【完】ベン10 CROSS 〜ボクのエイリアンヒーローアカデミア!〜   作:レッドファイル

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DNAリアンの正体とは…


96話 DNAリアン

(オールマイトは最後の残り火で僕らを守ってくれた。例えその身が朽ち果てようとも。)

 

右頬にピシリと亀裂が走る。

 

複数個性どころではない、複数エイリアン化の代償。

 

痛みもなく、歴代個性をフルパワーで発揮する代わりに、彼の体は少しずつ壊れている。

 

(だけど、関係ない。)

 

オールマイトは言ってくれた。

 

【次は君だ】と。

 

その通りだ。

 

彼のように、魂が尽きるまで戦う。

 

次は、僕の番だから。

 

緑谷出久は目の前にはフォーアームズ。

 

ベン=テニスンしか変身できない異形を見てなお、緑谷は奴が親友ではないと信じ切っていた。

 

偽物は膝をつき、ただ地面を見る。そして、悔しそうに息を漏らしたかと思うと、光を放ち、元の姿に戻る。

 

よく知った、少年の姿に。だが、その顔には悍ましいほどの憎悪が刻まれている。

 

「くそッ…まさか地球人がここまで進化しているとは…」

 

悔恨の表情を浮かべ緑谷を見上げる。目の上には歪な体のヒーロー。そんな彼を見て偽物は、

 

「ん?」

と、ひとつ首をひねった。

 

悔恨の表情から、徐々に驚きの表情へと変わる偽物。ベン=テニスンの皮を被った少年は訝しむ。

 

「お前…2つとも…」

 

意味不明な言葉を口走る偽物を冷ややかな目で見降ろす緑谷。すぐにでも倒してしまいたいが、まだベンの居場所を聞いていない。

 

それに、

 

「…なんだ?」

 

敵の言葉が気になった。

 

返答する緑谷に対し、偽物は答えない。ただ、彼を見るだけ。

 

そして、頭からつま先までなめるように観察した後、クスクスと笑い、最後には大笑い。

無邪気とは言えない、不気味な笑いに気味の悪さを覚える。

 

「…何がおかしい」

 

「っは…いやいや、お前すごいな!後天DNAと先祖返り、両方をコントロールしているのか!?」

 

謎の2単語。いや、実をいえば片方は聞いたことがある。初代からだ。

 

個性の先祖返り。個性因子が、オリジナルであるエイリアンDNAレベルにまで達すること。

 

だが、後天DNAとは…

 

「マスクの奥からでも伝わってくる。何のことだ?って顔だ。いいだろう。特別に教えてやるよ!」

 

ベン=テニスンであるならば有り得ない知識量。身振り手振りからも、彼がベンではないことは明白であった。というよりも、誤魔化すことを辞めた様子。

 

「僕は宇宙から来た…お前らでいうところのエイリアンだ」

 

「っ…やっぱり…」

 

「まあ目的な多々あったが、中でもベン=テニスンへの復讐は最も達成するべきものだった。」

 

「なんで…」

 

「…この姿をみてもわからないならわからないね。とにかく、僕はこの地球で、最も悪党だと言える人間を探し、そして尋ねた。奴らはまあ、地球の遅れた科学文明の中で、少しは骨のあるやつだ」

 

「…AFO一派か」

 

「ああ。そして、奴の相棒ともいえる殻木。あいつは“個性”と呼ばれる力について研究していた。そこで僕は知識を授けたのさ。そのデモンストレーションとして行ったのが、エイリアンのDNAを人間に埋め込むこと」

 

その先は聞くのもおぞましい話だった。

 

個性持ちの人間に、エイリアンのDNAを埋め込む。それにより、エイリアンの力と、元々の個性を活性化し、人知を超えた力を生み出す。手術には長い期間が本来かかるが、その効果は絶大。事実、マスキュラーもオールマイト並みの力を得ていた。

 

そして、もう一つが、

 

「“個性”の先祖返り。殻木は、僕とは逆のアプローチで人外を生み出そうとしたんだよ。なるほど、さすがに地球人にしては優秀だ、と思ったね」

 

1人、頷きながら語る。

 

