【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

81 / 115
一日遅れて更新!できれば金曜までに上げたかったんですが…


78話 ハイブリッド

 

「血ィ…見せろやぁ!!」

 

マスキュラーは腕を振り上げ迫ってくる。スピード勝負では分が悪いフォーアームズ。足で地面をがっちりと噛み、握りしめた拳で敵を迎え撃つ。

 

GGANN!!

 

マスキュラーの腕は筋肉を纏い、胴体ほどの太さへと変貌している。その腕に右腕2本で対抗する。もちろん力勝負はフォーアームズに軍配が上がる。先ほどまでなら。

 

「はっはぁ!!」

 

BACHIN!!!

 

今は敵も4本の剛腕を携えている。空いていた方の右腕をマスキュラーは雑に振り回す。パンチにもなっていない粗雑な攻撃だが、予期していないベンには十分な威力。

 

横っ面にビンタを食らい、歯がガチャリと音を立てる。

 

アイデンティティでもある自慢の4本腕。それが今、自分に牙をむいている。

 

DDGGAA!!BBAKII!

 

「がっ!っぐ!!」

 

敵の攻撃を受け止めても、すぐにもう一方の腕が襲い掛かる。距離を取ろうにも、後ろに滉太がいるため大逃げはできない。そもそも俊敏性ではマスキュラー有利。時間切れも刻刻と迫ってきている。

 

なんとかして隙を…

 

そこでフォーアームズは閃く。

 

「滉太ぁ!耳塞げ!」

 

突然名を叫ばれ一瞬戸惑うも、すぐに両手を耳に当てる滉太。

 

「おらぁぁ!」

 

PAANN!!!

 

第一腕、第二腕、両者を完璧なタイミングですり合わせ叩く。マスキュラーに向けられたその手からは、轟音と豪風が飛び出す。予想外の遠距離攻撃に目が萎むマスキュラー。

 

その隙を見逃さず、壁を足場にしてベンは敵の視野外へと移動。

 

マスキュラーが正面を向く前に打ち込むのは

 

「TETORAMADD PANCHI!!」

 

4つの拳を一点に集約させる殴技。正真正銘、フォーアームズの最大火力だ。

 

暴風を巻き起こしながらパンチが繰り出される。そして拳が顔面を捕らえる時、

 

 

マスキュラーの2()()()()()()がきらりと光る。

 

「それを待ってたんだよぉ!!」

 

瞬間、マスキュラーの第一右腕から筋肉があふれ出す。そして、第一右腕と第二右腕と結んでいく。ぎちぎちと締め付けるように合体していく2つの腕。完成したのはもう腕ではなく、大筋肉塊であった。

 

その俊敏性で正面を向いたマスキュラー。その腕は先刻より何倍にも膨れ上がり、ミチミチと音を立てている。

 

4本腕、4つ目というフォーアームズの因子と、筋肉増強という自身の個性を最大限まで生かした形態。シルエットはもはや人間ではなく、

 

宇宙人(エイリアン)かよ…」

 

DDGGGOONN!!

QBANN!

 

その音で意識を取り戻す。だが、まだ目の前は真っ暗だ。

 

(岩…に…埋もれてる?)

 

なぜか全身が痛む。意識が朦朧としている中、目に汗が垂れてくる。

 

(…)

 

垂れる汗を拭うと、いやにねっとりとしている。そこで自分が血を流していることに気づく。

 

「はっ!!?」

 

右腕で瓦礫を退かそうとするも、上手く動かない。今度は左腕で瓦礫を退かす。

 

ガラリと岩塊が崩れ、視界が開ける。そこから見えるのは月と、森と、そして、

 

マスキュラーの巨腕に垂れ下がる滉太だった。

 

事態をすぐに理解し、止めに入ろうとするベン。しかし、

 

「やめっ…うぐっ!!?」

 

右腕を確認する。関節は逆方向に折れ曲がっており、肘から下の骨は砕け散っていた。律義に神経はその激痛を伝えてくれる。フォーアームズの姿で負った怪我がフィードバックしてきたのだ。

 

「お!起きたかベン!ちょうどいいとこだなぁ!今からこいつを殺すんだよ!」

 

「っや…やめろ!!お前の相手はボクだろうが!」

 

「で、お前は負けたんだろ?お互いに正々堂々力比べをして」

 

「な、なにが正々堂々だ!お前…フォーアームズをパクったんだろ!!」

 

「ははっ!まあ確かにそうかもなぁ!けど、お前がやったことだろ?」

 

「…なんだって…?」

 

「ああ…お前じゃないのか…ややこしいぜ、ったく…とにかく、俺は誰よりも早く適合したからここにいる。そんで、お前の中で一番のやつに勝った。じゃあもう…お前はなにもできねぇなぁ?」

 

ギリギリと手の力を強める。滉太は涙をポロポロ流しながら、ベンを見る。彼の口は、小さく、とても小さく、

 

た 

す 

け 

て 

 

そう動いた。

 

「!!う、うぁぁぁぁぁ!」

 

オムニトリックスも見ずに、ボロボロの右腕を振り上げマスキュラーに挑む。不格好に走り、ベンは目の前の敵へと立ち向かう。その時、

 

BAASSHHNN!!

