【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
今回と次回は会話多めです。
此処は出張保健室。体育祭で怪我したものがリカバリーガールに治癒される場所。
「…っは」
視界に広がるのは知らない天井。それもそのはず。轟はこれまで一度も保健室に来たことがなかった。その事実からもいかに彼が強者なのかがわかる。
その強者は痛む体を起こし、あたりを見回す。そこには1人、不機嫌極まりないクラスメイトがいた。
「っち、やっと起きやがったか…おっせぇんだよクソが」
意識を回復したばかりの人間に対しての発言とは思えない言葉。だが轟は、その少年の人と成りはこの2か月で多少なりとも知っていた。
「爆豪…なんでお前が?ああ、お前、緑谷に負けたんだっけか…?」
「ああん!?うっせぇわ!!ばーさんに見とけって言われたんだよ!」
「お前が…?なんか…意外だな…」
この意外、というのは“お前が人の頼みを聞くとは”という意味である。無意識に失礼な言葉をかます轟に爆豪は吠える。
「こっちだって見たくなかったわ!っち!」
緑谷戦の傷がそれなりに癒えたかと思えば、気絶した轟が運ばれてきた。リカバリーガールは食事をとりに外に出る際、爆豪に轟の様子を見るよう頼んだのだ。もちろん断ろうと思ったが傷を治してもらったという、借りがあるため断れない。彼は例え相手が大人だろうとも先生だろうとも狩りは作らない主義なのだ。
意外な看病人に驚きながらも、試合を思い出し自分の手を見つめる轟。そんな彼を一瞥した後、爆豪は部屋を出ようとする。
「意識はっきりしてんならおらぁ行くぞ。あとは勝手にしやがれ」
ドアに手をかけた時、轟がつぶやく。
「両方使ったんだ」
「ああ?」
その言葉では普通の人間は理解できない。だが、緑谷と轟の話を聞いていた爆豪には伝わる。
「テニスンは別に俺の為に言ったんじゃないと思う…だけど…何となく、いや、紛れもなく…これは“俺”の個性なんだって思えたんだ」
「…知らんわ」
「緑谷に片方じゃ勝てないって言われたが…両方でも負けちまった…あいつらは…悔しいけど俺らより上にいる」
「…」
見る人から見れば弱気な轟。だが爆豪ほどの実力者、また緑谷達の実力を肌で感じた者にとって、それはただの冷静な分析であった。
戦闘訓練、ケビンとの闘い、そして体育祭序盤。幾度も幾度も自分より強いかもしれない、と思わせられ、ついには負けてしまった。その事実は覆らない。
だが、このまま折れる人間が、雄英に入れるだろうか。№1ヒーローに成れるだろうか。手にまかれた包帯は爆破により宙を舞う。
BOM!!
「…“今は”だ…!!今はアイツらの方がトップに近いかも知んねぇが、すぐに追い抜いてやる!!オールマイトをも超える、№1ヒーローになるのはこの俺だ!!!」
「…俺も、俺が、ヒーローに成りたい」
「何当たり前のこと言っとんだ半分野郎!」
「轟だ。名前、憶えてないのか?」
「覚えとるわぁぁ!!!」
BOMM!!!
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決勝戦まで残り5分を切った。緑谷とベンは決勝戦までの時間を各々の控室で潰す。まあ潰すといっても、片方は緊張で一瞬に感じただろう。人の字を飲み込んでは書く緑谷。だがもうそんなことをしている時ではない。
「もう試合始まっちゃうよ…僕が決勝だなんて…いや、駄目だ駄目だ!!かっちゃんにまで勝ってここまで来たんだ。もう優勝するしかない!!」
バチンと己の頬を打ち、気合いを入れる。その音共に戸が開く。両頬に紅葉が着いた緑谷を拝みに来たのはオールマイト。
「やあ緑谷少年」
「オールマイト!!」
「ついにここまで来たな…!正直、轟少年と爆豪少年の決勝戦もあり得たのに、全く!きみというやつは、本当に大したやつだ!」
「ええ!?オールマイトが優勝しろって!?」
「下馬評ってやつさ!教師陣もそれなり予想しててね。私はもちろん君が優勝すると信じているさ!ただ、今年は優秀な生徒が多いからね。テニスン少年もまさか決勝に来るとは…!」
意外な発言に質問する緑谷。
「ベン君はオムニトリックスがあるし本命じゃなかったんですか?」
「ああ、教師陣の間でも彼は強力な個性で通ってるよ。だが…彼の場合個性意外に問題が多くてね…」
「ああ…」
ベンが周囲に優勝すると思われていない理由に納得する。実際にベンは障害物競走、騎馬戦、そして個人戦。全てにおいてある意味紙一重で勝ってきた。油断して氷漬け、心操頼りのリーバック、そして
「そういえばベン君の変身おかしくありませんでした?ダイヤモンドヘッドとヒートブラストが合体してたし…」
その質問にオールマイトは予想を含みながら回答する。
「おそらくだが…オムニトリックスが故障していたんだろう。試合が終わった後、何やら部品を探していたからね」
「や、やっぱり故障だったんだ…あの時いじらないほうがいいって言った方が…けどあのミックスエイリアンは強かったし…あれが出来たことを踏まえればよかったのか…?」
思考モードに入りブツブツ言いだす緑谷。オールマイトを放って自分の世界に入り込もうとする彼を引き戻す。
「おいおい、シンキングタイムは後に回そう!君も人の心配できるほど万全ではないだろう!?」
オールマイトの言う通り。爆豪戦で無理をしてしまったため、左手が使えない。無理をしようにも麻酔のせいでほとんど感覚がないため、拳を握れないのだ。使えるのは右手と
「…大丈夫です‥!まだ僕には、足がある!!」
そう、拳藤との闘いと爆豪との闘いで編み出された蹴り技。以前ケビン戦でも使ったが、スタイルとして組み込めると気付いたのはさっきだ。
オールマイトも次々と技を編み出していく緑谷に舌を巻いている。そして彼に影響を与えたベンにも、感謝の念を抱く。しかし、もちろん試合は別。
「よし…!!少年!あと一勝だ!あの砂浜での決着をつけてこい!」
「はい!絶対に優勝してきます!!」
時間になったので会場に向かう緑谷。オールマイトから見たその背中は、OFA9代目継承者としてふさわしいものであった。
「…頑張れ、少年!!」
・明日のお昼くらいには次話出せると思います。短いですよね。
・比較的、爆豪、轟の性格が丸くなってると思うんですよ原作より。それは、ケビン戦や入試などで既に緑谷、ベンが強いことを知っていたからです。だから、体育祭における負けた時のショックがひどくはない、という設定です。
・緑谷を強くしすぎな気がしてきた…だが、そうじゃないとベンと渡りあえない…!
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章