【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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・この章はこの作品でトップクラスの展開になると信じてます。
・緑谷は原作のクラス対抗戦くらいの力に成長してます。なぜかって?ベンの存在によるバタフライエフェクト!(適当)


77話 エイリアンDNA

過疎地に似つかわない衝撃音。プッシ―キャッツの所有する広大な森は敵と生徒が入り乱れる死地へとなり変わっていた。

 

森の中央では不審なガスが蔓延しており、生徒は1人、また1人倒れていく。敵の数はヒーローより多く、どうしても後手後手となる。

 

中央から少し外れたところ。肝試しができる程度には道が整備されている場所では、多種多様な暴音が鳴り響いていた。

多少身体能力を向上させたところで生身の人間。この異形にはかなわない。

 

ケビン=レビンはそう思っていた。しかし、ベンが彼らから離れて数分、状況は一向に面白くなかった。

 

その理由は、目の前の緑谷に他ならない。

 

「っちっ!!」

 

いら立ちを露わにしながらケビンは右手を構える。と同時に緑谷は道から外れ、後方に下がる。

 

ケビンの手からは結晶の礫が発射。それはダイヤモンドヘッドが得意とする遠距離攻撃。が、緑谷は身を大木に隠し、礫はその木の幹に刺さる。

 

続けざまに左手で炎球を作る。それを見るなり、緑谷は姿を現す。

 

「食らえ!!」

 

WWOOFFM!

 

速いとは言えないが、決して遅くないスピードで迫る炎。

 

緑谷は物おじせず、左足で、地面を踏みぬく。

 

DDOMM!

 

その左足の力は反作用の効果で、地面は割れ、土壁となり炎球を受け止める。いくら彼の炎だとて、土くれを燃やすことはできない。

 

(防御、逃走、防御!ちょこまかちょこまかしやがって…!!)

 

木々が密集しているこの場では、小回りが利く緑谷が有利か。そう判断したケビンは、背中を羽を羽ばたかせ、闘いの場を空へと変える。

 

風を切る羽音とともに、ケビンは上昇していく。が、緑谷の表情は好転していた。

その場で軽くジャンプし、空中のケビンに向かって、蹴りをいれるしぐさ。

 

その瞬間、彼の右足周りに風圧が発生し、ケビンの羽へと直撃する。

 

その影響で、空中での制御がぶれるケビン。その隙を彼は見逃さない。

 

今度は大きく跳びあがり、空中のケビンの元へとたどり着く。

 

(ダイヤモンドヘッドの左手を構えた!この距離でってことは…礫攻撃!)

 

常に10%OFAフルカウルを発動している緑谷。ケビンの仕草を見た瞬間、素早く木々に身を隠す。

 

トス!、トス!、トス!と盾にした木にダイヤのダガーが刺さる。その刺さり具合に違和感を覚えるも、気にしている場合ではない。

 

(次はヒートブラストの右手!このままじゃ木ごと焼かれる…だから!)

 

今度は前に出て、左足の出力を上げる。痛みはあるが、コントロールはできる出力。火花がバチバチと出る左足で、足元の地面を踏みぬく。

 

硬く乾燥した地面は、力が込められた部分のみが砕け宙に浮く。その土壁にケビンの炎は吸い込まれ、ジュっと音を立てて消えていく。

 

爬虫類のような目を見開いたケビンは、舌打ちをしながら羽を羽ばたかせる。その上昇スピードで、()()()()に気づいた緑谷。

 

(しめた!)

 

今度は右足の出力を高める。全部位の出力を上げることはまだ苦しいが、部分的にならば、普段の倍は力を出せる。

 

軋む右足を轢き、空中に漂うケビンに対して、

 

セントルイススマッシュ!!)

 

脚部による空気砲を放つ。オールマイトのニューハンプシャースマッシュから着想を得たこの技。許容上限出力が25%まで上がった今の緑谷だからこそ放てる技。

 

風圧は木の葉を散らせながらケビンを包む。強風で思わず羽の動きが散漫になる。ただ浮いているだけとなったケビンに対し、緑谷は跳びあがり、

 

15%デトロイトスマッシュ!!」

 

SMMASHH!!

