【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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オムニトリックスって、”使いこなすのが難しいもの”として描写されてましたかね?ベンは割と後半使いこなしてた印象なんですけど。もし誰かの手に渡っても、始めの方は大した使い方ができないのかなぁ。


75話 ヒーローの定義

【個性を伸ばす】現代社会でも良く言われる言葉。その人らしさを尊重する、多様性を重んじた教育。しかし、この世界の“個性”は普通の教育では伸びない。

 

ついてこいと言わんばかりに歩き始めたイレイザーに、切島は質問をぶつける。

「個性を伸ばすって具体的にどうするんですか?」

 

「“個性”は特殊能力であり、1人1人異なるものだ。だがあくまでも身体機能。筋繊維と同じく、酷使することで壊れ再生し強くなる。すなわちやるべきことは」

 

生徒は皆汗を垂らす。彼らの予感は正しかった

 

「限界突破だ」

 

相澤の口角が上がった。

A組に遅れて、B組も訓練所へ足を運ぶ。

 

そして、目に入ったのは地獄のような光景だった。

 

ひたすらに回転し込み上げる胃液を我慢する者。ショートするまで電気を出し続ける者。シンプルに殴り合うもの。洞窟からは悲鳴まで聞こえる。一体何が起きているのかわからなかった。

 

顔が青ざめていくB組生徒。その中で、唯一現状を理解出来た拳藤。どの地獄が一番自らの糧となるかを考え、周囲を見回す。すると、見慣れた茶髪がすぐ近くに突っ立っていた。

 

「ベン!…あんたは何してんの?」

 

「いや、ボクもわかんなくて」

 

要領を得ない答えを返すベン。質問を深堀しようとするも、のそりと歩いてきたイレイザーに阻まれる。

 

 

「テニスン…準備が出来たぞ。お前には他のやつと毛色が違った訓練をしてもらう」

 

「あれ、ボクだけ特殊訓練!?やりぃ!わかってるじゃんセン…ムグッ!」

 

無駄が嫌いなイレイザーはベンの口に捕縛府をまきつけ引きずる。連行されていくベンに対し、拳藤は苦笑い。

 

「大丈夫かなぁ?」

 

オムニトリックスの特殊性や強化訓練のハードさ。これらにベンが耐えられるか心配な拳藤。が、すぐにアメリカでのベンの活躍を思い出し、自らの訓練に務めた。

B組から離れたベンとイレイザー。捕縛府で引きずられてきたベンの前では、尾白と切島が互いに殴りあっていた。いや、正しくは尾白が切島を尻尾で叩いている。

 

これは、両者の硬度、強度の向上を狙っているとのこと。軽く説明したイレイザーは、ベンに指示を入れる。

 

「あの硬い奴になれ」

 

「硬い奴…?ああ、ダイヤモンドヘッドのこと?」

 

「ああ。早くしろ」

 

名前に頓着がないためぶっきらぼうに対応するイレイザー。ベンはというと楽しそうに変身する。

 

QBAAN!

 

「で、どうしろっていうんだ?」

 

「そのままそこに立っていろ。おい、切島、尾白そして…来たか…鉄哲。お前たちはテニスンに向かって攻撃をしろ」

 

つまり、ダイヤモンドヘッドを壁に見立てぶつけあうということ。現状最強の防御力を誇るダイヤモンドヘッドなら効率良く訓練できるだろう。

 

そして、

 

「テニスンは変身を維持し続けることを意識しろ。お前の最大の弱点は10分という短い変身時間とインターバルが必要なことだ。この合宿ではそれを克服してもらう」

 

確かに傍から見ればベンに弱点はその二つである。だがしかし、あくまでもそれはオムニトリックスの性能の問題であり、ベンにどうにかできることではない。

 

「あー…うん、わかったよ」

 

いまいちはっきりしないベンの返事を先生が聞いたところで訓練が開始した。

 

切島も尾白もさすがの攻撃力である。周囲には金属と金属がぶつかる音が鳴り響いていた。その重厚な音の間に鈍い音も聞こえる。これは尾白とベンの衝突音だろうか。もし生身の者がこの波状攻撃を食らっていたならばたちまちノックアウトされるだろう。

 

が、宇宙でも最高硬度を誇るのがダイヤモンドヘッド。傷一つつかず、逆に鉄哲の腕はへこみ、尾白の尾は青あざができ始め、切島の皮膚は剥がれかけていた。

 

(か、硬ぇぇ!!びくともしねぇし、かすり傷すらできねぇ…!俺は…この硬度まで達せられんのか…!?)

