【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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最終話 ボクのエイリアンヒーローアカデミア!

「っっっっつっかれたー!!!!!」

 

グインと伸びをするベン。変装は解除されており、元の10歳の姿に。

 

寝そべるのは瓦礫であり、本来ならば落ち着けるような場所ではない。

 

が、今の彼にとっては最高の布団だろう。

 

最凶最悪の敵であり、日本をこのような惨状に陥れた元凶を叩いたのだから。精神的安寧を手に入れた彼には、どのような悪状況も天国に思えるだろう。

 

そしてそれは緑谷も同じ。

ベンに追従するように、彼もほっと息を入れる。ジャリ、と音を立てて、ゆっくり歩き、手を差し出す。

 

「ほんと…よかった…ベン君も戻ってこれて…そういえばさっきはなんであんなことを?」

 

あんなこと、とは、OFAの世界でベンが発した言葉である。

 

”もしかしたら自分は帰れないかもしれない。”

 

その言葉の真意を尋ねると、ベンはあっけらかんと答える。

 

「ああ、さっき変なお面のおじさんとおばさん居たじゃん?」

 

「う、うん」

 

「あいつらがさ、ボクをエイリアンXの中に閉じ込めようとしたんだよ。自分らの議論を終わらせるには、お前が必要だって」

 

「ええ!?」

 

「ま、なんとか抜け出してきたけどね。もうあいつらには頼らない。ほんと、こりごりだよ。」

 

肩をすくめるベンは珍しく辟易している。自由を制限されることを何よりも嫌う彼からすると、当然かもしれない。

 

そして、差し出された手を取り、ベンは立ち上がる。そこであることに気づく。

「そういやイズク、ユニトリックスは…」

 

そう。緑谷の左手に巻き付いている変身端末。

アズマスからの贈り物。

 

時計に目を向けると、緑谷の顔は少し暗くなる。

 

「うん…」

 

ガチャリ、と地面に落ちるユニトリックス。

ダイヤルは外れ、画面は真っ二つに割れている。

見るまでもなく、使用不可能な状態。

 

たった一回で壊れたユニトリックス。その原因は、緑谷の使用方法にある。

 

彼は、多数のエイリアンの力を引き出すために、アップグレードで改良、いや改造を施した。

 

装置自体がギリギリのバランスで成り立っていた為、彼の無茶な使用法で、その天秤が崩れたのだろう。

 

無残に地に落ちたそれは、最新鋭の兵器ではなく、もはやただのガラクタだった。

 

「これ…どうしよう…」

 

「あははっ!アズマスに怒られるね!」

 

「そ、そんな…!確かに僕も無茶な使い方したけど!!」

 

「アズマスは面倒くさいぞぉ。この半年の間で何回『愚か者』って言われたか」

 

「僕も言われたよ…そういえば、()()()()では明らかにオールマイトを待ってたな…オールマイトとアズマス博士がなんで知り合いなんだ…」

 

「そんなの知らな…いや、待てよ?じーちゃんがなんかそれっぽいことを…そういえばアズマスがオムニトリックスを作ったきっかけって確か…」

 

思い出そうにも夏休みより前の話。すぐには思い出せない。

 

記憶力が良いとはお世辞にも言えないベンが、必死にその思い出を掘り起こそうとしたとき、

 

BOOOOONN!!

 

「…生存者発見!!君は確か…!!」

 

空から現れたのは、エンデヴァー率いるヒーロー達だった。

 

「エンデヴァー!!!」

 

「…緑谷君か。」

 

体育祭以来の再会に、緑谷はかしこまる。

 

「は、はい!!覚えて頂いて光栄です!!」

 

「そして、そこにいるのは…」

 

エンデヴァーは当然、緑谷の隣にいたベンに反応する。

緑谷は彼が指名手配されていることを思い出し、弁解しようとする。

 

「ちがうんです!彼は敵ではありません!!」

 

慌てる緑谷と対照的に、冷静な面持ちのエンデヴァー。

 