 

ケビンの右頬に、正義の鉄拳が繰り出される。

 

そのままの勢いでケビンは地面へと急降下、墜落する。

 

頬に痛みはない。あの程度のパンチは大したダメージはない。が、この展開には鼻持ちならない。

 

目の前の緑谷は依然見せた、驚異的な超パワーも出していない。

 

にも拘わらず場をコントロールされている状況が腑に落ちなかった。

「なんで…!!」

 

思わず口をついて出た疑問。そんな彼に対し緑谷は律義に答える。

 

「お前は前より弱くなってるんだよ、ケビン=レビン」

 

「…ああ?!なわけねーだろうが!!オレはケビン11!

ベンのエイリアン10体に、俺自身の力が合わさった、最強の敵だ!」

 

そう言って高速起動に移り、緑谷の視界から姿を消すケビン。だが緑谷は焦らない。なぜならば、この能力は知っているから。

 

左足を軸にして、くるりと体をひねる。そして、回転の勢いを利用して、右脚蹴り。

 

右足の到達点には、ケビンのこめかみがあった。

 

「っがっ!!?」

 

背後を取ったはずなのに、緑谷に見えないスピードのはずなのに、なぜか攻撃が決まらない。まるで、何をするか読まれているかのように

 

こめかみをおどろおどろしい獣の手で抑えるケビンに、緑谷は言葉を掛ける。情けはなく、ただ、自分が気づいた事実を淡々と。

 

「お前はベン君の力を吸収したんだろ?でも、力が10倍になったわけじゃない。それぞれの力が10分の1になってるだけなんだ」

 

木に刺さったダイヤのダガーにチラリと目をやる。本来の硬度ならば、木にえぐりこんでいてもおかしくない代物だが、ケビンの礫はヒビは弱弱しく木に刺さっているだけだった。

 

「ああ!?」

 

反論しようにも、彼の体たらくがそれを証明していた。

 

「…だが…それでも…!ベンの野郎と同じ力を持ってるんだぞ!?なんで…お前みたいな普通の人間に、俺がやられるんだよ!!」

 

BETYAA!BETYAA!

 

悪態をつくとともに、喉から緑色のヘドロを吐き出す。

スティンクフライの粘着液は、2,3発が緑谷へと向かうが、緑谷は一瞬だけOFAの出力上げ、容易に回避する。

 

そして、出力を10%に戻し、ケビンとの間合いを詰める。

 

「決まってるだろ…!」

 

ジグザグに走ってくる緑谷に、再び炎の弾を繰り出す。しかし、予備動作が大きすぎて、軽く避けられてしまう。

 

互いの拳が届く距離になり、緑谷が右腕を引く。

 

緑谷も戦闘技術が未熟であるため、その挙動から何が打たれるかはケビンも予測できた。

ケビンは、ダイヤの右腕一本でガードを試みる。

 

が、それは、緑谷の思惑通りだった。

 

OFA100%でも、ダイヤモンドヘッドの装甲を破ることは不可能である。少なくとも、本人にダメージが入ることは無い。

 

それほどの鉄壁を誇るのだ。一時期ダイヤモンドヘッドに成れたケビンもその硬度に舌を巻いたものだ。

 

しかしながら、今のケビンは、ケビン11。そのダイヤの硬度も10分の1となり、無敵の盾は、それなりに硬い盾にしかならない。

 

そして、それなりの盾であれば、

 

(OFA100%!)

「DETOROIT…」

 

 

SMASSHHHHH!!

