【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
20年前、ある異形の敵がアメリカのスペリオル湖で討伐された。この事件はヒーロー、
マックスは困惑する。確かに以前からスペリオル湖周辺で事件が多発しており、その予感はしていた。ヴィルガクスがまだ生きているのではないかという。だがしかし…なぜ宇宙に?どうやって宇宙に?
「なぜおまえがここにいる、ヴィルガクス!!」
「くくく、おかしな質問だな。私はお前らでいうところの
紅く染まる目を細めるヴィルガクス。その目はベンのオムニトリックスから離れない。声色からは余裕が感じられる。明らかに彼らがここに来ることを知っていた口ぶりだ。
マックスはアズマスの宇宙船に来ることを誰にも言っていない。
(情報を漏らしたのはアズマスか?しかし宇宙の平和を誰よりも望む彼がそんなことをするとは思えん…いや、今はそれを考えている場合じゃあない!)
目の前のヴィルガクスを睨みながらも、壁面に掛けてある武器を取りに行く。もちろんヴィルガクスが阻もうとするが、
「させんよ」
とアズマスが手元のボタンを押す。その瞬間、床からあふれ出るように何かが出てくる。ドプドプと液体か固体かもわからないそれは、数で敵を上回る。彼らをベンは知っていた。
「アップグレードがたくさん…!!?」
「ガルバニックメカモルフじゃ。お前たち、侵入者を排除しろ!!」
元々アズマスの手で生み出された半機械生命体、ガルバニックメカモルフ。
黒と白で作られた体の彼らは、思い思いに機械に取り付いていく。近くにあった光線銃から小型のUFOまで、全てがグレードアップされていく。そして一体がヴィルガクスを攻撃したかと思うと、全員がレーザーを集中砲火する。さすがのヴィルガクスもそれには対処せざるを得ない。
その様子をみてのアズマス。念には念をと策を弄す。
「よし、いったんお前たちの出発点にゆくぞ」
「え!?もう倒せそうだけど…」
「それはわからん…とにかくオムニトリックスを安全地帯まで運ぶんじゃ」
ベンを一瞥すると、アズマスは手にした異次元転移装置“ナルボイドプロジェクター”を使う。ナルボイドと呼ばれる空間への転移、又はその次元の好きな場所への転移を可能とする機械銃。トリガーを引くと、空中に黄色の渦が巻き起こる。その渦が消えないうちにベン、グウェン、マックス、アズマスは輪を潜る。
ブツン!!とその輪が消えたころには、ヴィルガクスはメカモルフたちを打ち倒し始めていた。電流が漏れ出、ノイズを出しながらメカモルフたちは倒れていく。
アズマスの手腕に舌を巻く彼。
「さすがオムニトリックスの開発者だ…その重要性を鑑み、すぐに私から距離を取らせるとは…確かにここから再び地球に戻るには、さすがの私でも時間がかかるからな…」
「だからボクがいるんだろう?」
「ふふふ、そうだったな…」
ヴィルガクスの影から出てくるのは、アルビードと呼ばれていたガルヴァン星人。そう、ヴィルガクスを地球からここに呼んだのも、オムニトリックスを付けたベンがここに来ることを教えたのもこのアズマスの助手である。その地位は極めて崇高なものであり、実際彼も高い知能を有している。だが、だからこそ、アズマスの下にいることが許せないなかったのかもしれない。
「ふふふ、私につくとはさすがガルヴァン星人。宇宙で最も賢い種族というのは本当らしいな。」
「ふん。ボクはずっとアズマスの隣では働いてきた。それもすべては…オムニトリックスのためだ。だがやつはボクに渡す気はないらしい…それなら…奴の発明品全てを奪うまでだ!それにはまず、この宇宙船から乗っ取る必要があった。そこでボクは君を利用したのさ!」
諸手を挙げ尊大に喋るアルビード。その手には、アズマスのものと99%同一のナルボイドプロジェクターが握られている。そんな彼の胸倉をつかみ、むりくり持ち上げるヴィルガクス。首がしまり、息が出来ない。そんな彼を虫けらのように思うヴィルガクス。