「うむ…そうか…」

 

予想外の反応に緑谷は拍子抜けする。

 

エンデヴァーがすぐにベンを受け入れたのには2つの理由がある。

 

一つ目は、彼と同じ姿の者が、雄英その他危険区域で戦ってくれたから。

二つ目は、

 

「緑谷!テニスン!!」

 

ベンのクラスメイトである息子が、潔白を訴えていたから。

 

エンデヴァーに遅れて到着したのは轟。そして、

 

「はっ!!ボロボロじゃねぇかくそナードども!!!敵の親玉は本当に倒せたんか!?」

 

現着するなり悪態をつく爆豪だった。

 

「轟君!かっちゃん!!!!」

 

クラスメイトの登場に、緑谷は顔を綻ばせる。当然、ベンも。

 

「おっそいんだけど!特にカッチャン!アルビード監獄に入れたらすぐに来てくれると思ったのに!!」

 

「ああ!?場所も教えねぇで勝手に飛びやがって!分かるわけねぇだろが!」

 

「ふぅん…まあ?カッチャンのスピードじゃあ、日本全国を飛び回るなんて無理だもんねぇ。ごめんごめん」

 

「ぶっ殺すぞくそチビがぁ!!」

 

まるで子どもの喧嘩。

A組で最も煽り耐性の低い2人。当然、売り言葉に買い言葉で喧嘩になる。

彼らの言い合いは、周囲を呆れさせるほど続く。

 

さすがにと、エンデヴァーの仲裁が入る。そして、拳藤やその他の人間に目を向け、

 

「おい。ガキじゃあないんだ。負傷者も多い。直ちにセントラルへ運ぶぞ。」

 

「はい!」

「わかった」

「っっち!!!」

 

緑谷、爆豪、轟。3人がそれぞれ返事をして、エンデヴァーの元へ歩く。

 

が、1人だけ足を動かさない。

 

「ベン君?」

 

立ち止まったベンを不思議に思い、緑谷が尋ねた瞬間、

 

ZBUUUUUMM!!

 

次元に亀裂が入る。

 

「うわぁっ!?」

 

と声を出す緑谷に比べ、エンデヴァーはそこまで驚かない。

なぜなら先ほども見たから。

 

この次元の渦は、間違いなく、()()()()()だ。

 

「お、来た来た」

 

エンデヴァー同様、落ち着いているベン。

渦巻く次元が開くと、中からは複数の人間が姿を現す。

 

「終わったみたいね」

「エイリアンX使えたの!?すごいね」

「エイリアンX?誰それ?新しいエイリアン?」

 

思うがままに発言するのは、パラレルワールドのベン達。

 

緑谷は雄英で治療を受けた後、AFOの復活を知って直ぐに駆け付けた。そのため、多次元のベン達が戦っていたことを知らない。

 

“ベン”が何人もいることに驚く緑谷だったが、さらに渦の中から出てきた()()()に、彼は目を丸くする。

 

「ぼ、僕?」

 

緑色の天然パーマ。印象的なそばかす。そして、平時は自身なさげな顔。

それは紛れもなく、緑谷出久だった。

 

「こ、こんにちは。僕、緑谷出久っていいます」

 

「あ、いや、こ、こちらこそ…僕も緑谷出久です…」

 

ワープゲートの中にいる彼。その体の線は自分よりも幾分か細い。初めて自分を目の前にして驚いている緑谷だったが、観察力に長けた彼は()()に気づく。

 

「そ、それ!」

 

緑谷が指さしたのは、手首の時計だった。

 

「う、うん。僕は、オムニトリックスを持ってるんだ。君みたいに、OFAは持ってないけどね」

 

「ええ!?な、なのになんでOFAを知ってるの…」

 

「そりゃぁ、ボクが教えたからさ!」

 

彼らの間に割って入ったのは、筋骨隆々の高校生。こちらの()とは似ても似つかない。

 

