【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
アズマスの帰還後、拳藤の職場体験先の【ファイトマッスル】が現着した。全てが終わった後だったので正直遅いのだが、まあ街から何十キロと離れていたためしかたがない。どうやら彼はマックスと旧友らしく、ヴィルガクスのことや、今後のことを話しているらしい。
ゴーストタウンとはいえ、その家々は割と綺麗ではあった。だが、今は見るも無残な姿に。見る影もなしに壊しまくったのはヴィルガクス、そしてベン。
グウェン、ベン、拳藤は3人で街の片づけをしている。文句を垂らすベンを2人が嗜める。その度合いは2人で変わるのだが…
「ハァ…なんでボクがこんなことしなきゃならないんだよ!!片付けなんて警察の仕事だろ!?」
「ベン?口じゃなくて手を動かしな」
「そーよ。ただでさえあんたチビで役に立たないのに」
2人からの圧が強い。ウォッチを見ても、未だ使用不可状態。この状況ならいくらでも有能なエイリアンはいるのに…とぼとぼと瓦礫を運ぶ。が、足元への意識が薄かったため、おもいっきりずっこけてしまう。
「うぎゃっ!!あいった!!!」
その拍子に抱えていた角材を右足に打ち付ける。小指を強く打ち、片足を抱えぴょんこぴょんこ跳ねまわる。
そんな彼を見かねた姉御はため息をつく。
「…なにしてんの…!ほら、肩貸して」
やさしく肩を取ると、近くの階段に案内し座らせる。軽く処置をした後、拳藤はベンに背を向ける。そのままベンと顔を会わせず尋ねる。
「ねぇベン…」
「何?」
「あんた、無個性なんだよね…?」
「それが?」
拳藤は今日初めて、ベンの真実を知った。変身の力はベンの個性ではなく、オムニトリックスという人知を超えた道具によるものだった。
体育祭の時も、今日の戦闘も、全てはオムニトリックスの力。人によってはそう言うだろう。だが拳藤が言いたいのはそういうことではない。騎馬戦やトーナメント、今までの功績はベン自身によるもの。もちろんそう思っている。
だが、変身の力がベンに依存するものでないなら、変身がオムニトリックスのおかげならば、其れ目当てでベンを狙う敵は増えるだろう。事実、今日の敵だってそれでベンを狙っていた。
彼女は振り向かない。体育祭からの付き合いで、時間にすればほんの少しの関わり。おそらく傍から見れば何の関係性もない人間だろう。
しかし、どうしてもベンを心配してしまう。理屈ではない。はじめは弟と重ねていたが、もう違う。ただ、ただ前を向き続けるゆえに、茨の道と知らずに進もうとするベンを止めたいのだ。
今日は勝てた。だがそれもギリギリだった。プロヒーローの力を借りてもなお…
もし今日以上の敵が現れて、ベンが勝てなかったら。自分や仲間が近くにいなかったら…不安要素は絶えることはない。
正直なところ…ウォッチを外してほしい、という思いはある。敵の狙いは“ベン”ではなく、オムニトリックスなのだ。オムニトリックスさえ外せば…
だが…
「ベンはさ…ヒーローに成りたいんだよね?」
「はぁ?いまさらなにいってんの。」
心配、危険だ、あんたである必要はない。
案ずる想いは多くの言葉に変換され、拳藤の口をついて出そうになる。話を聞けば、オムニトリックスだってベンが持っている義務はないのだ。なんなら代わりに自分が…
その思いを訴えようと振り向いた拳藤の前には、ベンの顔があった。一点の曇りもない笑顔。その顔からは、いつか救世主となるような風格と覚悟がビシビシと伝わってくる。挑発的な、それでいて無邪気で、“何か”を見たような…そんな顔。親指をぐっと突き出したベンは大きく答える。
「言っただろ?ウォッチが有ろうと無かろうと、ボクはヒーローなんだ!ボクが誰かを救ける限り!!」
ブワッと風が吹いたような気がした。
何を勘違いしてたんだろう。あたしはウォッチも外してもらいたい。だが、たとえ外しても、ベンは立ち向かうだろう。それこそ、ウォッチを付けた他の誰かが襲われていたら躊躇なく。普段の姿からは考えられないが、彼は誰かが困っていたら、自分を犠牲にしてでも助けてしまうのだ。