人類で最もエイリアンに近い個性であるOFAが、ぶち抜けないわけがない。

 

ケビンの左手は砕け散り、緑谷の拳はその先の顔面に届く。

 

渾身の拳は右頬をえぐり、ケビンはその勢いのまま木々を折りながら吹っ飛んでいく。

 

紅い皮膚は内出血でどす黒くなり、歯も数本飛んでいる。さすがのタフネスで意識までは飛んでいないが、これまで一度も経験していない痛みに打ち震える。

 

(こんなガキに…)

 

精神的にも、肉体的にもダメージを負った。ケビン。

目の前の緑谷が右腕を抑えている。おそらく反動が来たのだろう。

 

だが、まだ左腕も、両足も生きている。このまま戦っても勝ち目はないかもしれない。緑谷の読みに恐怖し、自身の弱さに悲観するケビン。

 

…そんな彼の視界の端にあるものが映った。それは、さきほど飛ばした、ヘドロと炎。

 

燃え盛る炎が地面に付着したヘドロに触れた瞬間、BOMM!と爆発を起こす。

 

ケビンの中の、10分の1のグレイマタ―が何かに気づいた。

一方、断崖のベンとマスキュラー。パワー型VSパワー型のド派手な勝負。えてしてこう言う戦いは実力が均衡しがちだが、今回は一方的なものとなっていた。

 

個性“筋肉増強”により溢れ出る筋繊維を全身に纏わせた彼は、防御力、攻撃力、機動力全てにかけて大幅にパワーアップしている。パワーだけならワンフォーオールに勝るとも劣らない。

 

がしかし、それでもその力は「人間」の範囲内であった。

 

地響きを立てて彼は肉迫する。右腕が空気を切り裂きながらフォーアームズの顔面に向かう。

 

パアン!!と筋肉と筋肉がぶつかる音。派手な音とは裏腹に、彼のパンチは難なく2つの左腕で受け止められた。

 

フォーアームズは受け止めた拳を離さず、マスキュラーの動きを封じる。そして、2つの右拳を容赦なく叩きつける。

 

DDOOMM!!!

 

筋肉の鎧があるため、致命傷にはならないものの、圧倒的パワーの差で崖に埋め込まれるマスキュラー。

 

「がっ!??」

 

この戦いを近くで見ていた滉太も口を開けて呆けている。先ほどまで浮かんでいた、恐怖による涙もすっかり引っ込んでいた。

 

滉太の目の前にいた殺人鬼は、紛れもなく人類トップクラスの力を持つ。このヒーロー飽和社会で殺人を犯し、なお逃げおおせた猛者である。

 

実際、彼の腕一本とフォーアームズの腕一本では、マスキュラー有利であろう。それほどの実力者だ。

 

だが、それでも、種族の壁を超えることは叶わない。たった一人の、エイリアンDNAの劣化版ともいえる“個性”で、宇宙トップクラスのテトラマッド(フォーアームズ)に敵うわけがない。

 

 

戦闘開始から、そろそろ7分が立つ。変身時間が10分に限られているベンにとって、ここまで粘られることは意外だった。しかし、瓦礫に埋もれたマスキュラーを見て時間の問題だと悟る。

 

「ほらほらどうしたぁ!?さっきまでの威勢は何だったんだよ!すっかりその偽筋も剥げてきてるじゃねぇか!」

 

酷使された筋肉はぽろぽろと千切れていく。マスキュラーの弱点はベンと同じく継戦能力。大概の相手は本気を出すまでもなく殺し、また本気を出せば瞬く間にチリになっていった。そのため、この弱点が彼のウィークポイントとなったことは一度もなかった。

 

初めて、己の人生で初めて、本気を出してなお惨敗寸前という状況に、彼は複雑な感情を抱えた。

 

なぜなら

 

「…あの野郎の言う通りじゃねぇか…」

 

「ああ?」

 

砕けた岩塊の中からぼそぼそと声が聞こえた。はっきりとは聞こえなかった。声からしても、筋肉からしても、マスキュラーは限界であろう。

 

フォーアームズはそう判断した。だが、今の彼は油断しない。後ろには守るべき対象がいる。今までのような、“自分だけ”の、“自分のため”の戦いとは違い、今回は頼まれた。

 

他でもない、友達に。

守ってくれ、と。

(イズクのやつ、だいじょうか…?)

