【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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タッグバトルってやっぱり描写が難しいですね。マンガっぽくはイメージできるけどそれを表現するのが…




66話 ワイルドバイン

命名するならイオン雄英。全長300メートル、三階建て。多彩なショップからゲームセンター、はては映画館など、不必要と思える施設まで備えた体育館θ。その中でも再現性の高いフードコート。席数は400席を超え、実際に災害などが起きた時にはここを避難所、供給所となる所だ。

 

補給所ともなる、争いとは無縁のフードコートには今、人間、幽霊、植物が対峙していた。ゴーストフリークがブラドキングの体を乗っ取っているため、プロヒーロー相手とガチンコ勝負を強いられたベン達。その攻防は瞬きすらも隙となる戦いだった。

 

「そんな根っこエイリアンで俺に勝てるとでも思っているのかぁ?」

 

「はっ!!そのイカレタお目目でよく見とくんだなっ!」

 

ベンが今変身しているのはワイルドバイン。胴体は一本の太い茎のような植物型エイリアン。動物のような明確な足はなく、極太の根が自身の体を支えている。首回りには食虫植物の口が生えており、緑一色。

 

「ふっ!!」

 

先手必勝。まずはベンから仕掛ける。エイリアン然としたその腕は伸びる蔓。ゴム製に近い材質故、ほぼ無限に伸びる蔓は、ひゅるひゅると軽快な音を立ててゴーストフリークを目指す。

 

が、今のゴーストフリークはブラドの体を操る。安直なベンの攻撃は血のナイフで切り刻まれる。パラパラと緑色の葉が周囲に舞う。その葉が地に落ちる前に、手にブラドナイフをもった敵は距離を詰める。

 

その顔はまるで悪魔。生気をなくしたその瞳は、元々のブラドの目と異なり、黒と紫色に染まっている。人間と異なるその目からは、ブラドの意思がそこに介在しないことを表していた。

 

人としてのリミッターを意に介さないゴーストフリーク。筋肉が千切れる音がするが自分には関係ない。目の前のベンをいただく為に、個性を使いベンをとらえようとする。

 

その躊躇のなさにギョッとするベン。超スピードで目の前に現れた敵におののき、後ろに逃げようとする。がスピードが足りない。青い単眼にはブラドのナイフが迫る。

 

TWIN TWIN!!

「なんだぁ…!」

 

ベンが貫かれる前に、敵の動きが止まる。彼の背中を連続エネルギー波が捉えたからだ。大きなダメージはないが、無視できるほどの威力でもない。

 

ギロリと攻撃が飛んできた方向を見ると、ねじれが構えていた。ふわふわと宙に浮きながらも、その手からは黄色の波動がこぼれている。

 

「ハァ…お前から葬ってやろう…!!」

 

舌なめずりをしながら敵は地面を蹴る。コンクリートの地面はひび割れ、彼の体はねじれの元へ飛んでいく。

 

「…むーー!揺蕩う波動!!」

 

迎え撃つねじれは己の編み出した必殺技を惜しみなく使う。

 

高出力のエネルギー波を出すには一時のタメが必要である。しかし出力を下げれば連続波を打ち出すことが可能。右手打ったら左手、左手で撃ったら右から。数十もの黄色の波動は、揺らめく光となりゴーストフリークを床へと押し戻す。

 

「ぐっぅ!!」

 

背中を打ちつけるゴーストフリーク。キッと天井付近に浮くねじれを睨む。その瞬間、悪寒が走る。

 

本能的に危険を察知した彼。彼の視野外ではベンが攻撃準備をしていたのだ。

 

一本一本はただの蔓。しかしそれが集まれば?ベンは突き出した両手を絡め、一本の幹とする。細い腕腕はらせん状に絡まり、大綱となる。大きく振り上げたベンは容赦なく振り下ろす。

 

「おらあぁァァ!!!」

 

「ちぃ!」

 

VVAACHINN!!

 

済んでのところで躱す。ハンドスプリングとバク転を連続で行い、回避と退避を同時に進行したゴーストフリーク。先ほどまでの喧噪はやみ、戦場は一転して無音となる。

 

ゴーストフリークからすれば、ベンと波動は完璧なコンビネーション。しかしそれは違う。好き勝手に動いているベンに波動が合わせているのだ。ベンがピンチの時、また隙を作ってほしい時に求める動きをする。さすがインターン生といったところであった。

 

ゴートフリークが隙を伺っており、互いにけん制し合う中で、ふよふよと波動はベンの元に近づく。宙に浮いたまま、ベンの耳元で作戦会議。

 

「敵はかなり動けるみたいだね。けどこのままつかず離れずで時間を稼いでれば、先生達がそのうち来るよ!」

 

「それじゃだめだ…!」

 

ねじれの作戦は敵が【敵】ならば大正解。実際、格上相手やホームで戦うならば、撃退よりも見方を待つのが一番確実である。だが、今の敵は【敵】ではなく、【エイリアン】

 

事情を全て知っているベンは、ねじれの意見を強く否定する。波動が理由を問うと、その答えを明確に提示する。

 

「他の人が来たらソイツの体を乗っ取るだけだっ!!今ボク達で倒さないともうどこに行くかわからない!!それに…」

「それに?」

 

小首をかしげる波動。

 

