【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
グレイクロングス町。犯罪率、なんと今年は0%。これだけの紹介でこの町がどれだけ平和かがわかるだろう。当然、ヒーローの仕事は少なく、ほぼほぼ某万事屋のような立ち位置である。
グレイクロングスに唯一存在するヒーロー事務所、ファイトマッスル事務所。昔はその体術で名を馳せたヒーローだったが、寄る歳には勝てず、今はこの町でほぼ隠居状態。
そんな彼に、異国のヒーローとの交流を求め、海を渡りやってきたのがヒーロー名バトルフィスト、拳藤一佳である。今朝はここから二つ隣の町に出て、二日目にして早くも敵確保をして見せた。町の者からは褒め称えられ、ファイトマッスルが事後処理をしている間、彼女は事務所に戻っていたのだが…
事務所で休憩していた彼女の前に現れたのは、ベンと、その従妹のグウェン。何やら揉めているようだった。
「どーしたの?すっごい揉めてるみたいだけど…」
拳藤が尋ねると騒いでいた2人が急に口を閉ざす。ここまでの経緯全てを話している余裕はない。かいつまんで話す。
どうやら、ベンが変身できない状態で、祖父のマックスを助けに行くか、ということで揉めているらしい。その敵は見るからに極悪非道だそうだ。
グウェンの説明を聞き、あまりいい顔をしない拳藤。そんな彼女に対しベンは、“こいつも自分を止めるのではないか”と思ったのだろう。興奮して自らのできることを主張する。そんなベンに対しやはり危険だというグウェン。
「ベン、あんたはここにいなさい!あなた、この子を見張っといて!!」
それだけを言い残し1人で現場に戻るグウェン。ベンの言い分もまともに聞かずに行ってしまった。だが、ベンにも考えがある。彼女が気がついていなかったのだが、ベンはホバーボードを持っているのだ。多少無理すればグウェンにも追いつき追いつける。
ポケットからボードを出し、すぐに追いかけようとするベン。そんなベンを拳藤は止める。腕をつかみ決して離さない。
「ちょ、あんた残ってろっていわれたじゃん!!」
「ボクがアイツのいうことを聞くと思うか?」
「今のベンは変身できないんでしょ?その時計も赤くなってるし…危険すぎるって!グウェンの話だけでも分かったけど、敵はやばい奴なんでしょ!?」
既にプロヒーローとなっているだけあってグウェンの信用度は高い。そんな彼女がベンを置いていくという判断をしたのだ。おいそれとベンを行かせるわけにはいかない。
「だからなんだってんだ。イツカには関係ないだろ」
「関係あるわよ!あんたは…と、とにかく行かせられない。訓練でも体育祭でもないんだよ?下手したら死ぬ。それをあたしも昨日知ったの」
職場体験で学んだのは、敵は本当の悪だということ。訓練では体験したことのない、自分らとは人種が違う悪。それは、ヒーローである自分を傷つけることをためらわない。そしてヴィルガクス、という敵はその比にならない悪だという。どうしてベンを行かせられようか
「あんたのおじいさんはマクスウェルでしょ?それにグウェンも行ったし、うちの事務所のヒーローも急行してる。だから」
「そんなの関係ない。家族が、戦ってるんだ。ヒーローだからじゃない。当たり前のことをしに行くだけだ」
いつものようなおちゃらけた雰囲気でなく、まじめな顔のベン。こどもの目のはずなのに思わず拳藤は圧倒される。
「け、けど
「イツカが止めても僕は行く。ウォッチがあろうとなかろうと、僕は戦うんだ」
たとえ力がなくても、ベンはヒーローの行いを昔からしてきた。誰かがいじめられてたら助けにいった。その結果木につるされようと、馬鹿にされようと関係ない。力があるからヒーローじゃない。救けるからヒーローなのだ。彼はそれに本能的に気づいていた。
