女はヘッドロックをかける。
「あいたたたたたた!!ちょ、やめろっての!!」
彼女の腕をタップするベン。よく見れば、少年ベンの面影はある。
なにかしら、おそらくオムニトリックス関連で成長したのだろう。
拳藤は推測する。そして同時に、胸の奥から熱いものがこみ上げてくる。
「ったく…半年もどこに行ってたのよ!」
「別にいいだろ?イツカには関係ないよ!!」
「ほんっとに…後でじっくりきかせてもらうからね!!」
面倒見の良い姉と手のかかる弟のような関係。その様子を静観していたグウェンだったが、一応の注意を入れる。
「ベン、気を付けて。あのシガラキってやつは、今までの敵とは別格よ」
「シガラキ?」
DZAAAA!!
ベンが聞き返すと、彼女との間になにかが滑り込んでくる。
「俺と一緒に雄英襲ったやつだよ。確か、木椰のモールでもあったんだろ?」
その何かは、死柄木に吹っ飛ばされたケビンだった。眼下に寝転がるケビンに、ベンは、
「ああそうだったっけ。足元からの解説、ありがとう、ケビン。それにしても君、ボロボロじゃん」
「ああ?そりゃ、誰かさんが俺の力を奪っていったからな」
「あれは元々オムニトリックスの力だよ」
「へーへー。じゃあ、とっととそのポンコツトリックスの力を見せてくれよ」
「わかってるさ!」
互いに悪態をつくも、どこか信頼が見える。
以前の憎しみ合っていた彼らからは想像もつかない会話。この半年で、彼らがどんな旅路を歩んだかが、手に取るようにわかる。
ケビンに煽られたベンは、ウォッチを叩く。
QWANN!
「スワンプファイヤー!」
変身したのは燃え盛る植物エイリアン。新オムニトリックスの中では最も変身頻度の高いエイリアンだ。
彼が見据えるのは、ドロリとした視線を向ける死柄木。
およそ初めて、ベンと死柄木は対峙する。
白髪を靡かせる死柄木と、黄炎を揺らすベン。異質な空気を纏う死柄木に、第六感がはたらく。
グウェンの警告は、冗談でも、大げさでもない。そう確信するベン。
だが、だからこそ、普段通り軽口を叩く。
「お前がラスボスか?にしちゃあまりにも細くねぇか?」
そんな彼に対し、死柄木は自問自答するかのように答える。
「…ラスボス…俺は…魔王…いや…」
そして、ぼんやりとした目つきのまま、右手を構え、自身の存在を称する。
「
WHOOMM!!
【気流操作】【業火】【竜巻】
エイリアン並に強化された個性を従え、ベンに対し炎の竜巻を放つ。
「いきなりかよ!!」
WHOMM!!
これに対し、両手から熱光線で相殺を計る。
寝起きの崩壊で、周囲の建物は軒並み塵芥となり果てていた。
そして、彼らの熱で大地は焦げ、地獄の焦土と化す。
オレンジ色の熱光線は、竜巻にぶつかると赤く爆ぜ、霧散する。それと同時に敵の攻撃も弱まり消える。
攻撃の相殺に成功し口角を上げるスワンプファイヤー。
しかし、油断している場合ではない。
躰を限界まで改造した死柄木は、素でオールマイト並の身体能力になっている。
彼を髣髴とさせるスピードで、地面をえぐりベンに迫る。
エイリアンでしか視認できないスピード。
マズイと感じたベンは、胸のマークを叩く。
QWANN!
緑色の光が彼を包むか包まないか。それほどギリギリの瞬間、死柄木の手刀は彼を貫く。
【金剛】で固められた手槍。貫いたその手で、さらに個性を発動させる。
一つは【AFO】。
一つは【崩壊】。
1つでも致命に至る攻撃達。それらすべてを一身に受けるベン。今度は死柄木が笑みを浮かべる。
が、
「グープ!」
その笑みをあざ笑うかのように、液体となるベン。
緑色のスライムとなったベンには、手槍も【崩壊】も効かない。そもそもエイリアンは個性を持たないので、【AFO】も発動しない。
自身を貫く手を意に介さず、ドロリと溶けるグープ。地面にトプンと染みると、死柄木の背後に回る。
そしてすぐさまマークを叩く。
QWANN!
変身したのはビッグチル。肺を膨らませた彼は、
FOOOO!!!
と、氷の吐息を吹きかける。
宇宙一の超極固冷凍息吹きは、さしもの死柄木でも凍り付く。
ケビン11との闘いではこれが決め手だった。ただ凍り付かせるだけでなく、臓器や身体機能まで停止させる氷。
もし死柄木が彼と同程度の敵ならこれで終わりだっただろう。
だが、複数個性が【先祖返り】を起こす彼は、ケビン11を優に超すスーパー敵。
BRAIIIIINN!!
掌周辺の氷に亀裂が入ったかと思うと、氷のオブジェクトは無数の破片となっていく。
冷やされ劣化した身体機能も、【超再生】によりすぐ元通りだ。
少し離れたビッグチルへ、両手を翳す。
「【空気を押し出す】【刀化】」
BRROOWWW!!
目の前の大気は、無数の刃となり相手を襲う。その勢いに押され、空中へと舞うベン。傷からは藍色の液体が滴る。
「いっったい!!」
QWANN!
しかしベンは怯まず、攻撃を仕掛ける。
「ジェットレイだ!!食らえ」
BYYEEM!!
敵に打ち上げられたことを利用し、空中からのレーザー攻撃。緑色の瞳から放たれるビームは、もれなく死柄木へ。
もちろん、その攻撃をただで受ける死柄木ではない。
「【反射】…と【拡散】」
自身の中から探すように個性を選択。
レーザーを体にため込んだかと思えば、全てを打ち返してくる。
BYEMM!!BYYEEM!!BYYEEM!!
