【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
残り時間は3分。周りの騎馬は全て爆豪が吹っ飛ばした。つまり爆豪チームとのタイマン。幾多のチームを警戒しながら戦うのと1チームに集中するの。難易度でいえば後者が圧倒的に楽なのだが、如何せん、その相手が悪い。
「デクんところもぶっ殺してぇがなァ…圧倒的一位にはその面にひっさげたポイントが必要なんだよぉ…」
「あいにくだけどこれは渡せないよ?あたしたちの生命線何でね」
「じゃあ無理やり奪うだけだぁ!!黒目、しょうゆ顔!!」
「だから芦戸!」
「瀬呂な!!」
呼ばれた2人は各々の個性を生かす。
芦戸はその手から弱酸性の粘液を放ちリーバックの足元に酸溜まりを作る。それと同時に瀬呂は肘からのテープをリーバックの手に巻き付ける。
その意図を読んだ拳藤は指示を出す。
「ここに固定する気だ!すぐに離れて!」
「後ろに飛びのけ!」
心操の声に連動し左足で後方に跳ぼうとする。が、左手を固定され、さらには足元に酸。つるつると滑るその足場ではリーバックの脚力は生かされずクルンっとこけてしまう。
お忘れではないだろうか。今のリーバックは3人を背負っている。そんな彼が背中からこけた場合、
「ふぐぐぅぅ!!」
つぶれる、はずだった。とっさに個性を発動し大拳で支える拳藤が圧死することを防ぐ。拳を大きくする個性で何とか押しつぶされるのを防ぐが時間の問題。
すぐさま心操が立て直す。
立て、という指示ですっくと立ち上がるリーバック。逆に言えば命令しない限りは動かなかった。完全なる指示待ち人形になることが洗脳のメリットでありデメリットでもある。
圧死をギリギリ免れた心操は敵を確認。
が、そこには騎手の姿はなかった。
「爆豪がっいない!?」
「死ねやこらぁぁ!!」
BOOMM!!
爆豪単騎での視野外攻撃。その爆破は上から。
「舐めないでよね!!」
またも拳藤は掌を重ね防御する。おかげでハチマキを取られることにはならないがそのダメージは甚大。
「っ!!!」
赤く焦げるその両手を隠す拳藤。敵にも味方にも弱みを見せるのは得策ではない。そう考えすぐにでもさすりたい手を隠す。心操はそんな彼女を見てどうにかこの状況を打開する方法はないかと考える
(…駄目だ…爆豪はこっちの隙を隙を作り、動きを見てから行動してる。どんなにテニスンのフィジカルが強くてもそれを操縦するのが俺じゃ間に合わない。じゃあ…どうする…)
この試合中、2度目の動揺。不安そうな顔の心操に言葉をかけるのは意外な人物。
「ふふふ、迷ってますね心操さん。簡単です!迷うならやるんです!」
「は、発目?」
「失敗は成功の母ですよ!たとえ失敗しても次に生かせばそれは失敗ではありません!ただの過程なんです!」
「そうだよ心操。それにここにいるのはヒーローの卵48人だよ?それにヒーローだってこんなにいる。あんたがどうこうしようと大したことにはならないって!なにビビってんの!!」
バシン!!
発目、拳藤に激励され思いっきり背中を叩かれた心操。
…ビビるに決まっている。5分も前に失敗をして危うく大けがさせるところだったのだから。だが、何かを成し遂げるためのリスクに、毎度毎度おびえていてはヒーローには成れない。それに、
(俺が憧れたものは、そんな安い物じゃない)
「…痛いんだけど…」
強張る口角を上げなんとも言えない表情で突っ込む心操。
「っは!いい顔になったじゃないの!」
「…皆を信じるよ…」
(洗脳…解除)
心操が個性のスイッチを切る。その瞬間。虚ろだったリーバックの目に光がともる。指示前には常に棒立ちだったリーバックはピクッと動く。そして、ベンが目を覚ます。首を振り辺りを見回すも思い出せない。
「ココア…」
「テニスン!お前の作戦は終わりだ!残り2分!行けるか!?」
その言葉で徐々に思い出す。次第に状況を把握してきた。今は体育祭騎馬戦。残り時間は2分。ここまで発目、心操、拳藤の力で乗り切ってきたのだ。虚ろな夢を思い出すかのように「今」を理解する。
「マカセオ!」
役者は完全に揃う。以前、司令塔は拳藤。ベンが自我を取り戻そうと、指揮能力は拳藤の方が上。全体のポイントなどを加味しての指示は
「テニスン!とにかくこっから離れて!爆豪達が予想以上に動ける!なるべく端っこに移動してやり過ごす!」
背中からの妥当な指示。ベンは振り返り、光る緑の目で拳藤をじっと見る。
「な、なに…?」
一時眺めたあとベンの言葉は
「イアダ!!」