 

普段は明るく振る舞う切島だったが、あまりの実力差にネガティブな考えがチラついてくる。鉄哲、尾白も程度の差はあれ、ダイヤモンドヘッドの肉体強度に脅威を感じ始める。

 

依然動きは止めないが、3人の思考はネガティブなものなったとき、イレイザーの声がかかる。

 

「10分経った。さあテニスンここからが」

Pipipi

 

「あ、ちょ待」

 

QBAANN!

 

ボゴッ!!

 

「えッ!?」

「アッ!」

「げっ!!?

 

「…キュウ…」

 

体を急停止することができず、3人の攻撃は見事ベンにクリーンヒット。イレイザーは顔に手を当てて、ため息をつく。

 

(先は長いな…)

そこからのベンは、A組B組拘わらず、全員の個性強化を手伝う形で訓練をすることとなった。類似した能力同士を競わせることで、生徒たちはただ一人で訓練をこなすよりも能動的に挑めていた。以下はダイジェストである。

 

【爆豪・轟】

・出力最大の爆破及び炎を、ヒートブラストの火とぶつからせ続ける。出力と持続力を強化。

 

「なんで俺が半分野郎とセットなんだよぉ!!」

 

「テニスン。本気で来てくれ。俺も本気でやる」

 

「オーケー!!じゃ、頼むよヒートブラスト!!」QBANN!

「聞けやカスどもぉ!!」

 

「爆豪、俺もお前もテニスンより実力は下だぞ」

 

「急に喋りかけんじゃねー!!」

 

【麗日】

・キャノンボルトの中に入り、彼が転がることで自身の三半規管を鍛える。

GOROGOROGORO!!!

 

「だいじょうかオチャコ…」

 

「だ、大丈夫。予想以上に回るというかタイヤになった気分…よくベン君耐えれるね…」

 

「うーん。キャノンボルトは楽しいからなァ」

 

「さ、さすがベンk オロロロロロロ」

「うわぁっぁぁぁ!!?」

 

【飯田】

・XLR8と競争。山道を走ることで、足場が悪くてもフルスロットルに成れるよう強化。

 

「っはぁ、っはぁ、っはあ!!テニスン君さすがだな。俺が半分も走る前にゴールしているとは…」

 

両手を膝につき息を切らす飯田。その隣では余裕そうなXLR8が。

 

 

「そうだろ!」チュー

 

「ん?その容器は何だい?何を飲んでるんだい?」

 

「23スムージー!ゴールしてから暇だったから買ってきた」

 

「な!!それは明らかに校則違反だろう!合宿といえど、今は授業中だぞ!それは没収する!」

 

「やだね!どうしてもだめなら、捕まえてみな」BBYUNN!

 

「む…!いいだろう!インゲニウムの名を継ぐものとして、風紀を乱すものは許さん!」

 

【青山】

・アップグレードのレーザーと打ち合い。ビームの許容上限を増やすとともに、ビームがどのような攻撃なのかを身をもって体験することで、打ち出すイメージを再構築。

 

「テニスン君!君もサポートアイテムがないとだめなんだね!」

 

「えっ!あ、ああ。うん‥そうだけど…」

 

「…チーズあげる!!」

 

「なんで!?どっからだよ!?」

 

 

【小森、茨】

・ワイルドバインに対して個性を打ち続ける。植物の構成物質を参考にしあう。

 

「はっはっはぁ。そんな蔓じゃあ俺の蔓に敵わないぜぇ」

 

「何ということでしょう…聖なる鞭が野蛮なエイリアンに削がれてしまいました…」

 

「あたしのキノコで終わりノコ」

 

「…残念だったなァ。俺に胞子はきかないんだぁ。なぜなら俺は植物そのものだからなぁ!」

 

「ノコッ!?」

 

【緑谷、拳藤、佐藤、庄田その他増強系】

・フォーアームズVS全員で押し合い。彼を規定ラインまで押し込めば勝ち。プッシーキャッツの虎が監督。

 

「ほらほらぁ!!お前たちそんなもんかぁ!!オレの足はピクリとも動いてないぜぇ!!」

 

「お前たちぃぃ!!我―ズブートキャンプを思い出せぇ!!負けたらメニューは10倍だぁ!!」

 

(((この人たち暑苦しい!!無理だろ!この赤いの一ミリも動いてねぇよ!!)))