真っ直ぐ彼女を見つめるベンには打算も計算も何もない。そんなベンに根負けしたように、拳藤は手を離す。ベンが危険だというならば…
「わかった…あたしも行く」
「はぁ!?」
「すこしでも人がいたほうが時間も稼げるでしょ?」
(それにベンがあんまり戦わないで済むかもしれない)
「…ハァ…勘弁してよ…」
「よし、決まり!!じゃあ行くよ!えっと…あんたのヒーロー名なに?」
「?そんなのどうでもいいじゃん」
「あのね、あたしたちはコスを着た瞬間からヒーロー!ヒーローらしく、家族を救けるんでしょ?」
家族で助け合うのは当たり前。しかしヒーローコスを着て活動する以上、それはヒーローのふるまいなのだ。そのことをベンに教え、ベンもまた頷く。
「‥‥そうだね…ここからは、ボクの、“ベン10”のヒーロータイムだ!!!」
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拳藤の事務所から10、いや20キロほど離れた町。その町にもう名は無く、、家々はボロボロ、ガラスは割れてしまっている。
そんなゴーストタウンで、宇宙最悪の侵略者、ヴィルガクスがマックスと戦っていた。戦うといっても片方は丸腰である。家で身を隠しながら戦っていたが、ついにマックスは捕まる。
「ふははは、テニスン。ようやく貴様の悪運も尽きるようだな」
「ヴィルガクス…どうやって、あの傷を…」
確かに20年前大勢で人間で葬った。体はバラバラとなり、その残骸は確かに湖の底に沈んだのだ。しかし現に復活し、その時よりも力が増している。
「簡単なことだ。私に味方する者は大勢いるということだ。エイリアンも、お前ら地球じ
BAKIIN!!
「んん?」
ヴィルガクスの手に桃色の球体がぶつかり割れる。普通の敵ならこれでノックアウトだが彼にとっては蚊が止まったくらいのもの。全く効かないことに驚くグウェンだが、狙いは成功する。
一瞬グウェンに気を取られた隙に目一杯蹴りを入れるマックス。
鳩尾にキックを食らったヴィルガクスは思わずマックスを振り投げる
そのままの勢いで壁に衝突し穴を開ける。受け身を取ろうにも、戦いの疲労でうまくいなせず、もろに衝撃を受けてしまう。
「ぐぅ!!!」
「おじいちゃん!」
祖父に駆け寄る。周囲に人気はなく、まだ応援は到着する気配もない。まあしばらくは己と祖父で時間を稼がなければならない状態に辟易する。
そんな彼女の心を読んだかのように、余裕たっぷりなヴィルガクス。
「くくく、孫に助けられるとは老いたなテニスン。それに、その怪我ではもうまともに動けないだろう。さあ、オムニトリックスを持った子どもを早く呼べ」
ジワリジワリとマックスに近づく。グウェンも応戦するも攻撃力が足りない。その巨悪な爪がグウェンを引き裂こうとしたとき、
「そんなにボクが恋しかったか!?じゃあこれをくれてやるよ!!!」
BAQNN!!
真上からの銃撃。上を見ても誰もいない。なら誰が
「おそい!!」
お次はドシン!!と背中に強い衝撃!まるで巨人の張り手を食らったよう…滅多によろけない彼も、その攻撃にはさすがに驚く。
がより驚いていたのはピンチだったグウェン。
ヴィルガクスに攻撃した2人を見て驚愕と疑問の声をぶつける。
「なんでベンとあなたがって…ベン!!それ持ってきてたの!?」
「ああ、常にポケットに入れてるからねっ!!」
ベンと拳藤が載っているのはホバーボード。先ほどの攻撃はベンの光線銃と、ホバーボードのスピードを生かした拳藤の攻撃だったのだ。
なぜここに!なぜあなたまで!?
