【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜 作:レッドファイル
「やっと見つけたぞ…」
温厚な彼からは想像もつかないようなどす黒い声。
冷静に、されど煮えたぎる怒りを隠さない緑谷。そんな彼に一切怯えずに少年は言い返す。
「…僕も君を探していた。ホントに会いたかったよ!」
陽気に返事をする少年。その笑顔は紛れもなくベン=テニスン。だが、緑谷は動揺せずに答える。
「今すぐその
「はぁ…?ボクがベン=テニスンだってのに。何を言ってるんだ?」
「お前と言い合いする気はない…もうすぐ増援も来る。そうなればお前の力があっても逃げきれない。」
「ははっ!増援ね…果たしてどうかな?」
「…!?」
同時刻
【雄英高校】
避難所となっていた雄英高校は、シェルターを下ろし臨戦厳戒体制を取っていた。外にいるのはプロヒーローと、今しがた現れた敵連合のみ。
敵方の編成は至極単純。
数十のDNAリアンと黒い脳無 通称ハイエンド。そして彼らを束ねる一人の青年。
好戦的な爆豪はエンデヴァー陣営としてその戦いに参戦しようとしていた。
が、宙を飛んできた轟から指示が入る。
「爆豪!緑谷の方に行くぞ!プレゼントマイクからの連絡があった。麗日や他のやつらも連れていく!」
目の前の敵を放ってわざわざ緑谷の元へ。その意図が合理的でないと感じる爆豪は反論する。
「命令すんじゃねぇ!!そもそもこの敵の数!エンデヴァーやミルコでもきちぃはずだ!!」
度重なる誘拐やDNAリアンの出現で、ヒーロー達も疲弊していた。ここで戦力を分散することは得策ではない。
そう判断する爆豪に対し、轟はいたって冷静に説明する。
「大丈夫だ。見た限り、敵のリーダーは炎熱系。少なくとも親父やサイドキックで完封できるはずだ」
(…あの燃えカス敵はそんなもんじゃ…けど…クソデク1人にするほうが…)
「っち…いいか!?俺はお前の指示に従うわけじゃねぇ!くそデクがバカみたいに突っ走ったからぶん殴りに行くだけだ!」
「ああ…麗日、蛙吹、着いてきてくれ!」
「う、うん!」
「わかったわ」
数人が戦場から飛び出す。轟は去るときに、赫い炎と蒼い炎がぶつかり合うのが見えた。周囲には熱波が降り注いでいる。
(敵の名前…荼毘…だったか?かなりの力を持ってるみたいだが…親父、大丈夫か?)
その轟の不安は、悲しいかな的中していた。
数回技を交えた敵のリーダーとエンデヴァー。互角か、敵の方が火力は上。しかし、この程度の差なら技術で埋められる。そう思っていた矢先のことだった。
・
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「そうだよ、その顔が見たかったんだよ!!」
下卑た笑みを浮かべながら荼毘は踊る。手足をフラリフラリと、勝手に動くように舞う。
轟燈矢。エンデヴァーの実の息子。轟家の長男にして、焦凍の兄。
炎の個性を受け継いだにも拘わらず、その熱に耐えられない体を持って生まれた子。
小学生だったある日、山火事で跡形もなく焼け死んだ、今は亡き長男。
目の前の荼毘は言う。
【俺こそが、轟燈矢だと】
陽気にダンスを披露する彼に、エンデヴァーは嘆くように反論する。
「有り得ない…燈矢は死んだ…許されない嘘だ」
「俺は生きてる! 許されない真実だ、お父さん!!」
荼毘と名乗っていた男はシャカシャカと缶を振り、頭にぶっかける。すると、みるみるうちにその黒髪は純白へと変貌する。その髪色は、
「どうだ?この髪。間違いなく母さんのモノだろ!?ああ、いや、最高傑作の焦凍と同じって言った方がわかりやすいか?」
だんだんと息が荒くなるエンデヴァー。熱が体に籠ったからではない。
むしろその逆に、血の温度が下がるのを感じた。
目の前に広がる景色は揺れ出し、今にも瓦解しそうだ。
瞳孔を広げたエンデヴァーを見て、さも満足そうに荼毘、いや燈矢は告げる。
「ああ、その顔だ。その顔を見るために俺はここまで来た!血反吐を吐くような手術もその一心で乗り越えてきた!」
感情の昂りからか、左手からは蒼い炎が常に燃え上がっている。
ここでエンデヴァーは気づく。彼の体に変化が全くないことに。
(おかしい。本当に燈矢ならば自身の炎に耐えきれないはず。やはり偽物…なのか…!?)
希望的観測を抱くエンデヴァー。そんな彼を地獄に叩き落とすように、燈矢は新事実を突きつける。
「ああお父さん。今の俺は昔とは違う。もう俺の体はあんたみたいな欠陥品じゃないんだ!!」
言い終えたと思うと、彼の体から火花が散る。
WHHOMM!!