「勘違いするな。私がオムニトリックスを手に入れるためお前を利用しているのだ。さあ、分かったらはやく私を奴らの下へ送り込め!やっと、やっと私はオムニトリックスを手に入れるのだ!!」
「ぐぐ…わ、わかったよ…」
苦しくなる息を我慢し、ナルボイドプロジェクターを起動すると、先ほどのように黄円が次元に穴をあける。作動したことを確認すると、ヴィルガクスはプロジェクターを奪う。
「これも今後は私が使わせてもらう…ふふふ、オムニトリックスも、これも、全てを私が手入れる。なぜなら私が宇宙の支配者なのだからな…!!フハハハ!!!」
ボオウンと次元の先に消えていく。その先には先ほど逃げたアズマスやベン達がいる。
彼が消え去った後、アルビードは小さくつぶやく。
「まあいい…あれよりいい物を…ボクは手にするのだからな…」
・
・
・
「うわぁぁ!!!」
アズマスが開いたワープ先は、ベン達のベルウッドから少し離れた、ワイオミング州の片田舎。ベンはワープゲートから出た拍子にずっこけて、グウェンはベンを下敷きにする。
「おい、どけろよ」
「あらやだ、ちょうどいいマットがあると思ったらベンじゃない」
いつも通りの軽口。先の騒動で逆に元気になったようだ。
そんな二人を置き去りに、マックスとアズマスが話しこむ。
「アズマス。なぜ宇宙船にいるのがバレた。明らかにヴィルガクスはベンを狙っていた」
「小僧ではない。オムニトリックスじゃ……犯人は1人しかおらん。じゃが今はそれどころではない。とにかくどこかでオムニトリックスを外し、機能を停止させなければ奴に気づかれる」
どうやらヴィルガクス一派はオムニトリックスを探知できるらしい。それを聞いてもなおウォッチを外したくはないベン。そんな彼にアズマスが迫ろうとしたとき、
BOON
と低い音ととも次元が裂ける。まさか、という顔でその穴を見るマックスたち。出てきたのはもちろん、最悪の敵、ヴィルガクス。その手にはアズマスが手にしているものと
アズマスは推理する。自分の手元にもナルボイドプロジェクターはある。ならば奴が持っているのはその複製品。それを作ったのは…
考え込むアズマスと対照的に、臨戦態勢に入るマックス。そんな彼をみてヴィルガクスは上機嫌な口調。
「くくく、早い再会だな、テニスン」
「わしはもうお前の顔なんてみたくなかったがな」
「奇遇だな、私もそうだ。だから、さっさと返してもらおうか」
ベンの手首を指さし返還請求。狙うはオムニトリックスただ一つ。
大きく鋭い爪がこちらを向くも、一向にひかずに目を見据える。だが、その言葉は、うまく出ない。
「これは、お前のじゃない…ボク…のだ」
いまいち歯切れが悪いベン。それはまだウォッチが赤く変身できないからか、さきほどのアズマスの言葉のせいか、あるいは両方か。
だがそんなこと言っている場合ではない。迷いが生じているベンを差し置き、ヴィルガクスは戦闘を開始する。肩に装着されている杭を打ち込むことで筋肉が肥大化する。その丸太のような腕で地面を叩き壊す。大地が揺れ、地割れがベンに迫る。
「ふっ!!!」
グウェンが手をかざすと、ピンク色のシールドがベンを守る。が、衝撃波までは耐えきれず、バリンと割れ2人は吹き飛ぶ。
孫2人がやられる様を見て憤慨するとともに、アズマスに指示、いや頼みこむ。
「アズマス!!ベンとグウェンをどこかへ!!」
「ならん!!もうこれは後一度しか使えん!そうなるとお前とオムニトリックスの移動が最優…ぎゃっ!!」
地割れの余波でアズマスも近くの廃家にたたきつけられる。こぼれたナルボイドプロジェクターをマックスは拾い上げ、ベン達に打ち込む。
(だめだ!!今じーちゃんはまともにアイテムを持ってない!!)
「じーちゃn
BASHUNN!!