多くの疑問が頭に浮かぶが来てしまったものは仕方がない。今咎めたとしても状況は変わらないすぐさま優先順位をつけ注意を促す。軽口で返すベンに、さらに注意する拳藤。
「ベン、あんたが捕まったら終わりだからね」
「ああ、だからしっかりボクを守れよ?」
「人の注意はちゃんと聞く!!」
数でいえば3対1。ヒーロー優勢に思える。だが、ヴィルガクスにとって雑魚はいくら集まろうとも雑魚だ。
「ふふふ、子供が3人…テニスン!20年前の仲間はもういないようだな!!この程度の雑魚どもに何ができる!!」
「雑魚かどうかは戦って言いな!!」
まず仕掛けるのは拳藤。その異形に臆せず立ち向かう。両の拳を巨大化し防御力と攻撃力を高め走りこむ。間合いを詰めとにかく自分の型にはめ込む。それが昨日ファイトマッスルから習ったこと。
そんな彼女と援護するようにベンとグウェンが遠隔攻撃。特にベンはヴィルガクスから遠くから援護。しかしその判断がミス。
ヴィルガクスの目的はあくまでオムニトリックスの奪取。
両足の筋肉をうねらせる。その緑の表皮に血管が浮かび上がると、地面を踏み割りベンの裏に一瞬で回る。
そして
「さあ、渡してもらおう…」
ベンのウォッチを無理に外そうとする。大きな爪でウォッチつまみ引っ張る。バチバチと火花を挙げ、ベンの皮膚もそれに伴い焼け始める。が、オムニトリックスは緑のエネルギー波を放出し、彼を吹き飛ばす。と同時にベンも吹き飛ぶ。
家にめり込むヴィルガクス
「ぐぁ!!!…なるほど…貴様のDNAと深く結びついているのか…ならば…その腕ごと切り取ってしまおう」
残酷な宣言。アズマスはあくまでベンに負担のかからないように外そうとしたが、悪の中の悪にはそんなの関係ない。ただ、自分がそれを手に入れる結果さえあれば良い。
ヴィルガクスの異常さに気づく拳藤。やはりベンを置いてくれべきだったという発想になるが、己をビンタして喝を入れる
(ばか!!今それを考えても意味ない!それに、心配なら、自分で守れ!!!)
「はぁぁ!!!」
ヴィルガクスの座標めがけて猛ダッシュ。最後の一歩で大きくジャンプし、そのまま落ちながら大拳化。落下エネルギーと巨大化の勢いで敵を鎮めようとする。
「だぁぁ!!!」
・
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「あいっててて…」
ヴィルガクスと反対方向にぶっ飛んだベン。廃家屋に頭から突っ込み意識がもうろうとする。首の痛みを我慢しながら頭をフルフルと振り、意識を覚醒させる。はっきりしてきた視界の端には小人がいた。
「アズマス!!??」
「なんじゃ、負けたのか?何という役立たずだ」
ヴィルガクスとの戦闘のはじめ、ここに吹っ飛ばされそのまま身を潜めていたアズマス。自分を棚に上げベンをけなす。アズマスの中では戦闘は己の仕事ではないため仕方ないが、この言い方にベンはカチンとくる。
「だれかさんがこれを直さないからだろ?」
「なるほど…確かにそれはそうだ…」
一本取られたと思ったのか、それとも素直なのか、すぐさま修理を始める。オムニトリックスに飛び乗り、キュルキュルとダイヤル回す。以前、ウォッチは赤いままだ。アズマスは作業をしながらベンに問う。
「とりあえず再起動した後、システムβに変更しておく。これでまた変身できるだろう。じゃが…この戦いが終われば返す、というのが条件だ」
残酷な条件。ここでヴィルガクスを倒さなければアズマスも危険なのだが、それでもウォッチの所有者問題は譲れないのだろう。厳しい条件にベンがうなるのも考えられた。だが、
「わかったから!早く!!」
ベンの返答は一瞬だった。
「ほぉ……よし…できたぞ」
ベンの意思確認が最後の項目だったらしい。作業が終了し、ウォッチが緑色に光る。選出ボタンに見たこともないエイリアンが浮かんだ気がした。
カシャンと変身ボタンが盛り上がる。アズマスはその小さな体の全体重をのせ、ボタンを踏み込む。
QBAANN!!!
緑の光が周囲を照らす。その中心部にいるのはベン。
彼の左腕が肥大化したかと思えば、その肥大化は体全体に広がる。ブワン!体が膨らみきり、その体が球体になったかと思えば、肩、背中、肘、膝、至るところにゴム状のアーマーが形成される。体の半分が黄色の鎧に包まれたとき、完全にベンはそのエイリアンに変身する。
「うわぁ‥わぁぁ!?」
ドシンッ!!
体の重心に慣れず倒れる。当然だ。足は人間体のベンより短く、クビもなく胸のあたりに目と口がついている。
「な、なんだこいつ!?」
純粋な、第11のエイリアンヒーローの誕生である
・まあ予想通りのヒーロー名。そのうちベン10000になるのかな?
・やっと出てきました。アンケート第一位の追加エイリアン!!
・次回からちょっと更新遅れるかもです…
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章