【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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さあ、期末試験が始まりました!!もちろん、ただ無難に終わることなんてありませんよ?


64話 反乱

体育館γ。体育館といっても名ばかりで、実際は超大型のショッピングモール。

此処は屋内でありながらも開放感あふれる施設だ。例えば一階モニュメント広場。砲撃なども使用可能な広域休憩場。対面にある店と店は10メートルほど離れており、屋内と言えるのは天井があるから、という理由だけだ。

 

ブラドは自分が守るべき正面入り口から少し離れた中央広場で彼らを待っていた。ベンのパートナーが3年波動のため、ハンデの錘はつけていない。ほとんど本気のブラドがそこにはいた。

「む、来たか」

 

正面入り口には必ずここを通る。ゆえに待ち伏せをしていた彼の目の前に現れたのは、二足歩行で走ってくる朱虎。

 

「よぉぉし!!この爪の餌食になりたくなかったらそこをどくんだな!!」

 

ネコ科ゆえの俊敏さでブラドに迫るラス。その口の利き方は教師に対するものではないのだが、いかんせんラスのDNA提供者の性格が少し出てしまっている。叫びながらブラドを裂きに行く。

 

「りゃあっ!!」

 

ベンは二足歩行で距離を詰める。今のベンは、人間体であった時の筋肉量とは比にならないほどの猛筋。虎の俊敏性と脚力をフルに生かしながら踏み込む。鋭く尖った手の甲の爪はブラドを目指している。

 

が、さすがプロヒーロー。個性を使わずともベンの攻撃を軽くいなす。あえて紙一重で避けることでその実力差を目の当たりにさせる。

 

渾身の一撃を余裕で躱されたベンは頭に血が上る。今はベンの方が体は大きい。なのにその攻撃が全然当たらないことに苛々する。ブンブンと両手を振り回す姿はまるで子どものようだ。

 

そんな彼に、ブラドは未だ攻撃を加えない。未だ拳を振り回すベンを彼は挑発する。

「どうした、その程度かテニスン!!」

 

「良いことを教えてやろう!!よく個性がわからない先生よ!オレの力はこんなもんじゃないんぜ!?どりゃっ!!」

WHAMM!! 

WHAMM!!  WHAMM!!

WHAMM!!  WHAMM!!  WHAMM!!

 

 

横にかッ跳び柱を足場にする。と思えばすぐに跳ね隣の柱を伝う。人間にはできない、柱を使った3次元的な動き。ラスになってベンが一番楽しかったのはこの動きだ。四方八方に飛び跳ねて相手をかく乱するこの技は緑谷でも反応できなかったほど。つまりその速度はグラントリノ以上だ。

 

さすがのブラドも視認できず、背後を取られる。ブラドの背中を一望したベンは爪をしまい掌底をはなつ。

 

「食らいやがれ!!」

BBSHHAA!!

 

ベンの肉球と物体がぶつかる音がする。一瞬ベンは焦る。貫かないために爪をしまったにも拘らず、ブラドの背中からは赤い液体が流れている。もしかして大けがをさせてしまったかもしれない。そう困惑した彼だったが、すぐに手ごたえが無いことに気づく。捉えたと思ったその背中には傷一つ入っていないのだ。確かに血は出ているのに。

 

ネコ科の第六感がベンに気づかせる。これこそが奴の個性だと。

 

〈個性【操血】。血を自由自在に操り、攻撃、防御、拘束手段にできる!!タンクに先をためておくことで操れる量を多くできるぞ!!硬質化することで刃物だってへっちゃらな万能個性だ!!〉

 

ブラドは血を背中から噴出、硬質化することでベンの一撃を受け止めたのだ。

 

「な!!俺様のパンチがガードされたぁ!!!??」

 

「ふんっ!!」

 

