【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
宇宙は広い。未だ
しかし、その広い宇宙でも、覇者と呼ばれる種族は2種族しかいない。
1人目は、地球に個性をもたらしたエイリアンX。成体となり、本気を出した彼らに勝つ方法は
そして、彼らの対抗馬は、宇宙で「最強」と呼ばれる、だった。
体の9割は白色。といっても、純白ではなく、若干くすみがかった鼠色である。両腕の手首からは鋭利なひれが生えており、肘まで赤く伸びている。そして、彼の首から胸の中央に掛けて真っ赤な文様が入っており、心臓部にはオムニトリックスマークが刻み込まれている。
その特徴は巨大さ。マウントレディを優に超す、40メートルほどの体躯。銀河で最も希少種である彼らは、様々な星で神と崇められていた。
マスキュラーは、今まさに巨神を足元から見上げている。規格外の巨大さに驚きを隠せない。並の敵ならばここで戦意喪失しただろう。今までのマスキュラーでもさすがに逃走を選択しただろう。
しかし、エイリアンDNAを取り込んだ彼は、闘争を選ぶ。神にタイマンを挑めるのなら、喜んでその身を差し出そう。
「‥はは…ははは!!なんだよ!!そんな奥の手があったのかよ!!言ってくれよベン!!思わず殺しちまう所だったじゃねぇか!!」
頬の筋肉が吊り上がっていくのを彼は感じていた。止められない笑顔。その笑顔とともに、脳内麻薬が分泌されていくのがわかる。ワクワクどころではない。心臓は脈打ち、武者震いが全身を揺らす。
まだ見ぬ強敵と殺し合いができること。ただそれだけで彼の本能は呼び覚まされる。
対するウェイビッグは、事態が呑み込めていないのか、きょろきょろと周囲を見渡す。そしてマスキュラーにやっとのことで気づく。
が、彼を無視するように、再び首を横に振り、辺りを一望する。彼の目には、広大な山々が360度広がっている。その中に、ところどころ山火事が起きている部分があったため、指先でジュッとなんなく消化する。
その様子に立腹するマスキュラー。
「…は?おいおいおい…!!白けるぜぇそんなの…ここまで来て戦わないなんて、おかしいよなぁ!いいぜ!じゃあ無理やりにでも…!!」
ボコリと彼の両足が膨れ上がる。ズボンの膝下は、筋肉の膨張に耐えられずバツンと破れる。
バキリと地面にヒビが入ったかと思うと、マスキュラーは大跳躍。その様はまるで緑谷。一瞬で、体長40メートルのウェイビッグと眼を合わせる。
眼前で腕を引いて、
「第3ラウンドの始まりだぁぁぁ!!!」
ガツン!!とゴングが鳴る。ウェイビッグの鼻柱から、金属と肉のぶつかった音。個性をフル活用した、超パワーによるパンチが顔面に決まる。
しかし、ウェイビッグの顔は、1ミリ達とも動かなかった。
なにも感じないように、ただ眼前に来たマスキュラーに目線をやる。
その動じなさに少々焦る。が、それでもまだ楽しさが勝つマスキュラー。地面に降り立って、どうにかウェイビッグに本気を出させようと頭と舌を回す。
「頼むから!本気で相手してくれよぉ!その体!その大きさ!戦うために生まれてきたんだろ!?わかるさ!俺もそうだからな!?
…それともあれか?ヒーローなんてもの目指しているからには、守るものがいるのか?それなら…!!」
首をグリンと回し、隣にいる滉太を捕捉。ヒッとおびえる滉太めがけて地面を踏みしめる。
DOOSSUNN!!
