【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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ふと思ったんですが、今のこどもたちってKYの意味わかるんですかね…


73話 KY

死柄木との邂逅から数日、多少の予定変更はあったが、ついにその日が来た。

 

本日は林間合宿初日。合宿所はまだ伝えられていないが、どうやらバスで移動するらしい。

 

バス待ちの為、校門の前にヒーロー科1年が集まる。つまりA組とB組が顔を会わせるわけで、そうなるとこの男が黙っちゃいない。整っている顔に反して、歪んだ性格の物間がA組を煽り倒す。

 

「え?A組補習いるの?つまり赤点獲った人がいるってこと!?ええ?おかしくないおかしくない!?A組はB組よりずっと優秀なはずなのに!あれれぇぇ!!?」

 

 ガッ

 

物間節が始まるや否や、すぐさま拳藤は手刀で彼の意識は刈り取る。ぐふっと息を漏らした物間を無視して、彼女は快活に挨拶する。

 

「ごめんな、A組…まあ、今日から一週間よろしくな!!」

 

「お、おお!!」

 

拳藤の言葉を皮切りに、両クラスが軽い挨拶を行う。互いの担任について話す女子を見て峰田が下舐めづりをし、切島が注意する日常の風景がみられる。これから地獄が始まる雰囲気とはとても思えない。

 

当然ソワソワしているベン。彼に対し拳藤は駆け寄る。

 

「よ!ちゃんと準備してきた?」

 

「イツカ!ああ、もちろんさ!!お菓子にトランプにUNOに…」

 

「ちょっとちょっと…!何しに行くのかわかってんの!?」

 

「お泊り会ってやつでしょ?ボク、友達とこーゆーのしたことないから楽しみなんだよね!」

 

目をキラキラさせてバッグの中身を拳藤に見せびらかすベン。その純粋無垢な顔を見て気が緩む拳藤。肩をすくめつつも、その顔には弟を見るような表情があった。

 

「ふふ、あんまり問題起こさないようにね?グウェンにも面倒見てやれって言われてるんだから」

 

「は?!お前グウェンと連絡とってるのか!?」

 

「前にアメリカで連絡先交換してさ。結構話が合うのよ。個性歴史学に関してはさすがにかなわないけど、ヒーロー社会学の話とかは盛り上がっちゃって」

 

「うぇぇ。何それ。最悪の繋がりなんだけど。勉強が好きだとか考えらんない。他にすることないのかよ」

 

「なにその言い草は!マックスさんからもベンのことよろしくって言われてるし、シャンとしなさいよ?」

 

「うるさいなぁ。お前はボクの母親かよ!」

 

「このぉ!」

 

わしゃわしゃとベンの髪をかき撫でる。普段なら振り払うが、合宿を控え上機嫌のベンはまんざらでもない様子。

 

全体的に空気が弛緩してきたころ、学校から相澤とブラドが出てくる。

 

「おい、いつまで遊んでる。さっさとバスに乗れ」

 

A組とB組のバスは別。ベンの肩に手を回していた拳藤もすぐに離れ、別れる。

 

「じゃ、合宿所でね!」

 

「…はいはい」

 

全員がバスに乗り込むと、雄英専用バスは黒い煙を出して山へと向かう。

1時間ほどバスに揺られて着いた場所は、見晴らしのいい高台であった。一同はパーキングエリアと思い、バスを降りる。しかし、よく見てみると店どころか駐車場もトイレもない。

 

なにかがおかしい。そうクラスメイトらの間で不穏な空気が流れるが、それらをぶった切るように名乗り声が聞こえる。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

 

「「ワイルドワイルド・プッシーキャッツ!!」」

 

A組一同の前に妙齢の女性らが現れる。

 

決めポーズをとって姿を現した彼女らは、猫と魔法少女をモチーフとしたコスを身にまとっていた。

 

彼女らは4名1チームのヒーローチーム『プッシ―キャッツ』であった。

 

プロヒーローの登場にマニアの緑谷は当然興奮する。オタク特有の早口で彼女らの紹介を始める。

 

「すごいや!彼女らは山岳救助を得意とするベテランチームだよ!キャリアは今年手でもう12年目にもなる・・・」

 

思わず彼女らの年齢に関する情報を口走ったため、金髪のピクシーボブが口をふさぐ。顔から陰鬱なオーラと真剣な表情を出して、重要な一言。

 