ブラドは体をぐるりと回し、そのままでベンを蹴り飛ばす。咄嗟に左腕で受け止めるもこらえきれない。ギリギリ頭部直撃は防げたが、このままでは左腕へのダメージは大きい。メキメキときしむ腕を折らないためにあえて後方に吹っ飛ぶベン。ガシャガランと大音が店内に鳴り響く。店内の備品を壊しながら吹っ飛んだベンをブラドは逃さない。

 

急いで離脱を試みるベン。しかし雑貨店に突っ込んでしまったため、棚々が邪魔でその俊敏性が生かせない。対して操血のブラド。死角から血液を這わせベンの足を拘束する。

 

「ぐっ!!」

 

いったん動きを止めてしまえばもう終わり。プロヒーローがその隙を見逃してくれるはずがない。抜け出そうとするラスを、あっという間に血液が壁に貼り付ける。四肢に張り付き硬質化することでラスは力を籠めることすらできない。

 

「ぐうう!!くっそぉぉお!!」

声を張り上げるも脱出は叶わない。むしろ時間が経てばたつほどその拘束は強固なものになっていく。

 

拘束されるラスを見ながらブラドは会議を思い出す。

これは試験2週間前の話。1年A組担任である相澤は期末試験での生徒の相手を決めていく。

 

「えー…緑谷と爆豪はオールマイトさんがお願いします。最近は少しマシになりましたが、まだこの2人の関係は歪です。試験を通して互いの理解を深めてやってください」

 

「そうだね。ヒーローは誰とでも最高のパフォーマンスを発揮させなければならないからね」

 

「まああなたは誰かと協力した経験は少なそうですが…」

 

「あ、相澤君!?」

 

「で、他の生徒ですが、轟と八百万を…」

 

会議は進む。ほとんどの者がその相手が決まった後、最後にベン。相澤はその相手でブラドを指名。指名されたブラドはその理由を問う。

 

「そうだな…理由は2つ。1つ目はお前の対人戦闘力を見込んでだ。テニスンの変身能力は極めて超人的。それこそスペックだけならオールマイトさん並だ。だが体の使い方等が未熟。まるで変身体に振り回されているかのようだ。特にパワータイプのエイリアンになったときはその傾向が如実に現れる。だから武術の心得もあるお前が適任だ」

 

ブラドとの闘いを通して戦闘技術の重要さを学ぶのと、テクニカルな敵の対策を考えてほしいとのこと。1つ目の理由がわかったところで、ブラドはもう一つの理由を聞く。

 

「それで、二つ目の理由とやらは?」

 

「ああ…お前の継戦能力を見込んでのことだ。テニスンの変身時間はおおむね10分程度。その時間、お前は個性を使い続けられるよな?」

 

「あ、ああ。それはそうだが…」

 

そして相澤は一つの指示を出した。ベンにとっては死活問題。しかし、もしベンがヒーローになれば必ず狙われる弱点。それは…

 

「ふんっ!!ふんん!!!」

なんとか血牢から抜け出そうとするも、ただいたずらに時間が過ぎるのみ。戦闘場所を教える前にベンが飛び出したため、波動の支援もまだ期待できない。そして、音が鳴る。

pipipi  QBBAANN!!

 

巨体は縮み、自慢げな毛並みはつるつる産毛に成り代わる。己を包む赤い閃光を恨みながらベンは叫ぶ。

 

「あーもー!!ほんっと!!このウォッチはタイミング悪いな!!」

 

足をばたつかせるベン。以前、彼は捕まったまま。ブラドの拘束は人間体に戻ったベンに合わせて、ぴっちりと張り付いている。

 

そして、ブラドは相澤からの指示を遂行する。その指示とは、

 

【テニスンのサポートアイテムを封じる】

 

残酷すぎる指示。しかし、ヒーローを目指すには避けられない。もしベンがヒーローに成れば、時計を介して変身している事はすぐにばれる。そうなった場合に狙われるのが“オムニトリックスの破壊“。実際、相澤も捕縛布対策をした敵と戦ったこともある。いかなる時でもヒーローは敵に弱みを見せてはいけない。相澤は自身の経験と知識からベンに壁を用意したのだ。