だが、彼の殺しはウェイビッグの拳により阻まれる。
マスキュラーの体には、自分の体とほぼ同じ大きさの拳がのしかかっていた。ウェイビッグの体はハッタリなどではなく、純粋な力の塊であることを身をもって体感する。
若干押し込まれつつあるも、彼はその状況さえも楽しむ。なぜなら、勝つ算段があるから。
彼の中の、歪なエイリアンDNAが活性化される。今までよりもさらに太くなった4本腕が、相手の拳を押し返す。
「そうだそうだ!!ああ!脳汁がドバドバだぁ!!これだ!これを待ってたんだ!!本気を超えた俺と…!全力で戦えるイカレタやつをよぉ!」
彼には腕が2本追加されている。これはフォーアームズのDNAを彼の個性因子に組み合わせたため。
この提案をした人物はこういった。
「君の能力は筋肉を増やす能力。その増やせる上限は、元の君の筋肉量に比例する。つまりそもそもの筋肉量が鍵になるね。だったらテトラマッドの…ああ、あの赤色の4本腕さ。彼のDNAが最も効果的だ」
追加された2本腕。それによるパワー増加は2倍では利かない。追加された2本からさらなる筋肉が生み出され、彼のパワーを累乗倍させる。
元々、27人を殺し逃亡することができるほどの手練れ。4本の腕を、個性により1本の超特大アームにまとめ上げるなど、造作もなかった。
特徴的な4本腕の姿から、逆の極太1本腕の姿となるマスキュラー。
もはや人間ではないその力は、宇宙最強の拳を押し返し始める。
「ああああ!!どうしたどうしたぁ!!!俺が勝っちまうぜぇ!!」
「…」
だが…
「あ?」
・
・
・
ここは山から何十キロ離れた町。都会、とまでは言えないが、それなりにヒーローはいるし、それなりの人口、それなりの発展を遂げた町だ。
今日は花の金曜日。体を蝕む疲れを、気の置けない同僚たちと飲んで吹き飛ばす。
ビアガーデンで、仲の良い同僚とアルコールを楽しんでいた一人の男性。目の前の同僚がしょうもないギャグを飛ばす。ハハと笑いながらも、ふと後方の山に目をやる。なにか、白いものが見えた気がする。
眼を凝らしよく見る。が、すぐに目を凝らす必要がなくなった。なぜならば、それは現在進行形で、巨大化していたから。
「…おい、なんだあれ」
徐々に皆がそれに気づく。
「映画の撮影じゃね?」
「にしてもでかいだろ…」
「まだでかくなってない!?」
「個性にしてもでかすぎだろ!!一応ヒーロー呼べ!!」
最初に発見した男性が見た時は、40メートルほど。崖より少し高いくらい。だが、今のそれは、
「100メートルは…超えてる…」
・
・
・
「は…!い、いいぜぇ!!その巨体!!それがお前の真の力ってわけだ!!!全力で殺ってくれてぇ!!ありがとよぉ!!」
2倍近くに膨れ上がった目の前のエイリアン。力比べが無意味なほどパワーで負けている。だが、だからといって、戦いを辞める理由にはならない。彼の戦闘狂として血が、ブクブクと沸騰する。
個性の限界を超え、己を信じ、彼はそのエイリアンに挑む。その様はある種、緑谷の狂気に似たようななにかを感じさせる。
精神の個性への影響まだ解明されていない。だが、何らかの作用があることは明白であった。事実、押し込まれていた彼の体は徐々にその場に留まり始める。
踏ん張りを利かせ、
「おらぁぁぁぁぁ!!」
雄たけびが森に響く。そしてついに、全長100メートルのウェイビッグとパワーが拮抗する。
が、
「…」
ZZMMMUU
「…あ?」
彼をあざ笑うかのように、ウェイビッグは巨大化し続ける。
彼を宇宙最強と足ら占めるのは、この【無限巨大化】。何人の攻撃も受け付けないその鋼鉄の体と、無限巨大化によるパワーアップ。勝負を挑むことすら意味がないことをエイリアンたちは知っていた。
知らないのは、哀れな地球人だけ。
100メートルを超え、なおも留まることを知らないウェイビッグの体躯。足部は数十メートルにもなり、マスキュラーからは全体像すら見えない。
「…」
ただ、ただただ無言のウェイビッグ。それは、ベンの意思がほとんど働いていないことを示していた。
かろうじて残っているベンの想いは、マスキュラーに向けられるその拳のみ。
握りしめられた赤い拳は、マスキュラーをただ無情に押し込んでいく。
「ちょ…まて…!待ってくれ!?さすっ…がに…その大きさは!!??」
エビのように反った彼の背中。全身の筋肉をフル稼働してどうにか逃げようとする。己の誇りも、信念もかなぐり捨てて得た力。それすらも歯が立たない現実に、彼の心は折れた。
なんども見てきた命乞い。最も愉快だったそのパフォーマンスを彼自身がとったとき、
「…オオオォォォ!!」
DDGGGUUUNN!!
ウェイビッグは初めて叫び、マスキュラーを地面へと沈めた。
・
・
・
マスキュラーが意識を失うと、脇腹から生えていた腕はハラハラと筋繊維ごと散っていく。蜘蛛の巣上に割れた地面の中央には、ただ、少し大柄な金髪敵が横たわっていた。
その様子を一瞥した後、
Pipipi QBANN!!
