【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
1話 宙からの贈り物
「あーあ、今日で夏休みもおわりかぁ。明日からまた日本だよ…」
アメリカの人里離れた森。物好きしか立ち入らない、とあるキャンプ場。
薄いエメラルドカラーの瞳を曇らせ、パチパチと燃える焚火を前に、ベンは呟く。
彼の愚痴に返答するのは祖父のマックス。
「この夏休みは楽しかったか?ベン」
「そりゃもちろん!!キャンプに博物館に、化石堀り!!サイコーだったよ!…このジャジャ馬従姉妹がいなければもっとよかったけどね!」
ベンの視線の先にはオレンジ髪の女の子。その顔立ちはどことなくベンに似ている。
名はグウェン。彼女はベンの悪態に反論する。
「誰がジャジャ馬よ。あたしはおじいちゃんと二人で旅行だと思っていたのに。あんたみたいなチビが一緒で大変だったわよ!」
「誰がチビだ!!」
「どー見たってチビじゃないの。15歳で身長150㎝もないなんて?ねー、おじいちゃん」
「これこれ、やめなさいグウェン」
祖父に止められるも、まだ溜飲が下りないグウェン。思わず、刺々しい口調で言い放つ。
彼に現実を突きつけるように。
「あんたみたいなやつは、やっぱりヒーローになれないのよ」
急な言葉にベンはもう反論。
「はぁ?!意味わかんないよ!ボクはヒーローになるんだ!じいちゃんみたいに、めっちゃくちゃ強いヒーローに!!」
「"無個性"のあんたが?」
「うっ…」
「いい加減現実みなよ。無個性でヒーローになった人なんていないんだよ?」
「そ、そんなもん知るかよ!このヘンテコ魔術師くそ女!!」
逃走する様に、ベンは森に走る。
口論になると大体はグウェンが勝つ。
喧嘩しようにも、相手は"個性"という特殊能力を持っており敗北は自明。
こうして無個性のベンはいつも捨て台詞を吐きながら場を離れるのだ。
森へ消えていく彼をマックスが制止するも聞かない。そのまま闇に溶けていく。
「ベン!!…グウェン、言いすぎだぞ?」
「…けど、アイツももう高校生だよ?これ以上夢見るのはみんなに迷惑がかかるよ」
「…」
マックスは言葉を返さない。その真意はグウェンと同じなのか、それとも異なるのか。それは本人にしかわからない。
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「くそう、グウェンのやつ。言いたい放題いいやがって…ちょっと自分が強個性だからって調子に乗ってるよ絶対…」
グウェンに悪態をつくベン。しかし彼女の言葉が何一つ間違っていないことはベンがよくわかっていた。
この世界の人間の8割は、個性と呼ばれる、何らかの特異体質を持って生まれる。そんな超人社会で、個性を行使して人々を救うことを生業としたのがヒーロー。
ベンの祖父であるマックスは、その身体強化系個性と多彩なサポートアイテムを駆使し、アメリカでもトップクラスのヒーローとなった。
「あーあ、僕もじいちゃんみたいに個性があったらなぁ」
そんな祖父に憧れたベンだが、彼は世界総人口の2割に入る非超人、つまり"無個性"であった。
無個性でヒーローになったものはいない。この事実は、ベンがヒーローになれないことを指し示すものであった。
今は中学3年生の夏休み。もう進路は決めなければならない。
「あーあ、日本に戻ったら進路考えなきゃ…ヒーロー科も諦めなきゃいけないかなぁ。けど、グウェンの言うこと聞くようでなんかヤダな…」
ブツブツと愚痴を溢す。止めどなく溢れるネガティブは頭の中をグルグルと巡る。
終いには、こんなことを宣う始末。
「はぁ、なんか空から個性でも降ってこないかなぁ」
中学生ならば誰しもが考える、空から何か降ってくる妄想。ベンの場合、その何かは"個性"だった。
もちろん現実の世界ではそのようなファンタジーではない。中学生がこんな妄想を口にしていたら、アメコミの読みすぎだと一蹴されるだろう。
ただ、この世界は、夢が現実となった世界である。
「あ、流れ星だ。なんかおっきいな…」
きらりと光る流れ星。赤い尾を伸ばして空を駆ける。
流れ星の進路の先にはマックスたちがいる方角。
(こんな近い距離の隕石なんて拝めないぞ!)
そう思って、一歩踏み出した矢先だった。
キュイン
「え、なんか方向変えて‥!!うわぁぁ!!!」 DOMMMMM!!!!
【突然空から降ってきた】
「何だ、なんなんだ。隕石が落ちた?急に曲がって?もう少しずれたら死んじゃうところだったよ!!」
驚愕しながらも、墜落した隕石の元へ駆け寄るベン。
「…うわぁぁ。初めて隕石なんて見たよ。しかも発見者第一号!…ん?なんか隕石の中に入っている?ってうわぁ!」
地面が揺れ、不本意にもクレーターへと降る。お尻をさすりながらも、隕石の中を見る。
そこには大型のダンゴムシを模したような機械が。ベンが見たことに反応するように、カシャリとその機械は開封される。
さらに中には、見たこともない時計が入っていた。
「かっこいい…」
奇抜なデザインの時計。緑と黒の幾何学模様。その色合いに心が惹かれる。
光に吸い寄せられる虫のように、ふわっと手を近づける。それが、始まりだった。
GYWAA!!!
まるで生きているかのように、その時計はベンの手首に飛びかかる。そしてそのまま皮膚と結合し外れなくなる。
必死に腕を振るも、ぴったりとくっつき離れない時計。
「うわぁっ!!なんだこれ!!急に、う、腕にくっついて!!んー!!取れない!なんで」
【腕に巻き付いた不思議なウォッチ】
「何だよこれ…変な時計だな…時計なのか?」
手首のそれは、時計にしては少々大きい。不思議な形だ、と思いながら観察する。
「あ、ボタンがある」ポチ
小さなボタンを押すと、キュイーンと起動音が鳴り時計が光る。瞳と同じ黄緑色に光る時計にベンは感動する。
この時計は神様がくれた特別な何かだと思い込む。
光を放ったまま時計の中央が盛り上がっている。黒で縁取られた菱形の中には、人型のシルエットが映されていた。
「おお、かっこいい…」
まだ精神が年齢に追いついていないベン。吸い寄せられるように中央ボタンを押す。人差し指で、そっと。
ポチッ
QBAAN!!!
大きな緑光がベンを包む。
ベンは錯覚する。一瞬だが、体が自分のものじゃなくなるような感覚。それはすぐ収まる。
ドクンドクンと心臓が脈打つ。
皮膚が、骨が、内臓が。全てが変わっていく。
偶然曲がった隕石、勝手にくっついた時計、ボタンをしたベン。その行き着いた先は、
「…う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!体が、も、燃えてる!!!!!」
体中から炎を出すロウソク人間だった。
【スーパーパワーを僕は手に入れた】
【ベン10】
・中学3年の夏、炎を司る異形に変身したベン。彼の人生はここから大きく変わる。
・原作である「ベン10」はYouTubeで1話目を見ることが出来ます!
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章