曇り空をバックに花火が上がったかと思うと、彼の全身に青白い炎の線が入る。
さらに、掌、頭髪、足首から、炎が舞い上がり、それらの部位そのものが蒼炎と化す。
本来なら焦げるはずの肌は、岩石のように固くなり、もはや原型はなくなっていた。
例えるなら蝋燭人間。炎を扱うのに最も適した身体組織。
唯一元の姿との類似点である青色の眼は、炎々と燃えていた。
復讐に身を焦がす彼は、言い放つ。
「さあ!一緒に地獄で踊ろうぜ!!」
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【士傑高校】
「はよぉシェルターの
神野事変から半年。他都市よりもヒーローと市民の距離が近い大阪は、ほとんどの住民は避難を終えていた。その避難先の多くはヒーロー育成校。
とくに雄英と同等の施設を保有する士傑高校の収容人数は他校と比べ物にならない。
これはつまり、大都市何百万人が、この一か所に集まっているということだ。
もし、ここに巨大敵が仕掛けてきたら大惨事。
そしてその災いは、すぐ目の前に来ていた。
「ちょっ!!マジ驚愕!!」
「ケミィ!言ってる場合か!早く非難を!!」
【幻惑】の個性を持つ士傑生は思わず口と目を見開く。
その大きさは、全長20メートル。体は黄色と白で、ところどころ堅牢な甲殻に包まれている。
ゴツゴツと武骨なその体は丸まり転がっている。彼の通った道には犬小屋一つ残っていない。
容赦なく、住民の家々を踏みつぶしながら避難所へと向かう怪物。
その怪物に対抗するのは、同じく怪物級の巨体を持つ、マウントレディ。加えて、大阪のヒーロー達が何十人もその化け物を止めるために体を張る。
「こんの…!!!私は蟲と臭い男が一番嫌いなんだってのぉォォォ!!」
「俺たちが捕まえとる間に!!はよぉ逃げぇ!!!」
ヒーローの中でも巨体であるファットガムは、奥の手である“脂肪燃焼”によりパワーを底上げ。それでも全く止まる気配の無いダンゴムシ。
化け物は、低く唸る。
「全ては主のためにぃい!!!」
大阪中に響き渡る声は、避難民を恐怖に陥れる。錯乱状態に陥った市民は我先にと避難所を抜け出そうとする。
が、伝播した恐怖で冷静に逃げ出せるわけもなく、当然大渋滞を起こす。外に出たとしても、瓦礫の山で足場は悪いため、老人や子どもは禄に走ることもできなかった。
その中でもとくに歳をとった老婆が足をひっかけ躓く。杖が無いと歩けないのに、その杖は誰かが蹴ってしまった。
このパニック状態の中で、誰が自分なんかを助けるだろう。
そう絶望した時、
「大丈夫ですか!!俺に乗ってください!!」
オールマイトパーカーを来た少年が転んでいたお年寄りに手を伸ばす。そして、自身の背に乗せ、狭く荒れた道を滑走する。
「あ、ありがとう。ヒーローさん」
かっこいい姿とは言えないが、この緊急時にでも人助けを優先する心意気は正にヒーロー。
だが、彼はヒーローではなかった。
「ふふふ!偶然大阪に来ていたナイスガイな清掃社員、しかしその正体は鳴羽田で正義の味方をやっている、その名も!」
ゴツン!
名乗りを終える前に彼がぶつかったのは、顔の半分を黒いマスクで覆った男。まるで浮浪者のような姿の彼に対し、
「あいった!!…って師匠!」
「いらんこと喋ってないでその婆さんを下ろせ。で、あっちのヒーローに任せてこい。お前よりも彼の方が適した個性を持っている」
「わ、わかりました…っていうか、あれなんなんですか!!地面から出てきて、めっちゃでかくて、硬くて…」
「しらん…!!だが、殴りがいがありそうだな!」
無精ひげを生やした男はニヤリと笑い、巨体へと向かっていく。
「うぇぇぇ!!?マジですか師匠!無理ですって!」
「言っても無駄でしょ…とにかく今は避難でしょ?あっちの道は瓦礫が少なかったわ!」
ぴょんぴょんと跳ねながらアナウンスしてくれるのはアイドル風のコスプレ少女。派手は髪色と服装だが、彼女もヒーローではない。
彼らの目的は富でも、地位でも、名声でもない。ただ、誰がために。
人は彼らを
・
・
・
【岩手…鈴樹市】
岩手ヒーロー育成大学。トップヒーローはあまり輩出していないが、ヒーロー排出率は国内トップを誇る有名大学。
当然避難所となっており、防衛のためのヒーローも多い。
が、その彼らの目の前に広がるのは異様な光景だった。
はしゃいでいるのはただの女子高生と、全身に黒タイツを纏った男。
なのだが、
「仁君…私がいっぱいです!楽しいです!」
「そうかトガちゃん、良かったな!!」「最悪だよ!!」
情緒不安定に思える発言をしたのは男。彼が手をかざすと、女子高生が2人が形成される。
「さあトガちゃん!君たちは自由だ!」「はやく分身しろ!!」
男の命令を受けた少女。乱れる金髪を2つの団子にまとめると、ブスッと答える。
「命令されるのは嫌いです!ですが…ブツッて切れる時の感覚はたまらないです…!」
ナイフを舌で舐める少女。恍惚とした表情でナイフを舐める彼女は、その身をセーラー服で包んでいる。
そんな彼女が“えい”と気合を入れると、
BWAANN
プラナリアのごとく、分裂する。
「あの手術は気持ち悪いものでしたが…私が∞に増える。色んな人に成れる…こんな楽しいことは初めてです!」
「ほんとだねぇ。これで血が出たらもっと楽しいのにねぇ」
キャッキャと喜ぶ彼女ら。
ヒーロー×300人。
対するのは、連続失血死事件犯人の女子高生×∞
「さあ、自由な世界を作るのです」
【京都】
「もう俺はただのトカゲ野郎じゃない!数種類のDNAに選ばれた最強の
