【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
「オイオイ嘘だろ?!まだ5分もたってないのに…うわっ!!」
自分の手を見て変身解除を悟るベン。轟は“今だ”といわんばかりに氷を這わせる。しかし、体を動かすことすらままならない状態での氷結は、ベンに避けられる。
氷をよけ、転がるもすぐに立て直すベン。対して攻撃を仕掛けた轟は
「…はぁ…はぁ…」
悪態をつくことすらできない。息は白く体は凍る。そんな状態でもなおベンを狙う。人間体であり道具のないベンなら、今の自分でも止められると判断したのだろう。だが
「おっと…!ほっ!!なんだ!避けられるじゃん!ボクって天才!?」
なんなく氷を躱すベン。彼の身体能力が戦闘訓練のころから伸びたのか。正解はNO。
階段を上ってきた緑谷は的確に分析する。
「…轟君の氷が遅くなってるんだ…」
「デク君!!もういいの!?」
観客席に行き、麗日の隣に腰を据える緑谷。爆豪戦での治癒を終え戻ってきたのだ。治癒が終わったといってもすぐさま治る怪我ではなかったらしく、右拳はグルグル巻きで固定されている。
「もう今日は腕は使っちゃいけないって…でもそれより試合だよ!ベン君はいつ変身解除したの?」
「さっき!でもおかしいんよ。変身したのも変な姿だったし、解除も早かった」
また新しいエイリアンにでも変身したのだろうか。だとすれば危険な可能性もある。とにかく、今はベンと轟を観察し次に備えなければ。そう考え試合に集中するが…
「なんで轟君、氷があんまりでらんのやろ?」
「多分、使用制限があるんだ。一気に出せる限界の体積量がね。それを超えたら自分でも冷気に耐えられなくなる。でも…」
(それは炎を出せば解決する。それをしないのは…)
思い出すのは試合前の轟との会話。
「こんな形で負けるのかよ、轟君…」
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必死に振り絞った氷結も身軽なベンには躱される。とうとう限界を迎え、もう風前の灯火。氷どころか冷気すら出るか怪しい。
その状態を見たベンは“しめた”と、落ちていた氷の破片を投げつける。いくら氷を出せるからと言って、氷による物理攻撃が無効化するわけではない。鋭くとがった氷柱は轟の顔に迫り来る。
「くっ!」
身をよじりギリギリ避けるも、そのまま倒れてしまう。再び轟がベンを見上げる構図になる。
「おいおい、トドロキ。もうおねんねの時間か?まだ太陽はそこにあるぜ?」
轟の限界を目の当たりにし調子に乗るベン。太陽を指さし馬鹿にする。自分が優勢となるとすぐに調子に乗るのが彼の悪いところ。
ほんの少しだけ回復した轟は、少量の氷でベンの足を拘束する。少なくとも、これで攻撃はされない。
「おい、ずるいぞ!こんなのありかよ!!」
んー!!んー!!と唸るも足は動かない。どころかひっくり返ってしまうベン。
互いにその場から動くことが叶わなくなり、膠着状態となる。先に口撃を仕掛けたのは元気いっぱいのベン。
「なぁトドロキ?お前エンデヴァーの子どもなんだよな?ならボクのこと焼いたりできるんじゃない?ほら、撃って来いよ!!」
安っぽい挑発。その真意は轟の炎で足元の氷を溶かすことなのだか逆効果。轟は冷たく言葉を返す。
「…戦闘において左は使わねぇ…」
「はぁ?なんでさ?」
純粋な疑問。なぜ己の力を目いっぱい使わないのか。無垢な少年の問いに、また少年は返す。
理想の個性をもって生まれさせられたせいで、母と別ってしまったことを。全ては父の歪んだ思想のせいでおかしくなった。だからこそ、父の個性なしで頂点に立ち、父を完全否定すると。
緑谷はこの話を聞いたときに、少し震えた。なんて境遇だろうと。そして彼の信念を理解しつつ否定した。同じ15歳なのにその境遇は全くの逆。納得はしないまでも理解はした。
対するベンは、
「お前何言ってんの?ボクに負けそうなのにさ」
軽く笑い飛ばした。
「…あ?」
「ばっかじゃないの?詰まんないことにこだわってさ。グウェンでもそこまで気にしないての」
相手の境遇に、信念に寄り添うこと無く一蹴。肩を竦め、ヤレヤレといった動作までとる。その態度は轟の心を沸騰させる。
「…!!歪んだ思想で家族がめちゃくちゃにされたんだ!俺が持ってるのはそいつの個性なんだぞ!お前にわかるか?!この気持ちが!」
怒る轟。そんな彼にベンは目を明後日の方向に向けて答える。まるで興味なさげだ。自分で聞いたのに…
「さあ?ボクにはぜんっぜん理解できないね」
「お前のその個性だって血だろうが…!」
個性は親から授かるもの。それはこの世界の基本知識だ。確かに突然変異という稀有な例はある。だが世代を経たことで個性は複雑化し、逆にその突然変異すら少なくなっている。
もし親から個性を引き継いでいなければ、それは化け物か無個性くらいのものだ。
そのような一般常識を頭に控え轟は申したのだ。“お前だって遺伝で、親から個性をもらっている。その個性が望まない物だったらどう思う?”そう、伝えたかったのだろう。だがしかし、無個性のベンにはその言葉は意味をなさない物だった。
「知るかよ。ボクのこの力はボクの物だ。誰が何と言おうとな!!」
腕を掲げウォッチを轟の方に向ける。その行為自体は轟は理解できない。だがしかし、彼の言葉にある一つの記憶を思い出す。
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「もうヤダ…僕はお父さんみたいになりたくない…お母さんを傷つけたくない…」
父親との訓練で嫌気がさしていた。
「…」
ピッ
まだ母さんが元気だったころだ。訓練は嫌だったけど、そのテレビを母さんと見てるときは確かに幸せだった。
テレビにはオールマイトが映っている。
【個性、というのは確かに親から子へ受け継がれています。しかし、本当に大事なのはそのつながりではなく…自分の血肉、自分である!と認識すること。そういう意味もあって私はこういうのさ。“私が来た”ってね!!】
オールマイトが言い終える。誰に向かってのメッセージだったのかはわからない。ただ、その笑顔に母は照らされていた。彼の言葉を受けてか、それともずっと思っていたことなのか、母は言った。
「焦凍??…いいのよお前は。血に囚われることなんかない。なりたい自分に、なっていいのよ?」
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いつの間にか忘れてしまっていた。なりたい自分。
(俺は、俺は…!)
