【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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実は今日で本作品は一周年となります。
始めは思い付きで書いた本作品ですが、多くの人の応援でここまで執筆することができました!このままラストまで書ききるつもりですので、引き続き応援よろしくお願いします!


88話

「おいおいおい!!うそだろ!!こんなときに!頼むから、誰でもいいから!!」

 

何度も何度も、懇願するようにウォッチを叩く。しかし、うんともすんとも言わないオムニトリックス。変身の光の代わりに、ただただ青色の光を灯しているだけ。

 

「はっ!残念だったなぁ!」

 

焦るベンを見て嬉しそうに近づくケビン。巨大な足で地面を踏みしめ、ズンズンと迫る。

 

まさかウォッチが使えないとは。

 

頼みの綱の裏切りに動揺するも、すぐに心を落ち着かせるベン。

 

なにか打開策はないかと視線を左右に振る。すると、部屋の隅に、大きな扉が。

 

「ラッキー!!」

 

一目散に扉に向かい、目一杯に叩く、押す、引く。が、一ミリたりとも譲らない扉。

 

表面の手触りはゴツゴツしており、材質は不明。鈍い鼠色の光を反射していることと、自分には壊せないことだけは分かる。

 

鼻息を荒げながら両手で引っ張るも、無情にその場に佇む門。何人たりとも通す気はなさそうだ。

 

諦めかけたそのとき、

「くそっ!!…あっ!」

 

足元に小さな穴が開いていることに気づく。まるでペットが通るような穴。なぜこの扉にそれがあるかはわからないが、ベンなら何とか通れるほどの大きさであることは確認できた。

 

しめた!と内心で叫びながら身を屈める。

 

膝をつき、這いつくばりながら潜っていくベン。

 

体感だが1mほどの長さだろうか。その長さから、外部からの侵入をひどく拒んでいることが分かる。それだけこのフロアは神聖、もしくは禁断の間なのだろう。

 

やっとのことで潜り終え、2本の足で立つと、予想外の景色が視界に入ってくる。思わず声を上げてしまうほど。

 

「でっけぇ…!!!地下…だよな…?」

 

さきほどの研究室が教室程度だとしたら、この部屋は体育館ほどある。天井は20メートルほどで、常に赤錆がパラパラと降っている。

 

壁は先ほどのドアと同質の物が使われているようだ。グレーの壁で取り囲まれたこの部屋は正に禁足領域だろう。

 

だが、なにより驚いたのは、その部屋の状態。さきほどベンがいた部屋も大概であったが、この部屋には明らかに人体実験の跡がある。

 

拘束台とは違い、理解不能の機材をこさえたベッド。ガラス張りに保管されている何百もの試験管。

 

極めつけは壁際の8つのカプセル。半透明の液体の中には人型のなにかが確認できた。コポコポと空気が漏れ出ており、まだ生きていることを示している。

 

思わずカプセルの元へ足を運ぶ。内一つのカプセルは開かれており、中身は空っぽ。そこには小さな文字で

 

MUSCULAR+TETRAMADDと書かれている。

 

「マス…キュラー…+…テト…!」

GAN!DUN!!WAHHOMM!!!!

 

彼の呟きは、後方扉からの轟音でかき消された。

 

「開けやがれ!!!」

 

鋼鉄同士がぶつかる音、かと思えば肉と鉄。さらに何かが焼ける音までもが聞こえてくる。だんだん鮮明になってきている破壊音。

 

この1mの重厚な鉄壁は、直に破られると容易に予測できた。

 

こうしちゃいられないと、急いでウォッチをいじくる。

 

「なんだよ…!一回外れたらもうおしまいなのか!?そんな冷たい奴なのかよ、お前!!」

 

物に対して感情的になるのは馬鹿らしいと分かっている。それでも、この危機的状況、理不尽な扱いには、文句を言わずにはいられなかったベン。

 

当然、オムニトリックスの機嫌は変わらない。ただ群青色に灯るだけ

 

のはずだったが、

 

【オムニトリックスの使用者を更新。並びに、再起動による、オムニトリックスシステムの変更を行います】

 

突然聞こえる男性の声。

 

「うわっ!!?な、だれ!!?」

 

思わず振り返るベン。カプセルの中の実験体が話しかけてきたのか?しかしそばにいる彼らに意識はなさそうだ。

 

ベン以外誰もいないこの空間で、ベンに語りかけたのは、

 

いや、“返事”をしたのは、

 

誰でもない、オムニトリックス自身だった。

 

「オ、オムニトリックスって喋れたの!?」

 

ベンは困惑する。当然だ。これでもオムニトリックスとの付き合いは一年以上。その間一度もこんなことは無かったのだ。

 