が、その瞳で正体が分かった。

 

「もしかして、ベン君?」

 

「大正解!なんていうか、この世界とボクの世界、逆転してるっぽいんだよね!だから、()()O()F()A()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。ま、色々新鮮だったよ!」

 

意気揚々と話す向こうのベン。

 

緑谷もユニトリックスを使いはしたが、あれはあくまでエイリアンの力を引き出すもの。エイリアンそのものに変身できるわけではない。

 

どんな感じなんだろう。

向こうの緑谷が少しだけ羨ましく感じ、

そう質問しようとしたとき、

 

「おしゃべりはそれくらいでよろしいかな?」

 

彼らの話を遮るのはパラドクス博士だった。

 

「そろそろ次元トラベルも幕引きだ。なすべきことを為した今、次にやるべきは己の爪を研ぐことだ。」

 

彼の言葉で、こちらの世界のベンはため息をつく。

そして、ワープゲートの元へ歩を進める。

 

彼の動きにギョッとしたのは

 

「ベン君!?」

「テニスン…?」

「何してんだクソチビ!」

 

クラスメイトの緑谷、轟、爆豪。

 

ワープゲートに半身を入れたベンはくるりと振り返る。

物憂げな顔。だが、すぐに切り替えて、笑顔で彼は話す。

 

「まだ、やることがあるんだよね。ま、皆によろしく!」

 

それだけを言い残して、彼はゲートに飲まれていった。

「皆さんこんばんは。()()()()()()、ニュースサンデーの時間となりました。司会は私、報瀬 全子(しらせ ぜんこ)が担当いたします。当番組では、昨今のニュースを私が一通り触れた後、パネラーの皆様で意見を交えると言った形式をとっております。パネラーの松田さん、ヴィーラさん、新多さん、よろしくお願いします。」

 

「よろしゅうな!」

「よろしくお願い致しますわ」

「よろしくお願いします」

 

 

「なお、昨今のニュースと述べましたが、今週は先の敵襲撃関連のものに限られますが、ご理解願います。

 

まず第1のニュースですが、約2か月前に起きた【超常異形戦争】。黎明期を含め、日本で最も死者を出したこの戦い。

 

戦火により、日本全土は壊滅状況に至りましたが、本日付けで、その復興率は85%を上回りました。大変喜ばしいことですね。

 

この復興率の要因は、ヒーロー、市民の方々の助力はもちろんですが、謎の異形系が常に被災地に現れ、瞬く間に現地を回復させていったことが大きなものであるとのことです」

 

「そして第2のニュースです。全国指名手配されていた、雄英高校ヒーロー科 1年A組ベン=テニスン君ですが、昨日、その解除がなされました。

 

これについて警察は、“私たちの不徳の致すところでありました。本人には早急の謝罪に向かう予定です。”とコメントしています。

 

神野区でオールマイトを殺傷し、エイリアンであると発言した人物については、敵連合の人員であり、コピー個性を有した者の犯行であると警察は発表しました。その者については身柄を拘束し、敵連合やAFOとともに、対個性最高警備拘置所 通称タルタロスに収監されているとのことです。」

 

「以上、この半年でのニュースでした。それでは皆さん、どうぞ」

 

「おおきにな。全子ちゃん!にしても…見とったで!あんたが戦争を中継しよるの!よく生きて帰ってこれたなぁ!」

 

「それが私の仕事ですので」

 

「いやいや!仕事に命を懸けるなんて、そうできることちゃうで!」

 

「確かに彼女はすごいわ。けれど、早く本題に入るべきでなくて?時間は有限なのよ?」

 

「ったく、おまえさんはほんまコミュニケーションをわかっとらんな!まあええわ。どう考えても今回のお題は一つや」

 

「ええそうね。」

 

「「エイリアンは実在したのかや」ですわ」

 

「というと?」

 