 

「心の中で弱音を吐いたなぁ!!メニュー20倍だぁ!!プルスウルトラだろぉ!!?しろよ!ウルトラ!!」

 

(この人だけジャンルも性別も違うんだよなぁ…)

 

全員が全員、ベンの能力を脅威に感じたところで一日目の訓練は終了した。

疲労困憊となった体を、皆で炊爨したカレーで癒す。

会話の中心は、もっぱらベンのエイリアンについてだった。

 

「テニスンさん。あなた、私なんかよりもよっぽど知識を蓄えていたのですね」

「へ?」

「あの小さなエイリアンに変身して、私の創作物を改造していたじゃありませんか。私の理解を超える道具もちらほらありましたし」

「あ…そう。まあ、ほら、ボクそういうところあるからさ。なんていうか…天才ってやつ?!」

 

鼻を伸ばしているベン。期末試験ではひどい目にあったし、自分のことを褒めてくれるのは波動だけだったので、今のこの状況は非常に心地の良いものだった。

 

がしかし、すぐにその夢見心地は瓦解する。

 

「そういえばテニスンの課題は変身時間だったよな?どうだったんだ?」

 

「うぐ‥」

 

上鳴の指摘に顔が崩れるベン。悲しいことに、今日一日の成果はなかった。オムニトリックスの変身時間は、“使えば使えば伸びる“という設定にはなっていないようだ。

 

ベンの表情を見て察したのか、すぐさま切島は話題をずらしてくれる。

 

「そ、そういや体育祭の時はなんかエイリアンが混ざった変身してたよな!あれにはもう成れねーの!?強さも2倍だしよ!」

 

妥当とも思える霧島の意見に、緑谷が割って入り見解を述べる。

「そうとも言えないよ。一体一体の力は弱まって見えたし…あ、ご馳走様」

 

緑谷の言葉の後、ベンは手首を持ち上げながら説明する。

「そもそもあの時はこれが壊れたからね」

 

「へー…なんか、その時計が無いと変身できないみたいだな!」

 

笑いながら切り返す上鳴。深く考えた発言ではなかったが、ベンは再び顔を歪ませる。

 

思わずぎくりとしたベンは、食事を追え離席した緑谷を追う。

 

「ふぃー…危なかったよ…オムニトリックスのことばれるかと思った…」

 

「皆、ベン君に注目してるからね。今日だっていろいろな人の特訓手伝ってたし」

 

そう言いながら、カレーをよそう緑谷。

 

「あれ?お代わり?」

 

「ううん。滉太君、ご飯食べてないだろうからさ。持って行ってあげようと思って。さっき、あの崖に向かうのを見たんだ」

 

「ふーん…ボクも行ってやるよ!一言二言文句あるし!」

 

「ええ…」

 

2人が向かったのは合宿所から少し離れた山崖。そこからは合宿所含め、山岳全域が俯瞰できる場所だ。

 

1人、体操座りをしていた滉太の元に、ベンと緑谷がやってくる。

 

「…なんだよ」

 

「あ、滉太君…お腹すいてると思って。カレー、皆で作ったんだ。よかったら」

 

「ふんッ…!」

 

緑谷達を見ようともせず、崖から遠くを眺める滉太。その姿に何を感じたのか、緑谷は声をかける。

 

「ウォーターホース…」

 

「っ!!?マンダレイか!?」

 

「ち、ちがうんだ!あの、時期とか、事件とかから考えて…その、すごく、かっこいいヒーローだった」

 

緑谷は年下相手にも拘わらずしどろもどろになる。滉太は背を向けて座っていたが、勢いよく立ち、地面を睨みつけながら捲し立てる。

 

