【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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短いです!


72話 真に賢しい敵

フードエリアで喧嘩騒ぎが起きたころ、緑谷と死柄木は隣のエリアで簡素なベンチに座っていた。死柄木は文字通りベンの首に手をかけている。五指で触れると対象を分解する【崩壊】は、今の緑谷にとって脅威であった。捨て身の反撃も可能ではあるのだが、ここは日曜のショッピングモール。ヒーローが来るまでに何人が犠牲になるかわからない。

 

身動きの取れない緑谷に対し、死柄木は問う。しゃがれた声で早口に。

 

「なあ、なんでだ?俺もステインも一緒だろ?自分のために、自分の壊したいものを壊した。なのになんであいつの方が目を引くんだ?破壊行動だって俺やケビンの方がやってるだろ?俺たちとあいつ、何が違うと思う?緑谷」

 

分からなくもない質問。行動自体は敵連合も派手だ。しかし、世間の注目はステインに集中している。連合は食われたといってもいい。

 

緑谷もそのことについて考えたことがった。テレビやメディアでは、ヒーロー殺しは悪党と報道されている。しかし、少しアングラな場所、もしくは個々人では、ステインを支持している人間も多くいた。彼の持つカリスマ性というものだろうか…

 

ではなぜ皆が、ヒーロー殺しにカリスマを感じるのか。緑谷はその答えをゆっくりと紡ぐ。

 

「ヒーロー殺しには…理想があった。やり方は間違ってても、英雄回帰っていう理想に生きようとしてた…んだと思う」

 

あくまで自分の考察であるので、思うを後から付け足す。敵の考えを理解したくないという想いも半分あったのかもしれない。

 

そして、ゴクリと唾をのむ。喉を握られているので少し引っかかった。だが、その喉から考えを発する。

 

「ボクもヒーロー殺しも、始まりは…オールマイトだったから、理解は出来た…」

 

汗を垂らしながら死柄木を睨む。その時、言いようのない悪寒が緑谷を襲う。汗が止まる。冷や汗すら出ない。呼吸が止まる。瞬きすらできない。目の前の巨悪からは、鮮明な死のイメージがにじみ出る。

 

「そうか、分かったよ…」

 

その巨悪からは、不気味という概念が人になったかのように感じる。顔じゅうしわだらけにして、満面の笑を彼は浮かべる。

 

 

「全部…オールマイトだ」

 

1人納得した死神の手は徐々に彼の首を絞める。

 

「ッぐっ!!」

 

手をはがそうと力を籠める。が、「民衆が死ぬぞ?」という一言で身動きが取れない。

 

思考すらままならない緑谷と対極的に、自身の思想を固めていく死柄木。それとともに、首を絞める力を強める。

 

彼が笑みを浮かべて数秒たち、緑谷の呼吸が止まろうとしたとき、

 

「イズク?」

 

ソフトクリームをもった少年が2人に声をかける。キョトンとした顔の少年。一拍間が空いた後、後ろから麗日が来る。

 

「ベン君と…デク君?」

 

麗日とベンは状況を把握していなかったが、いち早く麗日が“異常“に気づく。眉をひそめながら尋ねる。

 

「お友達じゃないよね…?」

 

その質問は、疑問を問うものでなく、確認に近かった。そのニュアンスで、ベンも事態に気づく。

 

持っていたソフトクリームは地面に落ち、ベンのウォッチに手が添えられる。

 

「イズクから手を離せ!」

「何でもないから!大丈夫!だから!来ちゃだ…」

 

凄むベンに、強がる緑谷。互いに互いを想う状況で、場は緊迫するものとなる。しかし、その状況は間の抜けた声で打破される。

 

「連れがいたのか!ごめんごめん!」

 

先ほどまで不気味な笑みと異なり、爽やかな笑顔で対応する死柄木。民衆に紛れて帰る彼をベンが追おうとするが、緑谷により制止された。

 

麗日がすぐに警察に連絡して事態は収まった。

 

警察を待っている3人。まさか休日のショッピングモールで敵連合のボスと会合するとは思わなかった。彼らの顔からそのような考えが見て取れる。

 

しかし、今敵連合のことを考えても仕方がない。情報が無いのだ。

 

そこで、緑谷もだいぶ落ち着いてきたところで、話題を麗日が提供する。

 

「そういえばベン君はイベントだったんじゃないの?」

 

「そうだよ?1時間前にここでイシヤマのサイン会があったんだ!ホラ!!」

 

そう言って背中の洋服に記載された「ISHIYAMA」の文字を見せつけるベン。イシヤマとはスモウスラマーというヒーローの日本名である。麗日はいまいちその価値がわからないため愛想笑いで返す。そして、先ほどのことを思い出す。

 

「そういえばベン君、さっきひどかったんよ!チリフライをただでよこせって店員さんと揉めてて。あんなん駄目に決まっとるやん!!」

 

「何の話だよ?ボクがオチャコに合ったのは今さっきだよ?」

 

「え?でも…あ、さては私がおごった分ちょろまかすとしてるんやろ!?」

 

「はあ!?そんなことしないし!なあイズク!」

 

「えっと…あはは…」

 

お菓子の中に入っているレアカードを探すために、グレイマターに変身し、結局買い取りする羽目になったことを知っている緑谷。ベンがチリフライ好きなことも知っているため、なくはないなぁ、と思うのであった。

ここは日本のどこかにある地下施設。何人かはわからないが、背格好の異なるものが暗い研究室に集まっていた。

「先生、ドクター。決めたよ。俺は、この世界を…ぶっ壊す」

 

「よくぞ…」

「じゃあ準備するかのぅ。お前さんのおかげで研究は加速度的に進んだ!!実に助かったぞ!」

「ああ、感謝してくれよ?これも憎きベン=テニスンを葬るためだからね!」

「ふふふ、まあ我々の出番が先だがな」

「おい!俺がベンの野郎をぶっ殺すんだぞ!?」

 

大人と子ども、地球人と宇宙人。多種の悪意が水面下で準備する。ヒーロー ベン10を滅するための策を。

 




最後の会話はまあ、あえてわかりにくくしてます。すぐにばれるんですけどね(笑)

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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