「ええか?神野区でテニスン君が“エイリアンは居る!”と発言したやろ。これだけやったら、ただのイカれたクソ野郎で済む。ただ、その後、DNAリアンっちゅう()()()()()()()()が出てきたやろ?そして、なんといっても敵連合の異形化。これらんことから、エイリアンは存在して、その力を敵連合は借りてたんじゃないかって思えるんや!」

 

「話を聞いていましたの?テニスン君はコピー元であっただけ。犯罪者の名はアルビードよ。それに、DNAリアンの正体は我々一般人。もう少し口に気をつけてくださらないかしら」

 

「そりゃすんまへん。ほな、あんたはエイリアンが存在しないと思とるんか?」

 

「いいえ。わたくしも存在すると思いますわ。ですが、これはあなたのような憶測ではなくて、科学に基づいた話です。」

 

「科学ぅ?」

 

「ええ。私は個性研究チームを携えておりますが、先日の戦争で、偶然敵連合のDNAを採取できましたの。血液からは、その人物の個性が分かりますわね?検査をした結果、個性因子ともうひとつ、別の因子が発見されましたの。」

「別の因子?」

 

「ええ。個性因子と似ており、身体組成を構築する設計図のようなもの。ですが、個性因子よりも遥かに活性的で、なおかつその規模がケタ違いのDNAですわ。

 

普通の個性因子は、とある器官、例えば“ふくらはぎ”や“脳”などに特殊能力を発現させるもの。しかしそれは、体全身に特殊能力を開花させるものでした。我々のチームはこの因子をA‐因子と呼ぶことにしました。」

 

「なんや…難しい話やなァ。兄ちゃんはどう思う?」

 

「そうですね。僕は…エイリアンなんていないと思っているので。」

 

「ほぉん。それはなんで」

 

「なんでと言われましても…そもそも信じているあなたたちが珍しいというか。政府だって公言してるじゃないですか。“敵連合やDNAリアンは、違法薬物による長期的、超過的なドーピングをした結果、その体質が変化したものである”って。なのに、エイリアンがエイリアンがって、陰謀論を信じるなんて、どうかしてますよ。」

 

「あら、こちらには血液検査による証明もあるのよ?」

 

「それだって、違法薬物で個性因子が混線、変質しただけなんじゃないですか?実際、ヒューマライズと呼ばれる団体はそれっぽい(違法薬物)ものを持ってますし。」

 

「なんやて!?…そういえば、ヒューマライズと異星概観…なんやっけ?まあそいつらがぶつかった!みたいな噂を聞いたなぁ…」

 

「異星概観信仰派ですわ。まあ、当然と言えば当然でしょう。

 

『自身らはエイリアンなのだから、個性や異形系を認め、力を自由に使うべき』だと主張するのが彼ら。

 

その逆に、『人間らしさを取り戻すため、個性そのものをなくそう』としているのがヒューマライズ。戦争を起こすのも時間の問題と思っていますわ」

 

「せやなぁ…って何の話や。それより兄ちゃん!あんた、本当にエイリアンがおらんと思っているんか!?」

「だから、それが普通ですって」

 

「じゃあ、復興の時全国に現れた()()!あれはどう思ってるんや!」

 

「“あれ”とは、全国各地に現れた異形系のことですね。」

 

「そ、それは…別に、ただの自警団なんじゃぁないですか?」

 

「あんな自警団おるか!異形系ちゅうことは常にあの体ってことや。それならどこのだれで、どこで生まれ育ったのかは、調べればすぐわかる。やのに、あの自警団は一切素性が割れんかった!もうこれは、宇宙から来た、善意のエイリアンに決まっとる!」

 

「いや、けど、それじゃあ‥!!!」

「失礼します。議論も白熱してきたところですが、番組終了のお時間です。今日は皆さんに“エイリアンが存在するのか”というお話をして頂きました。」

 

「全子ちゃん!全子ちゃんはどうなんや!?」

 

「私は司会ですので…ですが、私個人の意見としては…いたら嬉しいかもしれません」

 

