【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
夏も終わった9月。朝の半そでは寒くなってくる季節。そんな季節に早朝から大声を出す者がいる。
屈強な男が乗る冷蔵庫を牽引する、ボサボサ緑髪の少年。そしてそれを眺めるのは小柄な茶髪の少年。
「へいへい緑谷少年!!もうそろそろ冷蔵庫くらい片手で運べなきゃ!!!」
「オールマイトが乗ってるから無理です…!!274キロあるんでしょ…」
「え、オールマイトってそんなに太ってんの?」
「これは筋肉さ、テニスン少年!!」
そう言いバルクアップするオールマイト。これは個性なのだろうか…
「てゆーか特訓するんじゃなかったの?ゴミ処理ばっかしてるけど」
ベンの質問も最も。
今三人がいる場所は海浜公園。とはいっても公園とは名ばかりで、粗大ごみであふれかえっている。
「これは私と緑谷少年が4月からやっていることさ!トレーニングだけじゃなく、奉仕活動も欠かさない。ヒーローっていうのはそもそもボランティアだからね」
ボランティアと聞き嫌そうに舌を出す茶髪の少年改め、ベン=テニスン。
「うへぇ、ボクの目指すヒーローは悪党を倒すヒーローなんだけど…」
「まあそれは人それぞれさ。さ、緑谷少年は少しだけ休憩だ」
「は、はい。はぁーー…」
荷を下ろし、その場にへたり込む緑谷。5か月の筋トレでそれなりの体にはなったものの、未だオールマイトには及ばない。
息を吐く緑谷を微笑ましく思った後、オールマイトはベンに尋ねる。
「さて、テニスン少年だが…君の個性はなんなんだい?」
「それなんだけど…昨日話した話とこれからする話、内緒にしといてくれない?じーちゃんに言うなって言われてさ」
「ふむ…まあマックスさんの言うことだ。わかったよ」
「昨日も話したけど、ボクは無個性なんだ。で、この前までアメリカのじーちゃんのところに遊びに行ってたんだけど、この時計が落ちてきて、これを使ったら変身できたんだ」
「変身…というと?」
「まあ見てて…えっと、こいつでいくか!!」
QBAANN!!
ダイヤルを回し、ボタンを押すと緑光がベンを包む。光が晴れ、現れたのは不気味な半魚人だった。
「よしできた!こいつは…そうだなリップジョーズって名前はどうだ!?」
自分の手足を見て名付けるベン。大きな顎から発せられる声は、ベンのそれとは違い低く重厚なものであった。チョウチンアンコウのような突起が頭部から生え、鋭く尖った爪と牙は野生を感じさせる。
急な変身を遂げたベンを見て、休憩を止めこちらに来る緑谷。
「…それが君の個性、いや時計の力なの?明らかに元の外見からかけ離れているのを見るに異形系?でも異形系なら普段からこの姿なはず…は!だからこの時計なのか!?」
「おいおいイズク。時計じゃなくてオムニトリックス!それに異形系ってなんか味気ないじゃん。そうだな…エイリアンっていうことにしよう!」
「テニスン少年はこの異形…じゃなかった。このエイリアンになる個性を得たのかい?」
「だからオムニトリックスの力だって。こいつだけじゃないよ。たぶんだけど10タイプに変身できるんだ」
「10タイプも!?」
「ああ、だから…あ、あれ?息が、苦しい…」カヒュー、カヒュー
まるで溺れるかのようにもだえるベン。酸素が足りない人間のように、息を荒くして首を掻く。
「どうしたんだテニスン少年!」
「み、水。水が…ほしい」
ヨタヨタと力なく海へ向かう。その姿は海に帰る男版人魚。いや実際には顔もほぼ魚なので、全体としても8対2で魚なのだが…
バシャ―ン!!!
倒れこむように海に入り息を吹き返す。海にプカプカと浮き幸せをかみしめるベン。
「ああ、水って最高…」
「もしかして水がないと力が出ないとか?思いっきり魚っぽいし…」
「ていうか息が出来なかった」
「それってやばくない?!」
「でも水の中ではこんなに速いぜ!!息もできる!」
水を得た魚人は高速で浅瀬を泳ぐ。先ほどまで足だった部位はひれの形となり、泳ぐスピードは優に車のスピードを超える。
「ヒャッハー!!!」
「こ、これはすごいな‥‥状況は限られるがその力は強大なものだな」
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pi pi pi pi pi pi QBANNN
赤い光と音がベンを包むと、元の姿に戻ったベンが現れる。初めて他人にエイリアンを見せたベンは、その評価を聞く。
「どうだった?ボクのエイリアンは?」
「うむ。素晴らしい力だな。確認しておきたいんだが、その時計は宙からおちてきたものなんだよな?」
「そうだよ」
(アメリカで宇宙から…奴は関係なさそうだな…)
「わかった。テニスン少年には今日から変身して、緑谷少年を手伝ってもらおう!」
「ええー嫌だよボク。掃除なんてめんどくさいし」
「そう言わずに!緑谷少年とともに体の使い方を覚えていこう!!!」
「ちぇ~」
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それからは二人の特訓が始まった。緑谷は筋トレも兼ねたゴミ掃除。ベンはオムニトリックスを試していく。
【10月】
QBAANN!!