ヘドロを吐き、巨大化し、高速で移動するトカゲ。人型を保って入るが、常に興奮状態であり、目に入るものすべてを破壊している。
そんな彼を煽るように物間は指を刺す。
「どう考えても君のやっていることは正義じゃなくて自己欲求の解消だよねぇ。あ、トカゲ頭だからわっかんないか!」
「言ってる場合か!!あんたじゃあの手のやつはコピーできないんでしょ!」
京都の片田舎で、拳藤含むヒーローはスピナーに挑む。
【福岡】
「ホークス君…残念だったよ…君がスパイだったなんてね」
大男がホークスへと話しかける。悔しそうに唇をかみしめると、彼の額には黒い痣が発現していく。
「そうですか、デストロさん。ところで、今から投降する気はありませんか?」
「投降?私が?面白い冗談だ。宮下には負けるがな」
40代後半の男はデトネラット社 社長 リ・デストロ。一代で国内有数のサポートアイテム業者にまで成りあがったのはひとえに彼の手腕だろう。
だが、彼には裏の顔があった。それは、10万人の泥花市民からなる異能解放軍のリーダーであること。
プロヒーローのホークスは、3か月前に異能解放軍が敵連合の傘下に入ったことを耳に入れ潜入捜査をしていた。
公安からの指示であり、 “エイリアン”と関わりのあると思われる敵連合敵の実態を把握するのが彼の仕事だった。
事実、彼のおかげでヒーロー公安部と一部のヒーローだけが、今の敵連合について正確に把握していた。
羽で剣を形成し、構えるホークス。彼に失望するように、リ・デストロはため息をつく。
「まったく…また一つ、私の額が広くなる…!!」
何を言ったのかと思うと、彼の背中から2つの小型電磁塔が形成される。同時に彼の体は肥大化、変色していき、まるで物語のフランケンシュタインの怪物のような姿に。
服を突き破ったタワーからは、黒色の電気がパチパチと弾けている。
そして、叫び声を上げるとともに、黒紫のプラズマを弾け飛ばす。
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
BZWWNN!!
ビルへ、道路へ、川へ。
彼の攻撃は広範囲に飛び散り、そのすべてを腐食、燃焼、枯死させていく。
「っ…」
(ここまでとは…これが…地球外生命体のDNAを人体に埋め込んだ結果か…)
敵連合の中枢から聞き出したこの情報。
彼らの幹部は地球外生命体融合手術を受けている。
本当に地球外生命体なのかは不明だ。
だが、DNAリアンから検出された正体不明の染色体。そして、敵連合の幹部が皆、長期間手術を受けていたこと。
そして、たった今見せつけられた個性を超えた力。
これらを総合するに、現代科学では説明のつかない方法で力を得たのだと考えられる。
(そういえば…去年にも理外のパワーが発揮されるのを見たな…あれは、地下鉄だっけ)
なぜか去年のゴールデンウィークに見かけた炎男を思い出す。
すぐに頭を切り替え、目の前の人体発電機に問う。
「あんた、その…個性はどうやって手に入れた?」
「これは個性ではない。異能だ!!」
【アナウンサー】
「この放送がいつまで続けられるかわかりません!しかし、私の個性が使える限り、真実をお届けしようと思います!
現在、全国で敵組織が出現。彼らのほとんどが、脳無とDNAリアンを引きつれております!」
誰にどのエイリアンDNAが付与されてるかわかりましたか?
これら以外にも、「あいつにはあのエイリアンが合う!」みたいなのが有れば教えてください!(笑)
最もおもしろかった章
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(A)雄英受験、入学
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(B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
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(C)GW
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(D)USJ(ケビン戦)
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(E)体育祭(ウォッチの故障)
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(F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
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(G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
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(H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
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(I)神野編(エイリアンフォース)
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(J)終章