【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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108話 無敵のエイリアン

ベンの前に広がる景色は、一面の黒と、遠くに光る星々。美しく、また、どこか荒々しい世界。胸がざわつくようで、どこか落ち着く。

 

宇宙はこんな感じだったな。

 

そうベンが思い出した時、彼らは現れる。

 

「何しに来た、ベン!!」

「歓迎するわよぉ、ベン?」

 

左手に位置するのは、憤怒の仮面。

右手に位置するのは、慈愛の仮面。

 

数十メートルもの仮面だけが宙に浮き、喋りかけてくる。

 

「ここは…ていうか、なんでボクの名前を?」

 

「お前がここに来るのは3度目だからだ!」

「とはいっても、違う世界のあなただけどね?」

 

「違う世界って…パラレルワールドのこと!?知ってるんだ!」

 

「そんな次元の話ではない。この空間は全ての世界において共通する座標なのだ。この説明も3度目だ!!」

 

「ちょ、そんなに怒らないでよ…まあ、いいや。とにかく、力を貸してほしいんだ。」

 

ベンには何となくわかっていた。

この世界の主は彼らなのだろう。

 

ここは、エイリアンⅩの内。エイリアンⅩの力を統べるのは彼らだと。

 

それらを見越して懇願するベンだったが、憤怒の仮面は断り、慈愛の仮面は続ける。

 

「ならん。お前は前回こう言った。【お願い!これが最後の願いだから】と」

「確か、アナイアラーグで宇宙が崩壊した時だったわねぇ。その時は、もう一回作り直してあげたわ。」

 

「なんて?アナ…アニャ…なんでもいいよ!!とにかく、それはボクじゃない!違う世界のボクだって!あっちのボクだけお願い聞いて、ボクのお願いは聞かないなんて不公平だよ!!あーもぉ!何言ってんだボクは!」

 

駄々っ子のようにねだるベン。感情のままに訴えるが、エイリアンⅩの父であり母である彼らが絆されるとは思えない。

 

が、

 

「ふむ…確かに間違っていないように思える。わかった。お前に力を貸してやろう…」

「いいと思うわ。」

 

彼の頼みをするりと飲む彼ら。予想以上の好感触に拍子抜けするベン。

 

一息つき、彼らの名を問う。

 

「あ、ありがとう。そういえば、君たちの名前は?」

 

「私の名はベリカス。エイリアンXの有する、2つの自我の内の1つだ」

「ワタシの名前はセレナよ。」

 

怒髪天を衝いたような怒顔と、母星を感じさせる甘美な笑顔。それぞれの表情を変えずに自己紹介。

彼らの名を知り、それじゃあ、とばかりにベンは指を差す。

 

「そっか!よろしく!じゃあ、すぐにイズクを助けよう!そんで、あの憎たらしいAFOをやっつけるんだ!!」

 

指を差した先は世界が少し透過され、外の戦いが投影される。

 

ユニトリックスを駆使する緑谷とAFOは、五分五分の戦闘に見えた。が、再生力と持久力はAFOに分があるため、その均衡は直に破られるはず。急いで援護に向かわねば。

 

そう考えたベンに対し、ベリカスは頷き、

「ふむ…わかった…、あの者の存在を消せばいいんだな?」

 

「へ?」

 

殺人以上の行為、存在消滅を提案する。

過激な発言にあっけにとられるベンに、優しくセレナが囁く。

 

「野蛮ねぇ。本当に。これだからベリカスは…。いい、ベン?消したり殺すなんて、知性ある者の行う行為ではないわ」

 

「え、う、うん」

 

母の様な懐の深さ。彼女の言葉から慈愛を感じ、ベンは賛成しようとする。が、彼女の続けた言葉に絶句する。

 

「全てを許すのよ。AFOがああなったのには理由があるの。だから、彼を傷つけちゃ駄目だわ。」

 

「…は、はぁ!!?」

 

「馬鹿を抜かすなセレナ!全ての元凶はあの者にあるんだろう!憤怒に身を任せ、残虐非道に敵を消滅させることがベンにとっての最善だろう!」

 

「いいえ!あなたみたいな考えを持つものがいるから宇宙から争いは絶えないのよ!」

 

偉大なるエイリアンⅩの父母が見せるのはお粗末な口論。

まるで父と母の夫婦喧嘩を見ているようで呆れるベン。

 

「あー‥どっちでもいいから、ボクに力を貸してよ。そしたらボクのしたいようにするからさ」

 

【いいから早く】とでも言いたげなベンに、ベリカスは冷たく言い放つ。

 

「それは無理だ。エイリアンⅩは、私とセレナ、2人の意志が合致した時にのみ行動できる。」

 

瞬間、背筋に悪寒が走る。

(こんな気の合わない2人が意志の合致?!)

