【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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ここから林間合宿編です。割とこの章と次の章で出しきる予定です!応援よろしくお願いします!


林間合宿編(ネガティブ10)
71話 チリフライ


教室ではクーラーが解禁され、いよいよ本格的に夏が始まる。

 

期末試験から一週間、ついに結果発表の時が来た。どの時代でもテスト返却はワクワクドキドキなのだが、一部の生徒からは葬式のような雰囲気が垂れ流されていた。

 

それもそのはず。この期末試験で赤点を取ってしまえば夏休みに開催される林間合宿に参加できないのだ。実技試験をクリアすることができなかった切島、佐藤、芦戸、上鳴は俯いている。

 

半べそをかきながら、芦戸や上鳴が伝える。

 

「ひぐっ…皆、土産話楽しみにしているから…」

 

「ま、まだわかんないよ!どんでん返しがあるかもしれないよ!」

「緑谷それ口にしたらなくなるパターンだ…」

「あんなのもクリアできなかったの?お前ら、本当に雄英生?」

 

慰める緑谷と対極的に、追い打ちをかけるベン。元々子どもであるため、自分ができて、他人ができなかったことに対しては強く出る傾向が彼にはある。心無いベンの言葉に、上鳴はため息をつく。

 

「ハァ…テニスンは正直こっち側だと思ったのに…」

 

「!?なんでそうおもうわけ!?」

 

「だってお前作戦ミスばっかするじゃんか!単騎突撃ばっかりするし、自分の変身時間もわかってないときあるし。爆豪のみみっちさが無いバージョンって感じ」

 

「誰がみみっちいって!?殺すぞアホズラ!!」

 

「そーだよ!!ボクはこいつみたいに自己中じゃないし!」

 

「ああん!!?」

 

四方八方で戦争が起こる。実際、期末試験でベンも爆豪も単騎突撃しているので、どっちもどっちである。

 

ベンと爆豪が取っ組み合いをしようとしたところで、

 

「予冷がなったら席につけ」

ぬるっと教室に入った相澤の一声が入る。

「えー…今回の期末試験だが、残念ながら赤点が出た。従って」

 

神妙な顔つきでいる不合格4人。先ほど出し切ったはず涙が再び目じりに浮かぶ。まるで死刑宣告を待つ囚人である。だが、相澤の言葉は覚悟していたものとは違った。

 

「林間合宿は全員行きます」

 

「「「「どんでんがえしだぁ!!」」」」

つまるところ、“赤点者の参加禁止”は、相澤お得意の合理的虚偽だったのだ。そもそも、林間合宿は強化合宿。此処で赤点だった者こそがその対象となる。ゆえに、その補修内容は地獄であり、それを述べられた補習5人は苦虫をつぶしたような顔になっている。

 

ともあれ、全員が無事に強化合宿へと参加することとなった。しおり等を確認し、皆で盛り上がっているとき、葉隠が提案する。

「あ、そうだ!!明日休みだし、A組みんなで買い物行こうよ!」

 

ノリのいい上鳴、真逆の爆豪、協調を重んじる緑谷、それぞれの性格が見て取れる会話が起こる。

 

「お、いいじゃん!!何げにそういうの初じゃね?」

 

「おい、爆豪、お前も来いよ」

 

「行ってたまるか、ッかったりぃ」

 

「轟君は?」

 

「休日は見舞だ」

 

爆豪、轟が不参加を表明。そしてベンは、

 

「明日はスモウスラマーイベントなんだ!!」

 

周囲とのコミュニケーションよりも趣味を優先するのがテニスンクオリティ。皆がショッピングの計画を立てていることに目もくれず、颯爽と帰宅したベンであった。

圏内で最大の店舗数を誇る、ナウでヤングな最先端。それがここ、木椰区ショッピングモール。

 

個性社会になったことで、人々の体は以前とは異なるものとなった。腕が6本ある者、カマキリの姿を模した者、翼が生えている者。まさしく“個性”豊かな人々がそこら中に存在する。彼らのニーズに答えるように社会、特に商業施設は進化していった。

 

A組一向は互いに初めて教室外で会う。各々の私服を見て講評しあいながら、モールの中央部へと向かう。

 

このモールは先日ベンが戦った体育館Ωと似ている。というよりも、体育館Ωがこの木椰区ショッピングモールをまねたのだ。

 