「“個性”がセレスティアルサピエンのDNAから派生したことは知っているだろ?」

 

期末試験が終わった後、ベンから聞いた。“個性”は約100年前、ある宇宙人の遺骸が地球に降り注いだことが原因だと。

 

「ああ」

 

「地球の個性全ては実在するエイリアンが元となっている。そのことを伝えると奴は嬉々としたよ。人間の可能性は無限だとね。」

 

殻木は真なるマッドサイエンティスト。自身の研究の為なら人の命などうでもいい。

 

人類の限界を試す為なら、人間など…そんな破綻思想だった。

そして語るのは、個性の先祖返りの引き起こし方。

 

「個性因子そのものをα波γ波で負荷をかけ増殖。そしてゼノサイト…多元宇宙寄生生物を装着させることで、それらを安定させる。その結果、個性持ちの人間は、元のエイリアンの力を最大限引き出すことができるのさ」

 

まるで会社のプレゼンをするかのように、自信満々に、誇らしげに語る偽物。

 

「もちろん、寿命は縮まり、人格は破綻し、生ける屍となるがね。お前は…人格に影響は出てないようだけど…」

 

その後に続く言葉を緑谷は容易に想像できた。

 

力を使えば使うほど、体を酷使すればするほど、体が自分のモノではなくなっていく感覚がある。

 

それこそ、おそらく最後は、個性そのものになって消え果てるのだろう。

 

だが、

「僕のことなんてどうでもいい。個性の先祖返り…そんな人を弄ぶような真似は…絶対にさせない…!!」

 

エネルギー体となっている黒い拳を握り、再び戦意を露わにする緑谷。

 

そんな彼をあざ笑うように、偽物は指を鳴らす。

 

「いいや?もうしてる」

 

得意げな笑みを浮かべたと思うと、紫色のオーラが周囲に点々と発生。うち3つからは、DNAリアンがぬるりと這い出てくる。

 

【もうしてる】【出てきたDNAリアン】【個性の先祖返り】…3つのキーワードが緑谷の頭を巡り、一つの結論に至る。

 

「…まさかっ!!」

 

「ああ、お前らが倒された、倒してきたこいつらが、それだ」

一刻前同様、3体のDNAリアンが緑谷の前に現れる。

 

顔の構成パーツは緑色の眼だけ。脳みそは薄い膜に覆われてはいるがクッキリと視認できる。

 

立ち姿は似たものだが、体形だけはそれぞれ異なっていた。中肉中背の者もいれば、ずんぐりむっくりとした低身長の者も。

 

(こいつらが…彼らが…民間人!?)

 

緑谷が躊躇している間に、一体のDNAリアンが空に手を掲げる。

 

すると、紫色のグローブからドプっと大量の液体が吐き出される。

 

空を覆うかのような液体は、すぐに春雨となって降ってくる。その液体がなんなのかわからないが、

 

「っ!」

 

危機を感じた緑谷は後方に下がりながらスマッシュ。

 

繰り出された技は一帯の雨を空中へとはじき返す。と同時に液体は橙色の閃光とともに爆発する。

 

BOOMMM!!

 

「可爆性の液体か…!」

 

その攻撃を皮切りに、操り人形は動き出す。

OFAを継承し、エイリアン化までした緑谷。地球上で最強だと言える彼は、たった3体のDNAリアンに手こずっていた

 

その理由は、

3体の能力と、

目の前の敵は救うべき人間だということ。

 

DNAリアンを無視し、偽物に突進しようとするも、コンビネーションを駆使した哀れな人形に阻まれる。

 

相手は3体。

爆液を撒き散らし、攻防を計る敵。

身体が金属の様に硬く、重く、一撃を狙ってくる敵。

そして、特に厄介なのは、

 

「ギぃッ!!」

 

「ぐッ!?」

 

彼らの中でも特にこじんまりとした個体。

 

おそらく、定めた対象を自身の元に引き寄せる力。

緑谷が行動しようとするたびに仕掛けてくるため、迂闊に飛ぶことすらできない。緑谷が対象となった時点で引き寄せられるので、危機感知も意味をなさない。

 

降りしきる雨を吸って、コスチュームが重くなってきた頃、偽物は愉快そうに喋り出す。

 