「あ、あのさ…本当は仲が良いんだよね…?」

 

願うように確認すると、

 

「最後に合意したのは、800年前だったか?」

「いいえ?それは結局間に合わなかったから4000年前よ。」

返ってきたのは最悪の答えだった。

・

・

・

「ちょ、ちょっと、シャレにならないって!!今!そこで!親友が戦ってるんだ!」

 

「そうだな。だが、私たちには関係ない。」

「そうね。あ、そうだわベン?あなたに提案があるの?」

 

「て、提案?」

 

「そう。ここで、私たちの議論を終わらせてもらえない?いつまで経っても、2人だけじゃどっちが正しいのか決まらないのよ」

 

「ど、どういうこと?」

 

要領を得ない質問を聞き返すベン。返す答えは、恐ろしい拷問。

 

「未来永劫、エイリアンⅩの心となってほしいの」

 

恐怖の提案に当然反対する。

 

「嫌だよ!ずっとここにいるなんて!いいから出してよ!」

 

「ならん。お前はもう足を踏み入れた。」

「エイリアンⅩは私たちが合意しないと動けないの。だから、いつまでたっても眠ったまま」

 

「そんな…」

絶望的状況。

 

が、ベンは思いつく。

 

まず、AFOをどうするかについての議論を終わらせる。そうすれば、この変身時間くらいなら体の自由は利くだろう。AFOをどうにかした後、後は変身を解除すればいいだけ。

 

この作戦のために話題を蒸し返す。

 

「わかった。とにかく議論の決着だね!AFOをどうするかだ!」

 

「ふむ、よし。さきほども言ったが、AFOは滅するべきだ。存在を消し、奴が今後回復するような余地も与えない」

 

「あまりにもひどいわ!それに今AFOは、シガラキトムラの体を奪っているのよ!彼に傷をつけることは、責任の無い者を傷つけるのと同義だわ!」

 

「いいや!シガラキは奴を受け入れている。そのための手術だったはずだ!全て奴らに原因があるのだから、奴らごと消すべきだ!」

 

全知全能の彼ら。人間の言葉で、神と言われる存在と同様の彼ら。

ゆえに、議論は終わらない。

決することの無い議論。果てなき討議。

 

巨大な仮面の言い合いに、人間のベンは当然の疑問をぶつける。

 

「倒すのじゃダメなの?そんな殺したり、なにもしない、なんていわないでさ…」

 

「馬鹿をいうな!そのような愚行、このベリタスは絶対に許さん!」

「ごめんなさい、ベン。全てを許す為には、その意見を許すわけにはいかないのよ…」

 

(なんだよ!意味わかんないよ…!!こいつら極端すぎるっての!もっとふわっと適当にやればいいのに!!)

心中で毒づく

 

外では今でも緑谷が血を流し戦っている。先ほどまでは五分だった戦いも、既にAFO優勢となっている。

 

どうすれば…なんとしても、

 

(イズクを…あっ)

 

そのとき思い出す。緑谷との会話を。そして、…のことを。

 

「2人とも…こういうのはどう?」

 

思いついた、起死回生の一手。

その内容を聞いた後、

 

ベリカスは、

 

「なるほど、残虐非道とはまさにこのことだ!!」

 

セレナは

 

「すばらしいわ!これなら誰も傷つかずに収まるわ!」

 

議論を終え、覚悟を決めたベンは、2人に背を向ける。

 

「よし…じゃあ、行こう」

・

・

・

DOGGAA!!

