【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
脳無へと変身したベンが放つ全力のパンチを、無個性状態で胴体に食らったオリジナル。殴られた瞬間その場から消え、一拍おいた後には肉と壁の激突音。この広いUSJの端から端まで吹っ飛んだのだ。
超再生、ショック吸収のおかげで未だ無傷のベン。そんな彼に緑谷がまず抱くのは"様子がおかしい"という感想。緊急事態での敵との戦闘。確かにいつも通りの戦い方は難しい。しかしそれを差し引いても普段のベンとは戦い方が違いすぎる。相手を引きちぎるなど、そんな残酷な戦法見たことがない。さっきは咄嗟に合わせたが…
「…すごいよベン君!!」
しかしそのおかげでとりあえずの危機は去った。緑谷はベンをねぎらう。
今すぐ駆け寄りたいが相澤を背負っている。最後の力を振り絞った彼は気絶しており、放ってはおけない。とにかくここから離れることを提案しようとする。
が…様子がおかしい。
敵を倒してからベンに動きがない。ダラン、と腕を垂らし俯いてる。大きな口からはポトリ、ポトリと涎が垂れ始め、こちらを見向きもしない。あの、ベンが、敵を倒したらすぐに自慢するベンが、どんなときでも楽しそうにしているベンが。
さすがに不審に思い駆け寄ったその時、
「グギャギャググルギャァァァァl!!!!!」
奇声を発したかと思うとベンは、いや、その怪物は緑谷をめがけて突進してくる。相澤を抱えていたせいで避けることもできずまともに食らう。
なんとか体勢はこらえるが胃液がこみ上げてくる。
「がっ!!っっベ、ベン君!?」
「ギャァァァァ!!!!」
緑谷を意に介しないベン。先ほどまで理性的であった緑色の瞳はどす黒く染まっている。ただただ自分の目前にあるものを壊す。それだけのために動く。まずは目の前の子供から
諸手を挙げ、緑谷に襲い掛かる。相手がベンゆえに対応が遅れる緑谷。対オールマイト の膂力をもつ今のベンに対し、なす術はない。そのままつぶされる、
かと思ったとき、彼は来た。
襲い来るベンを両手で阻み、口から発せられるのはいつもの口上
「もう大丈夫。なぜって?私が来た!!!」
「お、オールマイト!!!」
暴走するベンを止めたのは平和の象徴、オールマイト。掴んでいるのはベンだとは知らない。敵だと勘違いしているオールマイトに緑谷が経緯と個性を手早く説明する。
「なるほど…とすると君はテニスン少年なのか…とりあえず、眠っておこうか!!」
掴んだ両手を上に振りぬきベンを上空へと放り投げる。空中での身動きが取れない彼はただもがく。が、オールマイトは違う。長年の戦闘で空中での動きすらパワーで解決できるようにしていた。空を見上げるベンに正対し距離を置いて放つのは80%の
「TEXAS SMASH!!」
背後をとって撃った緑谷とは違い正面からのスマッシュ。さらに違うのは拳をぶつけないこと。風圧のみでの攻撃にベンは地面にたたきつけられる。
直接打撃で吸収されるのなら風圧で動きを制限する。オールマイトの力とスタミナがあってこその選択。
暴風を食らい、地面にめり込むベン。だがダメージはない。すぐさま標的を変える。狙うはあの筋骨隆々の男。手を上げ、地獄からの使者のように底から這い出ようとした瞬間に、
pipipi QBAANN!