小さく笑いながらこそっと話す。そして、咳を一つ入れると、

 

「コホン。最後に、嬉しいお知らせで当番組を締めくくろうと思います。明日6月1日。ヒーロー育成機関最高峰 雄英高校が復校します。

 

ヒーローを目指す皆、頑張って!!」

「やっと学校が始まるぜウェイ!!!」

 

教室内ではしゃぐ上鳴。普段ならば誰かしらが“うるさい”と注意するのだが、今日に限っては誰も咎めない。それもそうだろう。

 

決戦から約2か月。戦場となったここ雄英も、ようやく授業が始められる体制となった。

寮では顔を合わせていたが、教室でゆるっと雑談するのとはやはり違う。どこかこう、普通の高校生活らしさがあるのだ。

 

「にしても、あの演説していたのが偽物だったなんてよ!コピー個性…だっけ?」

 

「昨日のサンデー見たんだろ!?報瀬アナ最高だったよな!ラストは特に可愛かったし!もしオイラがコピーするなら報瀬アナに変身して…・グフフフ」

 

「あんたの場合、コピーされて入れ替わった方がいいかもね。」

 

峰田が身を捩らせると、耳朗が肘をつきながら軽口を飛ばす。

 

いつものA組の会話。

のようだったが、その話題の中心は、自然とこの場にいない者に集約される。

 

「そういえば、エイリアンって、結局のところいたのかなぁ?」

 

「どっちだろうな。まあ、政府や公安は“有り得ない”って言ってるけど‥」

 

峰田の素朴な疑問に、切島が答える。

 

「まあそうだけどよ…じゃあテニスンがどうだって話だよ」

 

「…」

 

「敵連合の襲撃から一か月までさ、全国に異形系がめちゃくちゃ出たじゃん。全部が全部、姿かたちが違ったけど、復興を手伝う善良な異形。あれ…絶対テニスンだろ?」

 

峰田の同意を誘うような言葉にうなづく尾白。

 

「まあ、()()()()()着いてたしな。あと、インタビューでの答え方も間違いなくあいつだよ」

 

彼らが思い出すのは、寮で見ていたニュース。

 

見たこともない、狼型の異形や、ミイラ型、あるいは…それらが日に一度はニュースに取り上げられていた。それぞれ、体躯も口調もまるで異なるが、そのうちの一体がこう言っていた。

 

【俺がエイリアンかって?そうだな…ただのエイリアンじゃあない。エイリアンヒーローだ。そこんとこ、よろしく!】

 

「エイリアンでもあたしは気にしないけど…テニスン…帰ってこないもんね。ここ一か月はエイリアンの方も見ないし…」

 

芦戸の言う通り、決戦から1か月は被災地に現れていたエイリアンだったが、ここ一か月は鳴りを潜めている。

 

ベンを心配するセリフを、隣の席で聞いた爆豪はあることを思い出す。

 

そして同様に思い出した轟はそのことを口にだす。

 

「そういや、テニスンのやつ、しばらくアメリカに居たって言ってたな。」

 

「「「「アメリカぁ!!!?」」」」

 

唐突な情報に驚くクラスメイト。だが、葉隠がポツリと、

 

「でも仕方ないよ。テニスン君のこと、まだ敵だって思っている人だっているし…」

 

彼女の言う通り、ベンのことを目の敵にするものは少なくない。

 

報道では、エイリアンの宣言をなした人物は、コピーすることに長けた脳無であり、ベン=テニスンは敵連合に誘拐された際にコピーされた、とされている。

 

しかし、国民は“なぁんだ”では済まさなかった。

 

同じ教室で半年過ごした者ならともかく、ただの高校一年生としか知らない者達からすると、やはり彼を疑ってしまう。

 

顔が見えるところでは、“ベン=テニスンは被害者”だと皆が言う。が、その裏では、

【元々敵気質だった】

【洗脳されている】

あるいは

【エイリアンである】

と主張する者は、後を絶たない。

 