「何この毛むくじゃら!!犬!?でかっ!?」
「ブワァァン!!!」
QBAANN!!
「オールマイト。このメニューはまだ改善の余地があるよ。それにイズク。栄養素の配分も考えてみろよ。鍛練終了後どんな体になりたいかによってとるべき栄養も変わってくる。もしオールマイトを目指しているなら…」
「めちゃくちゃ喋るじゃん、ベン君」
「体は10㎝にも満たないのにな!!ハーッハッハッハ!!」
【11月】
QBAANN!!
「おお…ダイヤのような結晶で出来た体…私のデトロイトスマッシュでも耐えきれるかも」
「おおおオールマイト?!さすがにそれはやりすぎですよ!」
「よっしゃ、バッチコイ!オールマイト!!」
「ベン君!!それは無謀だよ!?」
QBAANN!!
「イズク!見てみろよ!」
「な、なにしてるの…ていうか…なにその青い恐竜みたいな姿!」
「見ての通りさ!こいつのスピードなら一人テニスだってお茶の子さいさいさ!」
「ふむ、私もやってみようかな…」
「オールマイトまで?!」
【12月】
QBAANN!!
「…冬はずっとこのエイリアンでいないかい?テニスン少年」
「人の体で暖をとるのはやめろよ!」
「炎が体から出るって…エンデヴァーみたいだ。どっちが高温なんだろう。そもそも炎の種類は一緒なのか?」ブツブツ
QBAANN!!
「オールマイトぉ!!俺と腕相撲しようぜ!!!」
「ほお、なかなかいい筋肉だ」
「俺は腕4本全部使うぜ!よーいドン!!」
【1月】
QBAANN!!
「緑谷少年!!よく達成した!!はい、これ食べて!!」
「へぁ?こ、これ髪の毛…」
「ガ、ガンバレーイズク―」
「そんな巨大蟲みたいな姿でいわれても!!てゆーかなんか匂う!」
「私の髪の毛…臭う?」ズーン
「お、オールマイトじゃないです!!」
QBAANN!!
「何だ…こいつ…」
「なんか…白黒緑の…なんだろうな?」
「作業着っぽいけど…」
【2月】
QBAANN!!
「くらえ!!3%デトロイトスマッシュ!!!!」
「残ねーん」
「ベン君!!そいつずるいよ!幽霊なんて!僕が攻撃当てる方法ないじゃん!」
「ははっ…」
(なんかこいつに変身したら変な気分になるな…)
【3月】
「二人ともお疲れさん!」
「はい」
「ホント、疲れたよ」
「明日は待ちに待った雄英入試。緑谷少年も少しは個性を使えるようになったし、テニスン少年もだいぶオムニトリックスに慣れただろう」
「まあね。けどさ。質問なんだけど。なんでオールマイトの髪の毛をイズクは食べたの?いまだに疑問なんだよね」
「…私の個性は彼に似てるといっただろう!私のDNAを彼が摂取すれば個性因子が活性化すると思ってね!実際その後個性が使えるようになっただろう!」
もちろん大ウソである。前にも言ったが、オールマイトの個性であるOFA(ワンフォーオール)。譲渡型の個性。その譲渡方法はDNA情報の摂取なので、緑谷はオールマイトの髪を食べたのだ。字面にすると中々にきつい。
個性が譲渡できる、ということを公にできない理由があったため、オールマイトはベンに嘘を吐く。
「まあ確かに。あんまり強くなかったけどね」
「うう、まだ僕は出力を強くできないから…」
「なあに、すぐに体が追い付くさ。とにかく!!二人とも!明日は頑張れよ!!」
「は、はい!!!」
「うん!!」
明日、二人の人生が決まる。
どれがどのエイリアンかわかりましたでしょうか?
作者的にリップジョーズはギャグ感強いと思ってます。陸地で間違えてリップジョーズになったときのやっちまった感がけっこー好きです(笑)
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章