変身が解ける。解けた瞬間倒れるベンを彼は優しくは抱える。
「むう…時間が来て助かったな…まさか80%でもダメージが皆無とは…」
呟きながら緑谷の元へ向かうオールマイト。ベンに気遣い80%を打ったが思ってたスペックを超えていたため驚く。意図せず出てきた冷や汗を拭ったとき、後方から何かを感じた。振りむいたときには先程相手をしていたベンに似た何かが飛び掛かっており、オールマイトにグラウンドポジションをとる。
一分前に倒したはずの脳無は完全復活していた。四肢はもがれ肉体は削られていたはずの脳無はもう元の姿に戻っている。先程の死闘を見ていた緑谷は驚愕する。。
「なっ!!さっき倒したばかりなのに!!」
「大丈夫だ緑谷少年!とにかく二人を安全な場所へ!」
脳無を押し返しながら指示を出す。緑谷は、右腕が折れた自分がここにいても邪魔だと判断。相澤とベンをなんとか抱え出口に向かう。
一連の流れを見ていた敵2人は安心する。
「はっ、さすがドクターの傑作品だ。さっきのガキの頑張りはまるまる無駄だったじゃねーか」
「ああ、イレイザーヘッドも気絶したみたいだし、やっと暴れられるぜ」
「本当だよ…お前はずっと突っ立ってるだけだったからな」
「そういうなよ、まあ出口で安心してるやつらを嬲ってくるぜ」
その言葉の後、体を変形させていくその少年。
「…いつ見ても気持ち悪いぜ」
「行ってくる」
その瞬間、オールマイトの横を何かが通りすぎる。止めようにも脳無が自分を押さえつけている。普通なら視認することも難しいが彼だからこそはっきりと顔が見えた。その顔は一年前から見知った顔だった。
「な、なぜ!?」
・
・
・
USJの出口付近には麗日、砂藤、障子、そしてさきほど着いた尾白達がいた。敵はただ一人、黒霧。10分ほど前に飯田が本校に向かったので総合戦闘力は落ちていたが、黒霧も直接的な攻撃手段はなく膠着状態だった。
麗日が脅す。少しでも先生たちがくる時間稼ぎをと。
「飯田君が先生たちを呼びいったからあんたらはもう終わりや!」
「…」
黒霧は喋らずに何かを待つ。互いに睨み合った後、急に黒霧は薄れていく。
「なんだ?逃げ…た?」
敵の幹部の後退。その事実は一応の勝利のように感じる。初戦闘初勝利。生徒らも気が緩む
安心したそのとき、猛スピードで彼らの目の間に到着した者がいた。その姿に始めに気づいたの麗日。
「あ、ベン君!!戻って来たんやね!」
その姿が特徴的なXLR8。ディノサウルス型の姿は敵のようにも思えるが、入試で見たことがあったため麗日は笑顔で語りかける。そんな彼女につられ他の者も集まる。
ベンの戦闘力を知っているゆえに、安心するクラスメイト。
「なんだテニスンか。そういや50メートル走はそいつだったな!」
ワイワイと集まる彼らを無言で一瞥する。皆は気にせず喋りかけるが、ある違和感に麗日は気づく。
一言もベンがしゃべらないのだ。普段はもちろん、エイリアンに変身しているときにも良くしゃべるベンがまったく口を開かない。
「ベン…君?」
彼女の笑顔が消えた瞬間、XLR8の尾が麗日を打つ。
横薙ぎのしっぽを食らった麗日は倒れこむ。目の前でベン裏切る姿を見て混乱するクラスメイトら。
「…え?」
「お、おい!テニスン!何してんだよ!」
瀬呂の詰問に応えず、XLR8は変身していく。グニョグニョと姿を変えた先はフォーアームズ。
クラスメイトはその力を知っている。何物も破壊できる怪力。
脳裏には13号の言葉過る。容易に、人を殺せる力
この場で対応できるのは自分しかいない。拳を振り上げたフォーアームズに突っ込むのは砂藤。個性、シュガードープを発動し身体を強化。赤い拳を両手で何とか受け取める。
だが、両の手で止めたのはたった1つの拳。残る拳は3つもある。残った拳は砂藤を襲う。
「ぐぁっ!!」
麗日の時よりも吹き飛ぶ砂藤。この中で一番のパワー個性である砂藤がやられたことでなすすべがなくなる彼ら。
四つ目を光らせ、ただ真顔で皆を殺そうとする化け物に皆が恐怖する。
フォーアームズが構えた時、
PAKKIINN
その体は涼しげな結晶に包まれる。
足元から迫った氷に気を取られたところを、
BOOMMM!!!
爆撃が襲う。煙幕が立ち、其の隙にクラスメイト達は後方へ下がる。
多少のダメージを負ったフォーアームズは煙を払うと目の前には子供が2人。1人は二色の髪を持ち、もう一人は殺意を宿した目をしていた。
「何してんだ、テニスン」
「とりあえず死ねぇ!!!!」
オムニトリックスの仕様は原作通りじゃないかもしれません。まあしょうがない。だって原作はエイリアンだけどこれでは異形型って設定だし…
暴走理由もちゃんとあります。この作品でオムニトリックスの仕様が語られるのは職業体験くらいです、多分。
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章