【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
ケビンの肩に担がれているのは鉄柱…いや、先端にアームがついているので、何かを掴む装置なのだろう。
おもわず、感想を漏らすベンと、ゲラゲラと笑う殻木。
「U、UFOキャッチャーみたい…」
「ファッファッファッ!!!言い得て妙じゃ!確かにUFOキャッチャーかもしれんの!ただし、景品は、その手首にある宝じゃ!
「高次元反物質別離反装置か。さすがに永遠の騎士団でもこれほどのものは作れなかった。さすがアルビード君だな」
ここにいない人間を褒めるフォーエバーキング。そんな彼に頷くと、殻木はケビンに指示を入れる。
「ではこれから!端末型多種族変身時計 オムニトリックスを引っぺがす。準備は良いか、ケビンよ!」
「ああ、もちろんだぜ…!」
ケビンはこれ以上ないほど口角を挙げる。化け物じみた様相の中で、唯一人間と同じ形を保っていた口。それが裂けているにも拘わらず、彼はウキウキと歩く。悪魔の笑みとはまさにこのことだ。
ベンの左腕は台上に固定されている。その手首を狙い、ケビンは装置を構える。そして、4本アームの中心にオムニトリックスが来るように、機器を突き立てる。
すると、それぞれのアームからプラズマを発され、繋がり、青白いひし形が浮かび上がる。
IIIVVVWWWWW!!
その青色のプラズマに反応するように、オムニトリックスは高周波を出し始める。泣き叫ぶような声がオムニトリックスからは鳴り響く。
と、ともに、緑とも青ともとれない電磁波が辺りに飛び散る。床は削られ、壁には穴が。だが誰もそのことを気にしない。全員が衝撃の発生地点に目を奪われている。
高周波はやがて低く鈍い音と甲高い音を行き来する。
BBBBEEEEUUUUUU!!
と、おぞましい鳴き声が響いたとき、ついにオムニトリックスに変化が出始める。
どんなに振り回しても、どんな工具でいじろうとも、決して手首から外れなかったオムニトリックス。
愛着すら湧いていた時計は、徐々に筒へと吸い込まれ始める。
「ぁぁああぎぎぁあああ!!!!」
まるで腕ごともげるような激痛がベンを襲う。
ウォッチのベルトは伸縮し始め、彼の手首からほんの少しづつ浮いてくる。ミチミチと、ベンの体細胞とともに。
皮が、肉が引っ張られ剥げる。それでもオムニトリックスはベンからまだ離れていない。
「うあぁあぁっ!!ぐぁ!あああああ!!」
苦痛に歪んだベンの顔には涙。涙は頬を伝うのではなく、ふわり浮かび上がる。その雫が顔に付着するも、気にしないケビン。ただ、分離の反動を押さえつける。
「あうああっ!!うぎぃぃぃ!!!があああああ!!!」
悲鳴を上げるベンだが、ケビンがやめる様子はない。どころか、嬉しそうに筒を押し込む。
「言いざまだぁ!!このまま…!」
吸収の衝撃波は部屋全体へと波及している。もうこの研究所は持たないかもしれない。
バキバキという音が左右、そして目の前から聞こえる。
「取れちまえぇぇぇぇ!」
ケビンの叫びとともに、ベリべリとウォッチのベルト部分が切れていく。
オムニトリックスの使用者の意図以外では離れない、という原則が今、書き換えられていく。
BARIBARI!!
ベルトの切れ目が目視できた時、
「うわぁぁぁあああっ!!」
BAQNN!!
小さな音を最後に、オムニトリックスは筒へ吸い込まれる。スポンと筒を通った後、アームと逆側に備え付けてあるカプセルに収納される。そのカプセルは、オムニトリックスと出会ったときと同質のものだった。
装置からカプセルを出し、手中に収めるケビン。天高く掲げ、勝利宣言を下す。
「やったぜ!!これでお前も無個性だ!!俺を馬鹿にした報いだ!!」
ゲラゲラと声高に笑うケビン。彼の頭の中にあるのは復讐心と嗜虐心のみ。
それとは逆に、ただただ研究心だけでベンを見定めるのはドクター。
「おほほ!思いのほかすぐに終わったの!!では、次の施術に入るか!」
ベンはウォッチをはがされた衝撃で息を切らしている。そんな彼の容態を気にすることなく、殻木は実験に移ろうとする。
余韻に浸ることができなかったケビンは殻木を睨む。
「ああん!?次?」
「うむ。儂の実験には彼のDNAが必要なのじゃ。といっても脳無にするわけじゃないから、自律思考能力は必要ない。じゃから…この薬で仮死状態にする」
いつの間にか手に持っていたのは注射針。濁った翡翠色の液体が針から漏れ出ている。
「や、やめろ!ほら、ボクを殺したらウォッチの使い方わかんなくなっちゃうぞ!」
「アルビード君がおれば大丈夫じゃろう。君の価値は、人間でありながら、エイリアンDNAと適合しているということじゃ…」
ブスリ、針が静脈へと刺される。顔を歪めるベン。
満面の笑みのドクターが押し込もうとしたとき、
GANN!!