ベンの質問には答えず、ただ事務的に喋るオムニトリックス。

 

【再起動に当たり、マスターコードの設定をお願いします】

「ま、ますたぁこーど…?」

 

【マスターコードの設定をお願いします】

人格はないようで、システムチックに続けるウォッチ。何度も同じ要求を請われたベンは意味がわからないまま答える。

 

「あーもー!!コード…コード…ってわっかんないよ!」

 

【マスターコードの設定をお願いします】

 

「っ!!じゃあ…“0 0 0 10(ゼロ ゼロ ゼロ テン)”!!」

 

【マスターコード“0 0 0 10(ゼロ ゼロ ゼロ テン)”を受理しました。続いて“version AF”へのファンクションコードを入力してください】

 

半ば投げやりになってきたベン。愛機からの目まぐるしい質問に混乱した彼は、考えなしに

0を3回、10を1回叫ぶ。

 

「ふぁ‥?もう何でもいいから!【0 0 0 10(ゼロ ゼロ ゼロ テン)】」

 

その声がオムニトリックスに届き、入力が完了する。

 

キュインという音とともに、ウォッチは涼しげな発光を止める。

 

と同時に、ベンの脳内に電流が走る。

 

視界が暗転し、世界は無となる。

 

左手首から脳天に駆け抜ける何か。その何かが神経系に到達した時、直接理解させられる。

 

新しい力を。

 

「ぷはっ!!?い、今の!!…って!?」

 

視界が開けると元の景色。ウォッチに異常が起きていると踏んで手首に目をやる。

 

すると、ウォッチはその身を黒と緑に光らせる。普段の様な、選出画面に緑に、といった具合ではない。

 

普段黒色の部分は緑に、緑色の部分は黒色に。

 

ウォッチ全体がグニャグニャと歪み発光する。

 

Qwooooonn!!

 

そして、けたたましい唸り声をあげると、己を変形し始める。

 

腕時計にしては大きめだったウォッチ。剛健なその見た目は、一回り小さくなり、スマートな形へと変わっていく。

 

カチャカチャと自己変形を進めるオムニトリックス。

 

ベルトからダイヤルまで、全てが薄い緑へと変わると、もう腕時計と言ってもおかしくはない様相に。普通の時計と違うのは、針が無いということだった。

 

よりコンパクトになったオムニトリックスが、そこにはあった。

 

「オムニトリックスが…進化した…」

 

GANN!!

 

余韻に浸る暇は無かった。もう正面の扉からは赤く燃える腕が見えている。もうひと殴りすれば奴は現れるだろう。

 

慣れないなどと言っている場合ではないと、ダイヤルを回す。

 

これまでの様に、画面の中にシルエットは表示されない。なぜなら、ウォッチからはエイリアンの3Dモデルが浮かび上がるから。

 

立体映像に思わず見入ってしまうベン。明らかに地球の技術ではない()()に陶酔してしまう。

 

「か、かっこいい‥って、そんな場合じゃない!」

 

すぐに状況を思い出し、ダイヤルを回す。さきほど脳内で見えたエイリアンたち。その力を理解できたといっても、あくまでなんとなくだ。

 

だからこそ、今自分が一番かっこいいと思えるエイリアンを選出する。

 

「頼むぞ!!今度こそ!!」

 

ダイヤルを確定し、エイリアンを選ぶ。すると今度はこれまでのように、ガシャリと中央部分が盛り上がる。そこには人型のエイリアンが投影されている。

 

新オムニトリックスに選ばれたのは果たして誰なのか。

 

「ヒーロータイムだ!!!」

QWANNN!!

扉を破ったケビン。後ろではグウェンがキャンキャンとうるさい。

 

が気にしない。なぜなら、扉の向こうには憎きベン=テニスンがいるから。

 

彼が人間であったときなら違和感を覚えていただろう。なぜここまでベンに執着するのか。

 

自分を邪魔したから?自分をこんな姿にしたから?

 

どれもしっくりこない。だが、どうでもいい。

 

エイリアンの力に溺れた彼には、些末なことだった。

 

重厚な扉は見る影もなく、ペチャンコになり地に伏せていた。鉄の絨毯を闊歩するケビン。

 

最初に目に入ったのは知らない異形だった。だが、その本能ですぐに敵と認識する。

 

炎を模した頭部に、植物の体をもつエイリアンだった。

 

吹けば飛ぶような線の細い体。沼のような緑色の体からは、うっすらとガスが噴出している。

 

彼は、ケビンを前にしてこう叫ぶ。

 

「スワンプファイヤー!!」

 

【88話 ベン10 エイリアンフォース】




さあ、新たなヒーロータイムへ

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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