巨神は少年に戻る。ヨタヨタとその場から上手く歩けないベン。
滉太は、足元がおぼつかない彼の肩を支えに行く。
「お、おい…!大丈夫か…?」
「あー…えっと…あんまり変身の記憶がないんだよね…気絶して変身したからかな…?まあ…いいや…とにかく宿に戻ろう」
勝利の快感も無く、ただ彼の中には滉太を守ることだけが浮かんでいた。
・
・
・
「はぁっ!はぁっ!はぁ!」
道なき道を揺れるのは橙色のサイドテール。B組の拳藤は、一心不乱に獣道を突っ切っていた。
腐乱ガスを撒き散らしていた敵を鉄哲と制圧に完了。鉄哲は敵を縛るためのロープを八百万に貰いに、彼女は森にいる生徒の把握のため奔走していた。
そしてさきほど、世界が壊れるか思えるほどの地鳴りとともに、巨大な人間が現れた。敵の襲撃かとも案じたが、その胸のマークからベンだと判断。
彼女はベン達のいる断崖へと向かっていた。本来、この状況でベン1人に固執することは最適解ではない。だが、
(…ベンのエイリアンなら、今の状況を変えられる。確か、あいつは山火事を消したことあるって言ってた…
それに、もう一回あの巨大エイリアンに変身すれば、全員の位置把握だって、先生を連れてくることも可能だ。だから、ベンの協力を仰ぐのが最善!)
頭の中で渦巻く不安。その不安を、これまでのベンの功績で塗りつぶす。
(大丈夫。ベンは無事だ。そして、今ベンの元へ行くことは最善なはず)
そう自分に言い聞かせ、木々を躱しながら進む。すると、
「…小さい…おじさん?」
金髪でサングラスをかけた妙齢の男が道に突っ立っている。敵かもしれないと影からのぞくと、彼の足元には緑谷。
「ふふふ、良く寝ているな…さっきの黒いやつには驚いたが‥こうなっては無力だ!さあ、次の催眠を…」
「ふん!!」
ガツン!!と彼女の大きな平手が後頭部を殴打。何がおきたかわからないという顔のまま、敵はズサリとその場に倒れる。
「敵…には間違いないよね。っと、緑谷、緑谷!」
頬をペチペチと叩く。巨大化したままでの平手なので、その威力は充分。腫れた顔つきとなった緑谷は目を覚ます。
「っは!!ここはっ!?って、拳藤さん!?…っうぐ…!」
すぐに気がつくも、ケビンとの戦闘によるダメージで顔を歪める緑谷。横たわっている状態から動けないのだ。紫に彩られた手足は、どれだけの痛みなのか想像に難くない。
「あんた…右腕と左足折れて…」
彼の怪我に気づいた拳藤。彼女の頭の中には2つのルートが見えていた。
緑谷を背負って合宿所まで
それとも
此処に緑谷を置いてベンのところに
悩む拳藤。今すぐにでもベンの元に走りたいが、目の前にいるのは明らかな重傷者。ヒーロー志望者として取るべき行動はどちらか。
今自分のなすべきことと、やりたいこと。
その2つを勘案する。目をつぶり唸る。そして、首を上げ下げした後、
「緑谷…!つかまっ」
彼を合宿所まで運ぼう。そう決めた彼女に対し、
「ベン君のところに行こう…あの崖付近にいる…はずなんだ」
緑谷は彼女が捨てた案を躊躇なく選ぶ。それは、彼自身が彼を勘定に入れていないから。
「行くって…あんた、左足が折れてんだから…」
「大っ…丈夫…」
スーハーと地面に突っ伏したまま、深呼吸する緑谷。精神を落ち着かせながら、思い出すのは先ほどの出来事。
(この力は…敵じゃない。先代が、先代たちが培ってきた力、OFAなんだ)
全身が痛む。頭も痛い。だが、考えることはできる。途切れそうになる思考を、なんとか保たせる緑谷。
(大丈夫。要領は…一緒のはずだ。僕が使えるOFAは10%…けど…それは、体に負担を掛けない方法…痛みさえ…無視すれば…)
「っっがぁぁぁぁ!!」
ゾワッ
緑谷の雄たけびとともに、ぶらんと垂れた両腕から再び黒のオーラがあふれ出す。シュウシュウと音をたて、消えそうではあるが、なんとか形を保っている。
さきほどまでと違い、暴れる様子もない。
(痛い…だけだ!!何としても、皆を助けるんだろ!だから…!!)
「撓れぇ!!黒鞭!!」
内側から電流が走るような痛み。両腕を襲うのは、骨粉砕とは違った刺激。おそらく、神経系に直接作用しているものだろう。
そして、その痛みと引き換えに、2本の黒鞭は前方の樹木に絡みつく。
OFA継承者5代目 万縄大五郎。個性【黒鞭】。先の夢で教えてもらったこの個性を、緑谷は無理やり使いこなす。
「拳藤さん!!捕まって!」
言われるがままに彼に腕を回す。
ギギギと大木が撓り、黒鞭も引きちぎれそうになる。緑谷の腕が先に壊れるか、木が引っこ抜けるか。その両方か。自身の体を玉に見立て、木をパチンコ代わりにする緑谷。
bashhuunn!!
限界まで張られた鞭は、彼らの体を空へと弾いた。
・ウェイビッグ強すぎだろ…と作者は思いました。
・よし!敵撃退完了…!完了…
追記…最近5000字近い投稿が多いですが、何卒最後までご拝読よろしくお願いします!
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章