 

目の端で森を伺うベン。4つの目のうち半分は遠方を確認していた。

 

だが、

 

ガラリ

 

と岩が崩れる音に反応して、再び注意を敵に戻す。

 

大小さまざまな瓦礫の中からは、軽く俯いたマスキュラーが出てくる。

 

「ほぉ。まだ向かってくるのか」

 

「ああ…まあ、もうちょい遊んでいたかったが…しょうがないよなぁ」

 

どこか悔しそうな、それでいて楽しそうなマスキュラー。

 

そしてその様子に違和感を抱くベン。しかしマスキュラ―は躊躇なく距離を詰める。先ほどの殴り合いで負けたことを忘れたかのように。

 

 

そもそもスピードではマスキュラーが同等かそれ以上。フォーアームズは集中して敵の動きを見る。

 

(両腕で…!)

 

ガシン!!

 

マスキュラーの両手とフォーアームズの4本腕が組まれる。ラグビーのスクラムのように、顔と顔がくっつきそうなほどの密着。

 

互いに正面を向き合い、目の前に来る顔を睨み合う。

 

先ほどと違い、ただ無感情に力を込めてくるマスキュラー。しかし、力比べは依然としてベンが有利。

 

グググとベンがすぐさま優勢になる。徐々に徐々に、敵は押しだされ、崖っぷちまで追いやられる。

 

そして、そのまま地面に叩きつけようとフォーアームズは4本腕の筋肉を強張らせる。

 

その時、彼の鳩尾に衝撃が走る。

 

DOM!!

 

「がはっっ!!?」

 

思わず唾が口から飛び出る。

 

(は!?)

 

息が乱れる。吐き出された唾が地面に着く前に、今度は顔面にパンチのラッシュ。

 

何発、何十発ものパンチがベンの顔を捕らえ、視界がかすむ。

 

そして、思わずたじろいだ瞬間、マスキュラーはベンの胴に腕を回し、

 

「うおらぁぁ!!」

 

先ほど自分が叩きつけられた崖壁に、意趣返しのようにぶん投げる。

 

DDGGDAANNN!!

 

頭から崖にぶつかり、脳が揺れるフォーアームズ。衝撃で崖は再び崩れ、岩塊が彼に降り注ぐ。

 

ふらつく足取りながらも、頭上の岩雪崩を4本腕で捌き、なんとか急を脱する。が、さすがに息がきれる。

 

「っはぁっはぁ!!」

 

顔を下に向け、酸素を取り込みながら一連の流れを脳内再生するベン。

 

お、おかしい…さっき俺は…確実に腕をつかんでた!なのに…急に鳩尾にパンチが!?そんなことありえないだろ!?そんな…)

 

もしかしたらパンチではなく蹴りを入れられたのかもしれない。そんな希望的観測をもって顔を上げたベン。彼の視界に入ったのは、予想だにしていない、いや、予想はしたが有り得ない、有り得てはならない光景だった。

 

「なあフォーアームズ…俺言ったよな?お前に会えて運命的だって!なあ…言ったよなあ!?」

 

首をコキリ、コキリと鳴らすマスキュラー。その首には左手が添えられている。

 

「最初は考えたよ…こんなもん、俺の力じゃねぇんじゃないかって…だけど今ので…わかっちまったよ…」

 

そして、もう()()()()()はズボンのポケットから何かを取り出す。

 

 

「俺はどうしようもなく、ただただ、圧倒的力で暴れたいだけなんだってなぁ!!」

 

失った左眼に、おぞましい紅の義眼をはめこんだマスキュラー。先ほどとまでとは打って変わって、冷静に、ただフォーアームズを見下ろす。そんな彼の脇腹からは、もう1組の腕が生えていた。

 

まるで

「お、俺の!!??」

フォーアームズのように。

 




・長くて申し訳ないです…

・この展開をやりたかった…!!原作では、アニモ博士がウォッチを利用して動物改造してましたが、今回のマスキュラー実験に関わったのは彼だけではありません。

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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