「っ!!??」
ドクターの体は壁に打ち付けられる。
わけがわからない。なぜ、先ほどまで自分を手伝っていた者が手を挙げるのか。
「な、何じゃケビン!」
ケビンは装置を殻木へと放り投げる。放物線を描いた装置は、尻もちをついている殻木へと落下。その重みで動きが取れなくなる殻木。
まるで憐れむように彼を見下すケビン。
「じーさん。ここまでありがとよ」
誰しもが予想外の出来事。フォーエバーキングもどう対応するか考えている。この場で唯一彼の声をかけたのは、
「ケビン…」
助けられたベンだった。
ゆっくりとベンに近づくケビン。
「なあベン。なんで俺がお前を助けたかわかるか?」
さきほどの笑みと反対に、真顔で質問するケビン。
その意図を考えるベン。思い出すのは初めてであった時のこと。
確かに、彼とは友達だった。もしかすると、オムニトリックスが無ければ彼とはそのままの関係だったかもしれない。
「…」
無言のベンに対し、ケビンは笑いかける。
「ベン…俺は…お前を」
呟いたかと思うと、ケビンのダイヤの腕はパキパキと音を立て始める。
「この手で…ぶっ殺してやりたいんだよ!」
「そうだよな…!期待した僕が馬鹿だった!!」
ケビンの左腕は硬化していく。ほんの少し尖らせることで、彼の拳は鋼鉄の壁をも貫く矛となる。
「さあ。お前の大好きな…キラキラ石で…」
「ふんっ!ふんっ!!」
GTYANN!!GATYANN!!
左腕を必死に引き上げるベン。なんとか、なんとか抜け出そうとする。
「あの世へ行きな!!」
gasDGGANN!!
宇宙で最も硬いダイヤモンドヘッド。そのDNAを10分の1引き継いだ彼の腕は…拘束台に穴を開ける。
何者の血も流さずに
「はっ!?躱され…!?なんでだ!?
ケビンの攻撃に耐えられなかったベッド。ガシャンと音をたて崩れ落ちる。
その横で、コロリと転がった少年は満面の笑みで立ちあがる。
「いい加減名前覚えろよ!ダイヤモンドヘッドだ!!」
(あっぶな!!ウォッチが外されたときの衝撃で、留め具が外れかけてたんだ!!)
「っち!悪運の強い野郎だ!!」
ケビンがベンめがけて走る。
が、彼の股ぐらをスライディングで潜り、後ろから彼が掌握するカプセルに蹴りを入れる。
なんとも間抜けな絵面だが、その人蹴りでカプセルは投げ出される。
ふわりと宙を舞った後、床を2、3回バウンドする。
「くそが!!」
悪態をつくケビンに目もくれず、ベンは駆けだす。床に転がるのはカプセル。その中には起死回生のアイテム、オムニトリックス。
もう一歩踏み出せばカプセルに手が届く。
といったところで、
PYYUNN!!
薄紅色のレーザーが足元へ。穴の空いた床に、おもわずたじろぐ。
「ショーはここまでだ。ベン=テニスン」
「…ああ、本当だよ!お前たちの遊びはここで終わりさ!」
どんな状況でも冗談を飛ばすベン。その精神性に感服しながらも、しょせん子供か、と一蹴するフォーエバーキング。
鼻で笑ったかと思うと、今度は出力を上げ、ベンの喉を狙いビームを射出。
緑谷をも貫いたビームに、思わず恐怖する。
眼をつぶるベンをレーザーが打ち抜く。子どもの体などたやすく壊れる。
はずだった。
KAANN!!
と小気味良い音がきこえた。
その代わりにといってはなんだが、体になにも異常はない。確かに敵はレーザーを打った。なのにどうして?
不可解な事象を疑問に思い、薄っすら目を開けると、
そこには、半透明な碧障壁。
続いて敵に視線を戻す。すると、彼の目線は自分の後ろにあった。驚くような、落胆するような、目つき。
振り返ればそこには、空間歪み。
だが、この歪み、いや、ゲートを自分は知っている。思い出すのは職場体験。
揺らめく黄波紋からは一本の腕が出ていた。水色のオーラを纏っている。
スラリとゲートを潜ってきたのは、大好きな家族だった。
「ほんっと、問題しか起こさないわね」
「孫は返してもらうぞ!」
「っっ!!!グウェン!!じーちゃん!!」
・やっぱりベン10はこの2人がいないと!とのことで久しぶりのグウェンとマックスじーちゃんです!
・アニメでウォッチを取り外すシーン、めちゃくちゃ痛そうなんですよね
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章