ベンとグウェンはその場から消える。
少しだけ、肩の荷が下りるマックス。最悪の結末は避けたと考えたからだ。そんな彼に対し、いら立ちを隠さないヴィルガクス。
「また面倒な…まあいい。すぐに発見できる。あの小僧がオムニトリックスをはめている限りな」
「そうや問屋が卸さんぞ。ここでお前は終わりだ、ヴィルガクス!!」
「どうやってだ?私の体は全盛期、いや、それどころかパワーアップしている。それに比べてお前は置いた。もうただの老いぼれの配管工、いや、ヒーローだったかな?」
「…それは、どうかな?くらえ!!!」
・
・
・
BASUNN!!
ドシンとしりもちをつくベン。その下にはグウェンが。
「ここは…」
「あんた、早くどきなさいよ…」
「ああ、ごめん。どおりで座り心地が悪いなと」
ワープしてきた2人。マックスが位置を設定することはできなかったため、その位置は先ほどの戦いの場から10キロほど先。もしここでベンが変身すればレーダーで気づかれてしまう距離。だが、不幸中の幸いだが、2人はヒーロー事務所の目の前にワープしていた。
土を払い、立ってどこの事務所を確認するグウェン。
先ほどの不幸中の幸いと訂正しよう。不幸中の幸い、と見せかけて、不幸だった。
「ここグレイクロングスじゃない!!!!??此処のヒーロー事務所は1人しかいないのよ!??」
グウェンの言う通り、グレイクロングスという町は、ワイオミング州でもさらに奥地にあり、住民も数100人。ヒーロー事務所は立った一つ。犯罪などほとんど起きないし、もし逮捕したとしても、拘置所まで2、3時間かけていかなければならない。
だが、ベンにとっては
「そんなのどうでもいいよ!早くじーちゃんを助けに行かないと!」
ベンの言葉にうなづくグウェン。今のマックスをグウェンを知っている。あのイカ型のエイリアン相手では不安だ。トップヒーローではあったがそれも40年前。やはり体の衰えは孫である自分でもわかる。
「あたしは今からあそこに戻る。あんたは残って、ここの人に応援頼んどいて」
ベンを置いて戻ろうとするグウェン。当然だ。今のベンは変身できない。私服代わりのヒーローコスゆえ、アイテムも多少はあるがそれだけ。未だウォッチが回復しない以上、ただの無個性なのだ。危険に決まってる。だがベンには関係ない。家族がピンチなのだ。自分が助けに行かなくてはどうする。
「はぁ!?何言ってんだよ!ボクだって」
「今あんたは戦えないでしょ!!」
少年少女の言葉がアメリカの片田舎を飛び交う。2人がいるのはヒーロー事務所の目の前。当然、ここまで大声で話していれば目の前のヒーロー事務所の人間が出てくる。
騒ぎが起きたのか、昼間っからの酔っぱらいか、それとも痴話げんかか。なんにせよヒーローはその争いを止める責務がある。その責任を果たすため、その、事務所から出てきた人物は…グウェンと同じくらいの身長で、同じ髪色をした女の子だった。
「あのー…何か問題でも…って、ベン!!??」
「…誰??」
問うたのはベン。この時、グウェンは誰かわかった。
ベシン!!
シリアスな雰囲気に似使わぬツッコミを入れる女の子。青のチャイナドレスをベースとしたコスチュームに身を包み、目元を覆う黒のアイマスクでヒーローらしさを出している。が、そのせいでベンには誰なのかわからなかったようだ。
アイマスクを外して笑顔を見せる女の子。はつらつと爽やかなその顔は、周りを引っ張るリーダー気質だと分かる。
【ヒーロー名 バトルフィスト】
「これでわかった?」
「イツカ!!??」
ヒーロー事務所から出てきたのは、ベンと同じく、海外型職場体験中の、雄英高校ヒーロー科一年B組拳藤一佳だった。
・この小説のタグ付けで、いいのがありましたら作者まで!
・アルビードはなかなかの邪悪。オムニトリックスが欲しいからとアズマスに近づき、それが無理ならば平気で裏切る。アズマスと同じ種族なので.ナルボイドプロジェクターも複製できるほど頭はいい。そして、いま彼が新しく作ろうとしているのは…
・田舎ってヒーローほとんどおらなそうだし、居ても年配の方とかっぽいですよね
・さあ拳藤出てきました!!あとは既定路線ですね!!
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章