 

背後から黒い何かがマスキュラーを襲った。

時はベンの変身が解ける3分前に遡る。

 

緑谷の全力をまともにくらったケビンの頬は、見るも無残に腫れあがっていた。まだ立てることは立てるが、そう何発も受け止められる威力ではない。

 

対して、緑谷の右手も故障していた。100%に耐えられる体ではないため、彼の腕は内部から爆発したように煙を出す。

 

しかし、緑谷は自身が優勢だと判断。

 

ケビンの攻撃スタイルは全てベンの劣化版。右腕はもう使えないが、まだ左腕と足がある。

 

自分の体を勘定に入れない緑谷にとって、1対1は最も得意する場面だった。目の前の敵に勝利すればよいだけ。それならば、OFAの力をフルに発揮すれば難しいことではない。

 

 

 

「おとなしく降参しろ!いくらお前でも今のは効いたはずだ!お前はベン君に遠く及ばない!」

 

最後の警告。だが、ケビンは不気味に笑っている。先ほどまでの苛立つ様子は見えず、妙に余裕な態度。

 

「?…なにがおかしい!」

 

「いや…?」

 

体を起こし、軽く伸びをするケビン。2メートルを超すその体躯は改めてみると化け物だ。

 

(ダイヤモンドヘッドとヒートブラストの腕。スティンクフライの羽にXLR8の尻尾…10分の1の力とは言え、それでも並の個性じゃ太刀打ちできない…やっぱり、こいつは僕が!)

 

警戒する緑谷を前に、ケビンはなにやら自分の体をじっと見ている。たまに手元で結晶や炎をパチパチと放出させている。爆豪が苛立った時、掌で爆発させるように。

 

(なにか…試している?なら…!)

 

緑の閃光を身に纏い、先手を取りに行く。と同時にケビンも動く。

 

「おし…行くぜ!!バッ!!」

 

BBUTYA!!

 

駆けだした緑谷に向かって吐き出されたのは、スティンクフライの粘着液。

 

スライム上のヘドロが地面に撒かれる。赤い靴の少し前方には緑のヘドロ。かすりもしなかったが、出鼻をくじかれた緑谷。

 

間を置かずケビンは左手を突き出す。

 

(…ヒートブラスト!!)

 

その挙動で次に何が来るかを予見する緑谷。炎が発射される前に地面を割り抜き、土の壁を表出させる。

 

「おら!」

 

先と違い真面目な顔で、ケビンは炎を打ち出す。その方向にはもちろん緑谷。しかし、今までとは弾道が違う。目線よりも下に打ち出された炎球は、地を這い、そして、地面の粘着液に着弾する

 

瞬間、

 

BOOOMM!!!!!

 

「がっ!!??」

 

爆発が起きる。発生した熱と風圧は、土壁を破り緑谷を襲う。思わぬ衝撃に踏ん張れず後退する。

 

(なにが起きた!?爆発!?まるでかっちゃんの!…けどなんで!?)

 

「おっしゃぁ!やっぱりなぁ!わかったぜ…()のことが!」

 

4つの腕で歓喜を表すケビン。ガッツポーズを見せつけるように腕々を振り上げる。

 

「次は…これでどうだぁ!」

 

結晶の右腕と炎の左腕を前に持っていき、掌を相手に向けて合わせる。エネルギー波を打つような姿勢から発射されるのは。

 

「おらぁっっ!!」

 

BASHHUN!!

 

ゴスン!とダイヤが大木に刺さる。

 

緑谷の頬は一拍おいてスパリと斬れる。一筋の傷跡からは、遅れるように血がダラリと流れていく。

 

(!?ダイヤモンドヘッドのダガーをヒートブラストの炎で押し出したのか!なら、さっきのは…粘着液に炎を引火させた!?そんな、まさか!?)

 

驚いた表情の緑谷。そんな彼を見て高らかに笑うケビン。

 

「おいおいおい!やべーな!俺は!俺はもっと強くなれる!これならベンの野郎も簡単にぶっ殺せる!」

 

DANN!!

