【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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さあ、新生オムニトリックスの力、とくとご覧あれ!


89話 異星人の力

自身の体にエイリアンDNAが運ばれて来る。その感覚は旧仕様よりも鋭敏になっている。

 

小さな細胞は分裂を始め、ベンの体を侵食し始める。

 

皮膚は葉に、骨格は茎束へと変化。心臓がポンプとなり水を押し上げ、その気化熱でメタンガスが発生。濃密なガスにより体を覆っていた枝葉は腐りゆき、腐葉土と化す。

 

発光を終えたところで、この世界に顕現した自身の名を、高らかに叫ぶ。

 

「スワンプファイヤー!!…んん、いい名前だ!!」

 

殻木研究所地下β。その広間の中央に現れたのは植物型エイリアン。初めてみる彼に、ケビン11は舌打ちをする。

 

「ちっ…俺の知らないエイリアンなら勝てると思ったか!?」

 

「ふん!もうお前なんて(どのエイリアン)でも勝てるさ!」

 

低く伸びる声で意気込むと、スワンプファイヤーは掌をケビンに向ける。

 

すると、掌のガスは燃え盛る炎となって射出。

 

火球は対面のケビンめがけて一直線。猛スピードの攻撃をケビンは体を反らして避ける。

 

後方の壁面に着弾すると、

 

BGGONN!!

 

と気持ちのいい音を立てて爆発。一瞬で周囲を白煙で包む。

 

爆煙が晴れると、そこにはドッジボール大の穴が。

 

自分が時間をかけて壊した扉。それと同材質の壁面をあっさりと破る相手の炎に、ケビンは恐れ苛立つ。

 

「おぁぁぁ!!!」

 

ドスドスと重量感溢れる足音。赤い豪脚を活かし、跳ねるように前進し距離を詰めるケビン。“10種類の性質を持つ自分でなら勝てる“と肉弾戦へと持ち込む。

 

わずか3歩で互いの間を無かったことにするケビン。駆ける間に形成したダイヤの矛が、ベンを貫く。心臓部分を、直径50センチの槍で一刺しだ。

 

ZZUSHAA!!

 

「はっはぁぁ!!」

 

体中を快感が突き抜ける。憎きベン=テニスンを殺し悦に浸る。これで終わりだ。そう思った。

 

が、

 

「残念!!!」

 

なにかやったのかと言わんばかりの平気な顔のベン。未だにケビンの腕が貫通しているにも拘らず、まるで痛がる素振りを見せない。

 

「なっ!!?」

 

動揺したケビンの顔面に手を置き、

 

「はああっ!」

 

スワンプファイヤーは思いっきり爆破。

 

吹き飛んだケビンは、炎で焼け焦げる顔面を押さえ悶える。

 

「あぁぁっ!?!?がっ…!?なんで‥!」

 

手の隙間から相手を覗くとそこには平然と立って入るベン。

 

穴の空いた胸には、シュルシュルと、植物の繊維が群がっていく。数秒後には何事もなかったように修復していた。

 

「くっそぉぉぉ!!」

 

理不尽という文字が彼の頭をよぎった。

初めて物が体を貫通した。しかし大して驚かない。すぐに体を修復し始める。蔦や蔓がみるみる増殖し、空洞になった胸に集まっていく。

 

そこからは、シュウシュウと煙が。

ふと気になって匂いを嗅ぐと、鼻がもげるような悪臭。

 

「オオウ…!強烈ぅ…」

 

 

不思議な感覚だ。以前までの変身は、エイリアンの使い方は手探りだった。試行錯誤を重ねようやくそのエイリアンの力を引き出していたのだ。

 

だが、今は違う。変身する前から、誰がどんな力を持っているのかがわかる。

 

今のベンには、これまでにはない余裕があった。

 

(すっげぇ…これが…新しいウォッチ!!)

 

歓喜の姿を隠さない彼を見てケビンは息を荒くする。が、グレイマターのDNAか、至って冷静であった。

すぐに次の策を考える。

 

遠距離ならば。

 

今度は結晶のダガーを放つ。先の矛とは異なり、炎を纏わせ射出速度と火力を上昇。一発一発に速さと重さを両立させる。

 

炎に覆われたダガーは五月雨のようにベンを襲う。

 

BSH!!BSHH! BUSH!!

