【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
始めは思い付きで書いた本作品ですが、多くの人の応援でここまで執筆することができました!このままラストまで書ききるつもりですので、引き続き応援よろしくお願いします!
「おいおいおい!!うそだろ!!こんなときに!頼むから、誰でもいいから!!」
何度も何度も、懇願するようにウォッチを叩く。しかし、うんともすんとも言わないオムニトリックス。変身の光の代わりに、ただただ青色の光を灯しているだけ。
「はっ!残念だったなぁ!」
焦るベンを見て嬉しそうに近づくケビン。巨大な足で地面を踏みしめ、ズンズンと迫る。
まさかウォッチが使えないとは。
頼みの綱の裏切りに動揺するも、すぐに心を落ち着かせるベン。
なにか打開策はないかと視線を左右に振る。すると、部屋の隅に、大きな扉が。
「ラッキー!!」
一目散に扉に向かい、目一杯に叩く、押す、引く。が、一ミリたりとも譲らない扉。
表面の手触りはゴツゴツしており、材質は不明。鈍い鼠色の光を反射していることと、自分には壊せないことだけは分かる。
鼻息を荒げながら両手で引っ張るも、無情にその場に佇む門。何人たりとも通す気はなさそうだ。
諦めかけたそのとき、
「くそっ!!…あっ!」
足元に小さな穴が開いていることに気づく。まるでペットが通るような穴。なぜこの扉にそれがあるかはわからないが、ベンなら何とか通れるほどの大きさであることは確認できた。
しめた!と内心で叫びながら身を屈める。
膝をつき、這いつくばりながら潜っていくベン。
体感だが1mほどの長さだろうか。その長さから、外部からの侵入をひどく拒んでいることが分かる。それだけこのフロアは神聖、もしくは禁断の間なのだろう。
やっとのことで潜り終え、2本の足で立つと、予想外の景色が視界に入ってくる。思わず声を上げてしまうほど。
「でっけぇ…!!!地下…だよな…?」
さきほどの研究室が教室程度だとしたら、この部屋は体育館ほどある。天井は20メートルほどで、常に赤錆がパラパラと降っている。
壁は先ほどのドアと同質の物が使われているようだ。グレーの壁で取り囲まれたこの部屋は正に禁足領域だろう。
だが、なにより驚いたのは、その部屋の状態。さきほどベンがいた部屋も大概であったが、この部屋には明らかに人体実験の跡がある。
拘束台とは違い、理解不能の機材をこさえたベッド。ガラス張りに保管されている何百もの試験管。
極めつけは壁際の8つのカプセル。半透明の液体の中には人型のなにかが確認できた。コポコポと空気が漏れ出ており、まだ生きていることを示している。
思わずカプセルの元へ足を運ぶ。内一つのカプセルは開かれており、中身は空っぽ。そこには小さな文字で
MUSCULAR+TETRAMADDと書かれている。
「マス…キュラー…+…テト…!」
GAN!DUN!!WAHHOMM!!!!
彼の呟きは、後方扉からの轟音でかき消された。
「開けやがれ!!!」
鋼鉄同士がぶつかる音、かと思えば肉と鉄。さらに何かが焼ける音までもが聞こえてくる。だんだん鮮明になってきている破壊音。
この1mの重厚な鉄壁は、直に破られると容易に予測できた。
こうしちゃいられないと、急いでウォッチをいじくる。
「なんだよ…!一回外れたらもうおしまいなのか!?そんな冷たい奴なのかよ、お前!!」
物に対して感情的になるのは馬鹿らしいと分かっている。それでも、この危機的状況、理不尽な扱いには、文句を言わずにはいられなかったベン。
当然、オムニトリックスの機嫌は変わらない。ただ群青色に灯るだけ
のはずだったが、
【オムニトリックスの使用者を更新。並びに、再起動による、オムニトリックスシステムの変更を行います】
突然聞こえる男性の声。
「うわっ!!?な、だれ!!?」
思わず振り返るベン。カプセルの中の実験体が話しかけてきたのか?しかしそばにいる彼らに意識はなさそうだ。
ベン以外誰もいないこの空間で、ベンに語りかけたのは、
いや、“返事”をしたのは、
誰でもない、オムニトリックス自身だった。
「オ、オムニトリックスって喋れたの!?」