 

その場から跳躍し、木々へと飛び移る。そして、縦横無尽に、木々と空をトビ回る。

 

(今度はワイルドマットの俊敏さに…スティンクフライの空中機動!?グラントリノ並の速さに…変則性まで…くっ!)

 

無理やりOFAの出力を上げ、反射能力を向上させる。さらに、木を背にすることで死角を極力無くす。

 

「ばぁっ!!!」

 

BBIITEE!!!

 

背からケビンの声。しかし振り向いている暇はない。前方へと身を投げ、お世辞にもかっこいいとは言えない回避方法でその場を脱する。

 

前回り受け身を取った後、素早く振り向き、息を飲む。そこにはケビンがいた。が、緑谷が驚いた理由はそこではない。

 

ドスンと重厚な音を立てて、大きな何かが倒れる。敵の足元に転がっているのは、先ほどまで自分の背にあった大木であった。

 

半径50㎝もある大樹を、ケビンは食いちぎったのだ。

 

ペッペと木片を吐き散らす彼の口には、鋭利に尖った歯、そしてそれをコーティングするダイヤが見えた。

 

「リップジョーズの咬合力に…ダイヤモンドヘッドの!」

 

「ああ!中々いい案だろ?今の俺にかみ砕けないものはねぇ!!」

 

自信満々に自画自賛するケビン。それも当然かもしれない。能力の組み合わせは、単体とは比べ物にならないほどの力を発揮する。

 

轟を知る緑谷はそのことに気づいていた。だからこそ、

 

(駄目だ…このままじゃ対応しきれなくて負ける!ただでさえOFAは出力オーバー。なら…意表を突いた一撃で決める!)

 

奇しくも、数100メートル先で戦うベンと同じ策を取る緑谷。

 

許容上限目一杯の力で、拳を地面に打ち付ける。大地が揺れたかと思うと、土煙が辺りを包み込む。

 

当然、鬱陶しい土埃を難なく払うケビン。前を向くと、そこには誰もいない。

 

辺りを見回すケビンも見つからない。緑谷は、4か月前にケビンを土に付したこの技で仕留めにかかる。

 

MANCHESTER!!(マンチェスター)

 

SMAAAASHH!!

 

空中からの踵落とし。今出せる最大火力を、視野外から。ヒーローらしからぬ攻撃だが、なりふり構って勝てる相手ではない。

 

その思いから繰り出された蹴りは、

 

 

無情にも空ぶっていた。あの頃と違い、今のケビンには大きな眼とそれなりの頭脳がある。

 

「そっ…!?」

 

その時、緑谷の脳天に痛みが走る。なんなのかはわからない。

その痛みで思わず振り向いた先には、腕を引いて待つケビン。

 

緑谷の頭脳は、最悪の想像をした。

(…フォーアームズのパワーに…XLR 8のスピードとダイヤモンドヘッドの硬さが上乗せされたら…!)

 

そしてその最悪は現実となる。

 

「めっちゃ強ぇパンチになるなぁ!!!」

 

GGOSHHHHUU!!

「っは…っが…」

ギリギリで身をよじった緑谷。しかし、ケビンの凶器は脇腹をえぐり取っていた。内臓には達していないが、ボロボロの緑谷は既に動けない。まさに満身創痍だった。

 

地面から顔を上げることすらもままならない緑谷。

 

そんな彼をつまみ上げ、唾を吐きかけるケビン。

 

「へっ!何が“ベン君に敵わない”だ!俺様はケビン11!最強最悪の敵なのさ!!はぁぁ!!!」

 

機嫌がいいからか、それとも木偶の棒とでも思っているのか。

 

血だらけの緑谷を放り投げ、そのまま奥に進もうとするケビン。

 

「さぁて…ベンの野郎を殺すか…それとも、クソガキどもを嬲りに行くか…」

 

殺害予定を口にしながら敵は森へと消えていく。

 

樹木に体を打ち付けられ、なすすべなく土を口にする緑谷。動かそうと思っても、左足に感覚がない。左腕も20%の反動で骨が軋む。右足は激痛で震えるだけ。

 

駄目だ…あいつを行かせちゃ‥‥

 

皆を守るために…

 

なんとか、僕が…

 

僕が…!!

 

(…止めなきゃ!!!!)

 

緑谷の想いに、受け継がれし力(OFA)は呼応する。

 

彼の全身から、緑と黒を織り交ぜたオーラが溢れ出した、

 




・緑谷とベンの戦いを同時に描写していた理由は、最後の展開につなげたかったからです。アニメ派の人には少しネタバレになってくるかも…

・ただいま一話から修正中です。少しでも読みやすくなれば幸いです。

・今まで誤字が多かったので、改善していこうと思います!それでも誤字る時は…ごめんなさい!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。