「ははっ。楽しそうだな。それだけの力で鬼ごっこするのは」

 

「っく…」

 

すぐにでもその口を閉じさせたいが、爆液と引力により動きが制限される。

 

「あ、それと…言い忘れていたよ」

 

偽物は唐突に、

 

「AFOからの言伝さ。確か…【師の追体験を大いに楽しんでくれ。】だったかな」

 

意味の分からないことをいう。

 

「…は?」

 

「【僕も君の気持ちは分かるさ。家族と戦うのは本当、心苦しいよなぁ】だってさ。奴もいい性格してる」

 

「…あ」

 

闘いの場に相応しくない、呆けた表情。

全てに気づいた彼は、足を一瞬止めてしまう。

 

目の前にいる、低身長のDNAリアン。

 

その能力は“”引き寄せ“。距離に関係なく、視界に入ったものを引き寄せる力。

 

(だけど…DNAリアン化していてこの能力なら、本来の個性はもっと弱い…)

 

例えば、

 

【ちょっとしたものを引き寄せる】個性。

 

わなわなと震えながら、考える。

 

『考えるべきではない。もう君の心が持たない。』

 

優しい、少し高い声で、初代が警告する。

 

脳内で警鐘は最大レベル。それこそ頭痛では済まない。それほど歴代は、緑谷が思考することを防ごうとした。

 

知っていたからだ。

 

彼の母親が、3か月前から行方不明になったことを。

 

「こ、こいつは…この人は…」

 

その問いに、偽物は答える。

 

「いやぁ、念動力系のエイリアンが元だったのかな?だけど、その女は一部の力しか使えなかったから参ったよ。」

 

そして、DNAリアンを指さし、

 

「さ、やってみなよ、ヒーロー?」

「――――――!!!」

 

その言葉を聞き終える前に、緑谷は叫んでいた。

 

言葉にならない、激昂。何も考えられない。思考ができない。人間としての尊厳も、なにもかもが彼の中から消えた。

 

ただ、目の前の偽物を消すために動く獣になっていた。

 

飛びだし、敵意も殺意も悪意も全てを右手に込める。

 

空気を切り裂き、敵を屠る拳。

 

 

 

 

 

 

 

 

だが、彼の拳は寸前で止まる。なぜなら、

 

体が、後ろに引っ張られたから。

 

彼の意思に反して体が向かう先は敵。いや、DNAリアン化した

 

緑谷引子。

 

無感情に手を翳す 元 緑谷引子に対し、緑谷は一瞬意識を奪われる。そして、作動したはずの危機感知に従わなかった彼は、爆液と、鉛のように重たい蹴りをまともに受ける。

 

BOMM!!

DGOO!!

「ッが…!!?」

 

敵の動きは俊敏で、一瞬で拘束される。拘束者は引子。他2体のDNAリアン達は容赦なく、彼を攻撃する。

 

1人は並々と爆裂する液体を被せ、もう一体は重厚で残虐な体を駆使して骨を砕く。

 

「カハッ…ぎっ…あぐぁッ…ッ」

 

そこに意思は介在しない。ただ、主の命令で動く動物のような存在。

 

普通の人間であればとっくに生を終えているほどのダメージが緑谷に募る。

 

だが、それでも彼は、偽物を見据え、喉からどす黒い声を絞り出す。

 

「戻‥せ…!!戻しやがれ…!!」

 

普段の緑谷からは考えられない口ぶり。当然だろう。母親が化け物にされたのだから。

 

そんな彼に対し、馬鹿にするように偽物は宣う。

 

「無理に決まってるだろ?腐りきった果実を元に戻せるか?ゼノサイトで細胞を安定させているだけで、それを取れば朽ちて消えるだけさ。それでいいならその顔についている眼を剥がせばいい」

 

「っがぁっぁぁが!!!」

 

フゥッ、ハッ、ハッ、と乱れた息。正常な呼吸でないことは一目瞭然。

黒く染まった彼の眼には、もはや正義の光は無かった。ただ、呪うように言葉を繰り返す。

 

「…ふざ…けんな…戻し…やがれ…クソ野郎…!!!」

 