「こんな中、日本にいるのは確かにきついもんなァ」

 

湿っぽい空気になる中で、峰田は少しでもポジティブな情報を出させようと、緑谷に話を振る。

 

「緑谷!お前何か知らないのか!?最後、死柄木を倒したのってお前とテニスンなんだろ!?」

 

「え!?いや、っっ確かに…うん…」

 

緑谷は思い出す。

 

最後の“皆によろしく”という言葉。

 

あの言葉には、もう戻らないから、という意図が含まれていたのではないか。

 

だが、これを伝えるのは気が引ける。なぜならば、皆の気持ちが分かるから。

 

ベンは日本を救ってくれた。そんな彼が、姿も見せず消えることは皆望んでない。

 

自身の願望を混ぜながら、言葉を紡ぐ。

丁寧に、それでいて、明るく。元気に。

 

「だ、大丈夫!絶対にベン君は帰ってくるよ!!ぜっ」

 

ガラリ

 

瞬間、教室が鎮まる。

 

「あっぶな。ふぃ~。遅刻ギリギリセーフ」

 

なぜなら、渦中のベンが、何事もなかったように教室の扉を開けたから。

 

【えええええええええ!!!!???】

 

「ちょ、皆うるさいっての!何!?」

 

「テテテテテテテテニスン!?なんで!」

「アメリカに行ったんじゃ!!!」

 

目を丸く、そして飛びださせながら前に出てくるクラスメイト。

彼らに対し、あっけらかんとベンは答える。

 

「へ?ああ、まあね。そうだ。聞く?ボクの()()()でのヒーロー話!」

 

「はぁ?!」

 

「アメリカのヒーローでさ、トクベツジュヨケンゲンってのを持ってる人がいてさ。その人から、アメリカでのヒーロー活動許してもらってたんだよ。ほら、ボクじーちゃん向こうにいるし。それに…」

 

胸を張り、ふふんと

 

「ボク、世界で一番強いみたいだから!」

 

「こ、こいつ!前よりもうざくなってる!」

「アメリカでヒーロー活動ってすごーい!」

 

クラスメイトごとに異なる反応を受けながら、ベンは詰め寄られる。

 

彼らの熱い視線をうけ、

さあ、土産話だと言わんばかりに異国での活躍を語ろうとしたところで、

 

「うるさいぞ。席に着けお前ら。」

 

相澤登場。林間合宿、雄英襲撃。両方の戦闘で重傷を負った彼だったが、その傷もだいぶ癒えたようだ。

 

「「先生!!」」

 

ぬるりと登場した相澤は、ベンを一瞥した後、

「とりあえず、全員席に着け。全員だ」

「えー。先の敵侵攻。みんな、良く戦ってくれた。直接戦闘に及んだ者、そうでない者。いずれにしても、君たちのおかげでこの国は守られたと言っても過言ではない。まず、一ヒーローとして感謝する。ありがとう」

 

深々と頭を下げる担任。その姿にギョッとする。生徒。なかでも驚いたベンは、

 

「どうしたの先生。めちゃくちゃ褒めるじゃん。」

 

と、あえて茶化す。

 

するとすかさず、捕縛布が彼を襲う。

 

ギリギリ!!

 

「アイタタタ!ジョーダン!ジョーダンじゃん!」

 

「次やったら除籍するぞ…まあ、そんな頑張ってくれた君たちに朗報です。」

 

スッと扉に目線をやる。と、

 

OPENN!!