 

何本も、何本も、ベンの体に刺さる。50本ものダイヤが突き刺さり燃えるその姿は歩くシャンデリア。

 

しかし、煌々と輝いていた焔はあっさりと掻き消える。

 

ダガーもズブズブと体内に飲み込まれ、口からペッと吐き出される始末。煌めいた結晶と緑色の種が地面に撒きちる。

 

ダメージは一切入っていないようだ。伸びをするベンに対し少しづつ恐怖を抱き始める。

 

それは、クラスメイトがベンに思っていることでもあった。

 

“もしかすると、こいつには勝てないのではないか”

 

頭をよぎる考えを、振り払い、次の作戦に移る。

 

「なら…速さはどうだぁ!!」

 

XLR8とワイルドマットの脚力を存分に生かし、広間を目いっぱいに駆け回る。

 

緑谷との闘いで思いついた動き。ワイルドマットの適応力に、XLR8の単純加速が加われば、目にもとまらぬ、というより目で捉えられない動きが可能になる。

 

まるでキャノンボルトのように、天井、壁をお構いなしに移動するケビン。スティンクフライの羽で、3次元的動きにまで昇華。

 

さすがのベンも目で追えないようで、首をフルフルと動かしている。

絶好の機会を見出し、彼の背後に回る。

 

今度は頭を!!

 

踏み込みを強く、容赦のない一撃。

 

を繰り出そうとするも、次の一歩が踏み出せなかった。

 

それは、彼に残った良心の呵責、

 

 

 

 

 

 

 

 

などではなく、足を絡めとるツタのせい。目線を下げると、コンクリートの床から、植物が無尽臓に生えてきている。

 

目の前のスワンプファイヤーは得意げに語る。

 

「お前が少―しだけ速いのは知ってるからな!仕掛けさせてもらったぜ!!」

 

先に吐いていたのはダイヤだけにあらず。それに気づいたときにはもう遅かった。

 

瞬きする間もなくツタは成長し、すぐにケビンの体を締め付ける。人体発火を試みるも、燃えた先から分離して、すぐに新しい芽が生えてくる。

 

植物系のエイリアンの絡め手と、炎系の爆発力。今のベンはその両者を使いこなせていた。

 

思うに、これは一年間の親友との特訓、そして、雄英での試練を乗り越えてきたからこそのものだろう。

 

巡る思い出を集約させるように、両手に力を籠める。両の掌が0距離で顔面に向けられるケビン。その掌からはひどい匂いだ。眼前に構えられた腕からはオレンジ色の発光。

 

「ぬんっ!!!」

 

BOOMMMNN!!!

 

研究室全体が震えるほどの大爆発。爆豪のハウザーインパクトを優に超す威力。部屋の中は煙で一寸先も見えない状態に。

 

紫煙はただ悪臭を蔓延らせる。

 

その匂いに辟易しながらも、ベンは考える。

 

この爆発を直接撃ち込まれて平気な人間はいない。

 

実際、切島など、硬化持ちの人間であったとしてもこれは耐えきれないだろう。それほどの威力だった。

 

だが、敵は人間を捨てたエイリアンである。

 

「ふー…危なかったぜぇぇぇ…」

 

煙の中で目を凝らすと、肌を焦がしながらも直立するケビンがいた。パキパキと体中からダイヤが剥がれている。

 

打ち込まれる寸前、薄氷のようなダイヤで体を覆い、また右の炎手で熱の幾分かを吸収。その甲斐あってか、ケビンは自分へのダメージを最小限に抑えていたのだ。

 

次第に煙が晴れ、互いの姿が視認できたとき、響いたのは機械音。ベンには悪魔の声、ケビンには福音だった。

pi

pi

pi

 

QWANN!

 

そこに立っているのは非力なベン。

 

「ひゃひゃひゃ!!元に戻っちまったぁ!?なんにもできない人間に!!」

 

炎で焦げた蔓をなんなく弾き飛ばす。先の爆発のせいか、それとも変身が解けたせいか蔦蔓はハラハラと灰になっていく。

 

形勢逆転とはまさにこのこと。隣の部屋のやつらも仮面の男との戦闘で手一杯。もう、勝機はないはず。

 

(なのに、なんだよその面はよぉぉぉ!!)