なら、自分も隣で戦えばいい。それができずして何がヒーローか。
「…」
拳藤はベンの頭に手をかざす。
いつものようなヘッドロックか、それとも叩いてくるか。身構えるベン。
そんな彼に対し、拳藤は優しくベンの頭に手をのせる。そして叩くのではなくゆっくりと撫でる。慈愛と、励ましと、決意と…いくつもの意味を込めて
「…頑張ろうぜ!ベン!!」
「…なんだよ…恥ずかしいんだけど…」
普段だったらその手を弾く。姉のような振る舞いの拳藤には鬱陶しさと羞恥心を抱いていたからだ。だが今回のそれは、いつものお節介ではない気がした。自分を子どもとして扱うのではなく、1人の“仲間”として見てくれたような。
アメリカのとある州で、2人の男女は一つ、互いの距離を近づけた
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その後、ファイトマッスルと拳藤は事務所に帰っていた。事後処理を終え、マックスたちもキャラバンに乗り込む。
足を机に乗せゲームにいそしむベンと対照的に、顔を机に突っ伏しているグウェン。眉をひそめて彼女はマックスに尋ねる。
「ハァ…おじいちゃん…今日のことって」
「もちろん、他言無用だぞ?世界がひっくり返ってしまう」
そう聞いて項垂れる。学校でも個性史を習っている彼女にとって、今日の話はその核心、答えだった。宇宙人は存在していて、個性はエイリアンDNAが原因。そのことを誰にも話せないのは10代にとっては地味につらい。ため息をつく彼女をベンはけなす。
「はんっ、ガリ勉さんは皆に言いたいんでちゅか~子どもだねっ」
「あんたは理解できてないだけでしょうが!!」
いくらヒーローと候補生とは言えまだ子ども。世界を知らないし理解をすることも難しい。彼らに今日の経験を重すぎただろう。だが、そんなことを言ってられない。この世界に入ったからには近い将来、共に地球を救うことにもなるだろう。
「はっはっは、まだまだこんなもんじゃないぞ?宇宙は、わしたちが想像できないくらい広いんだ」
「…んもう!!あたしは地球でヒーローやってるだけなのに!!」
愚痴るグウェンを視界の端で見たベンはゲームを置く。グウェンと彼の性格は反対だ。彼女が調べて動くなら、ベンは動いて調べる。彼女が良い子ならベンは悪い子。
だからだろう、今回の騒動で、ベンはグウェンと違う感想を抱いている。今まではヒーローに成ることが目的だった。それも日本の。だがそれでは足りない。目指すは地球、いや
「地球だけじゃなくて、宇宙のヒーロー!ボクが目指すのはこれだ!!宇宙の救世主【エイリアンヒーロー ベン10】!!」
「はっはっは、良い目標じゃないか…!!」
「ほんっと…馬鹿で考えなしのアンポン…あっ!!おじいちゃん!!何か起きてるよ!!??」
窓から見える景色には人だかり。
どうやら銀行強盗が暴れているらしい。中の銀行員は赤い髪の女に縛られている。金庫を猫背の男の腐臭で溶かし、筋骨隆々の大男が警察をちぎっては投げ、ちぎっては投げ…
人々が口々に言う。
【なぜこんな田舎で銀行強盗が!】
【警察は所詮、敵受け取り係か!!】
【誰かヒーローは!!!】
そんな声を聴き、彼は車から飛び出す。時計を回しながら、こう叫ぶ
「さあ、ヒーロータイムだ!!」
・最終回感強くないですか?(笑)とりあえず職場体験編終了です
・読者の皆さん、こんな駄文作品を読んでくださり、あまつさえ感想までいただきありがとうございます。更新頻度も最近は落ちていますが、土日で一話は更新できるようにします。応援よろしくお願いします!
・エイリアン人気ランキングとかしたいですね(笑)正直次にだすやつまだ決めてないので…
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章