ベンは困惑する。当然だ。これでもオムニトリックスとの付き合いは一年以上。その間一度もこんなことは無かったのだ。
ベンの質問には答えず、ただ事務的に喋るオムニトリックス。
【再起動に当たり、マスターコードの設定をお願いします】
「ま、ますたぁこーど…?」
【マスターコードの設定をお願いします】
人格はないようで、システムチックに続けるウォッチ。何度も同じ要求を請われたベンは意味がわからないまま答える。
「あーもー!!コード…コード…ってわっかんないよ!」
【マスターコードの設定をお願いします】
「っ!!じゃあ…“
【マスターコード“
半ば投げやりになってきたベン。愛機からの目まぐるしい質問に混乱した彼は、考えなしに
0を3回、10を1回叫ぶ。
「ふぁ‥?もう何でもいいから!【
その声がオムニトリックスに届き、入力が完了する。
キュインという音とともに、ウォッチは涼しげな発光を止める。
と同時に、ベンの脳内に電流が走る。
視界が暗転し、世界は無となる。
左手首から脳天に駆け抜ける何か。その何かが神経系に到達した時、直接理解させられる。
新しい力を。
「ぷはっ!!?い、今の!!…って!?」
視界が開けると元の景色。ウォッチに異常が起きていると踏んで手首に目をやる。
すると、ウォッチはその身を黒と緑に光らせる。普段の様な、選出画面に緑に、といった具合ではない。
普段黒色の部分は緑に、緑色の部分は黒色に。
ウォッチ全体がグニャグニャと歪み発光する。
Qwooooonn!!
そして、けたたましい唸り声をあげると、己を変形し始める。
腕時計にしては大きめだったウォッチ。剛健なその見た目は、一回り小さくなり、スマートな形へと変わっていく。
カチャカチャと自己変形を進めるオムニトリックス。
ベルトからダイヤルまで、全てが薄い緑へと変わると、もう腕時計と言ってもおかしくはない様相に。普通の時計と違うのは、針が無いということだった。
よりコンパクトになったオムニトリックスが、そこにはあった。
「オムニトリックスが…進化した…」
GANN!!
余韻に浸る暇は無かった。もう正面の扉からは赤く燃える腕が見えている。もうひと殴りすれば奴は現れるだろう。
慣れないなどと言っている場合ではないと、ダイヤルを回す。
これまでの様に、画面の中にシルエットは表示されない。なぜなら、ウォッチからはエイリアンの3Dモデルが浮かび上がるから。
立体映像に思わず見入ってしまうベン。明らかに地球の技術ではない
「か、かっこいい‥って、そんな場合じゃない!」
すぐに状況を思い出し、ダイヤルを回す。さきほど脳内で見えたエイリアンたち。その力を理解できたといっても、あくまでなんとなくだ。
だからこそ、今自分が一番かっこいいと思えるエイリアンを選出する。
「頼むぞ!!今度こそ!!」
ダイヤルを確定し、エイリアンを選ぶ。すると今度はこれまでのように、ガシャリと中央部分が盛り上がる。そこには人型のエイリアンが投影されている。
新オムニトリックスに選ばれたのは果たして誰なのか。
「ヒーロータイムだ!!!」
QWANNN!!
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扉を破ったケビン。後ろではグウェンがキャンキャンとうるさい。
が気にしない。なぜなら、扉の向こうには憎きベン=テニスンがいるから。
彼が人間であったときなら違和感を覚えていただろう。なぜここまでベンに執着するのか。
自分を邪魔したから?自分をこんな姿にしたから?
どれもしっくりこない。だが、どうでもいい。
エイリアンの力に溺れた彼には、些末なことだった。
重厚な扉は見る影もなく、ペチャンコになり地に伏せていた。鉄の絨毯を闊歩するケビン。
最初に目に入ったのは知らない異形だった。だが、その本能ですぐに敵と認識する。
炎を模した頭部に、植物の体をもつエイリアンだった。
吹けば飛ぶような線の細い体。沼のような緑色の体からは、うっすらとガスが噴出している。
彼は、ケビンを前にしてこう叫ぶ。
「スワンプファイヤー!!」
【88話 ベン10 エイリアンフォース】
さあ、新たなヒーロータイムへ
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章