 

「どうしたんだい?出来損ないの緑谷出久」

 

「ぐっ…」

 

状況は見るからに劣勢。宙に浮いた緑谷は右腕と額から血を流し、太腿はえぐれていた。

対するAFOは、ほぼほぼ無傷。

 

「その機械と、OFAをもってしても僕に勝てないなんてね。本当に君は平和の象徴の後継者かい?」

 

「うる…さい…!」

 

気を強く保つ緑谷だったが、彼自身も不利なことは理解していた。

 

黒鞭による捕縛で、敵を宙に拘束することには成功している。

 

が、逆をいえば黒鞭と浮遊に神経を使わざるを得ない。

 

【煙幕】で隠れながら攻撃しようにも、AFOは視覚以外の捕捉手段に慣れている。

 

さらに【崩壊】対策で、要所ではダイヤモンドヘッドにしか変身できない。

 

そしてなにより、

 

「超再生…この体になって、この力のすごさが分かるよ…」

 

再生力の差。緑谷もダイヤモンドヘッドによる部位補修は可能だが、敵は与えたダメージ全てを無に帰す。

 

そのため、いくら超越した力を発揮できるユニトリックスでも、完全には抑えられないのだ。

 

それでも

 

BAQQNN!!

 

「どんな逆境でも…ヒーローは…」

 

全身に、炎を灯す。

 

「負けないんだぁぁぁぁ!!」

 

引き出した力はヒートブラスト。宇宙でも随一の火力を、何十倍にも高める。

(放出は轟君やエンデヴァーをイメージ!全身から噴き出る焔を、右足に!!)

 

「BLAST SMAAAASHH!!!!(ブラスト スマッシュ)」

 

ヒートブラストの火力による、空中きりもみ回転蹴り。

 

烈火の推進力に加え、業火の熱で、敵の防御を破る狙い。

 

だが、

 

「【ヒートブラスト】×【衝撃反転】」!!

 

狙っていたかのように、彼は力を行使する。

 

焔はヒートブラストの力で吸収。蹴りそのものは衝撃反転。

 

「グアッッッ!!!」

 

全てをつぎ込んだ一撃は、己に牙をむく。バラバラになりそうな衝撃を受け、意識が飛びそうになる。

 

その一瞬、黒鞭が緩む。

 

好機と言わんばかりに、AFOは自由に動く副左腕で、進化した【崩壊】を発動。

 

エネルギー体であり、本来触れられない黒鞭が崩壊する。

 

縛るものが無くなった彼は、溢れる膂力で、地面へと向かう。

 

「っ!!!やめろぉぉぉぉぉ!!!!!」

 

「もう遅い!」

 

緑谷がAFOを空中に留めていた理由。

 

それは、地面から連鎖崩壊を出させないため。

 

自身が崩壊を食らう分には、ダイヤモンドヘッドの再生力で相殺できる。

 

だが、地面から崩壊が伝播した時、

 

周囲に転がる、拳藤、ケビン、グウェン、親友を助けることは不可能に近い。

 

(誰が適している!?無理だ間に合わない!僕が止めないと!もう地に着く!!?)

 

半分パニックになりながらも、必死に敵を止める手立てを考える。

 

が、

 

無情にも

AFOの掌は地面に触れる。

 

GGGGGGOOOO!!

 

崩壊が始まる。

伝播する崩壊は、瓦礫に触れるだけで崩れ壊れる。

 

全てを平らにしていく崩壊。その全てにはもちろん、拳藤、グウェン、ケビンも入っている。

今、この世界を守るヒーロー達は、灰になり、朽ち果てた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

崩壊が始まる。

 

伝播する崩壊は、瓦礫に触れるだけで崩れ壊れる。

 

全てを平らにしていく崩壊。その全てにはもちろん、拳藤、グウェン、ケビンも入っている。

今、この世界を守るヒーロー達は、灰になり、朽ち果てた。

 

 

確かに個性は発動した。なのに、世界が壊れない。

 

「…今、確かにここら一帯を【崩壊】させたはず」

 

一瞬、地面に白い輪っかが飛んできた気がする。まさか、その影響?

 

目の前に広がるのは、きれいな大地と、グウェン達。

そして、

 

黒いエイリアン。

・

・

・

散々な目に合った。

 

ベンは心から思う。

 

(もう2度と変身しない…)

 

だからこそ、最初で最後に、この名を叫ぶ。

 

「エイリアンⅩ」

 

 

 

 

 

 




残り2話!!終わらせられるのか!!?

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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