「ボクの変身時間が解けたら…ボクを乗っ取る気なんだ。そしたら完全体になって地球は…」

 

そう。ゴーストフリークはベンが人間体の時に、ゴーストフリークの真の姿でなければ吸収できない。だからこそ、彼はベンの変身解除を“まだかまだか”と待ち続けているのだ。

 

植物状態(物理)のベンの背中は小さく丸まる。そんな彼にニッコリと笑うねじれは、作戦を考える。

 

「…わかった…!ベン君、なんとか隙を作って!!あとは私が何とかする!!」

「ありがとうございます…リカバリーガール…」

 

「…ッち!」

 

2人の少年がいるのは出張保健室。緑谷と爆豪はオールマイトとの試験を終え、リカバリーガールに治癒をしてもらっていた。歩けるかどうか微妙な容態だったのでオールマイトが彼らを運んだのだが、彼女の個性はその状態からでも一瞬で健常に戻すことも可能である。

 

「しかし、まさかあんたが負けるなんてねぇ…あたしゃ正直、時間切れ、良くて逃走勝ちだとおもってたよ」

 

「…少年たちの成長は目覚ましいものです。私も二人の猛攻には驚きました…」

 

ベン達よりだいぶ早めに始まった緑谷・爆豪VSオールマイト。始めこそ2人の連携がうまく取れなかったものの、爆豪は緑谷を否定することをやめ、緑谷は爆豪を畏怖することを辞めた結果、その勝利を手にすることができた。

 

試験では、逃走口ギリギリでオールマイトが彼らを追い込んだ。が、捕まった爆豪が目くらましも兼ねた最大火力爆破を放ち、そこに緑谷が上限を超えた20%SMASHを決めたことでオールマイト捕縛に至った。まあ捕縛と言ってもカフスをかけるだけではあるが、それでもオールマイトに勝ったこと自体が、彼らにとって大きな成果であった。

 

「まあ大分あんたらも消耗しただろう?とりあえず2人とも校舎内のベットで寝てな」

 

彼女の勧めを受け体を起こす緑谷、爆豪。が、目の前にあるモニターに目が留まる。そこにはまだ試験を突破していないクラスメイトの姿があった。

 

「あ、あの…リカバリーガール…僕…ここで見てちゃだめですか?」

 

「まあ…ダメとは言わないけれど…大丈夫なのかい?」

 

「はい!!プロや皆の戦い方をじっくり見る機会なんてあんまりないので…」

 

「…無理しなさんなよ?」

 

もはや病気と言ってもいいくらいの緑谷のヒーローへの執着。自身の体のケアもプロになるならば需要なのだが、緑谷の頭には、“自分”が勘定に入っていないらしい。

 

モニターを見る緑谷。半分近くのクラスメイトが合格している現状を見て、質問をぶつける。

 

「…あの…今回ってテストと言いつつも…意図的に各々の課題をぶつけてるんですよね?」

 

「そうさね。例えば常闇と蛙吹にはエクトプラズム。近接戦を弱点とする常闇には神出鬼没で間合いを一気に詰められる彼が適任さ」

 

「なるほど…じゃあ上鳴君と芦戸さんって…どうして校長先生なんですか?」

 

緑谷の問いに対して答えを出したのは、隣で鑑賞していた爆豪。

「んなもん決まってんだろ。アホ2人には頭脳戦を強いればヌルゲーだ」

 

あまりの静かさに爆豪がいたことを忘れていた緑谷。そして爆豪から話題に入ってきたことも相まって変な声がでる。

 

「ヒャッ…かっちゃん…!?…あ、そうか…校長先生の個性はハイスペック…」

 

「そうさ…今の根津の笑いは…素だね…昔人間にいろいろやられたからね…」

 

HAHAHAHAHAHAと紅茶を優雅にこぼしながら、狂気の笑いを周囲に響かせる根津。人間以上の頭脳という個性が発現した人外の彼は、闇深い過去があるのだろう。

 

「まあその他全員、何かしらの意図が合って対戦相手は組まれてる。がしかし…やっぱりあの子は異常だねぇ…」

 

「あの子って…?」

 

神妙な顔つきのリカバリーガール。そんな彼女の目線の先には、目まぐるしく血が飛び交う戦場。そしてその中で動き回る植物だった。

 

「あ!ベン君ですか!?」

 

「そうさ。あんたらも同じクラスならわかるでしょ?あの子の個性が異常だって…」

 

緑谷はオムニトリックスでベンが変身していること知っているため、そこには疑問を抱かない。が、そのことを知らない爆豪はリカバリーガールの言葉に内心頷く。10も20も姿を変え、それら一体一体にプロレベルの能力がある。恐ろしいのは変身体に一貫性が無いこと。炎系に変身したかと思えば怪力。かと思えば獣。一人称が変わることも含め、怪しすぎる。

 

この時点で、日本においてオムニトリックスのことを知っているのは緑谷とオールマイトのみ。だがしかし、彼に興味を持っているのは雄英だけではなかった。幾多もの変身。変身による弊害等はなく一体一体が最強。この個性に目を付けた(巨悪)がいた。そして今日、オムニトリックスを知るもの()が、その巨悪に接触を試みていた。

 

 




・さあ、林間合宿と神野編へのフラグを立てていきますぜ

・ワイルドバインの強さは次回、緑谷が説明してくれます!!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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