「意味わかんねぇよ。パパたちも、敵も、お前らも!ただの人間がさ、ヒーローや敵を名乗って力を振りまいて!個性なんかがあるからこうなるんだ。ほんと、バカじゃねぇの!」

 

個性があるがゆえに、憎しみと救済の手段が実現し、負の連鎖が生まれる。滉太は超人社会そのものに嫌悪している様子だった。

 

緑谷の隣でおとなしく話を聞いていたベン。彼は、頭に回していた手をほどき、滉太の目の前へと歩く。

 

「なんだよ」

 

じりじりと滉太ににじり寄ったベンは、彼を指をさし、述べる。

「…あのさ、お前の言ってることは間違ってるよ」

 

「はぁ!?」

 

「力があろうとなかろうと、僕らは、ヒーローは誰かを救けるんだよ。力があるからヒーローじゃない。誰かを救おうとするからヒーローなんだ。」

 

思い出すのはヴィルガクスやゴーストフリークとの闘い。彼ら大悪党を前にしたとき、グウェンや拳藤、ねじれはたいした力の持主ではなかった。しかし、それでも彼女らは誰も見捨てなかった。

 

今まで戦いを経て、ベンは、ヒーローとはなにかを体で学んでいたのだ。

 

その言葉に、滉太は何も返事をしなかった。

ベンと緑谷が合宿所に戻ってきたとき、なにやら皆が広場に集まっていた。何事かと思ったが、

 

「お前らなにしてたんだよ!!もう始まってんぞ!!ポロリありの肝試し大会!!」

 

峰田から説明され、事態を把握するベン達。どうやら、合宿でのイベントの一つが行われているらしい。

 

ベン達がカレーを届けている間に一組目が森に入り、今中間地点だそうだ。

 

ペアが既に決められていたため、余ったもの同士のベンと緑谷は、再び森へと入る。

道中の会話は滉太についてだった。

 

「ベン君が滉太君にあんな言葉かけるなんて思わなかったよ」

 

「んー…ボクさ、無個性じゃん?小さいころ、じーちゃんに憧れてヒーローに成りたかったんだけど…グウェンに先行かれて、学校のやつらにも馬鹿にされて。それでも、本当に困ってる人を救けたいって思ったから、今ここにいる」

 

小学校の頃、自分や弱いものを虐めていたものを思い出す。彼らに対して、ベンは立ち向かいいつも負けていた。それでも、見て見ぬふりをすることはしなかった。

 

「今ならわかるんだ。これはただの時計。道具がヒーロー作るんじゃないって」

 

「そっか…」

 

緑谷は小さく相槌を打つ。自身もOFAを引き継ぐまでは無個性だった。緑谷にとってのオムニトリックス()である“OFA”も、誰かを救う為のものでしかない。それだけは揺るがないはずだ。

 

最近、不思議な夢を見た緑谷は、1人頷く

 

DOOOOOOOMMM!!

 

その時、地響きと、何かが焼げる匂いと、悲鳴がした。

 

「…っ!!?なんだ!!?」

 

疑問が浮かべると同時に周囲を警戒する。彼らの背中側から

 

「どうして敵がいるんだよぉ!!!」

 

という声が鮮明に聞こえる。

 

しかし、振り返る余裕はない。なぜなら、焦げる匂いがより濃くなってきたからだ。目の前から、なにかが近づいてきている。

 

2人は臨戦態勢に入る。一秒が何分にも感じられた。

 

数秒もすると、なぜか目の前の暗がりがほんのり明るくなり、敵が照らされる。

 

溶岩の左手にダイヤの右手。額から触覚が生え、その目は蛙のようにギョロギョロとうごめく。背中は黒と緑で機械的な皮膚で覆われ、昆虫のような羽が生えている。極め付けは、地球外生命体のような縞模様の尾。

 

一度見たら忘れそうもない、10種の異形を取り込んだ化け物は、緑谷とベンを確認し、にたりと笑う。

 

 

「よぉ、久しぶりだなぁ。ベン、ミドリヤイズク」

 

 




・訓練の組み合わせは「ストライクファルコン」さんの感想を参考にさせて頂きました!ありがとうございました!

・物語がやっと動きます!

・ベンは何気にヒーローの素養はあるんですよね。非常時とか、弱い者いじめを発見した時は(笑)

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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