 

相澤の指示通りに、ブラドはオムニトリックスを血液で覆う。そして硬質化することでオムニトリックスの無効化を試みる。

 

その意図に気づいたベン。何としてもさせまいと暴れるが、無個性の彼はあまりにも非力すぎる。オムニトリックスは完全にブラドの血に覆われ、押すことも回すこともできなくなる。

 

自身の能力を奪われたに等しいベン。思わず項垂れるベン。そんな彼にブラドは喝を入れる。

 

「テニスン!!サポートアイテムの無効化を狙う敵はごまんといる!特定のヒーローを対策する敵は特にだ!!そんな中でも戦うのがヒーローだ!!違うか!!」

 

「…!!別に諦めてなんかないよ!!!ボクはオムニトリックスだけじゃないんだからな!!」

 

先のヴィルガクス戦で学んだことだ。たとえオムニトリックスが無くても自分はヒーロー。そのこと思いだしたベンは力強く答える。

 

沈んだ表情から一変。ベンは不敵に笑う。そんな彼を見てニヤリとするブラド。教師をするくらいだ。子どもが嫌いなわけない。ましてや挑戦心にあふれる若者を応援しないなど、師であるはずがない。拘束は解かないがベンを鼓舞する。

 

「よし!!その意気だ!!我がB組生徒たちにも負けない目になっ…」

 

だが、急に言葉が途切れる。体に違和感が生じたのだ。感じたことのない症状。長くヒーロー活動をしてきたが初めての感覚。まるで体の中に異物がはいりこんでくるかのような…

(テニスンか?!いや、何か仕掛けている様子はない…この時計から俺の血を伝って何かが…!!一体なん)

 

その時、ブラドの脳内にどす黒い声が流れる。かすれ声で、しかしはっきりと嬉しそうに。

 

「やっとだ‥‥やっと出られる…!!お前には感謝してやる!!!」

BASHNN!!

ブラドの拘束が解ける。血がべちゃりと床に落ち、赤いシミを作る。持ち上げられていたベンはしりもちをつくが、すぐに体制を整える。腰に入っている銃を片手にブラドの方を見ると、何やら俯いている。ベンはこれを個性の副作用だと判断。この隙にと、攻撃を仕掛けようとしたとき、バッとブラドが顔を上げる。

 

目を閉じており、不気味に笑うブラド。先ほどの間での教師然とした態度ではなく、生気がない。その閉じていた目を開くと、その目は白であるべき部分は闇色に、瞳は不気味な紫色に仕上がっていた。明らかに様子がおかしい先生を見て戸惑うベン。そんな彼に、ブラドが、いや奴が口を開く。

 

「ヤァ…やっと会えたな…ベン…」

 

聞きなれた声。しかし先生は自分のことをテニスンと呼んでいた。急に呼び方を変えるなんておかしい。困惑していると、奴は高らかに笑う。

 

「ハッハッハ…ひどいじゃないか…俺のことがわからないなんて…親友だと思っていたのになぁ…?」

 

その言葉とともに、ブラドから何かが出てくる。黒いガスのようなものがブラドから出てきて、一つの形に集まり白き霊体を形作っていく。そのなじみのあるその姿を見たとき、ベンは気づく。何が起きているかはわからないが、誰が敵なのかはわかった。

 

「ついに顔と顔を会わせられたな…うれしいよ…ベン…!!」

 

「なんでお前が…!!ゴーストフリーク!!」

 

 




この章のタイトルは期末試験編(ゴーストフリークの反乱)でした!!正直迷ったんですが、ここ以外にうまくゴーストフリークを絡ませることができなかったので、入れちゃいました!ブラドファンの方々、お許しを…

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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