【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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神野事変から半年ほど…
世間はエイリアンの存在を信じているのか…


93話 再会(ハジメマシテ)

時は3月。秋も冬も超え、春はすぐそこに来ている。

 

しかし、新たな命の芽吹きは未だ感じられない。

 

退廃。

 

現状を一言で表すならこれだろう。

 

道路の塗装は禿げ、建物は倒壊状態。瓦礫は積み重なり巨大なオブジェクトの様に。これらを修復するはずの業者は避難所にいるため、壊れた分だけ街は荒んでいく。

 

一度街が荒廃すると、それと同時に治安も悪化していく。当然だ。誰しもがその身に“個性”という暴力装置を備えているのだから。

 

混沌とした情勢は避難所に悪影響を及ぼす。

 

「おいおい、なんでエイリアンがいるんだよ…!」

「さっさと星に帰れや!」

 

異形系をエイリアンだと揶揄し排除する流れ。何人もの異形は避難所をたらい回しにされる。

 

国民でエイリアンを信じる者は5割程度。

 

彼らの中でも、異星人を排除するという考えの者と自分たちがエイリアンであることを受け入れるべきだという者に分かれていた。が、後者の人間は避難所の外で自衛を選択。必然的に、異形系を嫌うものが避難所の中に集中する。

 

ゆえに、避難所の異形系は肩身を狭くしていた。

 

彼らを保護するのはヒーロー。だが、人気商売から、命を天秤にかけるお死事となったお陰で、ヒーローは引退者が続出。

 

公安は苦肉の策で学徒動員とばかりに学生を徴兵する。

 

が、プロでさえ忌避する状況に10代そこらの子どもが耐えきれるはずもなく、高校を辞める者が大半であった。

 

当然、残留するヒーローと学生の負担は増し、避難所周りの警護にしか人員を避けなくなった。そのせいでDNAリアンの元凶や敵連合の捜索は遅々として進まない。

 

起こること、成すこと。全てが狂い、裏目に出て、社会の歯車は一つ、また一つ壊れていく。

 

全ては、半年前の【神野事変】から。

 

ただ、そんな中でも懸命に職務を全うするものもいる。

 

神野事変でダイヤモンドヘッドと戦ったエンデヴァー。

AFOに腹を開けられたベストジーニスト。

ルーキーながらも着実に実績を積んでいたシンリンカムイ、マウントレデイ、そして彼らの先輩であるデステゴロ。

 

彼らを筆頭に、富も、名声も、命すらも投げ打って戦う。そんなヒーローはまだ日本に残っていた。

 

いや、ヒーローでなくとも、命を燃やす者も、ごくわずかだが…いた。

「この辺りもほとんど避難は完了しているな。反対地区では異星概観信仰派が居座り、ヒーロー達と戦闘に及んだそうだ。」

 

「うん…」

 

飯田天哉は壊れたビルを後目に歩く。ヒーロースーツを身に纏い、学校周辺のパトロールに精を出す。

 

彼の隣で返事をしたのはマスクをかぶった緑谷出久。

 

彼ら雄英生は、近辺のパトロール及び避難誘導が任されていた。原則戦闘は禁止。あくまでもヒーロー達の眼の役割に徹する。

 

インゲニウムの名を継ぐ者として、恥じないよう、彼は懸命に走った。一匹の鼠も逃さないように目を光らせ、どんな小さな声も拾えるように耳を傾けた。

 

しかし、隣を歩く友人は、まだ救けを求めない。

 

「緑谷君…」

 

「…どうしたの…?」

 

「いや、なんでもない…」

 

雨が緑谷のコスチュームを濡らす。水滴に打たれたスーツはじっとりと黒く染まる。そのせいかわからないが、緑谷からは不穏な空気が漂っているのだ。

 

横目で彼を見ると、コスチュームは初期のモノとは大きく異なっていた。

 

足にはアイアンソール。空気砲のコントロールを可能にする籠手。未だ目を覚まさない、オールマイトの紅のマント。

 

これらはまだいい。戦闘力を強化する物だと理解できる。だが、その他の変更が気がかりなのだ。

 

緑谷は常にマスクをかぶり、決してその素肌を見せない。

 

緑谷は寮でもその顔を隠している。

 

常に帽子をかぶっており、皆と風呂の時間もずらしている。パトロールは2~3人で行動するのだが、聞いた話によると緑谷はちょくちょく単独行動をとるらしい。

 

夜になるとふらりと外に出ていくとも聞いた。隣室の青山や友人の麗日は心配していた。

 

(緑谷君…君は…)

 

彼が気を落とす理由は理解しているつもりだ。親友のベンや憧れのオールマイトのこと。そして…

 

飯田が思考に耽っているとき、緑谷から声がかかる。

 

「飯田くん…」

 