敷地内にはイベントエリア、ショッピングエリア、フードエリアに分かれており、それらは正三角形の形に位置していた。

 

中央部につき、どこに行くかを決めようとするが、

 

「とりあえず大きめのキャリーバッグ買わなきゃ」

 

「アウトドア系の靴ないんだなよぁ。峰田、買い行こうぜ!」

 

「おいらはピッキング用品と小型ドリルを買わなきゃならないから」

 

「俺は徹夜ハチマキ買いたいんだよな!!」

 

それぞれの目的物が異なっているため、切島が別行動を提案する。皆が首を縦に振ったかと思うと、望む品を購入するために颯爽とその場から消えていった。

 

ポツネンと残されたのは緑谷と麗日。とりあえずと、ショッピングエリアの雑貨店へと向かう。

 

特に意識することなく二人は人ごみの中を歩く。休日であるからか、それともイベントエリアがあるからか、普段よりも人が多いようだ。

 

声が通るように顔を近づけながら緑谷は質問する。

「麗日さんはどうする?」

 

「あたしは虫よけスプレーを買わなんと」

 

「そっか、僕も一応買っておこうかな。どうしようかな。虫よけスプレーといっても、色々あるよな。疲労回復効果や日焼け止め効果も付随しているタイプもある。あ、環境に配慮したものがいいかなぁ…」

 

ブツブツモードに入ってしまった緑谷は麗らかを置いてけぼりにせんとする。彼を呼び戻すために彼女から話題を振る。

 

「えっと…あ!そういえば、ベン君来んかったね。なにか用事でもあったんかな?」

 

「スモウスラマーのイベントがあるからって…あ、スモウスラマーっていうのは日本出身のアメリカンヒーローなんだって。ゲームとかトレーディングカードも出てて、ベン君が向こういる時すごいハマったらしいんだ」

 

「そーなんや!やっぱりベン君はマイペースやね。」

 

「確かに…まあ」

 

“期末試験が終わったから、開放的になってるんだと思う”、そう口にしようとした緑谷だったが、自分でその言葉に引っかかる。

 

(ベン君は期末試験でゴーストフリークと戦った。オムニトリックスからエイリアンが出てきたっていうことは秘密されてるけど…明らかに先生たちはベン君を警戒していたような…うーん、確かにベン君の挙動は怪しく見られやすいからな。アメリカにいた期間が長いからかな…?)

 

「デク君?」

 

「あ!ごごごめん。えーと…そういえばさ、期末試験ことなんだけど…」

 

ん?と首を傾げる麗日。しかしすぐに顔が紅潮する。緑谷の言葉である出来事を思い出したからだ。それは期末試験での青山の一言。

 

(君、彼のこと好きなの?)

 

ポッ

 

「うひゃ―――!!」

 

「うう麗日さん!?」

 

顔を両手で覆い、人ごみをかき分けながら麗らかは逃げる。

 

ポツンと一人残された緑谷。初めて友人とモールに来たのに、開始10分で孤立してしまった。せっかく皆で来たのに、いつものようにソロショッピングとなってしまった…

 

まあそれならそれでと、マニアックなヒーローグッズストアに行くか、と決めた矢先、1人の男から声を掛けられる。

 

「オー、雄英の人じゃん!サインくれよ」

 

「へ?」

 

パーカーをまとったその人は、左手をポケットに突っこんだまま肩を組む。初対面にしては少々馴れ馴れしいが、そもそも人との距離感がいまいちわからない緑谷は振り払えない。

 

気まずそうな緑谷を気にせず男はニカニカしながら話しかける。

「確か体育祭でボロボロになったやつだよな!」

 

「…は、はい」

 

「んで、保栖事件の時はヒーロー殺しと遭遇したんだっけ?」

 

「よくご存じで…」

 

「USJ襲撃の時は足を折って突っ込んできたよな…」

 

「あはは…」

 

早くこの状態を脱したい緑谷。彼はこのような事態に慣れていないのだ。遠慮がちに愛想笑いをする。

 

が、2、3拍おいて、青年の言葉に違和感を覚える。

(なんでUSJのことを?あれは雄英内で起こったことだから詳細は知らないはず…っは!)