誰かが乗り移ったかのような緑谷。もしかすると、OFAに蓄積された怒りの感情が、彼に呼応して発現したのかもしれない。

 

「すっごい顔だ!この星のヒーローとは、“英雄”って意味じゃなかったかい?」

 

羽交い絞めにされた緑谷。偽物を射殺さんとする今も、敵の拳は緑谷の顔面をえぐっている。

 

それでも、その憎しみだけで、彼は意識を保っている。

 

そんな彼に飽きたように、偽物は手首を摩る。

 

「まあ、奴との契約も履行したし、そろそろトドメかな」

 

その言葉とともに、緑色のガントレットを設定し、変身する。緑色の光を放って。

 

QBAANN!!

 

「どうだ?。」

 

と、反応を伺うのは巨大なトカゲ。いや、恐竜。5、6メートルはある其の体躯は正に太古の王者。二足歩行の巨竜は、地面に溶け込める茶色だ。

 

土色のエイリアンは、緑色の瞳で緑谷を見据える。

 

「お前も知らないエイリアンだろう?俺がベン=テニスンではないと知られたからには、生かして置くわけにはいかない」

 

「くそ…クソ…こ、こ、ころ」

怒り渦巻く彼の中で、初代は策を考える。

 

「いけない。これ以上暴走すると、九代目そのものがいなくなってしまう…!」

 

「だけど初代様…俺たちの干渉も今の小僧は聞き入れないぜ!」

 

「そもそも、憎しみ自体は俺たちのも影響している。奴がここまで切れているのは仕方がないし、その言葉を発するのも仕方ない…」

 

「…ぐ、だけど、絶対だめなんだ。ヒーローが、彼がその言葉を発しちゃダメなんだ!」

「…ころ…」

 

ヒーローとして、最高のヒーローを目指す者としてあるまじき言葉。

 

最後のトリガーとなるその言葉を言おうとしたとき、

 

 

 

 

 

突如、偽物と緑谷の間に小さな光が発生する。

 

 

蛍のような光がその場に留まると、小さな爆発と大量の煙幕を発生させる。

 

POOOOM!!!

 

「!?」

 

突然のことに意識を奪われる緑谷。煙幕の影響か、それとも偽物がその場から吹き飛んだことが影響しているのか、DNAリアン達も動きが止まっている。

 

「ケホケホッ…煙の設定おかしいよ!」

 

煙幕の中で、せき込む誰か。

煙のせいでよく見えない。

 

(いや、この声は確か…)

 

優しく、すこしだけ高い声。

 

声の主を推測する一瞬で煙が少し晴れ、背格好が見えてくる。

 

身長は、自分より少し高い。170㎝ほど。細身の体で、戦う者にしては覇気がない。。

緑色のジャケットを着ており、茶髪の青年は年上のようだ。

 

髪色は違うが、背格好、そしてなにより、声色から、誰かが判別する。

 

「し、初代様…?」

 

疑問符を付けた緑谷の問いに、青年は答える。この緊迫した場に似つかわぬ、子どものような喋り方で。

 

「はぁ?何言ってんだよ?それより見てよ!新しいオムニトリックス!」

 

青年はジャケットの手首時計を差し出してくる。

 

彼の胸元には、【10】と小さなマークが縫い付けられてあった。

 

 

 




・緑谷が個性の先祖帰りと後天DNAを引き起こしている理由…実際には、OFAにより、複数の個性を使用可能に。そして、それらがオムニトリックスとの干渉で先祖がえりを起こし、複数のエイリアンの力を使えるように。偽物から見ると、2つの手術を行ったように見える。
・声優ネタァ!!
・やっと主人公のターン!!

最もおもしろかった章

  • (A)雄英受験、入学
  • (B)戦闘訓練(緑谷、ベンVS轟、爆豪)
  • (C)GW
  • (D)USJ(ケビン戦)
  • (E)体育祭(ウォッチの故障)
  • (F)職業体験(オムニトリックスの秘密)
  • (G)期末試験(ゴーストフリークの反乱)
  • (H)林間合宿(4アームズマスキュラー)
  • (I)神野編(エイリアンフォース)
  • (J)終章
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