「うわっぷ!!」
得意の高速起動で避けきるも、死柄木から目を離す。
その瞬の間に、死柄木は跳躍し、彼の頭上に。
ベンの上を取り、見下ろしながら個性を選択。
(【崩壊】は触れる必要がある…から、こっちのがいいな)
【空気を押し出す】【筋骨発条化】【瞬発力】×4【膂力増強】×3
かつて、オールマイトとの戦闘でAFOが見せたこの技。AFOが使用した時は、オールマイトのパンチ並みの威力だった。
それ等の個性全てが強化されている。数倍では効かないこのパンチに、
QWANN!
「ヒューモンガソー!!」
ベンはヒューモンガソーで対抗する。
相手に上を取られているが、拳を突き上げ相殺狙い。
手は届かないが、彼の力で拳を振るだけで相応の威力は出る。
「ぬぅぅん!!!」
BWWOOM!
巨大生物と、複数強化個性のぶつかり合いは、上空50メートルで勃発。
その余波は大気を震わせ、残る建物を揺らすほど。グウェンは倒れているヒーロー達をバリアで守り、拳藤は魔法でなんとか吹き飛ばされないように踏ん張る。
最新、最強の力を持つ者の力比べは、
DOOWWNN!!
DOOGGOOONN!!
どちらにも軍配が上がった。
不利な体勢だったベンは、勢いよく地面に叩きつけられる。その場には、巨大隕石が落ちたかのようなクレーターが出来上がる。
しかし死柄木も、ベンのパンチを完全に相殺できなかったのだろう。さらに上空にうちあげられ、まだ地面に降りてこない。
その確認をした後、ヒューモンガソーはプルプルと顔を震わせ、クレーターから這い出て、グウェン、拳藤に対し愚痴る。
「おいおい…ほんとに人間か、あいつ?オレのパンチを相殺したぞ?」
「【個性】が【個性】の範疇を超えてるわね…まるでDNAリアンみたい。」
「うん。それに加えて、たくさんの個性を持ってる…神野でみたAFOみたいだ」
拳藤は、さきほどの攻撃を思い出しながら、相槌を打つ。
ベンを救出に出た際、生で目にした巨悪AFO。オールマイトが奮闘し勝利してくれたが、彼でなかったらどうなっていたのだろう。
そんな敵が、今、自分たちに牙をむいている。怖くない、はずがない。
「どうするよ、ヒーローさんたち」
両手を頭の後ろに回し、半分投げやりなケビン。
彼に対し、
QWANN!
ベンは変身を解いて、伝える。
「さっきも言ったろ?こっから、チームベン10の時間だってね」
・
・
・
高く高く、空へと打ち上げられた死柄木は考えていた。
(…っち。あんまり効いてないな…)
ヒーロー1人に対して、大したダメージを負わせることができなかった。どころか、それなりに【超再生】を使う羽目となっている。
その事実が彼を苛立たせる。
(…くそが…確かドクターたちは…)
【この手術が完遂すれば、OFAなんて目じゃないぞい】
【そして、オムニトリックスさえもね】
ステイン事件の後、彼は急にAFOから打診された。
手術を受けないかと。この世のすべてを思い通りにする力を与えると。
その覚悟が緑谷とのエンカウントで決まり、地獄の苦しみを味わった。
それなのに、まだ勝てない相手がいる。
(OFAも、オムニトリックスも…なんなんだ…俺は、誰にも負けないんじゃないのか?ああ、駄目だ…また痒くなってきた…)
圧倒的力を持てば消えるかと思った渇きと痒み。
それは、幼少期のトラウマが原因だったが、思い出せない彼に知る由もない。
全部、オールマイトが悪い。その一心で手術を受けた。痛みに耐えた。
なのに、満たされない。まるで、
首元を掻く左の掌には、小さな穴が開いている。
底が無いかのような、黒い黒い穴からは、か細い声が聞こえた。
「…とうとを‥・・OF‥をウバ…為」
(ああ、幻聴まで聞こえるようになっちまった。この一年で俺の体はどうなっちまったんだ)
この手術に必要な時間は約1年。しかし、アルビードの独断により、その期間を得ることなく彼は起こされてしまった。
そのズレに、彼はまだ、気づいていない。
・
・
・
空の旅を終え、ヒュルリと着地する死柄木。彼の顔に、さきほどのような恍惚さはない。むしろ、何かに苛々しているようだった。
不機嫌な彼に対し、ベンは人間体のまま語る。
「あのさ、一応聞いておくけど、ここでやめるって言う選択肢はない?」
その言葉に、キョトンとする死柄木。
「ああ…?」
「いやさ、このままじゃ、ボクか君、どっちかが倒れるまでやんなきゃじゃん。で、もし君が改心するようなら、何もしないっていうのもありだよ?」
チラリと後ろを見るベン。そこには、少しだけ変われたケビン。
譲歩を学び、人を知ったベンは相手の理解を図ろうとする。
しかし、その成長が、その言葉が、死柄木の逆鱗に触れる。自分でも理解していない、心の奥底の逆鱗を。
「改心…?…そうやって…自分たちが唯一の正解だと信じて…正解以外は見ないように、無いもののように扱ってきたのが、お前らだろ…?」
「え?」
「お前らの!その生きざまが!この
理由は分からない。なぜ自分がここまで滾るかわからない。
ただ、俺の中のだれかが叫ぶ。どうしようもないほど。
憎しみを絶やすなと。
・能力合戦ですね(笑)
・残り10話もないです!ラストスパート!
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章