左の目は火傷に覆われている。ヒーロースーツでは左を丸ごと隠し、この傷は見えないようにしている。今、その痕からは、火傷を隠すように焔が舞い始める。高ぶる心が抑えられない。だがまだ、父の呪いが頭から離れない。
【お前は奴を越える最高傑作なのだ】
そんな轟に気づかないベン。轟の動きが止まっているため言葉を続ける。
「ボクはこの力で、じーちゃんみたいな、いや、じーちゃんを超えるスーパーヒーローに成るんだ!!」
「俺だって…ヒーローに!!!!」
WWHAAMMM!!!
「まあもう成ってるかのしれ…うわっ!!な、なに!?」
突然の熱。体を包む熱さに驚き前を向く。そこには笑っているかのような…泣いているかのような轟がいた。どうやら、涙が蒸発してしまったらしい。熱の発生源は轟の左半身。
似合わない笑い顔を作りながら轟はつぶやく。
「思い出したよ…テニスン。俺がなりたかったのは…」
(親父じゃない。母さんだけの力しか使わないヒーローでもない。ただ、)
「誰かを救けるヒーローだ」
決意した。自分は彼のようなヒーローになると。気づいた。この力は自分の力なのだと。
ベンからすれば自分が喋っている間に急に笑い出した轟。そんな彼にただ驚く。だが、そのままでは居られない。
「意味わかんないよ…!なんで急にやる気出してんだよ!!ああもう…早く動いてくれよ!!」
轟が動けるとなると話が変わってくる。人間体のままで轟に挑むのは自殺行為だ。焦りながらポチポチとウォッチを押すも未だに赤いまま。
対する轟の体からは霜が消え、全快。そもそもべンは轟にダメージを一切与えていなかったため、形成は一気に逆転。
「もう終わりだ…テニスン」
左手を突き出しベンの方に構える。左の掌はオレンジ色に変色していく。ベンは人間体のままである為火力はもちろん落とす。だが、食らえば間違いなく場外には吹っ飛ぶほどの威力。
「…ありがとな」
QWAANN
小さくつぶやき放つ。エンデヴァーを彷彿とさせる赤く燃ゆる炎。揺らぎながらベンに向かい、食らおうとする。
BBOOOWW!!
氷で足をつかまれていたベンはまともにくらってしまう。拘束していた氷は溶け、白煙がモクモクと彼を包む。
あの炎ならば場外は必須。その確認を取る為目を凝らす審判。煙が晴れて来て見えたのは吹っ飛んだベン、ではなくダイヤモンドの壁だった。
「出て来やがったか」
キラキラと光る壁。それは自分の能力と性質が似通っている。
飛び出た壁を見て炎を防がれたことを悟る轟。だがもう驚かない。ケビン戦でも見たことがあるその壁。おそらくあの歩くシャンデリアだろう。ならば攻撃速度は己の方が速い。制限なしの自分ならば互角以上に戦える。
そう判断した次の瞬間、壁の後ろから放射軌道で炎弾が攻めてくる。
BOWW
何発もの炎をすぐさま氷でガードする。なんとか守り切るがすぐに氷は溶けてしまう。
轟はそこで気づく。先程の四本腕の虫は、ベンのエイリアン2種類を掛け合わせたものでないかと。そして、いま見た二つ能力も知っている。
炎×ダイヤモンド
全員が注目する中、壁の向こうから出てきたのは、歩く、
「さあ、第二ラウンドと行こうぜ!!」
・冷静に考えると轟の個性レベルで弱点なしってやばいな…
・ベンを無個性なのか、実は…!!なのか、悩んでいる…
・ベンはデリカシー0だから、こんな物言いになっちゃうんだなぁ…
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章