そう言い切り爆豪騎馬と対峙する。この時のベンがなぜ戦いを選んだか。それは、この状況では逃げることが難しいから、というようなものではなく、"まだボクかっちゃんと勝負してない"というひどく利己的なものだった。
「ちょ…!!?あんた何してんのよ?」
「拳藤、テニスンの好きにさせよう。ここまで俺らが使ってきてたんだしさ」
「だからって……あぁ、もう!わかったわよ。テニスン!やるなら絶対に負けるな!」
拳藤の激励にうなづくと再び爆豪を見つめる。
一連の流れを見ていた爆豪。もちろん、ただ眺めていたわけではない。
今ベンが変身しているのは脳無。その性能、恐ろしさは爆豪の耳にも入っている。
(衝撃吸収、超再生、超パワー。完全な肉弾戦タイプ。ハチマキを取らねぇといけねぇ以上近づかなきゃならねぇ。起動戦にしたいがあんまり浮かんでると審判に注意を受ける…なら)
「爆豪!来てるぞ!」
リーバック対策と今後の作戦を考えてる最中、切島の声が聞こえる。
「ああ!?」
顔を上げるとそこにはこちらに駆けてくるベン。本来ベンは防衛線であるので攻める必要はない。しかしそのことを理解していないベンは【爆豪を倒す】という目的のみを掲げハチマキを狙いに行っている。
「よーわからんが来るならちょうどいいわ!クソ髪!しっかり踏ん張っとけよぉ!」
「任せろ!!」
構える爆豪騎馬。爆豪の強みである爆発を生かすため最大限のサポートに徹している。
それに向かうはベン。リーバックに変身しているが精神は普段のベンのままである。
(こいつの力で思いっきり殴ったらさすがに危ないよな…ならこの距離で!)
まだ爆豪達には距離がある。この距離ならば力加減を間違えてもなんとかなる。そう踏んで、60%ほどの力で虚空を殴る。
DOWWNN!!
走りながら拳を振るベン。そのしぐさに違和感を覚えるもすぐさま襲い来る風圧に爆破で対応する。
「っ!!」
BOOMM!
(遠距離からの空気砲!?単純な力でンなことできんのかよ!だけどなぁ)
「俺だってできんだよ!!」
BOOMM!BOOMM!
右手左手。交互に爆破をしてその風圧で敵を狙う。実はこの方法は対リーバックには最適解。彼の個性では風圧までは吸収しきれないのだ。この対策はオールマイトも行ったもので、それをとっさに実行できる爆豪は、さすがの戦闘センスであると言わざるを得ない。
爆豪とベンの打ち合い。パワータイプでない限りそこに入ることはできない。だがすこしでも妨害になればと、芦戸はベンの足元に酸を噴射。しかし
(ボクだってオールマイトと半年は修行してるんだよ!)
「オアッ!!」
拳を地面に向け撃つ。たったそれだけで酸は吹き飛び、どころか地面まで割れる。己の個性は全く意味をなさないという事実が芦戸の心にひびを入れる。
「そ、そんな……」
「大丈夫だ芦戸!お前の一手で少しは爆豪への攻撃が減った!効いてる!!」
切島が励ます。彼の言う通り、ベンは酸を蹴散らすときには片手を必要とする。そのおかげで爆豪が一瞬優勢となり距離を詰める。
「…オッケー!!瀬呂!あんたも!」
「任せろ!!」
テープ。酸。爆破。その三つが同時に自分を攻めてくる。振り払おうとかき消そうとも徐々に距離を詰められていく。元々は距離を詰めようとしたが、詰めるのと詰められるのでは勝手が違う。少しづつ、少しづつ距離を詰めてくる爆豪チームに、背中の拳藤らもなすすべがない。
だが、
「テニスン!!残り30秒だ!!出し切れ!!」
時間はもうない。あとたったの30秒。そんな短時間守り切れないで何がヒーローか。その想いで必死に耐える。
だが…頭によぎるのは、誰かの記憶。
【次勝てなきゃバラバラにして売るぞ!】
【うひょひょ、これは良い素体じゃ!ハイエンドが完成する日も近いじゃろて!】
・
・
・
【残り30秒だぁ!!全員!特攻仕掛けろいぃ!!】
残り30秒ですべてのチームが奮起し混戦となる。爆豪に吹っ飛ばされたチームも近くのチームを狙い状況はカオス。しかし、ここだけは違う。氷で他と区切られた中では2チームが決闘。
「左からくる!」
「黒影!」
轟チーム対緑谷チーム。片や索敵主体。片や戦闘力重視チーム。その勝負は轟チームの圧勝かと思われたが、実際にはいまだ点数は動いていなかった。
「耳郎さんの感知でいち早く氷を予測してガードは常闇君。騎馬の動き自体は麗日さんのおかげでスムーズに!あと30秒、いけるよ!」
騎手である緑谷は状況を確認しながら仲間の士気を高める。たいして、圧倒的戦力にも拘わらずそのハチマキが取れない轟チーム。その先頭騎馬である飯田は覚悟する。
「轟君、いまから最後の特攻を仕掛ける。絶対にとってくれよ!」
DRRRNNNN!!!!