 

「私がァァァァケガから復帰して来た!!!」

 

壊れんばかりに扉をスライドさせたのはオールマイトだった。その姿は、痩せこけて、全身に包帯を巻いている。

 

が、それでも、杖も持たず、他者の力も借りず、自分の足で立っていた

 

「「「オオ――ルマイトォォォォ!!!」」」

 

彼の登場に、ベンが帰ってきたことと同じくらい驚くクラスメイト。口をパクパクさせるものもいれば、万歳三唱する者。

 

なかには、涙する者もいた。

 

「はぁーーはぁっはっは!!!皆、聞いたぞ!私が眠りこけている間に、日本を救ったと!!本当に、君たちは、最高のヒーローだ!!!!」

 

オールマイトの視線は、唯一彼の登場に驚いていないベンに向かう。

 

そして、小さくウインクする。まるで、何かにお礼するように。

 

2人の様子を見て、緑谷は涙をこぼす。彼を治したのはベンだと、そう確信して。

 

嬉しさのあまり涙する親友を見て、ベンまで少し照れてしまう。

 

ポリポリと頭を掻きながら、

 

「大げさだなァ…」

 

と小さくつぶやいた。

 

オールマイトの復帰に喜ぶ皆々。

その騒ぎ具合を確認して、オールマイトは提案する。

「よしっ!!!じゃあ、みんなで今からお花見に…!!!」

 

「さて、色々と言うべきことは言ったし、授業に移る。」

 

が、至極冷静、超合理主義の彼に遮られる。

 

「あ、相澤君…」

 

「ただでさえ遅れているんです。合理的に行きます。えー…それでは」

 

オールマイトがシュンとしたのを無視して、相澤が黒板に何か書き始めた。

 

そのとき、

 

ZBUUUUUMM!!

 

空間が渦巻く。

 

「「「「!!!!???」」」」

 

得体のしれない渦に、生徒は恐怖する。

 

もしや敵の襲撃?

まだ戦争は終わってない!?

 

さきほどまでの騒ぎが嘘のように静まり返る。

が、皆と違い、緑谷だけは落ち着いていた。

 

なぜなら、知っているから。このゲートは誰のものなのか。そして、誰を呼ぶものなのか。

 

そして同様に、相澤とオールマイトは表情を変えない。

 

渦巻くゲートから見えたのは、赤い髪の女性。

 

「ベン!早く来て!アニモ博士が古代生物を復活させたわ!ケビンが今戦っ…やられたわ!」

 

同年代かそれ以上に見えた女性は、チョークを持った相澤に気づく。

 

「…あ、先生ごめんなさい…多分、すぐ終わるので…とにかくベン!早く来て!!」

 

それだけを言い残し、すぐにゲートの向こう側へ戻る。当然、未だ黄色のゲートは渦巻いている。

 

少しばかり溜息をつく相澤。

 

彼は、自分に視線を送るベンに、一言。

 

「早めの休み時間をやる。すぐに終わらせて来い。」

 

「はいはい。」

(ま、最初の数学はサボるけど)

 

「授業をサボってみろ。一発除籍と、USA.ヒーロー活動権限の剥奪を申請するからな。あくまで、お前の学びの場はここだ」

 

「げっ!?…わかってるよ…まあここが、ボクのエイリアンヒーローアカデミア、だからね!」

 

目を煌めかせ、、彼は左手首の時計を起動する。

 

QUIINN!

 

オムニトリックスは主の瞳色に光っている。

 

机の合間を歩き、ベンはゲートの前までくる。

 

その時、彼と同様の瞳を持つ緑谷は、ベンを呼び止める。

 

「ベン君!!」

 

ベン君は戦うのだろう。もう、彼は先へ行っている。だが、だからこそ、

(僕も追いついて見せる!)

 

その想いを込めて、拳を突き出す。

 

彼の応援に応えるように、ベンは口角を挙げ、得意げに笑う。

 

そして、少年の掌は、ボタンを強くたたく。

 

 

 

 

 

困っている人を救けるために。

 

 

 

 

ヒーローに成るために。

 

 

 

 

「さぁ!ヒーロータイムだ!!」

 

QBANN!!

 




・あとがきですが、近いうちに別のモノを挙げようと思います。
番外編の内容とか、本編でこれはこういうものだったとか‥
もし質問や番外編の要望があればぜひ感想欄で!

・とにかく、本当に、長い間、ありがとうございました!!!!!!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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