 

余裕な顔つきの、無個性の少年は勇を見せる

 

「残念だったなケビン…もう、さっきまでのボクじゃない!!」

 

オムニトリックスを掲げる。普段ならば、あの音の後は赤色のウォッチ。

 

だが、今のそれは、鮮やかな緑色だった。

 

ダイヤルを回し、彼は再びボタンを叩いた。

緑の光がベンを包んでいく。DNAが活性化されるのを感じる。それも感じたことの無いDNAが。

 

骨格はそのまま大きくなり、大人と同等の身長となる。かと思えば、両足は圧縮を始め、鳥類の足に類する形に。

 

逆に眼は何倍にも膨れて上がり、瞳の色をそのままに、複眼となる。

 

全身は凍えるような藍色とノーザンブルーに染められていく。

 

体が何かに包まれている。その謎の部位が羽であることに気づくと、ベンは大きく開き、自らが蝶であることを示す。

 

光りが自身に吸い込まれ、この世界に顕現した時、彼は呟く。

 

「ビィィィッグ…チルゥゥ…」

 

低く、ドスの利いた声で。

 

「な!?!?インターバルはねぇのかよ!!」

 

予想外の変身に戸惑うケビン。そんな彼に対し、ただ冷たく言い放つベン。

 

「…残念だったなぁぁ…」

 

ゴーストフリークを髣髴とさせる喋り方。そんな彼から一抹の不安を抱くケビンだが、有り得ないと割り切り攻撃する。

 

「くらえぇぇぇ!!」

 

右手からは炎を、左手からはダイヤの雨を降らせる。マシンガンのような炎球と鉱石は真っ直ぐにビッグチルへと飛んでいく。

 

その攻撃に対しベンがとった行動はいたってシンプル。

 

ゆらりと空中に浮くと、一直線にケビンの元へ。当然、目の前に来るのは波状攻撃。

 

「よっしゃぁぁ!!!!」

 

直撃に喜ぶケビン。

 

が、すぐに口をゆがめる。

 

ベンを捉えたかのように見えた攻撃。しかし、彼がスゥっと半透明になったかと思うと、炎とダイヤはあっけなくすり抜けたのだ。

 

どころか、すり抜けた先から、それらは凍り、連なっていく。ビッグチルが通った軌道には、炎とダイヤの美しい氷柱が形成されていた。

 

「‥!?くっそ、くそぉ…!クソがァァァァ!!」

 

もう止めることはできないケビン。脳死ともいえる攻撃。

 

アップグレードのビーム、スティンクフライのネバネバ、ヒートブラストの炎。

 

出せる物全てをひねり出す。

 

しかし、無情にもそれらはベンに傷一つ付けられない。ただ、氷の礎になっていくだけ。

 

そして、ビッグチルはケビンの目の前に来る。

 

汗をだらだらと流す歪んだ顔のケビン。彼を一瞥した後、

 

FWWWUUO…

 

ビッグチルは彼の体をすり抜けた。

 

「あが…」

 

まるで心臓が掴まれた感覚。悪寒がする。

 

体が震えていることに気づいたときには、すでに彼の体の7割は凍っていた。先ほどの蔓と違い、一ミリも動けぬ堅牢さ。

 

地球の氷ではなく、ビッグチルの故郷 惑星カリマイース製の氷。それは宇宙でもトップクラスの硬度を誇る。

 

首元まで迫る氷を見て、恐怖し、そして嘆くケビン。

 

「やめろぉ!!やめてくれぇ!俺は…!!おま」

 

最後の言葉を、無機質な氷は許さなかった。彼の呻き声すらも飲み込んで、全身を氷漬けにする。

 

全身が氷に包まれたそれは、精巧なオブジェクトにしか見えなかった。

 

ビッグチルはすたりと空中から降り、羽を折りたたむ。羽は背中に収納されるとともに、漆黒の頭巾となる。

 

暗殺者のような雰囲気を醸し出す、闇の頭巾を被る。氷の吐息を地面に吹きかけると、変身が解ける。

 

QWANN!!

 

「…」

 

彼はただ、友達だった敵を見上げていた。

 

 




書きながら思ったんですけど…強すぎません?

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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