「どうし…なっ!!?」

 

何事かと思い顔を上げると、積み重なった瓦礫の中に物影が見える。

 

警戒し、連絡用の携帯を取り出す。片手にデバイスを持ちながら回り込み、その姿を確認。、

 

「DNAリアン…!!?」

 

のそのそと歩くのは、ヒーロー不足を招いた元凶のDNAリアン。

 

単眼で、脳みそを露出させたおぞましい姿。ふいに、ギィギィと鳴く姿をみるに、誰からと交信しているようにも見える。

 

2足歩行という点を除き、全てが人間とは違う様相。正にエイリアンといった風体は生理的嫌悪感を抱かせる。初めてその姿を間近で見た飯田は、思わず携帯を落としてしまう。

 

「しまっ」

 

「ギ!!ギィッィィィィ!!」

 

BZZZZZZ!!

 

「なっ!?」

 

物音に気付いたDNAリアン。飯田が携帯を拾い上げる前に、周囲にプラズマが放つ。

 

高速起動で回避する飯田。少々掠りはしたが、特製のアーマーのおかげで大したダメージはない。

 

だが…

 

「携帯がやられた…!!くそっ…攻撃というより、辺りの電子機器を狙ったのか!?」

 

狼狽える飯田だったが敵は待ってくれない。声に反応し周囲にいたもう一体のDNAリアンが駆けてくる。

 

以上にガタイのよい()()は、腕を地面に突き刺し大地をたたき割る。

 

迫りくる地割れを跳びあがり回避するも、衝撃で飛び散った破片が彼を襲う。

 

「くっ!」

 

危うく顔面直撃の石。衝撃で眼鏡にはヒビが入る。

 

通信手段を失い、1体でヒーローを5、6人殺せる敵が2体目の前にいる。絶望的状況下で、割れた眼鏡を掛けなおしながら策を考える飯田。

 

そんな彼に、隣の緑谷は提案する。

 

「…飯田君。今から走ってプロヒーローを呼んでくれないかな…」

 

「…!?」

 

「ここは…僕が引き受ける」

 

「なっ!!駄目だ!!!死んでしまうぞ!何人のプロが彼らに殺されたと思っているんだ?!」

 

「大丈夫。見たところ機動力はそこまでじゃあない。飯田君1人なら追いつかれないし、僕でも上手くやれば時間を稼げる」

 

「しかし…」

 

あまりに危険すぎる。そう言いかけたが言葉を飲み込む。

 

目の前の、緑色の瞳に気圧されたからだ。マスクのせいか、緑色の瞳は黒く濁ったようにも見えた。

 

(確かに、今の緑谷くんからは…負ける気配がしない…しかし…)

 

悩む飯田。しかし、もう時間もない。追撃のために電力をチャージするDNAリアン。

もし、やつらが避難所まで押し寄せたとしたら、被害は数十人では済まない。

 

今の緑谷が何を考えているかはわからない。だが、これまでの緑谷の行動を思い出して決心する。

 

入学試験でも、保栖でも、彼の行動は一貫している。

 

“救けるために”

 

ともに信じた一年間を信じて、飯田はエンジンを回す。

 

「絶対に無理しないでくれ!たとえ追いかけられたとしても、プロと一緒なら何とか対処できる!」

 

DRRRRRR!!

 

一瞬で点となる飯田。未曽有の社会混乱の中でも鍛錬を怠らなかった彼は、瓦礫の上をなんなく走っていく。

 

そんな彼を無表情で眺める緑谷。少しだけ溜息をつくと、くるりと振り返る。

 

荒れ狂い、退廃した街。瓦礫の山には、その元凶たる化け物が2体。

 

怪電波を垂れ流し、筋肉を膨張させる化け物

 

「ギィィィィ!!」

「ギュクゥィィキ!」

 

しかし緑谷の意識は彼らに無かった。周囲を見渡し、人がいないかを確認する。

 

誰もいないことを確認すると、またひとつ溜息をついて、顔にマスクに手をかける。

 

そして、雨に濡れるマスクを取り、小さくつぶやく。

 

「DNAリアン…エイリアンか…」

 

自身の頬をペタリと触れ、自嘲気味に顔を歪ませる。

 

「同じだな…」

 

「こ、これは…」

 

目の前に広がる景色に絶句する飯田。同様に連れてきたプレゼントマイクも眉をひそめている。

 

「先生…運がいいことに、彼らは弱個体でした。」

 

緑谷が説明する。彼の足元には、伏したDNAリアンが2体。緑谷に血液の付着がないことから、緑谷が完全勝利したということが容易に想像できた。

 

「お、おう…ナイスだぜ…」

 

一応の返事はするが、内心では納得のいかないマイク。

 