 

気づいたときにはもう遅い。振りむこうとした緑谷の喉に青年の手がかかる。年齢にしてはずいぶん乾いている手だと思った。

 

5本の指のうち1本を振れないようにしている様子は、傍から見れば独特のものであろう。

 

「ホント、こんなとこでまた会うとはな…」

 

「お、お前は‥」

 

「お茶でもしようか、緑谷出久」

 

「死柄木 弔…!!!」

 

青山の言葉を思い出し、風のように逃げた麗日。数十メートルほど全速力を出してしまった彼女は、見事モールの人ごみに迷ってしまっていた。彼女の胸中は未だ緑谷のことばかり。

 

緑谷への想いは未だ何なのかわからない。入試で自分を助けてくれた人。体育祭で励ましてくれた人。

 

(デク君はただのクラスメイト!青山君はなにいっとるんだ!)

 

そう自分に言い聞かせた時、少しばかり胸に痛みが走る。このモヤモヤはなんなのだろうか。いつから抱えていたのだろうか。それらの謎が彼女をさらに混乱させる。

 

しかし、このまま考えていてもらちが明かないと開き直る。

 

(別に同じヒーロー志望としてすごいなって思ってるだけだし…青山君のいうことちゃんちゃらおかしいわ!そうそう!一緒にお買い物とか違うもん!)

 

顔をピシピシとはたき、気分を入れ替える。そして、辺りを見回す。どうやら、ショッピングエリアを抜けて、フードエリアについていたようだ。

 

(あちゃ、ここどこや…!もどらんと!いや、デク君と買い物したいとかじゃなくて、ただ戻って謝らんと……ん?)

 

緑谷の元へ戻ろうとしていると、向いの店で何やら揉めているのを発見する。声色的に、大人と子どもが言い争いをしているようだ。

 

手刀で人ごみを切り分けながら、そのもめ事を収めようと向かう。フードエリアの中でも、露店コーナーで、店員とお客さんが揉めているらしい。彼女はその二人を見て、少しばかり驚く。

 

「…なんだよ!!早くチリフライをよこせ!」

 

「だから金がねぇんならさっさと帰りな!いくら子どもでも金がねぇと物は買えねぇっていうのは知ってるだろ!」

 

「ボクが子ども?はっ!痛い目を見たいのか?いいからチリフライをよこせ!!」

 

麗日は目を丸くする。半分カツアゲのようなことをしているのは自分よりも子どもであった。年齢的には10歳ほどに見える。だがしかし麗日が驚いたのはそれが理由ではない。

 

緑色の人に、茶色の髪の毛。白と黒のシンプルなTシャツにカーゴパンツ。強盗まがいのことをしているのは紛れもなくベン=テニスンだった。

 

「ベン君なにしてん!?」

 

「ん?誰だお前は!!」

 

声を聴いてもそっくりである。背格好から髪の色、目の色、声色。どこからどう見てもベンだ。

 

クラスメイトととして、友人としてこの状況はいただけない。一応店主にお金をわたし、事なきを得る。

 

ペコペコと頭を下げる麗らかに店主は嗜めるように、的外れの注意する。

 

「姉ちゃんよ!弟の面倒はちゃんと見なきゃだめだぜ?あと、お金っていうものを教えてあげな!」

 

店主からは見当違いの注意を受け、顔を赤くする麗日。クラスメイトの姉と勘違いされる辱めは、両者ともに多大なダメージを受けるだろう。

 

だが、当のベンは買ってもらったチリフライを素手で貪り食べていた。今にも顔を容器につっこみそうな勢いである。

 

「うーん…やっぱりまずい。どうしてこんな下劣な食べ物を僕の体は欲しているんだ!?」

 

良くわからない言葉を発しながらも、なお食べる手を止めないベン。その姿にさすがの麗日も呆れる。

 

確かにベンは子どもであると思う。しかし、この3か月ともに過ごしてきて、別に常識外れであるとまでは思わなかった。まして、店員から品物を奪い取ることなど、麗日の想定するベン=テニスンは決してしないだろう。

 

「あ!」

 

そこで彼女は思い出す。緑谷を置いてけぼりにしていることを。

急いで、緑谷の元へ戻らなければならない。“どうせなら一緒に“、そうベンに呼びかけようとしたとき、隣のベンは消えていた。

 

財布が少しだけ軽くなった彼女の頭には、?のマークが浮かび上がっていた。

「…なんやったん?」

 




・まあ、ぶっちゃけベンはウォッチを使って犯罪スレスレ行為(もしくは犯罪)はやってるしなァ…(笑)

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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