飯田のエンジンがうなる。限界を超えたエンジンは煙を上げ熱を放つ。そしてそのエネルギーは全て彼の移動速度へ変換される。
【レシプロターボ】。エンジンの回数を無理に高め、向こう10分動けなくなる代わりに理外のスピードを出す飯田のとっておき。これを知らないものはまず単体では防げないだろう。視認することですら普通の人間には無理なのだから。
が…この戦いはチーム戦でその相手は普通の人間ではない。
「緑谷!なんか来る!!」
異常なエンジン音。それにいち早く気づけたのは耳郎。普段聞いている飯田のエンジン音とは明らかに別。そのことを騎手である緑谷に伝える。
そして
(ラスト何秒かで仕掛けてくると思ってた。圧倒的スピードを誇る飯田くんが先頭なんだから当然だ。あとは…僕が成功させるだけ…!!)
今一度おさらいすると緑谷の個性はOFA。要は超パワーの発揮。その発揮の際、発揮した部位は人外の力を見せる。では、その力とは、単純なパンチなどだけなのだろうか。
発想はベンとの特訓時。許容限界を超えるOFAを発動してもあまり痛くないときがあった。
考えたのはグラントリノとの闘い。パワーは足りてるのに相手のスピードについていけない。それでは宝の持ち腐れだ。
そして今初めて行う。新しいスタイル。
(OFA20%、センススタイル!)
体全体の20%。未だその力は緑谷の体を壊す力。だが、それでも、ここまで鍛えていた彼にとって20%は、【動かなければ耐えられる力】となっていた。
「見えた!!」
高速で近づいてくる騎馬。おそらく騎手である轟もほぼ勘で取りに来ている。だが、センススタイルの緑谷にはその動きがはっきりと見えていた。世界が普段の何倍も遅くなる。あとは、その世界に5%で答えるだけ!!
ZZZAAAZAZAZA1!
横を通りすぎ、急ブレーキをかける轟チーム。その手には…ハチマキが握られては、いなかった。
「なっ!!?」
「…あの野郎…よけやがった…!!」
体全体が少し痛む。だが、それでも、
「この勝負は、僕らの勝ちだ!」
それだけは明確であった。
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【残り10秒!!!】
緑谷と轟の決戦が終わったときには、もう時間はほんの10秒。当然焦る、かと思われたが違う。爆豪の頭の中では今から勝負なのだ。
「しゃあ!ここだ!黒目は足元に酸!しょうゆ顔は腕!」
その指示はベンにも聞こえる。ギリギリ自我を保つベンは乱れる頭でカウンターの準備をする。だが、酸が出されたのは爆豪チームの足元。予想外の行動にベンは動きが止まり、瀬呂のテープが右腕に絡まる。
BOBOBOBOBOB!!!!
爆豪は掌を右に向け連続爆破。その勢いでベンの腕を軸として、彼らは大回りを始める。足元の酸は移動速度を上げ、瀬呂はテープを巻き取りさらに加速。グルンと半円を描くと、5メートルほどの距離を一瞬で詰めさらには背後をとる。
だが、それに対応できるのがリーバック。回り込まれたことを理解し一瞬で体勢を変える。が、
「
爆破を応用し発光弾を食らわせる。振り向きざまのベンの目を赤い光が穿つ。目の前が真っ暗、あるいは真っ白になったリーバックはたまらず本気で腕を振る。しかし其れは空振りに終わる。
「全部読み通りだクソ筋肉!!!」
テクニカル爆破で単体、背後に回る。もう試合も終わる。このタイミングなら注意もできない。背中にいる拳藤の頭めがけてその手を伸ばす
「これで終いだァァァ!!!」
p
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【試合終了!!雄英体育祭騎馬戦、、トップチームは…!!】
・さあ誰が勝ったでしょうか。
・今回は描写が微妙だっかもしれません。またセンススタイルのことなど質問があれば是非!
・センススタイル名前のセンスのなさよ…募集します笑そのままにするかは作者次第ですが
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章