確かにDNAリアンは個体ごとに能力が変わる。ゆえに彼らの強さにはランクがある。それこそ、黒い脳無、緑の脳無、白の脳無のように。

 

だが、それはあくまでもDNAリアン内での話。普通のヒーローからすれば、最低ランクでも手に負えないものだ。

 

だが、目の前の自分の生徒は2体を同時に討伐したという。

 

手足を縛られ、気絶した敵を確かめるように見下ろす。

 

(間違いなく本物だ。一体どうやって)

 

「…HEY緑谷。とりあえz」

 

雄英に戻ろう。そう言いかけた時、急に緑谷が頭を押さえる。偏頭痛でも起こしたかのようなリアクション。

 

「どうした!緑谷君!」

 

「…ごめん飯田君。すみません、先生。行きます」

 

「HA!?」

 

「北北東に…何キロか。多分、帝国ホテルの方です。とにかく、とんでもない敵が来ます。すみません。できるだけ多くのヒーローをお願いします。」

 

「何言ってんだ!!説明を…」

 

「すみません…」

 

マイクの注意を遮るように、緑谷は謝罪。そして、一瞬で消える。

 

いや、消えたように見えた。すなわち、マイクには目で追うことすらできなかったということ。

 

眼で追えないほどのスピードを出せる身体能力強化。そんな個性。マイクは今まで1人しか見たことがなかった。

 

緑谷の異常な成長に、驚きと困惑で大口を開けるマイクとは対極に、飯田は真一文字に口を閉ざしている。

 

“速さ”に慣れのある飯田はその目でとらえた。一瞬彼の左腕が黒く発光するのを。

 

「先生…!!」

 

「っとにかく本部に連絡だ!!」

 

【浮遊】【黒鞭】【OFA】を駆使しての高速移動。そのスピードは全盛期のオールマイトを凌ぐほど。一瞬で数十キロ先のホテルまでたどり着く。

 

屋上に降り立ち、状況を確認する。

 

帝国ホテル。一世代前までは各国の重鎮がこぞって泊りに来た名ホテル。しかし、時代の変化に取り残され、今ではただ大きな箱となっていた。

 

駐車場周りには建造物が多く、見渡せばビルしかないような土地。

 

広々とした駐車場には廃車と瓦礫の山で一杯だ。

 

屋上の緑谷が視線を下げると、そのスクラップを隔てて、脳を露出した化け物と住民が戦闘を開始していた。

 

「脳無…!!」

 

敵連合の象徴とも言え、半年前までは活動的だった脳無。DNAリアンの登場により鳴りを潜めていたが、なぜ急に。

 

一瞬そう考えるも、これはチャンスだと考え直す緑谷。

 

なぜなら、脳無は確実に、敵連合とつながっているから。

 

ビルの屋上から身を投げ、右足に力を籠める。黒鞭で顕現させ、ライフルの銃口のように形成。

 

振り上げた足から繰り出せるのは、特大の蹴空砲。

 

セントルイス スマッシュ エアフォース

 

雨風をものともせず、空気弾は脳無たちに着弾。コンクリートを抉るその一撃に思わず後退する黒い脳無たち。

 

ドシン!!と着地して、戦っていた市民の元へ。

 

「大丈夫ですか…?」

 

「お、おまえヒーローか!?なんでもいい!助けろ!!脳無が出た!!」

「それが仕事だろ!!?」

 

男たちの背中や腕には非合法のサポートアイテム。

 

(確か…デトネラットの…)

 

彼らの背後の看板には【我々はエイリアンの子孫だ!】と大きく書かれている。

 

その看板を無視し、

 

「下がっていてください。ホテルの中にいる人たちとバリケードを。」

 

それだけを伝え、視線を前へ。

 

目の前には数体の脳無。【危機感知】によりその強さはUSJを襲った者と同等だと分かる。

 

だが、おかしい。先ほど感じた頭痛は、こんなやつら程度では説明がつかない。もっと…

おぞましいなにか…

 

その予知は正しかった。

 

荒ぶる脳無たちが急に静かになる。彼らの後ろからは雨に打たれて歩いてくる人物がいた。

 

脳無たちに手を置くと、まるでペットを手なずけるように撫でる。

 

白と黒を基調としたTシャツ。軍服を思わせるカーキ色のダボダボズボン。そして、手首には奇怪な装置を巻いている。

 

その人物は、何か月も緑谷が探している人間だった。

 

「やっと…見つけた」

 

そう低くつぶやく緑谷に対し、軽い口調で答える彼。

 

高飛車な声は紛れもない彼だった。

 

「こんにちは…えーと…ミドリヤイズク」

 

その姿はまごうことなく、ベン=テニスンだった。

 




・本編と似てる展開ですねぇ。正直、あの展開が大好きなので真似てます…もちろん、こっからガンガン変えていきますが!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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