「心は18!」

 

「モガッ!」

 

ヒーローではあるものの。彼女らも一人の女性なのだ。年齢について大っぴらにすることを嫌うのも頷ける。空気の読める者なら、ここで彼女らの年齢に触れるのはタブーだと分かるのだ。

 

だがしかし、お子様にその機微は理解できない。

 

「え、12年ってことは…30後半ってこと?!うわぁ…それでその恰好って…」

 

ベンの言葉で場が凍り付く。明らかにマズイことを言ったと全員が悟る。唯一気づいてないのは当の本人だけ。

 

ピクシーボブは、青筋を立てながら雑に説明を始める。

 

「…君たちはその山のふもとまでダッシュ。そこが宿泊施設ね。わかった?わかったよね?よし!」

 

ベンへの報復か、説明は明らかに不十分であった。それとも、これだけの説明で動けることがヒーローへの成長条件なのだろうか。

 

「ちょ、どういう」

 

FOOM!!

 

クラスメイトが説明を求めようとするももう遅い。

ピクシーボブの個性は【土流】。触れている泥土ならいくらでもコントロールできる。セメントスの個性と類似したものであり、フィールドによっては敵を完封することもできる。

 

A組が立っていた場所は高台。そこから見えるのは山、山、山だった。絶景だった。だが、彼らがもうその景色を見ることはできない。

 

彼女の個性により、その高台は巨大な津波へと変貌していた。

 

波打つ土雪崩は、A組一同を崖の下に運んでいく。

 

土が口に入る。体を泥が包む。不快な感情しか湧かない彼らは、全員で叫ぶ。

 

【テニスンふざけんなよぉぉ!!!】

見事全員が高台から落とされ、入り込んだのは魔獣の森。落とされる間際に聞こえたマンダレイの説明によると、ここは私有地により個性の使用は自由らしい。

 

 

口に入った泥を吐き出しながら、男子がやいやいとベンに文句を言う。が、緑谷や八百万が自身の推測を話す。

 

「多分、元々ここからは自力で向かせるつもりだったんじゃないかな?」

「そうですわ。森の名前、ここからの移動時間。全て計算されていたとしか思えませんわ」

 

「っちぇっ!わかったよぉ」

 

いの一番にベンに文句を言っていた上鳴も納得する。確かに雄英のやりそうなことだ。早速試練を与えられた彼らは、校訓である“PLUS ULTRA”を思い出す。

 

ベンへのヤジを止め、顔を張る。気合いを入れ、さあ進もうかという時、彼らの前に現れたのは化け物であった。目が無く4足歩行なところはワイルドマットにも見ている。

 

思わず腰を抜かす峰田。

「うわぁ!!なんだこいつ!!…こいつが魔獣か!!?」

 

その異形の姿に焦るものが大半だった。しかし、“何か”を経験した者は違う。冷静に分析しあるいは冷静に破壊を試みる。

 

(土くれ…そうか!)

「っだぁ!!」

「死にやがれぇぇ!!」

「…!」

「ふっ!」

 

SMASH! BOMM! PAKIPAKI! DURRR!

緑の火花、朱黄の閃光、透明な氷に青いエンジン。いち早く現状を把握し対処した者は其の4人だけだった。

 

彼らは自らの命を狙うものと間近に対峙したことがあった。一瞬の判断の遅れが誰かの命を落とすことになる。このことを身をもって知った彼らにとって、この試練は緩すぎた。

 

しかし、この4人意外にも、もう一人いた。自身の命を狙われ、そして生還した経験を持つものが。

 

「3時間以内にふもとに着くだって?はっ!楽勝さ!どっちが先につくか勝負だおばさんたち!」

 

今この場におらず、バスに乗っていったプシーキャッツらへ宣戦布告をかます。

 

バスと人間の競争。普通ならばバスが勝つ。これは例え個性もちであったとしてもだ。時速80キロを超えるスピードなど到底出せない。しかし

 

彼は変身できる。

 

QBANN!!

 

青と黒のしっぽが生えた彼は、思わず一言。

 

「今回はまともに作動したぜ!このウォッチ大好き!」

 




・何気にちゃんと作動することの方が少ないオムニトリックス。無印の時は”いやそこはお前じゃない!”みたいな変身が多かった印象です(笑)

・林間合宿編の前半は地味な展開になっちゃいます。本番はやっぱりあいつらが来てから何で(笑)

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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